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アベノミクスは、本来、「金融緩和+減税」をやらないといけなかったのに、「金融緩和+消費増税」という誤った政策の組み合わせを行ってしまいました。
[森羅万象]
2019年2月27日 16時22分の記事



『森卓77言』  
超格差社会を生き抜くための経済の見方
森永卓郎  プレジデント社  2017/8/30



<リベラル勢力はなぜ衰退したのか>
<小沢氏の失脚でリベラル勢力は衰退へ>
・そもそもリベラルの需要が減っているからだと私は考えています。

・リベラルが視聴者の関心を集めなくなったのは、信頼を失ったからです。大きな転機となったのは、リベラル勢力が政権を奪取して誕生した民主党(現・民進党)政権でした。民主党が掲げた2009年のマニフェストは、いま読み返しても非常によく出来ています。

・しかし、民主党は、実現不可能な政策を並べたのではありませんでした。党内クーデターによって政策が封じ込まれたのです。2009年のマニフェストは、小沢一郎氏の思いが詰まった小沢マニフェストでした。しかし、小沢氏の政治とカネの問題が浮上します。

・小沢氏のイメージはいまだに回復せず、リベラル勢力が消滅に向かっているからです。

<カジノ法案は憲法改正の布石>
<IRは万博後も集客可能。法案成立は憲法改正に向けた維新への配慮か>
・カジノ関連法案が2016年12月15日、衆院本会議で可決、成立しました。スピード審議に疑念を感じている国民も多くいます。なぜ、自民党は成立を急いだのでしょうか。それは、大阪万博のためです。

・ここで万博を開催するためには、大量輸送ができる地下鉄の新設が必要です。

・夢洲の半分を万博会場に、残りの半分をIRにすれば、万博終了後も安定した鉄道需要が見込めます。

・IRに大きな経済効果があることは、間違いありません。シンガポールはIR導入後、わずか4年で観光収入を倍増させました。しかし、カジノには懸念もあります。ギャンブル依存症の増加です。

・カジノの射幸性は、パチンコの比ではありません。パチンコだったら、1日10万円負けるのが精一杯ですが、カジノの場合、何十億円でも負けられます。そうした射幸性の高さが分かっているからこそ、シンガポールのカジノは、1万円近い入場料を自国民のみに課していますし、韓国は1カ所を除いて自国民のカジノ入場を禁じています。ところが、日本の場合は、日本人の入場を規制しにくいのです。地下鉄の乗客が減ってしまうからです。

・一つは、トランプ新大統領への貢ぎ物です。ギャンブルは、胴元が一番儲かります。

・そして、官邸がカジノ法案で維新に協力したもう一つの理由は、憲法改正をにらんだからではないでしょうか。公明党はカジノ法案に自主投票で対応しました。その構図は、憲法改正への姿勢と重なります。

<プレミアムフライデーは週休3日制への重要な一歩>
<プレミアムフライデー定着へ文科省は子どもの週末を奪うべきでない>
・月末金曜日を午後3時で切り上げる「プレミアムフライデー」が、2017年2月末から始まりました。

・実施する企業はわずか数%と苦難の船出となりました。その後もなかなか浸透せず、働く人たちからも、「月末の忙しいところで、早帰りなんてできない」とか、「実施できるのは、余裕のある大企業だけだ」など、評判は散々でした。

・しかし、私はプレミアムフライデーを定着、拡充していくべきだと考えています。それは、週休3日制への重要な一歩になると考えているからです。

・ただ、私にはとても気になっていることがあります。それは、学校との足並みが揃っていないことです。週休2日制の普及は、学校の週休2日が促進した面も大きいのです。ところが今回は、学校は休みを減らす方向になっています。

・そもそも、なぜ小学生から英語を学ばなければならないかをこそ問い直すべきでしょう。英会話は大人になってからでも十分身に付けることができるからです。

<浜田宏一氏が認めたアベノミクスの過ち>
<「金融緩和」+「減税も含めた財政政策」でアベノミクスは再び機能する!>
・2017年1月号の「文藝春秋」に浜田宏一元イエール大学教授の「『アベノミクス』私は考え直した」という手記が掲載されました。

・浜田氏は、内閣官房参与として安倍総理の経済参謀を務めるだけでなく、アベノミクスのシナリオ描いた中心人物だからです。その浜田氏が、アベノミクスの過ちを指摘したのです。

・浜田氏は、アベノミクスを全面否定しているわけではありません。安倍政権になってから、株価は2倍になり、労働市場も大幅に改善しました。しかし、問題は肝心のデフレ脱却がまったく達成されていないことです。アベノミクスの物価目標は、消費者物価で2%でした。その「インフレターゲット」を量的金融緩和によって達成することで、デフレマインドを払しょくするというのが、アベノミクスの最大の目的でした。

・なぜ物価が上がらないのか。浜田氏は16年8月に発表されたプリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の論文を読んで、自分の考え方の誤りに気付いたといいます。量的金融緩和だけではだめで、それと財政政策を組み合わせないといけないと気付いたというのです。

・偉大な経済学者である浜田氏が、そんな当たり前のことに気付いていなかったことに、逆に私は驚きました。量的金融緩和では、銀行保有の国債を日銀が購入し、代金を銀行の口座に振り込みます。ところが、景気がよくないので、貸出先のみつからない銀行はその資金を融資に回すことができません。そこで、資金を日銀の当座預金に預けっぱなしにする。いわゆるブタ積みです。そうなると市中にお金が回っていかないから、景気はよくなりません。

・それではどうすればよいのかというと、日銀が国債を購入した分、政府が新たな国債を発行して、そこで得た財政資金を減税などの形で国民に還元するのです。

・もちろん、見た目には赤字国債が増えることになるのですが、それは問題がありません。日銀が保有した国債は、日銀が保有し続ける限り、元本返済の必要がありませんし、日銀に支払った国債金利は、日銀剰余金の国庫納付という形で政府に戻ってくるからです。

・現在日銀は、年間80兆円を国債購入の目途にしています。これをすべて減税で戻したとすると、国民一人あたり63万円、4人家族だと252万円です。それだけのお金が政府からばらまかれたら、消費が爆発して、物価が上がり出します。それは、誰が考えても明らかでしょう。

・アベノミクスは、本来、「金融緩和+減税」をやらないといけなかったのに、「金融緩和+消費増税」という誤った政策の組み合わせを行ってしまいました。

・「ここまでうまく働いた金融政策の手綱を緩めることなく、減税も含めた財政政策で刺激を加えれば、アベノミクスの将来は実に明るいのです」

<異次元緩和の限界を国債増発で突破を>
<デフレ脱却に必要なのは国債の供給を増やすこと。日銀が市場で買い入れるので国民の負担はない>
・2016年9月、日銀の金融政策決定会合で「長期金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入が決まり、長期金利は現状の0%程度を目標にコントロールすることになりました。
 
・これまで掲げてきた日銀の目標は、年間80兆円の国債買い入れでした。それを、長期金利を0%に誘導する政策に転換するということは、場合によっては、国債購入のペースダウンを許容するということです。つまり、日銀は異次元金融緩和以降続けてきた、量的金融緩和の呪縛から逃れようとしていることになります。

・なぜ量的金融緩和に限界がきたのか。その答えは明らかです。これまでの金融緩和で、日銀はすでに国債発行残高の3分の1以上を取得し、これ以上、買い入れのタマがなくなってしまったのです。

・ただ、量的金融緩和のタガが緩めば、円高は着実に進行します。実際、2016年年初に120円だった対ドル為替レートは、すでに100円割れに近づいています。このまま円高が続けば、デフレ経済に逆戻りです。だから、いま一番求められていることは、国債の供給を増やすことです。国債発行を増やしても、それを日銀が市場を通じて買ってしまえば、国民負担は一切ないのです。

・例えば、今後3年間個人住民税をゼロにしたらどうでしょう。必要な財源は、年間たった12兆円。減税の財源全額を国債発行で賄えば、日銀は量的金融緩和が可能になるし、国民の手取り所得も増えるから、デフレ脱却の足取りが確かなものになるでしょう。

<日本は実質的に無借金に>
<日銀保有の国債が日本の純債務とほぼ同額に日本は実は無借金だった!>
・日本の財政は、いまや実質的に無借金であると書いたら、信じてくれる人は少ないかもしれません。しかし、それは財務省自身が発表している統計で明らかなのです。

・このように政府の範囲を広めにとると、日本の純債務はGDPの9割程度ということになります。これは一般的な先進国の債務水準です。ところが、実はもう一つ重要なポイントがあります。
 2017年1月10日時点で日銀は国債を411兆円保有していましたが、国債の買い増しを続けた結果、5月末に純債務の金額とほぼ並んだのです。
 日銀が保有する国債は、元利の返済が実質不要です。日銀の国債を買い入れるということは、国債を日銀が供給するお金にすり替えることを意味します。日銀券は、元本返済も利払いも不要なので、日銀保有の国債は、借金にカウントする必要がなくなります。それが通貨発行益と呼ばれるものです。政府は、これまで通貨発行益を財源として利用できませんでした。通貨発行益に依存しすぎると、インフレを起こしてしまうからです。
 しかし、実質的に純債務がなくなり、そしてデフレが続いているいまこそ、通貨発行益の一部を活用すべきではないでしょうか。例えば、通貨発行益を活用して消費税率を下げれば、確実にデフレから脱却できるでしょう。

<安倍総理は経済を捨てて憲法改正を取るのか>
<公明・維新への配慮がにじむ安倍総理の憲法改正案。消費増税凍結で憲法改正の国民投票を乗り切るつもりでは?>
・安倍総理が憲法9条改正に向けての強烈な一手を打ちました。

・「2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っている」と、期限を切ったのです。しかも憲法9条に関して、戦争放棄を規定した第1項と戦力不所持を規定した第2項を堅持した上で、自衛隊の存在を明記する条文を加える案を示しました。つまり、「戦争は放棄するし、戦力は持たないけれど、自衛隊は持ちます」という形に憲法を変えようという主張です。

・なぜ安倍総理は、この案を出してきたのでしょうか。実は、今回総理が打ち出した憲法改正案は、明らかに公明党への配慮です。公明党は、憲法に足りない部分を追加する「加憲」の立場ですから、総理の案は受け入れやすいのです。

・ビデオメッセージで総理は、改憲による高等教育までの無償化にも意欲を示しました。これも教育無償化を掲げる日本維新の会への配慮でしょう。つまり、安倍総理は、公明と維新の力を借りて、国会で憲法改正を強行突破しようとしているのです。

・来年、自民党総裁選とロシアの大統領選挙が行われます。ここを抜ければ、安倍総理もプーチン大統領も政権基盤は盤石です。そこで2019年から20年にかけて、歯舞・色丹の返還と国後・択捉の共同統治を日ロ首脳会談で合意するのです。国民は熱狂し、安倍総理の提示する「受け入れやすい」憲法改正に賛意を示すでしょう。完璧な計画です。

・しかし、安倍総理が教育無償化の財源として教育国債を主張していることを考えると、逆に消費税の凍結あるいは引き下げ発表をすることで一気に支持率回復を図り、憲法改正の国民投票を乗り切ろうとする可能性のほうが高いのではないかと私は考えています。

<金融緩和の大幅縮小という“もう一つの忖度”>
<日銀による金融緩和のペースが落ちた理由は円安に誘導しないというアメリカとの密約では?>
・森友学園に国有地がタダ同然で払い下げられた事件は、安倍昭恵総理夫人に対して、財務省が忖度をしたのかどうかが、大きな焦点になっています。もちろん、財務省は忖度を全面否定していますから、真相究明は難しいかもしれません。
 ただ、私は安倍総理が追求されるべき忖度は、もう一つあると思います。それは、日銀による金融緩和の大幅な縮小です。

・アメリカが利上げをすれば、ドルを欲しがる人が増えますから、ドルが高くなる、つまり円安が進むはずなのに、為替はまったく円安に向かっていません。それはいったいなぜなのでしょうか。

・ところが、16年11月から17年2月までの3カ月間の平均は、3兆4929億円、年率換算で42兆円となっています。なぜこんなことが起きているのでしょうか。
 世界で最も早くトランプ大統領との会談を実現し、仲良く二人でゴルフまでした安倍総理ですが、もしかしたら、為替を円高に誘導する、少なくとも円安にはしないという密約が結ばれたのではないでしょうか。もともとトランプ大統領は、日本と中国が通貨安を誘導して、それがアメリカ企業の競争力を奪っているという非難を繰り返していました。

