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ミュオグラフィによるイメージング
 
2017年6月23日 11時0分の記事








(https://www.google.com/patents/WO2009107575A1?cl=ja)

エトナ山の噴火のようす/Boris Behncke @etnaborisさんのTwitterアカウントより)


    ・・・・


ピュイ・ド・ドーム(Puy de Dôme) 
・・・1648年、トリチェリの真空実験(トリチェリの真空)を耳したパスカルが義兄ペリエに頼み、ピュイ・ド・ドームにて水銀柱を使って真空と大気圧の関係を証明した(ピュイ・ド・ドームの実験)[4][5]。この業績により、後に圧力・応力の単位がパスカルと名づけられた。・・・
4、 出典 : 朝日新聞社 kotobank 『ピュイ・ド・ドームの実験』、2013年1月閲覧
5、 出典 : 新興出版社啓林館 『教科学習情報理科 科学の歩みところどころ 第1回 大気圧の発見からボイルの法則へ』 大阪教育大学教授 森一夫 枚方市立桜丘北小学校 児島昌雄、2013年1月閲覧
Wikipedia

ピュイ・ド・ドームの実験
世界大百科事典内のピュイ・ド・ドームの実験の言及【真空】より
…それを〈トリチェリの真空〉と呼ぶ。この直後,フランスではB.パスカルが(義兄ペリエに依頼して)有名なピュイ・ド・ドームの実験を行って(1648),真空と大気圧の研究成果を確認している。17世紀中葉流行となったこのような真空実験で,もっとも著名なのはドイツのO.vonゲーリケによるそれだろう。…
Kotobank)

pdf ピュイ・ド・ドームの実験 その方法論的考察/高島 弘文/はじめに(35) より
・・・そしてもし水銀柱の高さが,山の下でよりも頂上に行くにつれて低くなるようならば,この事実からの必然的帰結として,空気の重さすなわちその圧力こそが水銀のかかる停止の唯一の原因であって,真空に対する怖れが原因なのではないと断言してはばからないのです。(たとえこの間題を考えている人たちの皆が皆までこの見解に反対であっても,私にはそう信じるに足るだけの理由があるからです。)・・・


    ・・・・

昭和新山 より  噴火活動前
かつてこの地域は「東九万坪」という広大な畑作地帯で、壮瞥川の川沿いには「フカバ」という集落があった。集落名は鮭や鱒の孵化場があったことに由来している。
辺りはのどかな田園地帯であったが、山の隆起とともに集落は消滅した。その痕跡は崩壊した国鉄胆振線の橋脚跡などに残っている。 Wikipedia

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地球の中身をのぞく/素粒子が拓く新しい地球科学
地震研究所 2014/09/03
田中宏幸教授/保科琴代特任研究員
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/feature-stories/a-window-into-the-earths-interior/


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『素粒子で地球を視る』より

(5 素粒子で地球を観測する)
5.2 ミュオグラフィによる火山のイメージング 128〜

世界各国で進められてきた火山のミュオグラフィ観測

マグマ流路の可視化

(1)日本の例

 2006年,東京大学,名古屋大学の学際共同チームが,原子核写真乾板を用いたミュオグラフィ観測によって浅間山浅部構造を透視した(Tanaka et al.,2007a).写真乾板を用いて行なわれた初めてのミュオグラフィ観測で,これまでにない空間分解能で浅間山山頂部の透視画像が得られた.この観測で火口底には固結したマグマが周囲よりも高密度の領域として見つかった.このマグマは2004年の噴火で噴出したものであることが,これまでの航空測量からわかっていた. 129

それに加えて 火口底の下のマグマ流路の上端と考えられる低密度の領域がイメージングされ 得られた透視画像から1つ前に起こった浅間山の噴火(2004年)が解釈された

固結した溶岩によって塞がれていたマグマ流路が
マグマから分離したガスの圧力によって爆発  開かれ 
それに伴い火山灰 火山礫などを大量に噴出
その後 マグマが火道をのぼり 火口からマグマが噴出する

一定期間噴火活動を行った後,噴火後地表に出たマグマは外気で固結し,地下のマグマは火道へと吸い込まれ,結果として,火口底直下に空洞が残る.

