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固化の機巧 など
 
2017年1月21日 17時53分の記事



画像:18朝(春日通り・・というのは どこまでを言うのでしょう)

....................
(中谷宇吉郎紀行集)

スイスでは アルプスの山間の道路除雪に必要な除雪機が発達していて 雪を10メートル以上高く吹きとばせるもの(ピーター会社)がある 266

その除雪機で吹きとばして積もらせた雪の性質は 2、3日たつと非常に堅くしまり 立派な屋根になる

グリーンランドのように気温が零下10度以下だと 雪はサラサラして 圧縮しただけでは固まらない(砂を圧するのと同じ)

南極の奥地でも同様で 雪氷工学の課題の一つ
簡単に雪を固めることができれば
現地の材料 雪でコンクリートができることになる
極地では とける心配がないため 便利

ピーター除雪機でつもらせた雪は、この目的にかなり添っている。たぶん、雪の粒子が破壊されて、新しい氷の面ができ、それがたがいに接触すると、氷の橋(ボンド)がかかって、固化するのであろう。

その「固化の機巧」は 「研究に値する重要問題」 267

その除雪機は 雪の上を自分で動くようになっている 268



粉雪を固める研究 より

  雪の性質をきめる要素はたくさんあるが、そのうちではっきり測定のできるものは、比重だけである。
  これは氷の量と空気の量との比をしめすもので、話は簡単である。一ばん問題になるのは、雪の構成要素である氷の粒子間のくっつき方である。この粒子間にかかっている「橋」の数と太さと強さとによって、雪の物理的性質がきまる。粉雪が固化するというのは、葉の数と太さとが増すことであって、それが堅くなるというのは、橋が丈夫になることと一応解釈してよい。
  まず橋の数と太さとであるが、それらが増すと、雪の弾性率がふえるはずである。それで弾性の測定が雪の物理的性質をきめる一つの目安となる。もちろん比重が増すと、氷の粒子がつまるので、粒子間の接触面が多くなり、弾性も増す。昨年の研究では、比重と弾性との関係をしらべたので、いろいろな比重の資料は、氷冠の各深部から採った。すなわち長年月かかって、天然に圧縮された各種の資料について調べたわけである。
  いろいろな程度に天然に圧縮された雪では、比重と弾性とのあいだに、はっきりした関係があって、比重の0.5以上の雪では、比重と弾性率とのあいだに、はっきりした関係があって、比重の0.5以下では、それが指数曲線の形になる。説明をみじかくするために、この関係を、かりに天然曲線と呼ぶことにする。またピーター除雪機で一度吹きとばしてつもらせた雪の方は、ピーター雪(スノー)と名づけておく。
  今年は、各種のピーター雪について、その弾性率をはかり、比重との関係をしらべた。ピーター雪の弾性率は、時間とともに増すので、操作してから2、3日で、かなり固化してしまい、あとは徐々に固化の度がすすんでいく。
  氷冠の表面の雪は、ふつう比重が0.2ないし0.3程度であるが、ピーター除雪機にかけると、比重が増して、0.4ないし0.6くらいになる。新しいピーター雪について、弾性率をはかって、比重との関係をしらべてみると、その曲線よりも、ずっと下になる。
  すなわち同じ比重の雪をくらべてみると、天然に長年月かかって圧縮された方が、固化の度が、ずっと進んでいる。ところがピーター雪は、日数がたつにつれて、弾性率が増していき、だんだんに天然曲線に近づいていく。
  昨年つくったピーター雪が残っていたが、これだとまったく天然曲線と一致する。ふつう、2、3週間もたつと、ほとんど天然曲線に近い値にまでふえる。天然の圧縮では、比重0.5に達するには、約20年かかる。ピーター雪では、この間の変化が2、3週間で起こるのである。ピーター操作は、固化の時間をいちじるしく短縮するとみることができるので、これは非常におもしろい結果である。  271

弾性率の測定には(昨年と同じ)振動法を採用

ピーター雪を 四角の棒に切り出して
それを振動の節のところで支え 共鳴振動を起こさせる
その振動数から弾性率を計算する方法

その方法では 「粒子間の橋をこわさないで弾性を測ることになる」ので 「橋の数と太さとが効いてくる」

  粘性の方は、まだ少し確かではないが、粒子間の橋の強さをしめすものとおもわれる。振動の減衰度から計算するので、完全な弾性体に近ければ減衰度がちいさく、流体的な性質が増せば、はやく減衰する。
 橋の性質によって、減衰の度がちがうことは、じゅうぶん考えられるので、粘性の研究によって、橋の強さを測ることができそうである。しかしこの方は、まだ資料の分析ができていないので、はっきりしたことはいえない。
  研究はまだほんの序の口で、これを完成させるには、ピーター雪の薄片をつくって、粒子間の橋のようすを実際に顕微鏡でしらべ、それと弾性率あるいは粘性との関係をしらべる必要がある。そのために、各種のピーター雪の資料を、大型魔法瓶にいれて、ドライ・アイスを補給しながら、日本までもってきた。 272


(現れた狐 273〜276
狐はまことに、うまいところを、みつけたものである。カン詰の方はちょっと困るだろうが、冷凍の肉はおそらく彼が50年くらい食う分があるであろう。それに外敵はいないし、まさに天国である。たぶん橇列車が道々すてる残こうをさがしながら、はるばる一人旅をしているうちに、この天国へ到達したのであろう。

灰色がかった青狐 人をこわがらない 274

もうすっかり皆となじみになったので、誰かが「一匹では可哀そうだね」などといっているうちに、驚いたことには、ある朝、もう一匹の狐が現れた。 276



(放射性廃棄物の安全な棄て場 276〜278

ところで、こういう氷冠の研究から、最近ひとつ珍しい話がでてきた。それは将来の原子力時代には、氷冠が大切な役わりを演ずることになるであろうという話である。

原子力が、世界的にみて、動力源として使われる時代がきたら、その廃棄物の棄て場が、必要になってくる。

「大洋の深部もよいかもしれない」が
「てっとり速い」のは「氷冠の上に棄てること」

グリーンランドのような 「日本の6倍もある広い地域内に、生物は一匹もいない」

この氷冠のまんなか付近に、放射性の廃棄物をヘリコプターではこんで棄てれば、まもなく氷の中に沈んでしまう。

「一ばん安全な棄て場」
その話は冗談でなく(「この9月中旬に」)「フランスのシャモニイ」で「国際雪氷委員会の氷河シムポジウムが開催されたとき」に でた話

海岸まで流れ出るのに「約10万年かかるだろう」ということになっている 277

10万年が5万年でも 、そのあいだには、放射能はほとんど無くなっている。

「一ばん安全な棄て場」という結論になり
学会として 決議(レゾリューション)を出し

氷冠を放射性廃棄物の棄て場とすることに対して
「国際原子力機関の注意を喚起する」ことになった

北極の氷の下の町に住んで、10万年先きのことを議論していれば、天下は泰平である。 278

『アラスカの氷河』2011 第3刷(2002 第1刷)渡辺興亜 編


解説より
中谷宇吉郎 1900-1962
北海道帝国大学理学部教授時代の1932年から雪の結晶の観測を始め 36年雪結晶を実験室内で作ることに成功


....................
(ああ ここでまた「更新」系か?‥文字無し 17:40)

20からうちこみ

「空中電気の電場で水滴が感応によって帯電する」「雨滴」等等
氏の『雷/昭和32年(第9刷)』  これは あれです 

ほとんど漢字が読めないです  ここ数十年のことが アレです



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