・1981年に大統領に就任したロナルド・レーガンは、当初強いドルを掲げ、軍拡と大型減税で景気浮揚を図りました。しかし、それが財政赤字と貿易赤字という双子の赤字を拡大したため、4年後にプラザ合意で、急激な円高を強要しました。トランプ大統領も、軍拡と減税という政策は同じですが、為替についてはレーガン政権の轍を踏まぬよう、先に行動に出たと考えるべきではないかと思います。

・貿易摩擦に明け暮れた80年代の悪夢が再現するのではないでしょうか。

<消費税凍結を唱えるシムズ理論は正しいのか?>
<デフレ脱却を確実にするには消費税率を5%に引き下げるべき>
・シムズ理論の骨子は「実質政府債務が将来のプライマリーバランスの割引現在価値と一致するよう物価が調整される」というものです。この理論に基づいてシムズ教授は、「アベノミクスの金融緩和でデフレが脱却できない理由は、物価目標を達成する前に消費増税をしたからだ。今後は物価目標を達成するまでは、少なくとも消費税増税を凍結するべき」だと主張しています。

・私は、政策の方向性は正しいと思いますが、理論に関しては若干疑問があります。国民は、プライマリーバランスの割引現在価値などという難しいことを考えて行動していないからです。優秀な経済学者がしばしば陥る罠は、他人も自分と同じくらい頭がよいと思い込んでしまうことです。

・シムズ教授の言うように、消費増税でアベノミクスが失速したことは事実ですが、その主因は、消費増税によって消費者の実質所得が減少したことです。だから、シムズ教授の指摘通り、消費税率を2019年10月から10%に引き上げたら、デフレ脱却がさらに遠のくのは間違いないのですが、消費税凍結でデフレ脱却ができるかどうかは疑わしいと言わざるを得ません。凍結では消費者の実質所得が増えないからです。実質所得を増やし、デフレ脱却を確実にするための唯一の方法は、消費税率を5%に戻し、なおかつ将来の再引き上げを政府が明確に否定することでしょう。

<マイナス金利強化で地方経済は破産状態に>
<マイナス金利で不動産バブル再燃の恐れも。社会保険料引き下げと国債増発で乗り切れ!>
・マイナス金利は、15年1月に日銀が導入を決めた金融政策で、銀行が日銀に預ける当座預金の増加分に対して0.1%のマイナス金利を付けることによって、銀行に企業への貸し出しを促す政策です。日銀に資金を滞留させるとペナルティがつくから、銀行は融資を増やすだろうという目論見です。

・いまだに地方経済は疲弊を極めていて、融資先を減らした地銀は、統合の真っただ中にあります。

・こうしたなかで、マイナス金利を強化すれば、経営破たんする地銀が出てきても不思議ではありません。しかも、追い詰められた地銀が、東京都心の不動産融資に傾倒していけば、バブル崩壊とともに、破たんが連続することになりかねません。金融は経済の血液だから、そんなことが起きれば、地方経済は破産状態になるでしょう。

・もちろん、国債を購入して資金供給を拡大する従来型の金融緩和に限界が近づいていることも事実です。すでに日銀は国債発行残高の3分の1以上を購入しており、これ以上国債購入を増やすと、国債のマイナス金利が拡大してしまうからです。
 それではどうしたらよいのか。一つの方法は、厚生年金や健康保険などの社会保険料を、期間を限って大幅に引き下げ、不足する財源を国債増発で埋め合わせればよいと思います。この方法であれば、物価下落の影響がなく、国民の手取り収入が増えるから景気も拡大し、さらに日銀が買う国債のタマ不足も解消するのです。

<経済成長は本当に必要なのか?>
<富裕層に増税して庶民に分配→消費が拡大→経済が成長、の流れをつくるべき>
・左派の私は、孤立無援の戦いを挑んだのですが、ネットでは「森永フルボッコにされる。もはやエコノミストの資格なし」と評される始末でした。

・右派の人たちは、経済成長のためには、生産性を上げるための構造改革が必要で、そのための規制改革を進める以外に、成長の方法はないと、いつも通りの主張をしました。

・資本主義化を一層進めれば、経済のパイが大きくなるかもしれません。しかし、その成果は自動的に庶民や中小企業には回ってきません。それは、第二次安倍内閣が発足した直後から経済が急速に拡大したのに、いまだにその成果が一部の富裕層に集中していることからも明らかです。
 だから、いま考えなければならないのは、経済を成長させることではなく、経済成長の成果をいかに庶民や中小企業に行き渡らせるかということなのです。富裕層に増税して、庶民に分配する。それをやれば消費が拡大して、結果的に経済が成長することになるでしょう。

<超々格差社会がやってくる>
<景気が上向いても、国と企業はあの手この手で労働コスト切り詰め、国民生活はよくならない!>
・一方、安倍政権はこの選挙結果を受けて、28兆円規模の経済政策を打ち出しました。
 一つは、公共投資を中心とする大型の財政出動です。本来なら、消費税率を5%に戻して国民全体に恩恵を与えるのが一番効果が大きいのですが、消費税減税は利権を生みません。だから公共事業を打つというのは、何十年も続いている自民党の伝統です。
 もちろん、公共事業の財源はないのですから、国債増発ということになります。そこで出てくるのが、金融緩和という第二の景気対策です。新規発行した国債は、日本銀行が買い取るのです。

・ただし、景気拡大で国民生活がよくなるのかと言えば、そうではありません。実質賃金は2016年に下げ止まったとはいえ5年連続で下落し、今後景気が良くなれば、賃金が上がり出すという見方もありますが、それでは企業の人件費負担が増えてしまいます。

・そこで安倍政権が導入してくるとみられるのが、ホワイトカラー・エグゼンプションです。

・さらに次の段階で、政府は金銭解雇制度の導入も進めてくるでしょう。

<企業の強欲でデフレに逆戻り>
<タックスヘイブン課税を実施すれば10兆円単位の税収がすぐに入ってくる!>
<企業の内部留保総額は400兆円超!従業員の給与は削られ、デフレ脱却は遠のくばかり>
・まず、全産業(金融・保険業を除く)の売上高は3年前より1.6%増えました。1年あたりに直すと0.5%ですから、大きな伸びとは言えませんが、成長したことは事実です。
 そのなかで、経常利益は9.4%増と大きく増えています。その理由と思われるのが、従業員給与が1.9%減っているということです。アベノミクスの下で、企業は売り上げを増やすとともに、従業員の給与を削ることによって、利益を大きく増やしたのです。

・もちろん、企業活動を継続するうえで、一定の利益を確保することは必要なのですが、安倍政権は法人税率を10%以上下げることで、企業の蓄積をさらに促してきました。その結果が、内部留保の爆発的拡大です。

・2015年度のGDPが532兆円ですから、日本の企業はGDPの約8割の資金を貯め込んでいることになります。ただ、こういう話をすると、「内部留保はキャッシュを貯め込んでいるのではなく、設備投資の源泉になっているのだ」と批判されることがありますが、法人企業統計で現預金の額をみると、181兆円に達しており、3年前より21%も増えているのです。

・こうした「デフレ」傾向は、2017年に入ってからも続いています。

・消費者は確実に安いものを欲しがっている。アベノミクスによって経済全体は潤っていますが、実質賃金は、消費税増税による物価上昇もあって、安倍政権発足当初より3.5%も減っています。消費者の懐が暖まらないと、デフレからは絶対に完全脱却できません。



『東京五輪後の日本経済』
元日銀審議委員だから言える
白井さゆり  小学館  2017/9/13



<異次元緩和に、果たして効果はあったのか?>
<異次元緩和の成果>
・黒田総裁の下で推し進められた異次元緩和ですが、まず効果があった点とは、極端な円高と株安を是正できたということでしょう。

・ただ、雇用の改善については、仮にアベノミクスが登場しなかったとしても、日本社会が人手不足になるのは時間の問題だといわれており、それに伴って、失業率が低下することは、ある程度予想されていました。
 労働人口は1990年代から減り始めていましたし、団塊の世代の人たちが次々と退職していくため、人手不足になることは目に見えていたのです。

<異次元緩和の実体経済への影響>
・一方、異次元緩和によっても効果がなかったといえる点についても、しっかりと見ていかなくてはなりません。まずはっきりいえるのが、異次元緩和を実行した後も、大した経済成長を実現することはできなかったという厳然とした事実です。

・しかも、2016年末にGDPの算出方法が国際基準に合わせて改訂されたことに伴い、新たに研究開発費などが算入されて、2013年からのGDPが比較的大きく押し上げられました。
 ところが、そうした支援材料があってもなお、実質成長率は大きくは伸びなかったわけで、異次元緩和の実体経済への影響はそれほど大きくなかったといわざるを得ません。

<「円安効果」による輸出増は実現できたのか?>
・2012年12月に自民党が政権に復帰した頃から、日本銀行による将来の金融緩和政策を織り込むようにして、市場では急激に円安が進み始めました。そして、2015年には一時1ドル125円を越える水準にまで、円安が進行したのです。
それではこの間、輸出は増えていったのでしょうか?
 一般的に、通貨安になると、他国の商品との競争が有利になるため、一国の輸出は増えるといわれています。しかし、結果を見ると、異次元緩和スタート以降も、あれほど円安が進んだにもかかわらず、輸出数量が増えることはありませんでした。

・しかし、円安によって輸出数量と輸出物価がともに増えていくという好循環を生む、いわゆる「円安効果」は実現しなかったのです。これは、長引く円高の影響などもあり、企業がどんどん海外へと工場を移したことが、その大きな原因として挙げられるでしょう。つまり、もはや日本は、円安によって単純に輸出が増えるような構造ではなくなっているのです。

・また、人口減少が続く日本国内の市場だけで生き残っていくことは到底できないため、企業は積極的に海外企業の買収を進めていくことも考えています。そのため、高収益を上げているにもかかわらず、企業は多額の内部留保を積み上げるという行動を選択しています。
 その結果、従業員の所定内給与(決まって支給される給与)はなかなか上げずに、収益が上がった場合にはボーナスによって調整するという状況が続いています。
 しかしながら、所定内給与が安定して増加して、しかも物価上昇分を越えて増えていくようにならなければ、家計はなかなか将来を客観的に見ることはできません。

<異次元緩和が目指した「物価上昇率2%」のゆくえ>
・それでは、この「物価上昇率2%」は、本当に実現できるのでしょうか?残念ながら、2017年時点では、「物価上昇率2%」の目標には、ほど遠い状況にあります。

<異次元緩和を「総括」する>
・厳しい言い方をすれば、一番大切な目的に対して、異次元緩和は期待通りの効果を発揮できなかったわけです。異次元緩和のような「非伝統的金融政策」は、決してパワフルな政策ではないことがわかってしまったともいえます。

<「過去最高」の企業収益。それでも手放しでは喜べないのはなぜか?>
<売上増加を伴わない「過去最高益」>
・もちろん、個々の企業では事情は異なりますが、おしなべて見ると、アベノミクススタート以前と以後とでは、企業の売上高はほとんど変化していないのです。収益は増えたけれど、売上は増えてはいないという状況です。

<危うい均衡の上に立つ高収益>
・それではなぜ、企業が高収益を実現できているかといえば、それは、各企業のコストカットの努力によるものです。長く景気が低迷する中、各企業は経費節減を進めるなど、筋肉質な体質づくりに努めてきました。値上げをする場合でも、より付加価値をつけた商品やサービスを提供して、消費者に納得してもらえる工夫もしています。
 今日の高収益は、こうした企業の涙ぐましい努力によるとところが大きいのです。

・企業の側も、売上高が増えない中、この先も簡単には売上が上がらないことをよくわかっています。そのため、設備投資には慎重になります。また、今後は国内市場の縮小が予想される中、海外市場へと活路を見出すべく、買収のための資金を確保する必要があり、そのため従業員の賃金を上げることにも消極的にならざるを得ません。

<世界経済のゆくえ>
<ブレグジット>
・こうした独自の需要と強みを持つシティに対して、これに追随できるような国は、ユーロ圏にはひとつもありません。したがって、仮にブレグジットが現実になったとしても、世界中からの資金がシティに集まってくるという流れが止まることはないでしょう。

・こうして見ると、ブレグジットは、イギリスにとっても、そう悲観的なことばかりではないかもしれません。長い目で見れば、有益なことのほうが多い可能性もあります。EUよりも規制を少なくして、もっと法人税率を下げれば、世界の主要企業がますますロンドンに拠点を構えるようになるかもしれません。
 実際、ブレグジットの世界経済への影響については、「それほど大きくはないだろう」というのが、ヨーロッパの多くの識者の考え方です。