この観測は噴火活動をしていない火山のいわゆる静的構造をとらえたものだが,後に,塞がれたマグマ流路の上に溜まったマグマが吹き飛んだ瞬間もとらえることができた. 131(132)

同じころ 東京大学 名古屋大学 北海道大学の学際共同チームが 北海道 有珠山の溶岩ドームの1つとして有名な昭和新山の密度構造を ミュオグラフィを使って測定していた(Tanaka et al.,2007b)

有珠山は札幌から西南70kmに位置する活火山で 20世紀に4回も噴火活動を行っている(1910年 1944年 1977年 2000年)

1944年の噴火では昭和新山が何もなかったところにいきなり形成されたことから 溶岩ドーム形成メカニズムを理解する上で重要な火山とされる

この昭和新山をミュオグラフィイメージングすることで,溶岩ドームのマグマ流路は空洞ではなく,冷えて固まったマグマで満たされていることがわかった.浅間山(ブルカノ火山)の場合と違い,地下のマグマは火道へと吸い込まれなかったのである.これはマグマの粘性の違いによるものと考えられる.

浅間山の観測と合わせて その観測は原子核乾板がミュオグラフィ観測に初めて用いられた例であると同時に 火山内部の透視画像を初めて撮影したもので 地球観測が世界に広まる原動力になった

 写真乾板を用いたミュオグラフィ観測の成功を機に,浅間山でシンチレーション検出器を用いた噴火モニタリングの計画が立ち上がった.
 だが,火山の頂上付近で電気を湯水のように使えるはずはない.噴火モニタリング実現のポイントは省電力化だ.FPGA チップ技術を応用し,消費電力を極力抑えた,データ収集装置を開発することで,ようやく2008年,浅間山の頂上付近にミュオグラフィ観測システムを設置するめどが立ったのだ*
* 東京大学 高エネルギー加速器研究機構の共同チームによる

 だが,システム全体は重すぎて,観測点までにあげるのには困難を極めた.検出器を細かく分割することで,観測点へ特殊自動車や複数の人力で搬入することが可能となったのである.分割されたパーツを観測点で組み上げることで,有感面積1?のミュオグラフィシステムができあがる.2008年10月,浅間山の噴火モニタリングを目的として,本システムが山頂からおよそ1.2km東に離れた観測点(東側観測点)に設置された.標高2150mにある東側側点には,深さおよそ2.5mの地下室が建設され,ミュオン検出システムはその地下室に埋設された.外部には無線LAN送信用のアンテナが立てられ,ふもとの基地局との間でデータが送受信される. 133

ミュオグラフィ連続観察中の2009年2月2日未明に浅間山で噴火
測定装置は噴火前後で止まることなく安定的に稼動した

(…図…噴火直前と直後の火口直下のイメージの比較)(右方向が北)(見やすくするために2009年2月の噴火前の火口の形状に合わせて点線を入れる)

2004年の噴火で火口底に溜まったマグマの北側部分が欠損している
(その結果 図では火口が大きくなっているように見える)
噴火でマグマが吹き飛んだからに他ならない

この結果は,噴火で飛び出した噴出物(火山灰,火山弾)の岩石学的性質が,2004年噴火時に火口底にたまったマグマと同一であることと調和的だ.

一方 火口底の下に続くマグマ流路には変化が見られなかった

つまり,2009年の噴火ではマグマが上昇した証拠は得られなかったのだ.浅間山のミュオグラフィ観測から2009年2月2日の噴火はマグマが火道を上昇して噴火したものではなく,より深い場所で帯水層と接触して発生した水蒸気が火口底に溜まった古いマグマを吹き飛ばした,いわゆる小規模な噴火であることが結論できる.実際,これ以降噴火が続くことはなかった. 133



(2)フランスの例

マグマ流路の可視化は海外でも試みられている

TOMUVOL(TOmographie MUonique des VOLcans)…2009年に結成された素粒子物理学者と火山学者が参加する学際コラボレーションの名前で 活動拠点は フランスのクレルモンフェラン市

なぜ クレルモンフェランか? ピュイドドーム(Puy de Dome; 高度 1464 ma.s.l.)と呼ばれる有名な溶岩ドームがあるから

ピュイドドームは1万1000年前に活動を終えた
フランス南部の中央に位置する火山だが
2回の噴火がつくった双子の溶岩ドームであることが
地質学的な調査から推定されている

