藤巻一保氏の著書 2

くる天

最近の記事

04/15 21:13 清戸道にて
03/30 08:38 つまみ簪
03/11 14:52 歯ごたえ
03/04 15:03 屯倉・名代など
01/27 15:08 境地とは
01/11 15:11 植線
01/02 18:43 家紋
12/26 15:19 ぐじ
12/16 13:26 認識
12/11 21:53 古代紫

フリースペース

注:文中の「？」は、疑問符を表す場合と、ローマ数字が反映されていないケース(携帯電話からの送付分)による表れがあります。

*　*　*　*　*　

2021.9.12

RSS

プロフィール

ka-on さん

和音

ポップアップリンク

ブログ内検索

藤巻一保氏の著書 2

2014年4月22日 16時47分の記事

（『真言立川流』より）

「この身は本来、蓮となんら変わるところのない清浄な仏なんだ、仏性を宿しているんだ、菩薩位なんだ」と思うことで

仁寛は「かろうじて自我崩壊の危機から身を守った」　のかもしれない

「蓮は両部合一の象徴」であり

「仁寛が学んできた世界全体の縮図にもなる」

「真言流の観音思想」

～如意輪観音の右第一の思惟手（しゆいしゅ）は、これ即ち聖観音也。無垢三昧を修し、能（よ）地獄受苦の衆生を救う。第二の如意宝珠は、これ即ち千手観音。心楽三昧を修し、宝を雨（あめふら）せ、能く餓鬼道の飢饉苦を救う。第三の念珠手は馬頭観音なり。不退三昧を修し、能く畜生道鞭撻苦を度す。左第一の光明山手は、これ十一面観音。歓喜（かんぎ）三昧を修し、能く阿修羅の闘諍苦（とうじょうく）を度す。第二の蓮華手は、これ即ち準胝観音なり。日光等四種三昧を修し、人道を教化（きょうけ）す。第三の金剛手はこれ即ち如意輪観音なり。不動三昧等十七種三昧を修し、能く天道を破すこと有るなり。～

「これは浄土宗の観音ではなく、真言流の六観音説、中でも三宝院流の説」

六観音はすべて蓮を手にする

「蓮こそが観音の救済の象徴」

「蓮は、醍醐教学の根本である本来清浄の本有仏性の象徴でもある。さらにいえば、こうした真言六観音思想が盛行したのは、まさに院政開始のころから以降＿＿つまり、この勝覚・仁寛が活動した白河院時代のことなんだよ」

中世にあって　仁寛の「怨霊話」が残されていないのは
「怨念や自責からの自殺ではない」かもしれない　と

「蓮は、仁寛にとっては、絶望に瀕した魂の救いの象徴だった。と同時に阿闍梨としての自負のより所でもあった。」

「自分が身につけた密教眼目の即身成仏義と本有思想を弟子に伝えることで、仁寛は自らの絶望的な立場をなんとか止揚しようとしたというのが、わしの考えだ。蓮を念じるのは、永遠の母を念じることだろう。心が弱りきった仁寛が欲していたのは、大悲の母だったとわしは思う。

　ただし彼は、ついにおのれの絶望を乗り越えることができなかった。だからこそ彼は、母の懐に帰る道を選んだ。あの世に往くことを、母の国に帰るというのは、世界中、共通の神話表現だ。それが投岩自殺だったんだろうな。わしにはそう思えてならない。」

「血脈」

それ以降の展開は謎につつまれたような・・

「ただ、守山先生は、仁寛の付法の弟子の見蓮が立川流の説を背負って高野山に登り、自証房覚印に法を授けたのではないかと推測しておる。このへんはゴチャゴチャするだけだから、ザッと流すぞ。下野（しもつけ）阿闍梨・覚印は、澄鑁（ちょうばん）に立川流を伝え、澄鑁が覚明（かくみょう）に、覚明が道範（どうはん）・真弁（しんべん）・桜池院慧深（ようちいんえじん）に伝法した。こうして立川流は、真言密教の総本山である高野山でひそかに伝えられたのではないかというのが守山説だ。」