<中国バブルは崩壊するのか? そのとき、世界経済、日本経済はどうなる?>
<中国が抱える2つの「過剰」問題>
・政府の債務自体は対GDP比で40%前後と、それほど大きくはないようですが、企業債務はどんどん増えていき、すでに対GDP比で170%から200%を越えるほどにまで達しているとの推計もあります。
 また、中国では、こうした企業債務に加えて、家計の債務も増えています。とくに住宅の価格高騰を受けて、住宅ローン債務が大幅に増加する傾向にあります。現時点では、家計の債務の大きさは政府債務と大きくは変わらない程度のようですが、公的・民間の債務を合計すると対GDP比で200%を大きく超えるほど膨張しています。そのため、習近平首席がどう対応するのか、世界の注目が集まっています。

・さらに、企業の過剰生産能力による問題も深刻です。リーマンショック以降、中国政府は景気刺激策として大規模な財政出動を行いましたが、これがさらなる企業の過剰生産能力問題を生むことになりました。

・この状態に対しては、いずれ何らかの手を打つ必要がありますが、過剰生産能力による供給過剰の状態を解決しようとして供給に制限をかけると、それによって大量の失業者が発生してしまうことになりかねません。そうした事態を避けるためにも、中国政府には慎重な舵とりが求められます。

<資本流出を妨げるか?>
・中国経済の諸問題を語る中で、忘れてはならないのが、「資本流出」の問題です。中国は、2014年から、それまでの「資本流入」から「資本流出」へと転じました。これは、外国から中国に対して入ってくるお金よりも、中国から外国へと出ていくお金のほうが多くなったということを意味します。2015年には、約1兆ドルもの資金が中国から国外へと流出したとする試算もあります。

・一般的には、通貨安になると輸出が増える効果を生むなどのメリットもありますが、中国当局はむしろ、人民元安が進むことで中国からのさらなる資金流出を招き、これに歯止めがかからなくなることを懸念しているようです。

<「中国発のリーマンショック」は起こるのか?>
・これまで見てきたように、中国経済は、主に企業による「過剰債務」問題や、企業の「過剰生産能力」問題、さらには「資本流出」問題など、さまざまなアキレス腱を抱えています。
 また、上海や北京などの不動産価格が高騰し、もはやバブルと呼べる水準に達しているのではないかとの指摘もあり、不動産バブル崩壊による経済への悪影響を懸念する声もあります。
 それでは、右記のような諸問題がやがて顕在化して、それが世界中へと波及する「中国発のリーマンショック」のような事態を引き起こすことになるのでしょうか?
 私は、そのような事態になりにくいと考えています。

・以前は、中国経済が減速したとしても、それが大きく世界経済に影響することはありませんでした。ところが現在では、購買力平価(各国の通貨が自国内でモノやサービスをどれだけ買えるかという比率)で換算したGDPは、すでに中国はアメリカを抜いて第1位となっているのです。
 これほど世界での存在感を強めているため、中国経済が減速した場合には、まずアジア・太平洋の市場全体が大きな影響を受け、やがてそれが世界全体へ波及していくという構造になっているのです。

<膨張する政府債務。東京五輪後に日本の財政は「破綻」するのか?>
<海外ではまったく信じられていない「日本の財政再建」>
・こうした中「統合政府論」といったことを主張する人たちが現れました。日本銀行は政府の子会社と見なせるため、日本銀行が買い入れた国債は政府の負債と相殺されるのだから、日本の財政再建は着実に進んでいる、というのです。
 
・いずれにしても、ここではっきりといっておかなくてはならないのは、海外では日本の財政再建が可能であるとは、まったく信じられてはいない、という事実です。

・すでに指摘した通り、日本の政府債務は、世界標準である対GDP比「60%」などは、もはや夢のまた夢というレベルにまで膨らんでいます。これがどれほど深刻な事態であるのかを、私たち日本人は、今一度、しっかりと認識しておく必要があると思います。

<「国民の金融資産1800兆円」の安心感>
・私たちはいずれ、日本政府が抱える膨大な債務の問題について、真剣に向き合わなくてはならないときがくるということです。

<「統合政府論」は正しいのか?>
・「統合政府論」では、日本銀行を政府の子会社と見なし、バランスシートを統合して考えます。そうすれば、日本の財政はすでに再建されている、というのです。
 どういうことかというと、現在、日本政府の債務として、長期国債が1000兆円程度あります。一方、日本銀行には、金融緩和政策の一環として市場から買い入れてきた日本の長期国債が、資産として約400兆円以上計上されています。
 そこで、政府と日本銀行を一体として考えると、約1000兆円の日本政府の債務のうち400兆円分は日本銀行の資産400兆円と相殺され、政府の債務(長期国債)は差し引き600兆円にすぎなくなるというのです。しかも、今後も日本銀行が国債の買入を進めていけば、ますます政府の債務は減っていくというのです。
 これがもし本当ならば、これほどうまい話はありませんが、果たしてそうなのでしょうか?残念ながら、私はそうではないと考えています。
 まず、現在の制度化では、政府と日本銀行のバランスシートを統合するという考えには、実際の運営の観点から見ると、あまり現実味がないからです。

・仮に日本銀行を政府の完全子会社化して、政府の国債を持たせるだけの機関とすれば、日本銀行はもはや「政府のいいなりになる銀行」にすぎなくなります。

<東京五輪後、「ハイパーインフレ」は起こるのか?>
・結論からいえば、私は日本でハイパーインフレが起こる可能性は、かなり低いと考えています。

・もし、政府が膨大な政府債務を放置して、このまま財政再建を進めなければ、日本国債や円はほとんど市場の信認を失っていき、日本はますます世界の小国へと転落していくことでしょう。

<東京五輪後、日本経済は「成長」していけるのか?>
<成長なき社会>
・これからの日本は、ものすごいペースで人口減少が進んでいくとともに、高齢者の割合がどんどん増えていくと予想されています。
 それに伴い、生産年齢人口がどんどん減っていくため、人手不足がいよいよ深刻になり、経済成長はますます難しくなっていくでしょう。

<いよいよ始まる企業淘汰>
・現在、日本経済は供給力と実需がほぼ釣り合っており、設備もフル稼働に近い状態になっています。中には、老朽化した生産設備を使って生産を続けているため、稼働率が目いっぱいに高まり生産能力が限界にきている企業も少なくありません。
 ただ今後は、供給能力よりも、需要のほうがより早く減っていく可能性が高いと考えられています。
 しかしそうなると、モノやサービスをたくさんつくっても売れない、という状況が生じてきて、いよいよ企業淘汰が始まることになります。

<「シェアリングエコノミー」の時代>
・「シェアリングエコノミー」とは、個人が保有している遊休資産の活用を、インタ―ネットなどを通じて仲介するサービスのことをいいます。

・つまり、たとえモノを所有しなくても、必要とするときには何でも簡単に利用できる、そんな社会が実現しつつあるのです。
 となると、これからはますます、「頑張ってでも車を買おう」という人たちは少なくなっていくことでしょう。
 日本経済がこれから「成長なき社会」へと突入していく可能性が高い大きな要因は、こうしたところにも見出せるのです。

<東京五輪後の未来のために、政府や日本銀行がやるべきことは?>
<「軌道修正」する勇気を>
・これからの日本社会は「成長なき社会」に突入する可能性が高く、高い経済成長を実現させることは容易ではありません。だからこそ、政府や日本銀行は、その難題に向き合い、正しく現状を理解したうえで、これに果敢に挑戦していくしかないのです。そのためには、政策が誤っていたと気づいたならば、それを速やかに軌道修正する柔軟さが、何より求められます。
 具体的にいえば、まず、日本銀行が現在も続けている金融政策を、より現実的なものへと修正していくことです。

<国民に向き合った政策を>
・では、国民のこうした「不安」の原因は、突き詰めればどこに行き着くでしょうか?それは社会保障に対する不安と、政府の膨大な債務に対する不安だと、私は考えます。

・彼らと話していると、多くの場合、その不安の原因は、「将来、ちゃんと年金がもらえるかわからない」「政府は信用できない」の2つに行き当たります。
 彼らは、こうした2つの不安要素が存在するゆえに、将来に備えてせっせと貯蓄に励まざるを得ず、安心して消費を増やすことができないのです。
 
・日本政府はこれまでずっと、つねに問題を先送りする政策を続けてきました。しかしそれはやがて、必ず将来世代にツケを回すことになります。
 しかも日本はすでに世界最悪レベルにまで財政が悪化しているのです。これ以上の先送りは許されません。つかの間の低金利の世界に安住することなく、政府はしっかりと財政再建への道を探っていくべきなのです。

<「成長なき社会」の中で、どのように政府債務を減らしていくのか?>
・これまで、日本社会はこれから、「成長なき社会」へと突入する可能性が高いことを述べました。また、その一方で、財政再建の重要性を説いてきました。
 しかし、経済成長ができない国で一体どのようにすれば、政府債務を減らしていくことができるのでしょうか?

<東京五輪後に、国民1人ひとりが実践していくべきこととは?>
<「自ら判断できる」国民へ>
・この結果を見ても、日本人の多くが、政治にしても経済にしても、自分の生活にもかかわる大切な事柄であるにもかかわらず、「他人にお任せ」という態度になっていると感じます。もっといえば、今の日本には、厳しい現実から目を背けて、「今さえよければいい」という風潮が漂っているようにも思えるのです。
 しかし、こうした考え方は、非常に危険です。なぜなら、これはどの国でもいえることですが、政府関係者や金融政策担当者が、必ずしも正しい政策を行っているとは限らないからです。

<「自助努力」を始めよう>
・すでに指摘した通り、日本はこれから「成長なき社会」に突入していく可能性が高いのです。そうした経済情勢の中で、もしインフレが起きるとすれば、それは需要拡大による「デマンドプル型」のようないい形でのインフレではなく、生産費用の上昇による「コストプッシュ型」といった、国民生活にとっては悪い形で実現する可能性が高くなります。

・また、少子高齢化が進み、政府が巨額の債務を抱える中では、残念ながら、社会保障費は削減される方向へと進まざるを得ないでしょう。そうなれば、年金だけで豊かな生活を実現していくことは、一段と難しくなります。
 だからこそ、私たちには「自助努力」が求められるのです。そのための具体的な方法としてはまず、今度は国民1人ひとりが預金や現金だけに頼るのではなく、リスクをとって積極的な資産運用をしていくことです。
 そのひとつが、外国通貨や外貨通貨建て資産への積極的な投資です。

・それともうひとつ、株式投資にも必要以上に慎重になるべきではありません。バブル崩壊後、日本の株価は過去最高値の半値程度に沈んだままですが、諸外国に目を転じれば、多くの国でどんどん過去最高値を更新しています。

・さらに、なんといっても、私たち1人ひとりが健康に留意して、できるだけ長く働いていけるように心がけ、それを実践していくことも大切です。

<東京五輪の宴の後で>
・2013年9月の「東京五輪開催決定」を受けて、多くの国民の心は明るさを取り戻しました。「これから経済も上向きになる」。そう考えた人々も多かったことでしょう。それは素晴らしいことですが、2020年には東京五輪は確実に終了します。東京五輪開催に向けた人々の期待が一気にしぼみ、日本経済は大きく減速する可能性があります。
 そのとき、日本人はあらためて、日本経済が置かれている厳しい現実と向き合うことになるでしょう。

・これまでくり返し述べてきた通り、日本はこれから「成長なき社会」へと突入していくことが見込まれています。そうした社会において、私たちは何をしていくべきなのか、残念ながら、まだその明確な答えはありません。

・しかし、そうした現状の中で、現実から目を背け、「日本銀行を政府の子会社化して国債を持たせてしまえばいい」というような安易な考え方が出てくるたびに、私は「この国の未来は本当に大丈夫なのか?」と本気で憂えてきました。

<世界には国民が自国の通貨すら信じられない国がある>
・「東京五輪後」の日本経済は、これまでの人類が経験したことのない、道の世界へと突入していきます。
そうした未知の世界で、私たちは何ができるのか? そして何をすべきなのか?今はまだ、その明確な答えはありません。



『アメリカは日本経済の復活を知っている』
浜田宏一     講談社  2013/1/8



<白川方明という名の優秀な学生>
・経済学者として長い間、教鞭をとってきた私だが、学生に「大学院に進んでみないか」と声をかけることは少ない。本人に能力がなければ、あとから、本人にとっても、指導する側にとっても、たいへんになるだけだからだ。いまでは就職難のため、あるいはモラトリアム期間の延長のために大学院へ進む学生も珍しくないが、私は決して勧めようとは思わない。
 そんななかで数少ない例外の一人が、白川方明氏だった。そう、日本銀行総裁である。
 白川氏に初めて会ったのは、1970年のことだ。私が東京大学経済学部で教鞭をとっていた時代。その聡明さには、たいへんな感銘を受けた。