その特異な形状から地元の注目を集めている火山

  ピュイドドームの観測を行うため,ミュオグラフィ観測システムは山体頂上から2km離れたトンネル内部に設置された(Carloganu et ai.,2012).ガス検出器を用いるミュオグラフィ観測では,環境温度,環境放射線,両方の観点からトンネル内に検出器を設置することが必須だ.装置上部の厚さ60cmのコンクリート層が電磁シャワーを遮蔽する.実験セットアップは,長距離WIFIネットワークを使って,すべてリモートモニタリングできるようになっている.環境データ(たとえば温度,湿度,気圧)の記録はガス検出器の運用には欠かせない.シンチレーション検出器にくらべて,取り扱いが面倒なガス検出器だが,ここでミュオグラフィ観測が成功すれば,大きな実績となる.
  観測で得られたミュオグラフィから,頂上付近にビュイドドームに独特な密度構造を確認することができる.ドームの山腹は低密度,頂上直下は高密度である.この高密度構造は,1万1000年前につくられた溶岩ドームを表している.また密度が高い領域が左右2つに分かれていて,これが双子の溶岩ドームを示している.はっきりとはしないが,その下に直線状に伸びる高密度領域は,昭和新山と同じようにマグマ流路が冷えて固まったマグマで満たされている様子を示しているのかもしれない. 135



(3)イタリアの例

イタリア南部シシリア島 エトナ火山はヨーロッパ最大の活火山
標高3350m 底面の直径40km  頂上には 4つ火口がある

ヴォラギネ(Voragine)火口 ボッカヌオヴァ(Bocca Nuova)火口 北東火口 南東火口 と呼ばれているが 
特別に危険な火山とは考えられておらず
数千人がその斜面と麓に住んでいる

エトナ全体を透視するには,ミュオグラフィでは力不足だが,頂上付近に特化すればそれは可能だ.そこに注目したカルボーンらは4つの火口の内,南東火口のミュオグラフィ観測を行った(Carbone et al.,2013).南東火口からは2007年から2011年の間に18回の噴火が観測されており,これら噴出したマグマが火口周辺に新たな円頂丘を形成している.

(図 形成された円頂丘のミュオグラフィ画像)
この図には透過ミュオンフラックスの予想値からのずれが示されている.つまり,このずれが正のところは低い密度,負のところは高い密度というわけだ.つまり,まず,最も目立つ円頂丘の中央部に位置する低密度領域は,マグマ流路の上端部で,空隙の多い礫で満たされていることを反映している.
 
(目を引く画像)低密度層は 円頂丘の南東斜面にできた割れ目と考えられていて そのような割れ目周辺の岩石は強い力を受けて破砕されており 空隙が多い状況となっている

その割れ目がマグマ流路となって (図に見られるような)噴火を引き起こしているのだろう

地殻変動による火山の割れ目が低密度になることは 
最近の有珠山のミュオグラフィ観測でも確認されている  136



浅部マグマのダイナミクス  

マグマが地表まで上がってきていると マグマから発生する
マグマ性ガスが定常的に観測されるようになる

その現象が観察できる火山…薩摩硫黄島…九州の南端から50km南
大量のマグマ性ガスを放出しているが 一向にマグを噴出しない

このメカニズムを説明するのに提唱されたのが,マグマ対流仮説(Stevenson and Blake,1998).マグマ流路を上ったマグマはグラスに注いだビールのように泡立つ(これをマグマの脱ガスと呼ぶ).泡はそのうちなくなり,密度が高くなったマグマは地下深くのマグマ溜まりと火口をつなぐマグマ流路内でマグマが定常的に対流する.これがマグマ対流仮説である.もしこの仮説が正しいとすれば,泡だらけのマグマを火山浅部に発見できるはずである.

2008年 東京大学 高エネルギー加速器研究機構 産業技術総合研究所のチームが 薩摩硫黄島で行ったミュオグラフィ観測では
火山内部で高度に発泡したマグマをとらえることに成功

マグマ流路を円柱と仮定すると,この発泡マグマの密度は水の密度に相当する.そこで,この発泡は実は水ではないのかといった疑問が湧き上がる.ここで,この発泡マグマを検証してみよう.まず,噴気孔から900℃を超えるガスが噴出しているという事実がある.水の沸点は100℃である.液体の水があるとは考えにくい.次に岩石の組成を化学的に調べる研究から,脱ガスは地下数百mまでの浅いところで起こっていると推測されている.この深さはまさに,ミュオグラフィで検出した発泡マグマの位置と一致する.もともと密度2.7g/cm3程度のマグマが脱ガスを起こすことで泡立ち,平均密度が水相当まで下がった状況を可視化しているのだ.薩摩硫黄島の観測例は火山内部のマグマのダイナミクスをとらえた初めての例といえよう. 137

3つの予知  「いつ」「どこで」「どの程度の規模か」

「いつ始まるのか」については,火山性地震の測定や地殻変動のモニタリングによっておおよそわかるようになってきている.

