第9話「父方の祖父の思い出」 | |
[播磨陰陽師の独り言] | |
2018年10月15日 19時0分の記事 | |
播磨陰陽師の独り言 第9話「父方の祖父の思い出」 父方の祖父の思い出は、あまりありません。 この老人は、母方の祖父とは……まるで正反対で……かなり嫌な性格の老人でした。 彼は、若い時から遊び人で……家族のことはかえりみず、いつも鼻を赤くして、酔っ払って歩いていました。 ある時……私が中学生ぐらいの頃だったかなぁ……酔っ払って金の無心にやって来ていました。 その時、玄関に出た私に、 「あんた、俺の孫かい?」と妙なことを言ったのです。 それまで、ただの一度も、会ったことが無かった訳ではありません。 完全に、孫である私のことを忘れていた訳です。 この老人は、若い頃に、サラブレッドを何頭も、乗り回していたそうです。 彼の若い頃の話ですので、一頭は、かなりの高級車並の値段です。 遊びまくって、父親の財産を、ほとんど使い果たしたそうです。 最後には……酔っ払っていたことが、原因かどうかは分かりませんが……経営していた工場を火事で焼失し、一文無しになったそうです。 不幸な出来事は、因果応報だと思います。 この老人が、まともな人生さえ歩いていてくれたら、 「父も、あんなに苦労しなかったのになぁ」と、常々、思って見ていました。 私は、酒を飲みません。 父も、もちろん、酒を飲まないのですが……これは、この哀れな老人のことを、ふと、思い出すからでもあります。 私の場合は……酒が、雑巾の臭いと同じと言うトラウマもあります。 神社の掃除では、使うバケツの水を清める為、酒を入れるのです。 バケツの中は、ぬるま湯ですので、ほのかに酒が香ります。 そして、雑巾が、そのバケツの中で絞られる訳ですが……掃除の間、ずっと酒の匂いがします。 やがて、それは、汚れた雑巾の臭いと一緒になって……あの老人の記憶が蘇り……何とも言えない気分を、生み出して行くのです。 そのこともあって、『酒飲み』で……特に、酒で身をもち崩す人間のことを、 「雑巾の臭いがする、鼻持ちならない老人」と、思ってしまいます。 本人には無関係なことは、分かっているのですが……そう言う人間のことが、心底、嫌いなのです。 播磨陰陽師の独り言 前回の話◀︎[もくじ]▶︎次の話
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