<人口はデフレの要因なのか>
・日銀は「人口がデフレの要因である」ことも主張したいらしい。ところが、人口をデフレに結びつけるのは、理論的にも実証的にも根拠のないものだ。もちろん人口は成長の要因にはなるが、実質生産に、人口あるいは生産年齢人口が影響するのは当たり前のことである。
 しかし、貨幣的現象である物価、あるいはデフレに人口が効くというのは、経済の解剖学すなわち「国民所得会計」から見ても、生理学すなわち「金融論」から見ても、まったく的外れな議論だ。医学の発達した社会で、床屋の素人談義で患者の診断と治療法をきめようとしているのが日銀の姿なのだ。
 日銀が国際会議等で示す研究成果もレベルが低い。統計学の講義のいちばん初めに注意されることだが、偶然グラフに数字が都合よく出てきて、あたかも関係があるように見える、「見せ掛けの相関」を使ったりする。
 たとえば嘉悦大学教授の高橋洋一氏が指摘しているように、33ヵ国のうちから都合のよい24ヵ国だけを選ぶという、統計学上における一種のカンニングを行ったりしている。経済の「治療」に当たる医者がやるようなことではないだろう。

・人口構成がマクロ経済に関係があるのはもちろんだが、現在の経済学では、デフレの原因とは決して結びつけることはできない。ここにも、総裁の主著『現代の金融政策』(日本経済新聞社)の各所に見られるように、日本銀行の都合で経済学を書き換えてしまう一例がある。
 このようなまやかしの手法を使った日銀正当化のために、果たして国税を使って国際会議など開催してよいものだろうか。

・経済学の現状から見ると、ノーベル経済学賞候補としてよく名の挙がる清滝信宏プリンストン大教授の共同研究が示唆するのは、リーマン・ショック以後、英米の大胆な金融拡大があったからこそ、世界大不況のような破局から人々が救われた公算が大きいということに他ならないということだ。

・マクロ経済学の分野において「低金利は企業を脆弱にする」という議論は、実質金利と名目金利を無視している。

<「良い日銀」と「悪い日銀」>
・バレンタインデーの政策変更で、いったんは正統的な政策に戻ったように見えた日銀だが、それはいやいや行ったのではないかという不安もあった。「バレンタインデー緩和」は、私にとっては「良い日銀」であったが、総裁の談話などを聞いて、「悪い日銀」がまだ隠れているのではないかと思えたのだ。
 案の定、何ヵ月か経つと、私が「良い日銀」の看板にだまされていたことが分かってきた。

<日銀の意識に「庶民の生活」はない>
・毎日のように通勤電車を止める飛び込み自殺。その一部は明らかに経済的要因で説明できる。しかし、日銀政策委員会を傍聴した人によれば、日本銀行には、金融政策が、失業、倒産、そして自殺を増やすという形で庶民の生活に密着しているという意識がないらしい。
 円高政策は弱い企業をいじめる政策である。経済の空洞化を推し進める政策であるのはもちろん、地方切り捨ての政策でもある。空洞化の流れで、企業が外国に工場を移転しても、東京のヘッド・クォーターは残る。結果、工場があった地方は疲弊する。東京は超円高に耐えられても、地方はそうはいかないのである。そう考えれば「大阪維新の会」の支持者が多かったのもうなずける話だ。
 これらのメカニズムに気づかない、あるいは気づいても黙っている学者、報道しないマスコミも同罪といっていい。20世紀初頭にかけて足尾銅山の鉱害と戦った田中正造が議会で質問したように、「亡國に至るを知らざれば之れ即ち亡國の儀」なのである。

・「しかし今もっとも責められるべきは、財務省や財界や政府と言うより日銀であろう。デフレ不況を十数年も放置してきた責任の大半は日銀にあるのだ。リーマン危機以来、アメリカは通貨供給量を3倍に増やすなどを米英中韓その他主要国の中央銀行は猛然と紙幣を刷り景気を刺激した。日銀は微増させただけで静観を決めこんでいる。ここ3年間で円がドル、ユーロ、ウォンなどに対し3割から4割も高くなったのは主にこのせいだ。今すべきことは、日銀が数十兆円の札を刷り国債を買い、政府がその金で震災復興など公共投資を大々的に行い名目成長率を上げることだ。札が増えるから円安にもなる。工場の海外移転にも歯止めがかかる。ここ14年間、経済的困窮による自殺者が毎年1万人も出ている。日銀は動かない」

・経済学の専門家でない藤原氏に分かることが、どうしてエコノミスト、学者、政治家、マスコミには分からないのであろうか?

<経済学200年の常識を無視する国>
<閣僚たちは「ヤブ医者」の群れだった>
・閣僚は、医者であるはずなのに、経済学の解剖学、すなわち高橋洋一氏の強調するバランスシートの基本が分かっていない人たちばかりだった。経済がどのようなメカニズムで動くのかという生理学にいたっては、ほとんどの閣僚が無知もしくは誤解していた。
 生理学とは、たとえば「デフレに一番効くのは金融緩和である」という、大学1年生の経済学の教科書にも載っている基本原理だ。どんな経済政策で働きかけると、経済のどの部分にどう波及していくのかを理解しないで、日本経済という大船の舵をとろうという閣僚たち……。
本人から見れば最強の内閣なのだろうが、国民にとっては、いつ座礁させられるか分からない恐ろしい内閣だった。
 
・まず、藤井裕久氏である。このとき官房副長官となった藤井氏は、「円高は日本にとっていいことだ」と言い続けてきた元大蔵官僚だ。政治家として大蔵大臣、財務大臣も経験しているが、ずっと円高論者だった。
 経済財政担当大臣の与謝野馨氏も、「円高がいい」「デフレでいい」という持論の持ち主。円高デフレの際にも財政金融政策を使わなくてもいいという、これから説明するような世界の経済学の常識に真っ向から反する理解と政策を掲げてきた。
 いってみれば、目の前に重篤な患者が横たわり、しかも自分がその病気を治すための薬を持っているのに、「薬は使うな」と指示しているようなものである。
 これは、日銀とまったく同じスタンスである。

・もちろん、私は日銀や政府の政策担当者に個人的な恨みなどない。私が東京大学時代や、イェール大学で教えたり、指導したりした人、共同研究者だった人が、日銀、財務省、経済産業省などにはたくさんいる。重要な地位にいる人も多い。みな、いまでも親しい友人だ。しかし、彼らのすることが国民生活に及ぼす効果や弊害を考えると、「人は憎まず、されど政策の結果(=罪)を憎む」といわざるをえない。

<首相の狂気「増税すれば経済成長する」>
・大臣たちだけではない。菅直人首相は、信じられないことに、「増税すれば経済成長する」と語った。「利上げすれば景気が回復する」といったのは枝野幸男官房長官だ。
 もう笑うしかない—―そんな高橋氏の言葉に、私はうなずくしかなかった。

・君子が豹変したことよりも、内閣の経済政策に関する理解と主張が、現代の常識にのっとらない、きちんとした「治療」とはかけ離れたものであることが問題なのだ。
 新内閣の最も重要なポジションに、まったく間違った、経済の常識からすれば逆の政策をやろうという人たちが就いていた。その周囲も、官房長官をはじめ、みなデフレ派だ。まさに驚くべき布陣だった。昔、私も務めたことのある経済社会総合研究所長の座には、金融政策がまったく効かないというマクロモデルをつくった人物が就いていた……。
 高橋氏はこの対談で、さらに、「そこにもう一人、加えなければならない人がいます。前の官房長官の仙谷由人代表代行です」と語っている。
 このとき、民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」の会長に就任した仙谷氏は、「需給ギャップがあっても何もするな」と明言したことのある人物だったのだ………。

<無視された経済学200年の重み>
・だが、内閣はその積み重ねをまったく理解していなかった。それどころか、経済の理屈とは正反対のことをしようとしてきたのだ。
 経済学においては、自然科学のようにパッと予測することは難しい。制御に関しても、まだ曖昧な面がある。とはいえ、さまざまな学者たちが、事実を積み重ねながら考えてきた200年余の歴史があるのは事実だ。
 菅内閣と野田内閣では、その現実がまったく無視されてしまったのである。経済学が積み重ねた貴重な歴史を無視するアイディアに取り込まれた人たちを集めて、内閣が形成された。
「まあ見事といえば見事ですね。国民にとっては非常に恐ろしいことですが」
高橋氏の対話中、私の口からはそんな皮肉が自然と口をついて出た。
 そういう状況だっただけに、私は空路で、「こんな内閣の経済政策を議論しに、イェール大学の講義を補講にまでして帰国するのは時間の無駄かもしれない」と、日本に着いたらトンボ返りでアメリカに引き返そうかとも考えた。だが、かつて教わったジェームズ・トービン、フランゴ・モディリアーニ(ともにノーベル経済学賞受賞者)といった先生たちの顔を思い浮かべると、そうもいっていられないと感じたのである。

・以下で紹介する政策も菅内閣時代のものだが、当時の財務の責任者は野田佳彦氏。つまり後の総理大臣である。野田内閣でも、やはりまったく経済の論理に反する政策が続けられた。

<日本政府の空洞化促進政策>
・そこに示されていたのは、菅内閣が8月24日に発表した「円高対応緊急パッケージ」であった。
 1000億ドルとヘッドラインにうたっているように、たしかに対策の規模は大きい。しかしその内容を見て、本当に驚いた。これほど経済原理とかけ離れた対策が打ち出されようとは思いもしなかったからである。
 緊急パッケージは次のような骨子から成り立っている。
(1) 政府は日本が豊富に持つ外貨準備を使い1000億ドル(約7兆6000億円)の基金をつくり、円高で苦しむ企業に対して緊急に低利で融資する。
(2) この基金は、国際協力銀行を通じて融資され、日本企業が行う海外企業や資源の買収を容易にする。
(3) それと同時に(これは罰則を伴わない規定でもあるので以下では議論しないが)、金融機関に外貨での資産残高を報告させる。
 これになぜ驚いたかというと、まったく円高対策になっていないからである。
 円高の原因や、それに対応する政策手段について、大臣はもとより官僚も、国際金融論の初歩的な知識すら持っていないに違いないと感じられた。
 さらに数日後、日本の友人から知らされた新内閣の顔ぶれにはもっと驚いた。そのパッケージをつくった大臣、すなわち野田佳彦氏が、こともあろうに首相となり、後任の財務大臣には、経歴から見て財政とは無縁な素人、安住淳氏が就任したからだ。
「いままでと同じく、今後も財務官僚の案をオウム返しに述べます」と宣言したようなものである。長年にわたる誤った金融・財政政策によって冷え込んだ日本経済を再建するために、この内閣がいかに「不適在不適所」であるかはいうまでもない。

<世界は日本経済の復活を知っている>
・東日本大震災は、負担を将来に先送りし続けてきた公債依存型の財政の弱点を顕わにした。しかし、消費増税で一気に財政を改善しようとしても、それは国民経済のパイ全体を小さくしてしまうことになる。それによってもたらされるのは、歳入の減少に過ぎない。
 増税を急ぎすぎると、むしろ日本経済にダメージを与えることになるのだ。
 まず必要なのは、充分な量的緩和によって、デフレ、需給不足、低成長から脱すること。そしてそれは、経済を学んだ人間なら、世界中誰もが知っているはずの常識である。
 そこに、日本復活への鍵がある。言い換えるなら、世界は日本経済の復活を、すでに知っているのだ。

<「美しい国」を取り戻すために>
・安倍晋三氏の著書のように、日本に帰るたびに、私も日本は「美しい国」だと実感する。自然の美しさにとどまらず、心の細やかさもある国である。病院で検査の採血をしてもらうだけでも、治療の細やかさ、やさしさが伝わってくる。このような美しい日本が、金融政策を「しょぼい」レベルに保っているために、毎年、若年失業率の高い、設備稼働率の低い状態を続け、さらにそれが将来への成長の活力を奪っているのは、残念で仕方がない。
 私はホテルの周りを取り巻く長い空車タクシーの列を見るたびに、日本経済の現状に思いを馳せてしまう。円高、デフレ、空洞化を解消して、「美しい国」を取り戻してほしい。それが私の切なる願いである。



『伝説の教授に学べ!』  本当の経済学がわかる本
勝間和代が本気で勉強したかったとても大切なこと
誰がデフレ不況を長引かせているか
浜田宏一、若田部昌澄、勝間和代
2010/7/8  東洋経済新報社