「どこで」「どの程度の規模の」「どのような噴火様式か」「いつまで続くのか」は 予知が難しい

硫黄島での火山浅部マグマの発泡過程のイメージングは「どのような噴火様式になるのか?」について,2009年2月2日の浅間山のミュオグラフィ観測結果は「噴火がいつまで続くのか」について,予測ができるようになる可能性を示唆している. 138



熱水系の地下構造

DIAPHANEは,ヨーロッパで初めてミュオグラフィによる火山観測を行ったプロジェクトチームの名前だ.フランスの地球科学と素粒子物理学コミュニティーによるミュオグラフィ促進を目的として,3つの研究機関(IPG Paris,IPN Lyon,Geosciences Rennes)のコラボレーションにより2008年に結成され,これまで西インド諸島にあるグアドループ島(Guadeloupe)のスフリエール火山(La Soufriere)でミュオグラフィ観測を行ってきた.スフリエール火山は,火山島弧に属する成層火山で,人口密集地帯に位置する活火山である.火山のモニタリングネットワークは,1950年代になってようやく整備されはじめたに過ぎないが,特に1976-77年に断続的に起こった噴火を機に,ここ20-30年の間で急速に改善されてきたようだ.

その地域の火山活動は 爆発フェーズを伴う溶岩ドーム噴火
火山灰を放出する水蒸気爆発 そして山体崩壊に代表される

特にミュオグラフィ観測が行われているスフリエール火山は,最近300年で6回水蒸気爆発を起こしたことが記録されている.最後の噴火(1976-77年)は,地質学的によく調べられていて,マグマが地表から数km地下で止まったため,地下水の圧力を上昇させ,水蒸気爆発を引き起こしたものと考えられている.

完新世…約1万年前から現在までの地質時代…に起きたスフリエール火山の山体崩壊に結びついていることがわかる

山体崩壊は
巨大津波の引き金になるなど 大きな被害に結びつく現象

スフリエール火山では,浅発地震の増加や地下水温の上昇,火山ガス中の塩化水素濃度や硫化水素濃度の連続的な上昇がここ20-30年見られている.

前もって火山内部の密度分布(密度構造)を知っておくことは 起きるかもしれない山体崩壊を理解するために重要だろう

スフリエール火山の山体強度は,割れ目を広げる水蒸気爆発と,岩石の化学的構造を変化させる強酸性の熱水流体の影響で決まってくる.山体内部の密度分布の情報を高い空間分解能で直接与えるミュオグラフィは,山体崩壊の規模を予測する上で重要だ.

スフリエール火山の観測では ソーラーパネルを組み込んだミュオグラフィシステムが用いられた.ステレオ観測に用いられた南側と東側の2ヵ所の観測点は,どちらも火山観測所から直接見え,無線LANを使って機器のモニタリングを行える.

スフリエール火山の観測では 山体内部の密度分布に大きなばらつきが見られた…それは 熱水地帯特有の構造

このような密度の大きなばらつきは山体中に形成された多数の「穴」によるものと考えられている.観測された低密度領域は,巨大なスパランザーニ(Spallanzani)洞窟など,火山性洞窟が多数あることで知られるドームの北半分に位置している.大小多数のトンネル状の空間が山体の平均密度を下げているのだ.

火山内部の比較的高密度な領域は 熱水領域と熱水領域の間に形成されている蓋(高密度の岩石層)の可能性がある

これは,下部から上がってくる地熱のエネルギーフラックスが増えたとき,高圧になる部分と解釈されている.浅間山で見た,塞がれていたマグマ流路がガスの圧力によって爆発,開かれる,といった構造とよく似ている.将来,この蓋が吹き飛ばされたとき,その衝撃で青い低密度の部分(熱水流体で侵食された脆弱な部分)が真っ先に破壊されるかもしれない.

