第1話「冥福を祈る」 |
[祈りのカタログ・完全版] |
2018年8月21日 19時0分の記事 |
祈りのカタログ・完全版 第1話「冥福を祈る」 最近、「本を書いてみたい」と思っていると、ある人から、 「祈りに関する本とか良いと思う」とアイディアをいただいたので、 「祈りのカタログ」と言うタイトルにして……思うことなど、書いてみることにしました。 さて、最初は「冥福の祈り方」について書くことにします。 よく聞く「冥福」とは……辞書によると、 「亡くなった方の、死後の幸福を祈ること」だそうです。 時々、「ご冥福を、お祈りします」と言うセリフを……耳にすることがあります。 その時、「どう、冥福を祈れば良いの?」と思う方も……あるかと思います。 子供の頃に、そのような場面に遭遇した時……ただ、黙って下を向き、時間が過ぎるのを待っていたものです。 とても退屈な時間でした。 「大人は、どうやって、祈っているのだろう?」とか、 「何に、祈っているのだろう?」と、子供ながらに、疑問に思っていたものです。 しかし、誰に聞いても、適切に答えてくれませんでした……と言うより、祖母以外の答えられる大人に、一度も出会ったことがなかったのです。 多くの宗教団体を渡り歩いて修行していた頃……出会った偉い霊能者の先生達も、誰ひとり、納得の行く答えをくれはしません。 もっとも、その頃、私は彼らに恐れられていました。 多くの霊能者の先生達は、私を見るなり、 「人ではないモノから、知識を得ているから恐ろしい」と言っては、時として、遠ざけられたりしたのです。 若い頃の思い出は、さておき、この「冥福を……」と言われる「祈り」は……「ハヤチカゼ」と言う神に対して祈ることを、基本としています。 この神は、虹の上を駈ける神です。 馬のような姿の神として、描かれることが多く、 「死者の魂を、死後の世界に導く」と、されています。 この神に、 「ハヤチカゼの神、とりなし給え」と、心の中で、三回つぶやいて祈るのです。 声を出して祈っても良いですが……普通の人が、つまり霊的な力や技法を持たない人が……声に出して祈っても、効力は少ないです。 出来る限り集中して、声を出さずに祈って下さい。 この「冥福の祈り」と言うのは、亡くなった方の「冥土での福を祈る」ことですので……もしかすると、 「閻魔様、なにとぞ、よろしくお願い致します」でも、良い訳かも知れません。 ですが、閻魔様の前では……すでに地獄は目前ですので、福が来る確率は低くなります。 時々、閻魔様は、人の世に姿を見せて……この時は、それと知られないように、世を忍ぶ仮の姿で……まるで、遠山の金さんのように、フレンドリーに現世を歩いています。 人の世を、人のふりして歩くのですから……誰にも、閻魔様だとは分かりません。 また、時として「地蔵菩薩」の姿をして……ほんの気まぐれに、子供達を守ったりもします。 しっかし……「化け地蔵」とか言われたりして……口から火を吹いたり、長い舌を出したりして、おどけることも多いのです。 私は、そんな閻魔様のことを、 「閻魔様は、なかなか、お茶目なのかなぁ」と、しばしば思います。 私の場合に限って言えば……祖先が、閻魔様に仕えていたこともあり……夢の中で、時々、閻魔様に出会います。 もしかすると、これは播磨陰陽師の特徴……なのかも知れませんが……他の陰陽師の人に聞いたことがないので、分かりません。 もちろん「現実世界で、閻魔様に会ったことはない」と思いますが……なにせ、人のふりして、歩いているので……もしか出会っていたとしても、分かりません。 もし、出会っていることを知ったとしたら、即座に「黙祷」するでしょう。 この「もくとう」と言う行為も、祈りのひとつです。 なぜ、黙祷するのか……と、言うと……なにせ、最初の死人《しびと》ですから……。 この黙祷は……毎年、甲子園で「黙祷」……続いてサイレン……とか行われています。 この言葉は、室町時代あたりの書物に、 「南無と黙祷して、甲板より飛ぶ」と言う表現が出て来ます。 これは「心の中で、南無と唱えながら、覚悟して、海に飛び込んだ……」と言う意味です。 この「南無」は、「南無阿弥陀仏と唱えた」と言う意味ではなく、「南無三」と唱えたようです。 「南無三」は、「南無三宝」の略で……驚いたり、失敗したり、何かを覚悟する時に、唱える言葉です。 南無三について、辞書を引くと、 「南無三……失敗した時に、成功を祈る為に唱える言葉」と書いてあります。 つまり、黙祷の中で唱えるのは、「祈りの言葉」なのです。 もともとの「南無三」の正しい意味は、 「仏法僧の三宝に帰依すること」ですが……それは、それ、仏教用語のことで……普通の人は、この言葉を「覚悟の意味」で使っていました。 やがて、「覚悟」が変化して行き、「南無阿弥陀仏」になって……その南無阿弥陀仏もなくなって、いつの間にか、無言で頭を下げるような形式の「祈り」に変化して行ったのです。 第2話「黙祷と呼ぶ祈り」に続く。 祈りのカタログ・完全版 [もくじ]▶︎次の話 |
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