<これが経済学のカンドコロだ>
1、 身の回り(ミクロ)では正しいことでも、国全体(マクロ)で考えるとおかしくなることがある。ミクロとマクロを区別しよう。

・それぞれについて、経済学ではミクロ経済学、マクロ経済学と言う区別をする。

2、 名目と実質を区別しよう。

おカネの価値が上がることをデフレ、下がることをインフレという。

・貨幣表示の値打ちを名目値、貨幣価値の変化を考慮した値打ちを実質値と言う。「デフレでモノの値段が下がる」というのは、「名目」に着目した議論。

3、 フロートストックを区別しよう。
・フローというのは一定期間内に「流れる」経済活動の量。ストックというのは、一定時点で「たまっている」経済量。

4、 部分均衡と一般均衡を区別しよう。
・限定された一部のことだけを取り上げる事象が全体とどう関連しているのかを考えるのが、一般均衡的な発想法。例えば、「デフレでモノの値段が下がるから、デフレはありがたい」というのは、「部分均衡」的な考え方と言える。

5、 固定相場制と変動相場制を区別しよう。
・現在の日本のように変動相場制を採用している場合は、国内の金融政策で物価水準を動かすことができる。

6、 民間銀行と中央銀行を区別しよう。
・民間銀行にとっておカネは「資産」になる。それに対して中央銀行にとっておカネは「負債」になる。

・1990年代後半にデフレの問題が顕在化してから10年以上の歳月が流れました。しかし、残念ながら「デフレの真の原因は、日本銀行の誤った金融政策にあった」という本当のことはいまだに人々に伝わっていません。その結果、政治家は金融政策を軽視し、日本銀行が暴走して無茶な引き締めを行い、結果的に10年以上デフレが続いています。人類史上稀にみる経済失政、大災害が現在進行形で続いているのです。

・日本には、経済失政が人々の心を蝕み、やがて議会制民主主義への失望を通して国民を巻き込んだ無謀な賭けへと導いてしまった悲しい歴史があります。

<私たちは、絶対にこの歴史を繰り返してはいけません>
・今度はみなさんのターンです。私たちは、議会制民主主義を通じてこの国を変えることができます。

・国民一人ひとりの声が大きくなれば必ず政治は変わります。政治が変われば日本銀行に対するガバナンスの仕組みを変えられます。



『日本はこの先どうなるか』
高橋洋一  幻冬舎   2016/8/10



<政治・経済では本当は何が起きているのか>
<英国のEU離脱、欧州への大量移民、崩壊寸前の中国経済、米国の過激な大統領候補、日本の戦争リスク………>

<データに基づかなければ、議論する意味はまったくない>
・参院選の結果を受け、さらなる経済政策が実行される。
・憲法改正は容易ではない。
・イギリスEU離脱の悪影響はボディブローのように効いてくる。
・イギリス経済は将来的には成長する可能性あり。
・経済は人の「気分」で動く。
・エコノミストの予測が外れるのは経済学部が「文系」だから。
・輸出入統計から推計した中国のGDP成長率はマイナス3%。
・国債暴落説の大ウソ。
・財務省の税務調査権は実に恐ろしい。
・日本経済は必ず成長できる!
・戦争のリスクを甘く見てはいけない。

<データは嘘をつかない>
<トランプ大統領の誕生は日本にどう影響するか >
・最近のトランプ氏の発言を聞いていると、いよいよ「へりコプターマネー」を言い出すのではないかと考えている。
 へりコプターマネーのもともとの意味は、中央銀行が紙幣を刷ってへりコプターから人々にばらまくというものだ。ただし、実際にこれを行うことは難しく、「いつどこにへりコプターが来るのか教えてほしい」というジョークすらあるほどだ。
 現在のように中央銀行と政府が役割分担している世界では、中央銀行が新発国債を直接引き受けることで、財政赤字を直接賄うことをへりコプターマネーと言うことが多い。

・バーナンキ氏のそれは名目金利ゼロに直面していた日本経済の再生アドバイスであったが、具体的な手法として、国民への給付金の支給、あるいは企業に対する減税を国債発行で賄い、同時に中央銀行がその国債を買い入れることを提案していた。
 中央銀行が国債を買い入れると、紙幣が発行されるので、中央銀行と政府のそれぞれの行動を合わせてみれば、中央銀行の発行した紙幣が、給付金や減税を通じて国民や企業にばらまかれていることになる。その意味で、バーナンキ氏の日本経済に対する提案はへりコプターマネーというわけだ。

<もし朝鮮半島で有事が起きれば、韓国における在留邦人保護も大きな課題>
・体制の維持には、一定の経済力が必要だ。中国経済の景気後退の影響で、北朝鮮経済は深刻なダメージを被っていることが予想される。対中輸出依存度が25%程度の韓国でさえ、2015年の輸出額は対前年比6%程度も減少している。対中輸出依存度が70%以上と言われる北朝鮮は、中国経済の低迷の影響をモロに受けているに違いない。
 北朝鮮のGDPは謎に包まれているが、400億ドル程度(4兆4000億円程度)とされており、一人当たりGDPは2000ドルにも達しない最貧国である。人口は約2300万人で、そのうち5%、つまり約120万人が軍人である。
 これを日本に当てはめて考えると、自衛隊員を600万人も抱えている計算になる。その経済的な負担は、あまりにも大きい。

・北朝鮮は、国連制裁をこれまで4回も受けている。1月の核実験、2月のミサイル発射を考慮して、もし追加の国連制裁を受けた場合、事実上は6回の制裁と考えていいだろう。これは、7回も国連制裁を受け、結果としてつぶされたイラク並みである。そうなると、朝鮮半島有事も充分に想定できるのだ。

<米軍が日本から撤退すれば、日本の核保有が現実味を帯びる>
<願うだけで平和が実現できるなら、世界はとっくに平和になっている>
・集団的自衛権の行使容認は、アメリカとの同盟関係の強化をもたらし、日本の戦争リスクを下げることにつながるのである。
 集団的自衛権は、同盟関係と一体不可分のものだ。世界では、集団的自衛権なしの同盟関係はあり得ない。その意味で、もし集団的自衛権の行使を認めなかったら、日本はいずれは日米同盟を解消される恐れもある。

・安保関連法の成立を世界の視点で見れば、これまで同盟関係がありながら集団的自衛権の行使を認めなかった「非常識」を、世界の「常識」に則るようにした程度の意味である。そう考えれば、「安保関連法で日本が戦争をする国になる」などといった主張が単なる感情論にすぎないことがわかるだろう。実際、国際関係論の数量分析でも、同盟関係の強化が戦争のリスクを減らすことは実証されているのである。
 安全保障を議論するときはいつもそうだが、左派系が展開する議論はリアルではなく、非現実的かつ極端なものばかりだ。

 安保関連法案が国会で審議されている最中、衆議院憲法審査会において、3人の憲法学者が「安保関連法案は憲法違反」と指摘して話題になったことがある。聞けば、95%の憲法学者が集団的自衛権の行使容認を違憲だと考えているという。

<中国のGDP成長率を推計すると、「−3%」程度である>
・中国政府のシンクタンクである中国社会科学院は、2015年のGDP成長率を「+6.9%」と発表しているが、これはおそらくウソだろう。
 もし、筆者のこの推計が正しければ、中国経済は強烈な減速局面に突入していることになる。

・要するに、貿易面から見れば、中国経済の失速はアメリカのそれと大差ないくらい、世界経済に与える影響が大きいものになるということだ。
 しかも、その影響は中国との貿易依存度が大きいアジアでより深刻になるはずだ。
 ちなみに、リーマンショック後の2009年、アメリカのGDPは3%程度減少し、輸入も15%程度減少した。貿易関係を通じた実体経済への影響については、現在の中国の経済減速は、リーマンショックのアメリカと酷似している状況だ。この意味では、中国ショックはリーマンショック級の事態に深刻化する可能性を秘めているのである。

<中国は「中所得国の罠」にはまり込んでいる>
・「中所得国の罠」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりのGDPが中程度の水準(1万ドルが目安とされる)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを言う。
 この「中所得国の罠」を突破することは、簡単ではない。アメリカは別格として、日本は1960年代に、香港は1970年代に、韓国は1980年代にその罠を突破したと言われている。一方で、アジアの中ではマレーシアやタイが罠にはまっていると指摘されている。中南米でもブラジルやチリ、メキシコが罠を突破できすにいるようで、いずれの国も、一人当たりGDPが1万ドルを突破した後、成長が伸び悩んでいる。

・これまでの先進国の例を見ると、この罠を突破するためには、社会経済の構造改革が必要である。社会経済の構造改革とは、先進国の条件とも言える「資本・投資の自由化」である。日本は、東京オリンピックの1964年に、OECD(経済協力開発機構)に加盟することによって「資本取引の自由化に関する規約」に加入し、資本・投資の自由化に徐々に踏み出した。当時、それは「第二の黒船」と言われたが、外資の導入が経済を後押しし、それが奏功して、日本の1人当たりGDPは1970年代半ばに5000ドル、1980年代前半に1万ドルを突破した。

・では、中国ははたして「中所得の罠」を破れるだろうか。筆者は中国が一党独裁体制に固執し続けるかぎり、罠を突破することは無理だと考えている。
 ミルトン・フリードマン氏の名著『資本主義と自由』(1962年)には、政治的自由と経済的自由には密接な関係があり、競争的な資本主義がそれらを実現させると述べられている。経済的自由を保つには政治的自由が不可欠であり、結局のところ、一党独裁体制が最後の障害になるのだ。
 そう考えると、中国が「中所得国の罠」を突破することは難しいと言わざるを得ない。

<日本の財政は悪くない>
<「日本の借金は1000兆円」という財務省による洗脳>
・話を消費増税の延期に戻そう。そもそも消費税率を引き上げる目的は、「税収」を増やすためである。税収を上げたがっているのは誰かと言えば、それは財務省だ。景気が充分に回復していない状況での増税は経済成長を阻害することが明白であるにもかかわらず、なぜ財務省は消費税率を上げたがるのか?その理由については後述するが、増税の方便として使われているのは、いわゆる「日本の借金」である。1000兆円—―
 この数字を見て、おそらく読者の皆さんのほぼすべてが、「日本の借金」という言葉を頭に思い浮かべたに違いない。それほどまでに、「日本の借金1000兆円」というフレーズは巷間に定着してしまっている。

・当時から、旧大蔵省は「日本の国家財政は危機に瀕している」と対外的に説明していたが、バランスシートを作成した筆者には、すぐその主張がウソであることがわかった。負債と同時に、政府が莫大な資産を所有していることが判明したからだ。このとき、幹部からバランスシートの内容を口外しないように釘を刺されたことを覚えている。
 あまりに資産が多額であったからであり、それまで「国の借金はこんなにたくさんあります」と資産の存在を公表せずに負債だけで財政危機を煽ってきた説明が破綻してしまうからだ。

・しかも資産の大半が特殊法人などへの出資金・貸付金であったため(これは現在も大差ない)、仮に資産の売却や整理を求められると、特殊法人の民営化や整理が避けられなくなってしまう。これは、官僚にとっては{天下り先}を失うことを意味し、自分で自分の首を絞めることにつながる。筆者も当時は現役の大蔵官僚だったため、「口外するな」という命令に従わざるを得ず、情報を外部に漏らすことはしなかった。
 残念ながら、筆者が作成したバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になってしまったが、1998年度から2002年度までは試案として、そして2003年度以降は正式版として外部にリリースされるようになった。

・何しろ日本の長期金利は、2016年2月9日に史上初のマイナス台に突入したほどの超低金利なのだ。にもかかわらず、国債暴落説はいまだに巷間でくすぶり続けている。
 国債暴落説の根拠とされているものはいろいろあるが、その一つは、日本の財政破綻だ。日本政府がいずれ国債の金利負担に耐えられなくなるとの見通しから、損を回避したい人々の間で国債の売却が加速し、いっきに債券価格が下落して金利が暴落するというロジックである。しかし、前述のように日本は財政破綻状態ではないため、この話はそもそもの前提が間違っていることになる。

・金融や財政に馴染みが薄い一般の人が、財政破綻論や国債暴落説を語ったり信じたりすることは仕方がない面もあるが、専門家である学者の中にも財政破綻論や国債暴落説を語る人がいることには驚くばかりだ。
 たとえば、東京大学金融教育センター内に、かつてものすごい名称の研究会が存在した。その名も、「『財政破綻後の日本経済の姿』に関する研究会」だ。代表を務めるのは、井堀利宏(東京大学大学院経済学研究科教授)、貝塚啓明氏(東京大学名誉教授)、三輪芳朗氏(大阪学院大学教授・東京大学名誉教授)という日本の経済学界の重鎮たちだ。

 同研究会の活動内容はホームページに公開されている。2012年6月22日に第1回会合が開かれ、2014年10月3日までの2年余りの間に、計22回が開催されている。『発足とWebPage開設のお知らせ』に掲載されている文章を見ると、「われわれは日本の財政破綻は『想定外の事態』ではないと考える。参加メンバーには、破綻は遠い将来のことではないと考える者も少なくない」と書かれている。
 第1回会合では、三輪氏が「もはや『このままでは日本の財政は破綻する』などと言っている悠長な状況ではない?」という論点整理メモを出し、勇ましい議論を展開している。要するに、財政破綻は確実に起こるので、破綻後のことを考えようというわけだ。

<財務省が消費税率を上げたがるのは「でかい顔」をしたいから>
<外債投資で儲けた20兆円を、政府は財政支出で国民に還元すべきだ>
・問題は財源だが、これはいとも簡単に捻出できる。「外為特会」を活用すればよいのである。



『「新富裕層」が日本を滅ぼす』
金持が普通に納税すれば、消費税はいらない!
武田知弘 著  森永卓郎 監修  中央公論新社 2014/2/7



<必要なのは経済成長や消費増税ではなく、経済循環を正しくすることなのだ>
・世界の10%以上の資産を持っているのに、たった1億数千万人を満足に生活させられない国・日本、必要なのは経済成長や消費増税ではなく、経済循環を正しくすることなのだ。「富裕層」と「大企業」がため込んで、滞留させている富を引っ張り出し、真に社会に役立てる方策を考える。

<バブル崩壊以降に出現した“新富裕層”とは?>
・今の日本人の多くは、現在の日本経済について大きな誤解をしていると思われる。たとえば、あなたは今の日本経済について、こういうふうに思っていないだろうか?

