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(地温)コウバイ
 
2017年4月11日 7時46分の記事



図:『マグマの地球科学』P81
macroanomaly.blogspot.jp/2014_10_01_archive.htmlより
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岩石が溶けるために必要な条件

マグマができるような深い場所では 融解には以下の三つの基本的な条件のいずれかが必要

a 岩石に外から熱が加わる場合…そのとき温度が上昇
b 岩石がマントルの中を上昇する場合…そのとき圧力は減少
c 揮発性成分が混入してくる場合…その場合には温度と圧力は変わらない

個々のプロセス

a (マントル中のかなり深い場所)岩石がすでに融解曲線に近づいているような場所で 外部から熱が加われば温度は上昇し地温曲線が融解曲線に近づいてゆく
温度・圧力の条件が融解曲線に達すると 岩石が部分融解を始める

b (岩石がマントルの中を上昇する場合)地球の中でマントルはゆっくりと対流しているということからは 流れによって上に持ち上げられる箇所(湧昇域)と 下にもぐる箇所(沈降域)が生じる

もし、岩石が低い圧力のところまで持ち上げられたら、固体の岩石は溶け始める。岩石が浅いところへ短い時間で移動すると、熱がよそへ逃げる暇がないため温度の高いまま圧力が下がる。この時に融解が始まるのである。ここでも岩石の熱伝導度が小さいことが、大事な条件となっている。

具体的には マントルの岩石が1キロメートル上昇すると そこでの融解曲線は3度下がる
たとえば 摂氏1340度のマントルが持ち上げられると 地下50キロメートルのところで溶け始め

さらに地上に出れば 25パーセントほどが溶けることになる
実際の例としては ホットスポットや中央海嶺で起きているのが それ
それらの地域の地下では そのために大量のマグマが生成されている(減圧融解 decompression melting)

ほんの少し圧力が変わるだけで、地球の中の物質はさまざまに変化するのである。すなわち、すでに融解曲線に近づいていた岩石は、部分的に液体である領域に入ることになる。こうして、熱が外部から与えられなくとも、岩石は部分融解を始めるのだ。これが減圧融解の原理である。

c (外部から揮発性成分が混入してくる場合)水などの何らかの物質の追加によって起きる現象
熱の流入でもなく圧力の変化でもない
熱い岩石が冷たい水によって溶けるという世界

混入する揮発性成分とは、水、二酸化炭素、ハロゲン元素(塩素やフッ素)などの物質である。ころの起源としては、核とマントルの境界など非常に深いところからやってくるものがある。この他に、もともと岩石の中にある揮発性成分をもつ鉱物が、みずから崩壊することによって生じたりもする。

岩石に水が加わるという仕組みには、まだよく分からない点が多い。しかし、玄武岩の溶岩の融解温度は、たった0.1パーセントの水の加入で100度近くも引き下げられる。なお、揮発性成分としては、水だけでなくアルカリ元素(カリウムやナトリウム)でも同様な効果がある。

この画期的とも言える方法によってできたマグマの代表例は、日本列島のような沈み込み帯にある。海洋プレートがマントルの中に深く沈み込んでいった結果、プレートから水などの揮発性成分が絞り出されるのだ。

このとき揮発性成分は、沈み込んだプレートの上部に横たわるマントルの中へじゃぶじゃぶと供給される。これがマントルの岩石の融点を下げて、マグマを作り出すのである。 82


地下深部で最初のマグマだまりができると
地表まで達する途中でポケット状の場所に滞留する

マグマが落ち着くマグマだまり

液体のマグマが袋状にたまっていて 直径3〜5キロメートルほどの大きさ

地上へ移動する時は マグマの源からマグマだまりまで
次にマグマだまりから地上まで というように二段階に分けて上昇する

その現象の鍵を握る 密度 という物理の考え方

(高校物理の復習)
密度とは、物質の単位体積当りの質量をいう。つまり、同じ部屋にどれだけ物がぎっしり詰まっているかどうか、という話である。

マグマの発生源にあるマントルは、カンラン岩という密度の高い岩石からできている。マグマの密度は2.8から2.9であり、カンラン岩の密度(約3.3)と比べてかなり小さい。

密度を示す数字の単位は g/cm³ と表され
1立法センチメートル当たり何グラムあるかという意味をもつ
その密度の差が マグマが上に昇ってゆく原動力を生み出す

カンラン岩と玄武岩と珪酸塩の関係
カンラン岩とはマントルの中にある岩石の名前
玄武岩とは地上に噴き出したマグマの岩石の名前
珪酸塩とはカンラン岩や玄武岩の中に入っている化合物(SiO2と金属)のこと

部分融解が始まると、玄武岩の液体を含んだ固体のマントルは、周囲の固体だけのマントルよりも密度が低くなる。物質の移動は密度が支配していると言ってもよい。そのため、玄武岩の液体と残った鉱物の塊全体に対して、上向きの浮力が働く。

結果 その塊は一体となって マントルの中を上昇し始める
塊全体が上に動くと圧力が下がり 部分融解がさらに進行し軽くなる

こうして固体の塊は、ゆっくりと上昇しつづけると考えられている。 84


(地下の状態が変化してマグマができる条件を表わす図:P89)

地下で 岩石に水が加わった時、融解曲線が変化して、地温曲線と交わることがある。

その交点で 岩石が溶け始める

これは1960年代、岩石学者の久城育夫くしろいくお教授が初めて明らかにした興味深い事実である。日本人が次々と画期的な発見を行ない、世界の火山学をリードするようになったのである。今も日本列島の下で、マグマを作っている現象だ。
90 『マグマの地球科学』

