借り入れを行った金融機関は、母親が亡くなった際には相続を放棄すれば、連帯保証人も放棄できるというような話だったそうです。
ビルとその敷地には抵当権がついており、ご相談者が相続を放棄し、お兄さんが債務と不動産を相続した場合、ご相談者には関係なくなるので、金融機関も「連帯保証人を外してもいい」と考えているだけかもしれません。金融機関の実務の中では、連帯保証人の地位までも免除するとは考えにくいのが一般的です。
お兄さんが債務の返済が滞ったり、支払えなくなったりした場合、連帯保証人であるご相談者の責任が表面化します。不動産価格が残債務以上であれば不動産を売却して返済すれば済みますが、価格が下回れば連帯保証人として返済を求められます。
まずは手始めに、土地・建物の評価額や売却できそうな市場価格、残債務額を把握しておくと安心できます。土地・建物の評価額は固定資産税評価額や路線価を基に算出できます。
また、売却できそうな市場価格の査定を不動産に強い独立系FPに依頼するのもいいでしょう。売却するわけではないのですから、不動産会社に査定を依頼するのは得策ではありません。
ご相談者にもしものことがあった時のために…娘に連帯保証人を引き継がせたくないそうです。娘さんが相続放棄を行えば済みますが、そうなると居住中の自宅の土地・建物の相続まで放棄することになり、娘さんが住む場所がなくなってしまうのを心配しています。
ご相談者が住んでいる不動産を娘さんに贈与という方法も考えられますが、贈与税は相続税に比べて割高です。できれば相続まで待つのが理想です。土地・建物の評価が2,500万円までであれば、相続時精算課税制度を活用する方法もあります。
2,500万円までであれば、贈与税は掛からず、同額を超えた部分については一律20%の贈与税を納付する制度があります。その後に贈与者の相続が発生した際には、贈与財産の価額を課税価格に上乗せして相続税額を計算することになります。納付済みの贈与税があれば、相当額は控除となります。
ただ、相続時精算課税制度を1度選択すると、暦年贈与に戻ることができず、110万円の基礎控除を受けられなくなります。同制度を受けた贈与財産は物納できません。
それと相続時に贈与財産の価額が値下がりしていた場合、同制度の適用時の価額に相続時の財産価額が固定されるので、値下がりしやすい物件の場合は、相続税が割高になる傾向にあります。さらに小規模宅地等の特例措置も受けられません。
娘さんへの相続財産が居住中の土地・家屋で、現金・預金はそんなにないということであれば、お勧めできる制度ですが、複合的な財産が相続時に存在するというのであれば、税務署に事前に相談してみるのもいいでしょう。
税務署は懇切丁寧にいろいろ教えてくれますが、ベストアンサーがどれなのかまでは教えてくれません。説明を受けて自分でベストアンサーを見つけることができる方には、税務署は最も相談しやすい場所です。自分で決められないのであれば、当事務所がご紹介します税理士へのご相談をお勧めします。
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なかなかシビアな相談です。当事務所が最終的な専門家として相談するところを推薦してしまうのは、税務署になってしまいます。
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