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第九十一話「悪霊の壷」(近世百物語) |
2009年8月24日 14時0分の記事 |
◎近世百物語・完全版 第九十一話「悪霊の壷」 私は「奪衣婆《だつえば》の壷《つぼ》」と呼ばれる霊器を、持っています。 これは……悪霊を、入れて置く為の壷です。 悪霊を入れて置く霊器は……それが、どのような形だとしても……全体的に「奪衣婆の壷」と呼ばれています。 ……ですので、私は……自分の持っている壷を、そう呼んでいます。 しかし、私の持っている壷の彫刻は……奪衣婆と言うより「懸衣翁《けんえおう》」のようです。 それの表面にあるのは、おばぁさんの彫刻では無く……長いヒゲのはえた、おじぃさんの彫刻なのです。 奪衣婆《だつえば》のことは、辞書に、 「三途の川の畔《ほとり》にいて,死者の衣を奪いとる鬼女。衣領樹《えりょうじゅ》の下で待ち、死者の衣をはぎとって懸衣翁《けんえおう》に渡すと、懸衣翁がこれを衣領樹にかけ、枝のしなり具合で罪の軽重を定めると言う。」と、書いてあります。 この老婆は、三途の川の住人です。 懸衣翁《けんえおう》は……その老婆から、死者の衣をもらう老人です。 いづれにしても貧相で……まるで厄病神か、貧乏神のような雰囲気があります。 この霊器は、私の七つ道具のひとつです。 もともと……江戸時代の印籠《いんろう》を、中国でコピーした物のようで……ちょっと、雰囲気の違う、般若《はんにゃ》の根付けがついていました。 彫刻された形が正確ではない以外……ワリと、良く出来ています。 これは、何個目かですが……以前に使っていた物より……ずいぶん、気にいっています。 前まで使っていた物は……どれも、ただの木箱のような、物でしたので……。 さて、これを、どんなことに使うのか……と、言うと……なんでも、かんでも、怪し気な物は、一時的にこの壷の中に格納します。 ある時……祓いと処分を頼まれた、不吉な心霊写真を入れて……家に、持ち帰ったことがありました。 写真自体は、それほど不気味では、ありませんでしたが……その写真を撮ってからと言うもの、 「撮影者の近くで、不吉なことばかりが起きる……。」と言う、いわく付きの物でした。 その手の物は、直接、カバンに入れて持ち帰るワケにも、行かないので……必ず、容器が必要になります。 つづきをご購入いただけます(200円) 購入方法はこちら |
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[カテゴリ:近世百物語・完全版] |
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