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第二十三話 「ふたり分の記憶」(近世百物語) |
2009年6月16日 14時0分の記事 |
◎近世百物語・完全版 第二十三話 「ふたり分の記憶」 年令も、名前も私と同じ従兄弟《いとこ》の存在を知ったのは……彼が死んで、一年くらいたってからのことでした。 それはまだ、私が七才くらいの時のことで……会ったこともない同じ名前の従兄弟は、すでに交通事故で死んでいました。 彼は見知らぬ土地にいて……しかも即死であったようです。 彼の存在を知ったのは、祖母の家の仏壇の前でした。 その日、祖母がそっと教えてくれた従兄弟の命日に、仏壇の前で手を合わしました。 なにか訳ありの……いわくありげな雰囲気の中で、線香に火が点されました。 ……と、その線香の煙が、私の体のまわりを這うように螺旋を描き、頭の方に登ってきました。 何だか分からない内に、煙が頭の回りに集まり……そして、ゆっくりと消えて行きました。 その時から……私の心の中に、その従兄弟が住むようになりました。 彼の幼い頃の記憶と、私の幼い頃の記憶が一緒になって……会ったことのないハズの彼の姉のことや、両親のこと、住んでいた家の近所のことや様々な思い出を、明確に記憶してます。 自分の記憶と区別がつかないほど明確で鮮明な記憶が……心の中に一度に入って来て、元々あった自分の人格と、ひとつになってしまったような気がしました。 つづきをご購入いただけます(200円) 購入方法はこちら ※不思議なお話はここまでです。ここから先はふたり分の記憶にまつわるお話です。 |
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[カテゴリ:近世百物語・完全版] |
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