・バブル崩壊以降、日本経済は低迷し国民はみんなそれぞれに苦しい

・金持ちや大企業は世界的に見ても高い税負担をしている。日本では、働いて多く稼いでも税金でがっぽり持っていかれる

・その一方で、働かずにのうのうと生活保護を受給している人が増加し、社会保障費が増大し財政を圧迫している

・日本は巨額の財政赤字を抱え、少子高齢化で社会保障費が激増しているので消費税の増税もやむを得ない

・これらのことは、きちんとしたデータに基づいて言われることではなく、経済データをきちんと分析すれば、これとはまったく反対の結果が出てくるのだ。

<消費税ではなく無税国債を>
<日本経済の最大の問題は「金回りの悪さ」>
・「失われた20年」と言われるように、日本の経済社会は、長い間、重い閉塞感に包まれて来た。アベノミクスで若干、景気は上向いたものの、消費税の増税もあり、今後、我々の生活が良くなっていく気配は見えない。
 なぜこれほど日本経済は苦しんでいるのか?
現在の日本経済の最大の問題は「金回りの悪さ」だと言える。

・政府は、財政再建のために消費税の増税にゴーサインを出した。しかし、消費税は「金回り」を悪くする税金なのである。消費税を導入すれば、もともと大きくない内需がさらに冷え込むことになる。また消費税というのは、国全体から広く浅く徴収する税金なのである。

・筆者は、お金の循環を良くして財政を再建するために、ある方法を提案したい。それは、「無税国債」という方法である。

<「無税国債」とは何か?>
・無税国債の狙いは、国民の金融資産1500兆円の中に眠る“埋蔵金”を掘り起こすことにある。

・実は無税国債にはモデルがある。フランス第四共和制下の1952年、時の首相兼蔵相のアントワーヌ・ピネー(1891〜1994年)が発行した相続税非課税国債である。
 フランスは当時、インドシナ戦争で猛烈なインフレが起きて財政が窮乏していたが、時限的に相続税を課税しないピネー国債を出したところ飛ぶように売れ、ただちに財政が健全化して戦費の調達もできた。これをブリタニカ国際大百科事典は「ピネーの奇跡」と書いている。

<莫大な個人金融資産を社会に役立てることができる>
・ただ、この個人金融資産を社会に引っ張り出すのは容易なことではない。個人金融資産は、個人の持ち物である。これを勝手に国が使うことはできない。国が使うためには、合法的にこの資産を引っ張ってこなくてはならない。
 もっとも手っ取り早いのは税金で取ることである。しかし、個人金融資産に税金を課すとなると、非常な困難がある。というのも、金持というのは、税金に関して異常にうるさいからだ。国民の多くは気づいていないが、この20年間、富裕層に対して大掛かりな減税が行われてきた。個人金融資産がこれだけ激増したのも金持ちへの減税が要因の一つである。

<極端な話、無税国債は返さなくていい借金>
・個人金融資産は1500兆円あるのだから、750兆円を無税国債に置き換えるというのは、夢の話ではない。ちょっと頑張れば可能なことなのである。
 750兆円を税金で徴収しようと思えば、大変である。消費税率を10%に上げたとしても、20兆円程度の増収にしかならない。もし消費税によって財政の健全化をしようとすれば、税率15%にしたとしても40年近くもかかるのである。

・またもし税率20%にすれば、日本の国力は相当に疲弊するはずである。消費が激減し、景気も後退するだろう。そうなれば、予定通りの税収は確保できず、さらに税率を上げなくてはならない。日本経済はどうなることか……。
 消費税に頼るよりも、無税国債をつくる方が、どれだけ健全で現実的かということである。

<無税国債は富裕層にもメリットが大きい>
・そして無税国債の販売にも、そう問題はないのである。「マイナス金利の国債?そんな国債を買うわけはないだろう」と思う人もいるだろう。確かに、ただマイナス金利というだけならば、買う人はいない。しかし、この国債には、相続税などの無税という恩恵がついているのだ。
 これは富裕層にとって、かなり大きなメリットと言える。

<実は日本は社会保障“後進国”>
あまり知られていないことだが、日本の社会保障というのは、先進国とは言えないくらいお粗末なモノなのである。
 本来、日本は世界有数の金持ち国なのに、社会のセーフティーネットがお粗末なために、国民は安心して生活ができないのである。
 今の日本人の多くは、「日本は社会保障が充実している」「少なくとも先進国並みの水準にはある」と思っている。
 しかし、これは大きな間違いなのである。日本の社会保障費というのは、先進国の中では非常に低い。先進国ではあり得ないくらいのレベルなのだ。
そして、この社会保障のレベルの異常な低さが、日本経済に大きな歪みを生じさせているのだ。日本人が感じている閉塞感の最大の要因はこの社会保障の低さにあると言ってもいいのだ。

・日本は、先進国並みの社会保障の構築を全然してきていない。社会保障に関しては圧倒的に“後進国”と言えるのだ。

・また昨今、話題になることが多い生活保護に関しても、日本は先進国で最低レベルなのだ。

・日本では、生活保護の必要がある人でも、なかなか生活保護を受けることができないのだ。

・日本の生活保護では不正受給の問題ばかりが取りあげられるが、生活保護の不正受給件数は全国で2万5355件である。つまり生活保護には不正受給の数百倍の「もらい漏れ」があるのだ。

<なぜ経済大国日本に「ネットカフェ難民」がいるのか?>
・日本では、住宅支援は公営住宅くらいしかなく、その数も全世帯の4%に過ぎない。支出される国の費用は、1500億円前後である。先進諸国の1割程度に過ぎないのだ。しかも、これは昨今、急激に減額されているのである。1500億円というのは、国の歳出の0.2%程度でしかない。
 フランスでは全世帯の23%が国から住宅の補助を受けている。その額は、1兆8000億円である。またイギリスでも全世帯の18%が住宅補助を受けている。その額、2兆6000億円。自己責任の国と言われているアメリカでも、住宅政策に毎年3兆円程度が使われている。
 もし、日本が先進国並みの住宅支援制度をつくっていれば、ホームレスやネットカフェ難民などはいなくなるはずである。

・日本は他の先進国よりも失業率は低い。にもかかわらず、ホームレスが多かったり、自殺率が高かったりするのは、社会保障が圧倒的に不備だからなのだ。日本の自殺率は、リストラが加速した90年代以降に激増しており、明らかに経済要因が大きいのである。

<税金の特別検査チームを!>
・税金の無駄遣いをなくし、必要な支出をきちんと見極める。
 そのためには、予算をチェックするための強力な第三者機関のようなものをつくるべきだろう。
 今の日本の税金の使い道というのは、複雑に絡み合ってわけがわからなくなっている。これだけ税金の無駄遣いが多発しているのは、税金の使途の全貌を把握している人がほとんどいないからである。

<平成の“土光臨調”をつくれ>
・今の行政制度、官僚制度ができて60年以上である。いや、戦前から続いている制度も多いので、100年以上になるかもしれない。
 同じ制度を100年も使っていれば、絶対に矛盾や不合理が生じるはずである。

<先進国として恥ずかしくない社会保障制度を>
・財界も参加した第三者機関により、社会保険料の徴収と分配も合理的に考えることができるはずである。これまで財界は社会保険料を取られるだけの立場だった。そのため、なるべく社会保険料を小さくすることを政府に要求し続けてきた。

・これまで述べてきたように、日本の社会保障制度というのは、先進国とは言えないほどお粗末なものである。
 しかし世界全体から見れば、日本はこれまで十分に稼いできており、社会保障を充実させ、国民全員が不自由なく暮らすくらいの原資は十二分に持っているのである。
 今の日本の問題は、稼いだお金が効果的に使われていないこと、お金が必要なところに行き渡っていないことなのである。

<「高度成長をもう一度」というバカげた幻想>
・バブル崩壊以降、国が企業や富裕層ばかり優遇してきた背景には、「高度成長をもう一度」という幻想があると思われる。

・そういう絶対に不可能なことを夢見て、やたらに大企業や富裕層を優遇し続けてきたのが、バブル崩壊後の日本なのである。

<今の日本に必要なのは「成長」ではなく「循環」>
・極端な話、景気対策などは必要ないのである。
 必要なのは、大企業や富裕層がため込んでいる金を引き出して、金が足りない人のところに分配することだけなのである。

・大企業や富裕層がため込んでいる余剰資金のうち、1%程度を差し出してください、と言っているだけなのである。
たったそれだけのことで、日本全体が救われるのである。

<国際競争力のために本当にすべきこと>
・バブル崩壊後の日本は、「国際競争力」という“錦の御旗”のもとで、企業の業績を最優先事項と捉え、サラリーマンの給料を下げ続け、非正規雇用を激増させてきた。

<無税国債は一つのアイデアに過ぎない>
・何度も言うが、バブル崩壊後、富裕層や大企業は資産を大幅に増やしている。その一方で、サラリーマンの平均収入は10ポイント以上も下がっている。
 国民に広く負担を求める消費税が、いかに不合理なものか。

・もう一度言うが大事なことは、一部に偏在しているお金を社会に循環させることなのである。

<日本の企業はお金をため込み過ぎている>
・この10年くらいの間に大企業はしこたま貯蓄を増やしてきた。「内部留保金」は、現在300兆円に迫っている。

<設備投資には回らない日本企業の内部留保金>
・「バブル崩壊以降の失われた20年」などという言われ方をするが、実は、日本企業はその間しっかり儲けていたのだ。
しかも、それに対して、サラリーマンの給料はこの十数年ずっと下がりっぱなし(一時期若干上がったときもあったが微々たるもの)である。リストラなどで正規雇用は減らし、非正規雇用を漸増させた。

<「日本の法人税は世界的に高い」という大嘘>
・しかし、実は「日本の法人税が世界的に高い」というのは大きな誤解なのである。日本の法人税は、確かに名目上は非常に高い。しかし、法人税にもさまざまな抜け穴があり、実際の税負担は、まったく大したことがないのである。法人税の抜け穴の最たるものは、「研究開発費減税」である。

<バブル崩壊以降、富裕層には大減税が行われてきた!>
・そもそもなぜ億万長者がこれほど増えたのか?
 その理由は、いくつか考えられるがその最たるものは、次の2点である。「相続税の減税」「高額所得者の減税」
 信じがたいかもしれないが、高額所得者は、ピーク時と比べれば40%も減税されてきたのである。

<実は、日本の金持ちは先進国でもっとも税負担率が低い>
<金持ちの税金は抜け穴だらけ>

・前項で紹介した大手オーナー社長のような「配当所得者」に限らず、日本の金持ちの税金は抜け穴だらけなのである。だから、名目上の税率は高いが、実際はアメリカの2分の1しか税金を払っていない、ということになるのだ。

