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ガラス算盤球
[2020.1]
2020年1月26日 22時32分の記事

〜27

武田先端知ビル出土のガラス小玉の観察/小林照子 より

「算盤玉形ガラス玉」

・斜めに走る擦痕の有る無し
・気泡列の入りは 擦痕に沿っているか 孔の周囲か
・気泡列が(下面から上面に)斜めに伸長しているか

↓ 引き伸ばし法の属性に当てはまらない

・側面形が算盤玉のように「裁頭円錐形ニ個を底部で合わせた形」(藤田1994)
・気泡の方向が一定ではない
・上下で孔の大きさと形状が異なり 半球形の下面では孔は円形で小さく孔の周囲は整っているが上面では孔の周囲はいびつで大きく広げられている(大賀2002)


想定される製作技法

巻き付け法により製作したガラス小玉を引き伸ばし管状にしたのち切断する方法

ガラス小玉の上にさらにガラスを巻き付ける方法(小泉・徳澤1997)

先の細い芯棒に紐状ガラスを何重かに巻き付け
芯棒を抜く方法(遠山・土屋1999)

円形の窪みに軟化したガラスを押し付け
軸を差し込み上面を押圧成形後芯棒を抜く
加熱貫入法(大賀2002)


ガラス製品またはガラス塊を再加工した製品と考えられている

日本では弥生・古墳時代には 素材の調合からのガラス生産は行われておらず
未加工または加工済みのガラスを素材として再加工した例のみが確認されている

報告例
「ガラス素材を再加工しているBH?型」
西早稲田三丁目/東の上遺跡/武田先端知ビル


成分組成
測定したものは全て
東アジアから南アジアにかけて流通したカリガラス
(「アジアのガラス」と呼ばれる)
着色成分は 濃青のものはマンガン鉱物
淡青のものは銅


大賀氏による分類
・側面形が算盤玉形は 加熱貫入法とされるBH I型
・その他は紺色透明/濃青緑透明/淡青色透明のカリガラスで引き伸ばし法であるBD?型


BD?型は弥生時代前期から古墳時代後期までの最も長い期間流通し 中でも淡青色透明のものは古墳時代前期末で途絶えており その生産地や流通経路が異なる可能性が示唆されている

BH?型の出土例は少なく 弥生終末期から古墳時代初頭

…側面が算盤玉形のガラス小玉でも、成分組成がAlを多く含むアルカリ石灰ガラスのものはBH?型とされている。成分分析されている例は少ないが、製作工程にも若干の差がみられるためBH?型と区別され、いずれも古墳時代前期後葉から末に集中している。BH?・BH?型の消長は、弥生時代末から古墳時代初頭にBH?型が出現し一旦途絶えた後、古墳時代前期後葉にBH?型が現れ古墳時代中期に途絶する(大賀2002、遠山・土屋1999)。

青色系のカリガラスの分布は、北九州を中心とする地域では淡青色:濃青色=1:1、畿内から東日本にかけては淡青色:濃青色=4:1とされている(大賀2002)。

本地点出土のガラス小玉は、BH?型を含んでいること、また淡青色と濃青色の比率が淡青色:濃青色=1:11であることなどから、BH?型が現れ、淡青色のものが衰退期に入る弥生時代終末期から古墳時代初頭の様相を呈していると考えられる。…


属性を明らかにするために
化学組成の分析 考古学的な観察

最近は 水洗選別も導入し
見落とされてきた微細遺物を採取

資料の増加も見込まれている

…化学組成の分析は費用及び時間的制約を受けることが多いが、製作技法の観察は特別な機器を必要としない。今回は気泡の観察のため、実体顕微鏡での撮影を行なったが、高解像度のデジタルカメラで撮影した写真でも内部の気泡は十分観察できた。…

…本報告を行うにあたり、原子力研究総合センタータンデム加速器研究部門、小寺智津子氏、斉藤あや氏、浜田晋介氏にご指導、ご協力を賜った。記して感謝の意を表したい。…





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