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第七十五話「真冬の怪」(近世百物語)
2009年8月7日 14時0分の記事
 
◎近世百物語・完全版
 第七十五話「真冬の怪」



 暑い暑い、真夏だと言うのに……ここらで、少し涼しげな、真冬の怪の思い出を、少し書いてみようかと……ちょっと思いました。

 北の大地は、冬になると、厳しい吹雪《ふぶき》になります。
 「雪女」と呼ばれる幽霊は、東北のものですので……蝦夷《えぞ》の土地には、いないと思います。
 しかし、雪の中では、時々、不可思議な現象にみまわれます。

 真冬に、吹雪になると……もう、自分の手を伸ばしたところが、見えなくなります。
 目は、当然、開けられません。
 耳も、風のひゅーひゅー言う音ばかり、聞こえると思いますが……私が中学生くらいの時、吹雪で避難していると、突然、音が聞こえなくなりました。
 顔には、吹雪の雪や風が、どんどん当たって来るので、
 「耳が、おかしくなったのかな?」と思いました。
 耳は、とても冷えて……もう、ちぎれそうに痛くなっています。
 その中で、音が聞こえなくなってたとしても……それは、不思議でも、何でもありません。
 しかし、その時……遠くから、女の人の声が聞こえたのです。
 無音に近い世界の中で……その女の人の声だけが、響いています。


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はじめまして、播磨陰陽師の尾畑雁多《おばた・かりんど》です。

 陰陽師には京都系統の「都《みやこ》陰陽師」と、播磨の国の「播磨陰陽師」の二種類の系統があります。  播磨陰陽師は、応仁の乱の時に京の都から播磨に戻った陰陽師達の子孫のことですが、播磨の国はもともとの陰陽師達のふるさとでした。

 播磨陰陽師には、夢に関してや、武術のことなど様々な伝承を持ちますが、今回はその中から「不幸のすべて」に関するお話と私が体験した不思議な体験「近世百物語」をお届けさせていただいております。



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