<相続税も大幅に減税された>
・バブル崩壊以降、減税されてきたのは所得税だけではない。相続税もこの20年間に大幅に減税されている。



『「借金1000兆円」に騙されるな!』
暴落しない国債、不要な増税
高橋洋一   小学館   2012/4/2



<日銀法を改正すべき>
・中央銀行の独立性は、手段の独立性と、目標の独立性に分けられているが、1998年の日銀法改正で、日銀にはそのどちらもが与えられるという非常に強い権限をもってしまった。人事の面で言えば、一度選ばれた総裁、副総裁、理事は、任期を全うするまで政治の側から罷免することさえできなくなっている。

・それまで日銀は大蔵省の尻に敷かれていたのだが、大蔵省としては、自分たちはそれほど唯我独尊ではないというポーズを、日銀法改正という形で日銀の独立性をアピールして示したかったのだ。これは日銀にとっては悲願達成だった。
 しかし、本来は政治が、民主主義によって国民から権限を与えられた政府が、インフレ目標を何%にするかを明確に決めるべきだ。日銀が決めるのはおかしい。
 そのうえで、その目標に至るまでの方法は、金融政策のプロである日銀に任せる。つまり手段は独立させるというのが、あくまで世界的な標準だ。

<日銀が目標の独立性を手離したくない理由>
・ところが日銀は、そういう形で政策を表に出すのを嫌がる。なぜかというと、どんな金融政策を取るかは、日銀の独立性という名の「権益」と化しているからだ。

<どこまで金融緩和すればいいのか?>
・経済政策にとっては将来の「インフレ予想」が必要だ。それまで政府・日銀には、直接的にインフレ予想を観測する手段がなかった。
 具体的には、物価連動債と普通の国債(非物価連動債)の利回り格差から、市場の平均的なインフレ予想を計算する。これを「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)」と呼ぶ。
 これは世界中の中央銀行が導入し、使っている。BEIが高すぎると、引き締めなければいけない。低くなりすぎると、もっとお金を伸ばさなければいけない。

・ところが最近、BEIを算出されることを嫌ったのか、財務省は物価連動債を新たに発行しなくなってしまった。厄介な指標を計算されないように、元から断ってしまえ、ということなのだろうか。どこの国でも当たり前に計算している指標を、葬りにかかってきているのだ。

<正しい金融政策で経済が拡大すれば格差は「縮小」する>
・実際は格差が広がっていても、それぞれに分配があれば、全体としての社会不安は小さくなる。体感的にも、働く意志と能力があるのなら、何がしかの収入を自力で得られるのがいい社会だと素朴に思う。最下層の人の所得を上げるには、たとえ格差が広がっても、最高層を上げるべきだ。最下層を上げるためには全体のパイを増やすのが簡単だからだ。
 それでも働けない人には、生活保護やそれを進化させたベーシックインカムで助ければいい、それにしても、全体のパイを大きくしてからのほうが、より額も厚くできる。

<国債は便利なツールとして使えばいい>
・本書は国債をスコープとして、世界経済、そして日本の経済政策を見てきたが、現在の日本においては、国債はあくまでデフレを脱するためにマネーを増やし、将来増えすぎたときは減らすための重要なツールだということになる。

・要するに、現時点において国債が果たすべき役割は、日銀からお金を引き出すための道具として活用されればいい、ということになる。
 もし国債を買い過ぎれば、マネーが出すぎて必要以上のインフレになってしまう。その時は、高橋是清を思い出し、市中に国債を売ればいい。するとお金は日銀に還流して少なくなり、調整できる。国債は調節弁に使う。
 別に国債でなくてもいいのだが、国債がもっとも流通量が多いので、使い勝手がいいというだけだ。
 国債が、金融市場の中でコメのような役割を果たしていることはすでに述べた通りだが、それは国債の重要さ、流通量、流動性などが他の金融商品と比べて抜けているからだ。国債は金融市場の潤滑油のようなところがある。

・それでも、増税しないと財政破綻する、これ以上国債を刷ると暴落する、さらに格下げされるかもしれないという言葉を聞いてどうしても不安になってしまうのなら、CDS保証料に注目していればいい。マーケットで世界中のプロの投資家が、日本国債には何も問題はないと判断していれば、穏当な価格が付いているはずだ。
 それでも財政再建が気になる人は、債務残高対GDPが大きくならないなら心配ないはずだ。その条件は、だいたいプライマリー・バランス(基礎的財政収支)が赤字にならなければいい。

<あと900兆円国債を発行しても破綻しない>
・第1章の終わりで、歴史上イギリスがネットの債務残高が二度もGDPの250%前後になったのに、いずれも破綻しなかったことを述べた。
 日本のネットの債務残高のGDP比は70%だから、往年のイギリスと同じ段階まで債務残高をふくらませるとしたら、あと900兆円も国債を発行しなければならないということになる。
 実際にそんなことをする必要はないのだが、もし900兆円国債を発行して、一気に財政出動したらどんな世の中になるか、ちょっと想像してみよう。

・さすがに1年では賄いきれないだろうから、9年に分け、年間100兆円ずつ使っていくことにしよう。民間金融機関の消化能力を考えて、全額日銀引き受けにしよう。そうすると、毎年、政府は日銀が刷った100兆円を手に入れられる。日本中のおカネが1年間で100兆円増える。
 政府も投資先が思いつかないので、とりあえず国民全員に配ることにしたとすると、国民1人当たり70万円が分配されることになる。4人家族なら、300万円近い札束が、宅配便か何かで届くのかもしれない。
 これには長年デフレに慣れてきた人たちも、さすがに驚くのではないだろうか。隣の家にも、向かいの家にも何百万円も配られているのだ。

・インフレになるということは、為替相場は円高から超のつく円安に変わる。
 とても簡単な計算をすれば、いま米ドルはおよそ2兆ドル、日本円は140兆円存在している。ここから割り出される為替レートは1ドル=70円ということになるのだが、日本円が240兆円になれば、一気に1ドル=120円になることになる。これは小泉政権時のレベルだ。
 これはすごいことになる。米ドルを使う人から見れば、日本製の自動車や家電、精密機器が、半額で買えるわけだ。プリウスが100万円、テレビが2万円で買える感覚だ。おそらくどんなに生産しても間に合わない。

・もうひとつ、ここでぜひ考えてほしいのは、お金の量を増やせば経済は回り始めるという法則だ。いきなり100兆円増やせば不必要なインフレを招いてしまうが、では20兆円なら、30兆円なら、あるいは40兆円ではどうなるだろうか。もっとマイルドで、所得の上昇を喜びつつ、貯金することではなく働いてお金を使い、また働くことに喜びと利益を見いだせる世の中になってはいないだろうか。

<だんだん変わってきた。未来はある>
・日銀は、間違い続けている。本当は、日銀の多くの人も、間違えていることに気づいているのではないかと思う。

<財務官僚・日銀職員は国民のために働くエリートではない>
・バーナンキ議長はかつて、「日銀はケチャップを買えばいい」と言い、何でもいいから買いを入れてマネーを供給すればいいではないかと主張していたが、日銀は、分かっている人から見ればそのくらいもどかしい中央銀行なのだ。
 官僚も博士号所持者は少ない。でも平気でそれなりのイスに座り、うさんくさい経済学もどきをばらまいてミスリードしている。こんなことも、他の先進国の政府職員や、国際機関の職員にはあまりないことだ。

<もう日銀は言い逃れできない>
・インフレ目標導入を防戦する日銀の言い訳は、いつも決まって「アメリカが導入していないから」だった。
 バーナンキ教授は、2002年にFRB理事に指名された。
 実は以前、私はバーナンキ教授本人からインフレ目標の話を聞いていた。必ず将来インフレ目標を導入するはずだと予測した。
 しかし、多くの人からバッシングされた。そんなことをするわけがないだろうと叩かれた。ところが、2012年2月、現実のものになった。
 困ったのは、日銀の人たちだ。

・もう言い逃れはできない。何が日本経済のためになるのかを、真剣に考えてほしい。そうしなければ、この国から成長力が削がれる。その先に待っているのは、本物の「破綻」だ。



『築土構木の思想』  土木で日本を建てなおす
藤井聡   晶文社    2014/7/25



<世間は皆、虚言ばかりなり>
・「土木」というと、多くの現代日本人は、なにやら古くさく、このITやグローバリズム全盛の21世紀には、その重要性はさして高くないものと感じているかもしれません。
 とりわけ、「人口減少」や「政府の財政問題」が深刻化している、と連日の様に様々なメディアで喧伝され続けている今日では、今更、大きなハコモノをつくる様な土木は、時代遅れにしか過ぎないだろう、というイメージをお持ちの方は多いものと思います。
 しかし、今日私たちが信じている様々な常識が、実は単なる「虚言」(ウソ話)にしか過ぎないという事例には、事欠きません。

<築土構木の思想>
・この言葉は、中国の古典『淮南子』(紀元前2世紀)の中の、次のような一節に出て参ります。すなわち、「劣悪な環境で暮らす困り果てた民を目にした聖人が、彼等を救うために、土を積み(築土)、木を組み(構木)、暮らしの環境を整える事業を行った。結果、民は安寧の内に暮らすことができるようになった」という一節でありますが、この中の「築土構木」から「土木」という言葉がつくられたわけです。

・すなわち、築土構木としての土木には、その虚言に塗れた世間のイメージの裏側に、次の様な、実に様々な相貌を持つ、われわれ人間社会、人間存在の本質に大きく関わる、巨大なる意義を宿した営為だという事実が浮かび上がって参ります。

第一に、土木は「文明論の要」です。そもそも、土木というものは、文明を築きあげるものです。

第二に、土木は「政治の要」でもあります。そもそも築土構木とは、人々の安寧と幸福の実現を願う、「聖人」が織りなす「利他行」に他なりません。

第三に、現代の土木は「ナショナリズムの要」でもあります。現代の日本の築土構木は、一つの街の中に収まるものではなく、街と街を繋ぐ道路や鉄道をつくるものであり、したがって「国全体を視野に納めた、国家レベルの議論」とならざるを得ません。

第四に、土木は、社会的、経済的な側面における「安全保障の要」でもあります。社会的、経済的な側面における安全保障とは、軍事に関わる安全保障ではなく、地震や台風等の自然災害や事故、テロ等による、国家的な脅威に対する安全保障という意味です。

第五に、土木は、現代人における実質上の「アニマル・スピリット(血気)の最大の発露」でもあります。

第六に、土木こそ、机上の空論を徹底的に排した、現場実践主義と言うべき「プラグマティズム」が求められる最大の舞台でもあります。

<土木で日本を建てなおす>
・そもそも、今日本は、首都直下や南海トラフといった巨大地震の危機に直面しています。今日の日本中のインフラの老朽化は激しく、今、適切な対応を図らなければ、2012年の笹子トンネル事故の様に、いつ何時、多くの犠牲者が出るような大事故が起こるか分からない状況にあります。

・巨大地震対策、インフラ老朽化対策については多言を弄するまでもありません。
 大都市や地方都市の疲弊もまた、日本人がまちづくり、くにづくりとしての築土構木を忘れてしまったからこそ、著しく加速してしまっています。そして、深刻なデフレ不況もまた、アニマル・スピリットを忘れ、投資行為としての築土構木を我が日本国民が停滞させてしまった事が、最大の原因となっています。
 だからこそ、この傾きかけた日本を「建てなおす」には、今こそ、世間では叩かれ続けている「土木」の力、「築土構木」の力こそが求められているに違いないのです。

<公共事業不要論の虚妄  三橋貴明×藤井聡>
<インフラがなくて国民が豊かになれるはずがない>
・(藤井)三橋先生は、みなさんもよくご存じの通り、いま政府が採用しているアベノミクスというデフレ脱却のための政策の、理論的バックボーンをずっと長らく主張されてきた先生です。ならびにかなり早い段階から、経済政策としてもインフラ投資をやるべきだというお話をされています。

・(三橋)もうひとつはですね、公共投資を増やし、インフラを整備しなければいけないというと、よくこういうレトリックが来るわけですよ。「財政問題があるから公共投資にカネが使えず、インフラ整備ができない」と。日経新聞までもが言いますよ。要は予算がないと。これは全然話が逆で、日本は政府にカネがないから公共投資ができないんじゃないんですよ。公共投資をやらないから政府にカネがないんです。

・(三橋)そこで、政府が増税やら公共投資削減やらをやってしまうと、ますます国内でお金が使われなくなり、デフレが深刻化する。実際、日本は橋本政権がこれをやってしまったわけです。日本のデフレが始まったのはバブル崩壊後ではなく、97年です。

・公共投資を増やせばいいじゃないですか。財源はどうするか。それは建設国債に決まっていますよ。公共投資なんだから、国の借金がいやなら、日銀に買い取ってもらえばいいじゃないですか。

