その夢の中で、私は子供の頃に戻っていて、雲の上で遊んでいました。お風呂に入った後のように……体がずぶ濡れになっていたので……タオルのような物で、体を拭いていました。私の近くに……子供の私と遊んでくれている老人がいました。
「ここから下に落ちたら、さすがのおいらも危ないなぁ。」と言うと、
「なぁに、ばかなこと、ほざいてるんじゃ。」と言って笑っていました。
その夢の中で私は、自分が5〜6歳の頃だと思いました。下を見ると大きな川が見えました。その川は記憶に残っています。
私が子供の頃に、溺れて死にかけた川です。
それで、
「ああ、あの時の記憶の中にいるのだな。」と思いました。
でも、すぐに子供のような無邪気な心に戻りました。
しばらく、その老人に遊んでもらっていると、
「じじぃ、ふだんはどんな仕事を、してるんだい?」と聞きました。
すると、
「そうさなぁ……勤め人みたいなもんじゃ。」と答えてくれました。
少し不思議に思い、
「勤め人って、どんな会社へ行くんだい?」と聞くと、その老人は下の川の近くを指差して、
「あそこに、ちいさな祠《ほこら》が見えるじゃろう。誰かが、あそこに祈ったら、ご出勤じゃ……暗くなるまで、日がな一日、おめぇのような川で溺れる子供を助けるんじゃ。」と言いました。
「川で溺れた……?」と、首を傾げると、
「良く下を見なよ……あそこに倒れて大人に囲まれているのは、おめぇじゃろ。」と言われました。
「えっ。」と言って、下を見ると、そこに子供姿の私が倒れています。
川で溺れて、岸に上げられた所のようです。
←文中ですが…応援してね♪(管理人) そして、誰か大人が、祠に向かって祈り始めました。
すると、
「最近は、祈る者もめっきり少なくなったがのぉ……さて、出勤するとしょうかい。」と言って、私を抱きかかえました。
そして、
「おめぇもそろそろ、自分の体に帰んな、もう川で溺れるんじゃねぇぞ。でも、また、この川に流れて来たら……誰かに祈ってもらいな、また、助けてやっからよぉ。」と言って笑いました。
すると、私を抱きかかえたまま、下へ降りて行きました。
雲から降りて、下の川へ行く途中、耳もとで……老人が何かをつぶやきました。
ふと、気がつくと……私はその夢の中で目を覚ましました。まわりにたくさんの大人達がいて、
「良かった、助かったぞ……。」と叫んでいました。
何がおきたのか、混乱していて、少し頭がぼーっとしていました。
どうやら、川岸で、ずぶ濡れになって気を失っていたようです。
「一時は心臓が止まっていたから、もうダメかと思ったよ。良かったな……。」と大人に言われました。
「死んでいたのか?」と、驚きました。
そして、祠の方に目をやると、祠の上にさっきの老人が……半透明の状態で座っています。その老人は……私の方に手を振りながら、姿がぼんやりとして、やがて見えなくなりました。
その時、耳もとで老人がつぶやいた言葉を、思い出しました。
「おめぇも、大人になったら誰かの為に祈んな……オレも、おめぇのじじぃに、ここに奉ってもらうまで……ただのドザエモンじゃったが……あの頃は、毎日が繰り返しで、川でずっと苦しんでおった。奉ってもらって救われたよ。だから、どんな子でも、この川で溺れる子を助けるんじゃ。今日は、おめぇを助けられて良かったよ……おめぇのじじぃに、宜しく伝えといてくれ。」と……。
この夢は、ここで目が覚めました。
←たびたび文中ですが…応援ありがとうございます♪(管理人) 子供の頃に川で溺れて死にかけたことは……ずっと、トラウマになっていたので……溺れた直後から、その記憶を思い出すことが出来ませんでした。
「その時、何があったのか、まったく覚えていない。」と思っていましたが、最近トラウマになっていることや、微かな記憶の断片が残っていることに気づいていました。
この夢は、その記憶を完全に蘇らせてくれました。この夢に見たとおりの不思議な出来事を、私は過去に体験していました。その時は、曽祖父に伝えようと思っても……記憶そのものがなかったので……そのことを伝えてはいません。
曽祖父は、それから数年して亡くなりました。彼は百歳を超えていたのですが……いくつなのか、本人も知らなかったようです。と言うのは、彼は、まだ、戸籍がきちんとしていない時代の生まれです。
「徳川時代の最後の頃の生まれだ。」と、聞いています。しかし、それが西暦の何年なのかを誰も知りませんでしたし……本人も、和暦で言っていたので、西暦では答えられませんでした。その和暦にしても、戦争が終わって……大人達が古い日本の文化に興味がなかった頃のことでしたので……誰も正確に覚えていませんでした。曽祖父と言っていますが、実際は、祖母の祖父です。
そして、その曽祖父がまだ若かった頃、
「あの川は溺れる死ぬ人が多かったので……じぃさんが死んだ人々を奉って、溺れる人が少なくなったことがある。」と、祖母が言っていました。
思えば、あの時、言われた、
「おめぇも、大人になったら誰かの為に祈んな……。」と言う言葉だけが……ずっと私の記憶の中にあったので、今の自分があるのかも知れません。雁多記す。
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