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地温勾配  geothermal gradient
地下深度に対する温度上昇率のこと。地下増温率とも言う。地下は一般に、地熱により深いところほど温度が高い。この温度上昇率が地温勾配である。

日本の地殻浅部で、付近に火山など熱異常の原因となるものがない場所では、地温勾配は0.03℃/m前後であることが知られている。
Wikipedia


アセノスフェア asthenosphere
硬いプレート (またはリソスフェア) 下の軟らかい層のこと。岩流圏ともいう。上部マントルには地震波速度が深さとともに減少するいわゆる低速度層が存在するといわれており,アセノスフェアはこの層とほぼ同一のものと考えられている。低速度層では,高温のためにマントルが数%の部分溶解をしているか,あるいはそれに近い軟弱な状態にあると考えられている。…
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
kotobank.jp/word/アセノスフェア



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『マグマの地球科学―火山の下で何が起きているか』 より
(中公新書) 2008/鎌田浩毅


地球内部の温度

浅い場所では 1キロメートル深くなるにつれて 地温は摂氏30〜60度の割合で上昇する

その割合で奥へ進むにつれて高くなってゆくとしたら マントルに到達する頃には大部分の岩石は溶けるが
実際には マントル中には大量の液体があるわけではなく 固体の岩石ばかりであるから
地温を示す傾きは そのような値のまま続いているわけではない

その傾きのことを 地温勾配という

地温勾配は一様ではなく 深くなるほどだんだん温度が上がりにくくなるが
深さ200キロメートルを超えると 1キロメートルにつき1度ずつ増加するという割合に落ち着きながら上昇している 74

岩石が溶けてマグマになる仕組み
(化学と物理の観点をこまめに入れ替えながら 説明)


(化学の観点)

珪酸塩:二酸化珪素(SiO2)と金属の酸化物からなる塩 えん
マグマは珪酸塩からできている

酸化物とは 酸素とほかの元素との化合物のことをいい
塩とは 陽イオンと陰イオンが出会い 中和する形で生じた化合物の総称

マグマとは 珪素と酸素が結合したものに 金属が結びついた化合物
ここでの金属は アルミニウム 鉄 マグネシウム カルシウム カリウム ナトリウムなど(が地球を作る代表的なもの)
いろいろな元素を含みながらも ある決まった形で結合したものが 固体の岩石を構成している

珪酸塩は地上にある岩や土のすべてのもと
(珪酸塩を混ぜ合わせることで人工的に陶磁器を作ることもできる)
地球上に大量に存在する珪酸塩は 地殻やマントルを作っている 75

珪酸塩には数多くの元素が混じっているため
珪酸塩が溶ける場合には 氷のような物質が溶ける時とは少し異なる現象が起きる


温度と圧力という用語がポイント(物理の観点)

一般に 珪酸塩の融点は1000度以上
マグマを作っている珪酸塩の溶けかたは 温度と圧力の両方によって変わる

地下深くのマントルが存在する深度ではどのようなことが起きているのか


“高温の「低速度層」”

マントルの上部には 地下の熱の状態が 岩石が溶け始める温度に近い部分があり
そこは マントルの最上部と地殻がくっついたプレートの底部に当たる
プレートのすぐ下には 薄くて広い高温の層がある
その領域は 大陸では地下100〜250キロメートルの深さにあり
海洋の地域では 地下70キロメートルの深さ
その場所は 地震の波が通る際に少し遅くなる性質があるため「低速度層」と呼ばれている

一般に地震波の速度は、全体として深くなるほど大きくなる。しかし、地表からな速度100〜200キロメートルくらいで変化があり、この部分では上よりも速度が小さいので、「低速度層となづけたのである。 76

この低速度層では、深くなるにつれて高くなる地温曲線と、岩石の溶ける条件を示した融解曲線が接近している。これら二つの線が交わったときに、マグマが作られるのである。


低速度層の温度は 少なくとも摂氏1300度はある。地上であれば 摂氏1300度を超えるとほとんど岩石は溶けてしまう。しかし、マントルの中は高圧で、融点が上がるため 岩石はなかなか溶けない。


マントルの主要はカンラン岩 peridotite という岩石

カンラン岩は暗緑色の硬い岩石で、カンラン石や輝石という鉱物からなる。他にもザクロ石、スピネル、斜長石といった鉱物も含まれる。カンラン岩は地上に噴き出して固まった溶岩よりも重いという特徴をもつ。77

(それが溶け始める状態を ミクロのサイズで鉱物の表面を拡大して見てみる)

マントルが溶け始めるとき鉱物の粒子の表面には液体の薄い膜が現れる

部分融解(partial melting)…鉱物の表面だけがわずかに溶ける
鉱物と鉱物の間に細かい水路ができたようになり 液体のマグマが網の目のように連結してくる

溶けた領域がしだいに増えてくると 鉱物の粒子そのものが液体に覆われるようになる
液体のネットワークに 固体の鉱物が囲まれるような状態
そこでは 固体の成分とは異なった成分の液体が生まれる

このように、岩石が部分的に溶け始めるのだが、全部が液体になったわけではない。全体としてはまだ固体の姿を保つている。ちょうど粘土のようなイメージであり、少しだけ軟らかくなった固体といってもよいだろう。低速度層の中では、このような部分融解した岩石の塊全体が、あちこちにでき始めるのである。
 
低速度層に起きている部分融解で岩石が溶けている割合は1パーセント程度
実際の地震波の測定によって液体だと分かるのは2パーセントくらいから
(岩石がひとりでに溶けるということ) 78


『マグマの地球科学』



ゆっくり引かせていただこうと思います


(8から)


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