宇宙線ミュオンによる火山内部の視覚化は 火山噴火予知の中でも 従来の技術では難しいとされてきた部分に対して情報を与えてくれる

詳細なデータベースの構築 測定の信頼性を上げる必要がある  140



『素粒子で地球を視る 高エネルギー地球科学入門』2014/田中宏幸/竹内薫



ミュオグラフィ観測/システムとデータ処理技術

素粒子は 地球を透かす
光と影/ベータ崩壊




(22夜〜メモ)(〜27)
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特許検索 公開日 2009年9月3日 出願日 2009年2月23日 優先日 2008年2月25日
次の番号でも公開 CN101971010A, CN101971010B, US8575546, US20110001046
発明者 Kanetada Nagamine, 謙忠 永嶺
特許出願人 Inter-University Research Institute Corporation High Energy Accelerator Research Organization, 他 1 件 »


複合構造物の非破壊検査装置及び非破壊検査方法
WO 2009107575 A1


要約書
 宇宙線ミュオンを利用して、複合構造物の表層内部を検査する非破壊検査装置及び非破壊検査方法を提供する。進行方向に所定量だけスピン偏極し概ね水平方向に進行する宇宙線ミュオン12を利用して、複合構造物11の表層内部を検査する非破壊検査装置であって、前記複合構造物11の内部に静止した前記宇宙線ミュオン12の消滅に伴って前記宇宙線ミュオン12の照射方向とは逆方向に特性の時定数を持って反射放出される陽電子・電子量を検出する陽電子・電子量検出手段13と、前記陽電子・電子量検出手段13おいて検出された陽電子・電子量から前記複合構造物11の前記表層内部に存在する前記表層の第1の物質11−1とは異なる第2の物質11−2の状態をラジオグラフィとしてデータ処理し出力するラジオグラフィデータ処理手段14、15、16、の各手段を備える。




(2)透過強度減衰法の火山・大型産業機器への応用
 水平方向すれすれ(天頂角60度〜85度)の宇宙線ミュオンを用いたラジオグラフィ表示を実現するために、図11に示す検出器系を構築した。複数の位置敏感型検出器として、格子状に細分割されたプラスチックシンチレータを用いる。ここでは、透過性はよいが強度が弱い水平方方向のミュオンを利用するために、反対方向からの宇宙線ミュオンを同時にとらえ、規格化し、F(対象物側)/B(空側)比を求める方式が考案された。ミュオンに比べ数10倍近い多量の軟成分(電子、ガンマ線など)バックグラウンドのノイズ成分を除去するために、中間に置いた鉄による軟成分がつくる多発生信号を用いた。

 水平に近い宇宙線ミュオンは透過性がよく、実験条件の設定が容易で対象物をそのままにして測定することが可能であり、対象とする火山体や溶鉱炉などの下にトンネルを掘る必要がない。また、複数の測定器系によるトモグラフィー観測も可能である。

 図11は、宇宙線ミュオン透過型ラジオグラフィ測定装置とそれを用いて火山体浅間山の山頂の透過像を観測している様子及びその測定結果を示すものである。縦横に10cm幅で区画化され、ミュオンの通過点を識別する1m×1mの2面のプラスチックカウンター集合体がある。前後の通過点を逆に戻って対象物のどこを通ったかがわかる。途中に置かれた鉄板を使って、「多重発生エベント除去」により、軟成分バックグラウンドを除去する。

(3)火山体の内部探索への応用
 浅間山山頂の北側4キロメートルの位置にある鬼押出し浅間園に測定器を置き、外からは見えない噴火口を外からみることを試みた。浅間山山頂の位置のところを狙って画像をとり、全部詰まっていたら外形と同じになるべきところに、へこみが見えてきた。噴火口を外から透かして見たことになる。約100日間のデータをとって計算機シミュレーションと比較すると、噴火口は「空」でありマグマの上昇がないことと一致するデータが得られた。

 また、岩手山火山活動のメカニズムとして、岩手山頂上から10km西側にある黒倉山と姥倉山との間の約4kmにわたる東西にのびた尾根沿いで起っている“水蒸気爆発”の可能性が論じられている。2003年から2004年にかけて、測定器を火山活動が起っている黒倉山と姥倉山尾根から直角に2.7km北側で、高さが尾根から0.8km低い位置に設置した。測定結果をまとめ、山体を透過するミュオンの強度から得られる山体断面の密度長で表示し、黒倉山−姥倉山の尾根は、一様密度とすると2.5g/cm3(±10%)の密度を持った山体構造であると考えることができることが判った。結果の時系列的解析で、発生した噴煙柱の高さと比較して、冬期における山体内水分の凍結が原因である可能性が指摘された。

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