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第七十七話「話しかけて来るモノ」(近世百物語)
2009年8月9日 14時0分の記事
 
◎近世百物語・完全版
 第七十七話「話しかけて来るモノ」



 ある時、「無言の行」の最中のことです。
 朝になって、
 「おはよう。」と言われたので、あわてて、起き出して、
 「おはようございます。」と、挨拶しました。 
 眠い目を擦りながら、開くと……そこには、誰もいませんでした。
 時々、神道系の修行の為に、山に籠《こも》りますが……これは、その山で体験したことです。
 無言の行は、三日三晩、言葉を使わない行です。
 基本的には、言葉の穢《けが》れを祓うのですが……この時は、必ず罠《わな》が掛かるようです。
 このように、思いがけない場所で、時々、話し掛けて来るモノがいます。


 また、ある時は、京都の大きな神社の境内を……夜中に、友人と歩いていました。
 そこで、その友人が、
 「以前、このあたりに、小さな祠《ほこら》があって、そこを通ると、女の笑い声がすることがあったそうだ……。」と言いました。
 ですので、
 「どのあたりのこと?」と尋ねると、
 「ああ、ちょうど、あの暗闇のあたりで……。」と、そこを指差した瞬間、そのあたりから、女の笑い声が響きました。
 そのまま、友人は、真っ青になって、ひとりで走り出したのです。
 私は……ただ、幽霊が笑っているだけのように感じたので……その場で、祓ってしまいました。

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はじめまして、播磨陰陽師の尾畑雁多《おばた・かりんど》です。

 陰陽師には京都系統の「都《みやこ》陰陽師」と、播磨の国の「播磨陰陽師」の二種類の系統があります。  播磨陰陽師は、応仁の乱の時に京の都から播磨に戻った陰陽師達の子孫のことですが、播磨の国はもともとの陰陽師達のふるさとでした。

 播磨陰陽師には、夢に関してや、武術のことなど様々な伝承を持ちますが、今回はその中から「不幸のすべて」に関するお話と私が体験した不思議な体験「近世百物語」をお届けさせていただいております。



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