関東に広まったという　「別の血脈」

「仁寛からどう伝わったかまではわかっていないが、武蔵金沢の称名寺（しょうみょうじ）には、開山の審海（しんかい）（十三世紀）が下野薬師寺長老の慈猛（じみょう）から受法したという立川流印信（いんじん）が中古そのままで現存しているという。その相承次第は、山城国松尾の法華山寺の松尾浄月（じょうげつ）上人（勝月房）から下野薬師寺の密厳（みつごん）上人（空阿）、密厳上人から同寺長老の慈猛、慈猛から劒阿（けんあ）（1260年生まれ）という流れだ。ただしこの系譜には、“邪教立川流”の眼目である男女陰陽・赤白二渧（しゃくびゃくにたい）の思想はまったく認められないと、櫛田先生が書いている。まっとうな本有思想の系譜ということだ」

「ただし、称名寺には、これらとは系譜を異にする立川流の印信も伝わっていて、そちらは明らかに邪流に属しているんだよ。その印信は、1275（建治元）年、伝灯大法師位・了印（りょういん）と名のる僧が、“女仏（にょぶつ）”と名のる弟子に授けたものだ」

「立川流の《舎利灌頂》」を授けた　とのこと

その「舎利」の「根本部分」

～口伝（くでん）にこう述べられている。「・・・・・二大とは、（釈迦の父である）浄飯王（じょうぼんのう）と、（母である）摩耶夫人（まやぶにん）が和合するところの赤白二渧から成った身骨（しんこつ）である。これを釈迦の身骨と云う。この釈迦の身骨とは、即ち自性身（じしょうしん）（真実不変の身体＝法身（ほっしん））の身骨である、云々」。この口伝の意義を悟るには、大日如来を観じるときに、自分の身骨は即ち大日の身骨であると観じて舎利法を行じるのである。その行のことを、舎利法というのである。これはひとえに釈迦のいう簡略な行の意である。すなわち、出生の息が深く舎利に入り、大日如来の舎利を持すと観行することを、真実の舎利法というのである。～

「何やら偉そうに記してあるが、要するに仏の身骨も浄飯王と摩耶夫人の赤白二渧の和合の結果の産物なんだから、われわれの身骨だって、本来的には真実不変の法身と同じものなんだといっているわけだ。それを会得するために、わが身骨はすなわち大日如来の身骨と観じなさいというんだよ。この印信には、秘中の秘として、二つの種字も伝えられているが、一方が如意宝珠、もう一方が骨舎利だとしてあるんだ」

「如意宝珠と舎利とくれば、霊狐じゃないですか！」

「そこよ。この教えの中には、どこにも吒枳尼などの霊狐は関係しないといってもいい。たんに我らが本有の身で、男女和合・赤白二渧の秘義の中に、釈迦・大日の教えの真髄があるということをいっているだけだ。しかし、それは象牙の塔のような大寺の中に潜む学僧の理屈であって、地べたで活動している真言師や民衆の想像力は、より過激でストレートだったということだろうな。立川流の語彙の中に、霊狐とつながるものが現にあること、立川流の男女和合と端的な女陰信仰が、女神信仰という形で噴出していたこの時代の霊狐信仰と合致したことなどが、例の『受法用心集』にみられるような世界へと立川流の“一部”を運んでいったということさ」

「思想がエスカレートすると異端に」

「本来、仏と同じだから、煩悩即菩提だというくらいはまだいいが、男女和合が即身成仏の秘義だといわれれば、積極的に女犯肉食することが、成仏に直結するという発想になる」

「《善人なおもて往生す。いんや悪人をや》という親鸞の教えを曲解すれば、悪人でいっこうにかまわぬという発想になる。さらに進めば、悪いほど成仏に近づくと考えてしまう。それと同じで、煩悩即菩提なら、煩悩に耽ることになんのためらいがいるかとなる。それどころか、より深く煩悩の淵に沈みこむことで、より悟りが近づくという曲解まで生まれてくる」

「男女を両部大日に見立てて寄り合い、不浄な行を即密教の秘事修行だと習い伝える・・・」というような批判が

13世紀末の『沙石集（しゃせきしゅう）』に出てくるそうです

「立川流」の「髑髏本尊や吒枳尼法」と「教相・事相」は　
何らかの理由で結びついた　とのこと

【PR】Licom高画質ライブ配信・通話システム

このブログへのチップ 0pts. [チップとは]

[このブログのチップを見る]
[チップをあげる]

このブログの評価
評価はまだありません。

[このブログの評価を見る]
[この記事を評価する]

◆この記事へのコメント
コメントはありません。