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第八十五話「奇妙な音の正体は?」 (近世百物語) |
2009年8月18日 14時0分の記事 |
◎近世百物語・完全版 第八十五話「奇妙な音の正体は?」 とんとん……と、壁をたたく音が、深夜の室内に響いたのは……墓場の近くに住んでいた頃のことです。 その頃は、お盆が近くなると……時々、壁をたたくような音が、深夜に響くことがありました。 壁に耳をつけて、聞いてみると……それは、壁をたたくと言うより、引っかいているように聞こえました。 そして、時々、引っかく音にまじって……押し殺したような、すすり泣く声が……かすかに、聞こえていたのです。 私の住んでいた部屋の隣は、ずっと空室になっていました。 ある時、両親が田舎から遊びに来ていて、私の部屋に泊まったことがありました。真夜中に……母が、突然、目を覚まして、 「壁をたたくのは、誰?」と尋ねました。 私は、 「誰でも、ないよ。ただ、お盆が近いだけさ……。」と言って、ベランダに出ました。 母も、ついて来たので……身を乗り出して、隣の部屋の室内を、懐中電灯で照らしました。 すると、隣は、確かに空家です。ただ、がらんとしていて、何もありません。誰かがいて、壁をたたけるような状況でも、無いのです。 その日は、それで終わりました。しかし、両親が帰った次の日の真夜中は……壁を、とんとん……どころか、がんがん、たたき続けるのです。 とても、うるさいので……共用の廊下に出てみました。 すると、そこは……シンしとして、静まり返っています。部屋の戸をあけて、半分、頭を突っ込むと……まだ、部屋の中だけに、あの音が響いています。 「なんだ、ここだけに聞こえるのか?」と思い、部屋の中に帰りました。 つづきをご購入いただけます(200円) 購入方法はこちら |
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[カテゴリ:近世百物語・完全版] |
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