<国の借金問題など存在しない>
・(三橋)いずれにしても「公共投資に20兆も使っているんですよ!」といわれると、国民は「天文学的数字だ!」となってしまう。国の借金も1000兆円とか。
 ただし、その種の指標は数値をつなげて考えなくてはいけない。GDPが500兆の国が、公共投資20兆というのは、むしろ少なすぎるだろうと。しかもこんな自然災害大国で。そういうふうに相対化して比較しなくてはいけない。
 もうひとつは、最近、私が発見して流行らせようとしているんだけど、いわゆる国の借金問題。正しくいうと政府の負債ね。あれって、日銀が昨年からずっと量的緩和で買い取っているじゃないですか。だから、政府が返済しなければいけない借金って、いまは実質的にどんどん減ってきているんですよ。まあ国債が日銀に移っているんだけど、日銀は政府の子会社だから、あんなもの返す必要がない。国の借金問題なんて、いまはもう存在しないんですよ、実は。

・(三橋)もうひとつ怪しいのがありまして、社会保障基金。あれも100兆円くらいあるんだけど、中身は国民年金、厚生年金、共済年金なんですよ。政府が政府にカネを貸しているだけ。こういうのも「国の借金!」としてカウントして、本当にいいのかと思う。とにかく入れるものは全部詰め込んで、「はい1000兆円、大変でしょう」ってやっている。

・(三橋)日本政府は金融資産が500兆円くらいありますから、一組織としての金融資産額としては世界一じゃないですか。アメリカよりでかい。そのうち100兆くらい外貨準備です。残りは先ほどの社会保障基金。共済年金や厚生年金の持っている国債だから、そういうのは、絶対に相殺して見なくちゃいけないんだけど。

・(三橋)全部「借金」に詰め込んでいるわけですよね。しかも日銀が量的緩和で国債を買い取っている以上、返済が必要な負債はなくなってきているのに、それでもそういうことは報道されない。

・(三橋)(デフレの悪影響は)過小評価されています。デフレがどれほど悲惨な影響を及ぼすか、わかっていない。マスコミは「デフレになると物価が下がりますよ」としか言わないじゃないですか。だから、何が悪いんだ、みたいな話になりますが、違いますよね。デフレ期は所得が減ることがまずい。さらに問題なのは、所得が減るとはつまりは企業の利益が減るということなので、次第にリストラクチャリングとか倒産・廃業が増えていき、国民経済の供給能力が減っていくわけですよ。供給能力とは潜在GDPですよ、竹中さんの大好きな。

・(三橋)デフレこそが、まさに潜在GDPを減らしていますよ。典型的なのが建設企業です。1999年に60万社あったのが、いまは50万社を割ってしまった。10万社以上消えた。これ、経営者が相当亡くなられています。自殺という形で。

・(藤井)建設業というのは、築土構木をするための技術と供給力を提供しているわけですが、その力がデフレによって小さくなってきている。それこそ、会社の数でいって6分の5にまで減少している。実際、会社の数だけではなく、それぞれの会社の働いている方や、能力などを考えると、その供給力たるや、さらに落ち込んで来ていることがわかる。労働者の数だって、かっては700万人近くいたのが、今では500万人を切っている。実に3割近くも建設労働者は減ってしまった。

・(藤井)つまり、公共事業を半分近くにまで大幅に削減すると同時に、デフレで民間の建設事業も少なくなって、建設産業は大不況を迎えた。その結果何が起こったかというと、わが国の建設供給能力の大幅な衰退なわけです。実は、これこそが、日本国家にとって、深刻な問題なんです。でも、一般メディアでも経済評論家たちも、この問題を大きく取り上げない。

<築土構木の思想は投資の思想>
・(三橋)しかもやり方は簡単なんだから。日銀が通貨発行し、政府がそれを借りて使いなさい、というだけでしょう。しかもですよ、環境的にやることが見つからないという国もあるんですよ。でもいまの日本は、もちろん東北の復興や、藤井先生が推進されている国土の強靭化とか、インフラのメンテナンスとか、やることはいっぱいあるんですよ。なら、やれよ、と。建設企業のパワーがなくなってしまったため、そちらのほうがボトルネックになっていますよね。

・(三橋)建設の需要がこのまま続くかどうか、信用していないんですね。またパタッと止まったら、またもや「コンクリートから人へ」などと寝言を言う政権が誕生したら、またもやリストラですか、っていう話になってしまいますからね。

・(藤井)さらに建設省の公共投資額という統計の農業土木という分野を見ると、昔はだいたい1兆数千億円くらいあったのが、いまはもう2、3千億円程度になっている。民主党政権になる直前は6千数百億円だった。でも、民主党政権下で60%も減らされた。

<朝日と日経が共に公共投資を批判する愚>
・(藤井)いまのお話をお聞きしていますと、いわば「アンチ政府」とでも言うべき方々の勢力、市場主義で利益を得られる方々の勢力、「緊縮財政論者」の勢力、「財政破綻論者」の勢力、といった重なり合いながらも出自の異なる4つの勢力がある、ということですね。つまり、仮にその4つがあるとすれば、その4つが全部組み合わせて作り上げられる「四すくみの四位一体」が出来上がって、それが一体的に「公共事業パッシング」の方向にうごめいている、というイメージをおっしゃっているわけですね。

<国の借金、日銀が買い取ればチャラになる>
<日本ほど可能性のある国はない>
・(三橋)安全保障面ではアメリカべったりで、ひたすら依存していればうまくいきました。もう1つ、大きな地震がなかった。1995年の阪神・淡路大震災まで大震災がなかった。国民は平和ボケに陥りつつ、分厚い中流層を中心に、「一億総中流」のいい社会を築いたんだけど、非常事態にまったく対応できない国だったことに変わりはないわけです。
 ということは、いまから日本が目指すべき道は、非常事態に備え、安全保障を強化することです。結果として、高度成長期のように中間層が分厚い社会をもう一回つくれると思いますよ。最大の理由は、デフレだから。デフレというのは、誰かがカネを使わなくてはならない。

・(藤井)外国はそれがグローバルスタンダードなんですね。ですからグローバル―スタンダードに合わせすぎると、日本もせっかくすごい超大国になれる道をどぶに捨てることになりますね。



『エコノミスト   2016.4.19』 



<識者7人が採点 黒田日銀3年の評価>
<70点 失業率低下が政策の正しさを証明 2%未達は消費税増税が原因  (高橋洋一)>
・この3年の日銀を評価する基準は2つある。失業率とインフレ率だ。
まず完全失業率は3.3%(2月時点)まで下がっている。金融政策は失業率に効く。失業率が改善しているから、期待への働きかけや波及経路は機能しており、量的・質的金融緩和(QQE)が正しかったことを示している。

・原油安によってインフレ2%を達成できなかったという日銀の説明は、短期的には確かにそうだが、3〜4年で見ると影響はなくなる。消費増税の影響を見通せなかったので、結局、原油安を方便として使っている。

・日銀当座預金への0.1%のマイナス金利の導入は金融緩和として評価できる。

・金利を下げて、民間金融機関の貸し出しを後押しすれば、借りたい企業や人は出てくる。ビジネスをしたい人にとってはチャンス到来だ。

・国債などの政府債務残高は現在、約1000兆円。日本政府の資産を考えると、ネット(差し引き)で500兆円になる。そこに日銀を政府との連結で考えると、日銀が300兆円分の国債を持っているから、政府債務は連結すると200兆円ということになる。GDP比で考えると欧米より少ない。

 そして、日銀が出口戦略に入る時も国債を吐き出す(売る)ことをせずに、GDPが上がるのを待てば、日本政府の財政再建が実はもう少しで終わる。財政ファイナンスで最悪なのは、ハイパーインフレになることだが、今の日本はインフレ目標もあり、その懸念はない。国債も暴落しなくていい。何も悪いことない。



『最強国家ニッポンの設計図』  ザ・ブレイン・ジャパン建白
大前研一   小学館   2009/6/1



<核、空母、憲法改正、そして国民皆兵制もタブー視しない真の国防論>
<北朝鮮を数日で制圧するだけの「攻撃力」を持て>
・外交は時に戦いである。いや、むしろ国家と国家の利害が対立する場面ほど外交力が必要になる。そして時に「戦争」というオプションも視野に入れておかなければ、独立国家としての対等の外交は展開できない。

・本当に必要かつ十分な軍備とは何かを考えておく必要がある。

・自力で国を守るのは至極当然のことだ。大前提として戦争を抑止するには「専守防衛」などと言っていては駄目だ。

・具体的には、射程距離1000km以上のミサイル、航空母艦、航続距離の長い戦略爆撃機、多数の上陸用舟艇などを中国地方や九州地方に配備するべきだ。

<突然豹変して威圧的になるのが、中国の常套手段>
・ただし私は、中国との戦いは実際には起きないだろうとみている。中国が周辺国を挑発しているのは、侵略の意図があるからというより、実は国内の不満を抑えることが最大の目的だと思われるからだ。いま中国政府が最も恐れているのはチベット問題や新疆ウイグル問題、あるいは法輪功、失業者、農民等の不満による内乱がある。それを避けるためにはあえて国境の緊張を高めて国民の目を外に向けようとしているのだと思う。

<国民皆兵で男女を問わず厳しい軍事訓練を経験させるべきだ>
・ただし実際に「核兵器」を保有する必要はない。それは敵を増やすだけだし、維持するのも大変なので、むしろマイナス面が大きいだろう。国家存亡の脅威に直面したら90日以内に核兵器を持つという方針と能力を示し続け、ロケットや人工衛星の技術を高めるなど、ニュークリア・レディの技術者を常に磨いておくことが重要だと思う。また欧米の同盟国に日本のこうした考え方を説明し納得してもらっておく必要がある。

・ソフトウェアの第一歩とは、すなわち「憲法改正」である。現行憲法は再軍備をしないという条文しかないので、開戦と終戦の手順はもとよりそれを国会がきめるのか首相が決めるのか、といったことすら想定していない。自衛隊についてもシビリアン・コントロールについても定義は明確ではない。つまり今の日本には“戦う仕掛け”がない。

<中国の人権問題を「ハードランディング」させると7億人の農民が世界を大混乱に陥れる>
<中国政府が気づかない「2つのズレ」>
・いま中国政府が理解すべきは自分たちが考える常識と世界が考える常識がズレている、ということだ。ズレは2つある。

・一方、中国は今もチベットや新疆ウイグルなどを征服したという認識は全くない。

・もう一つのズレは、中国が宗教の自由を認めないことである。

<台湾もチベットも独立させて中華「連邦」を目指せ>
<私の提案に賛同する中国指導者たちは、起て!>
・現在の中国で国民に自治と自由を与えたら、不満を募らせている7億人の農村戸籍の人々が都市に流入して大混乱が起きる。力と恐怖による支配を放棄すれば、暴徒化した農民たちが中国人資本家や外国人資本家を襲撃して富を略奪するかもしれないし、第2の毛沢東が現れて、より強力な共産国家を作ってしまうかもしれない。

・なぜ、国民に移動の自由さえ与えていないのかを真剣に考えたことのない欧米諸国が、自分たちの基準を中国に当てはめて、人権だと民主主義だのとなじることも間違いなのだ。

<「世界に挑戦する日本人」第4の黄金期を築け>
<世界に飛び出せない“偽エリート”の若者たち>
・どうも最近の日本人はだらしない。基本的な能力が低下しているうえ、気合や根性もなくなっている。
 私は、アメリカのスタンフォード大学ビジネススクールやUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で教えていたが、クラスにいた日本人留学生は実に情けなかった。

・英語こそ、そこそこのレベルではあったが、中国、韓国、ヨーロッパ、中南米などの他の国々から来たクラスメートの活発な議論に加わることができず、覇気がなくてクラスへの貢献もあまりできていなかった。

・私は、若い頃、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)大学院に留学した。1960年代の後半である。あの時代は、日本を離れる時に家族と水杯を交わし、博士号が取れなかったら日本に帰れないという悲壮な覚悟で太平洋を渡った。実際、博士号が取れずにボストンのチャールズ川に投身自殺したクラスメートもいた。留学中の3年間、私は(お金がないせいだが)一度も帰国しないどころか自宅に電話さえかけなかった。
 ところが今の日本人留学生は日常的に携帯電話で自宅と連絡を取り、嫌になったら簡単に逃げ帰る。



<●●インターネット情報から●●>

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より

<高橋洋一>
主張
増税する前に、まず政府の無駄な出費を減らすことを主張する、上げ潮派の論客。1998年から在籍したプリンストン大学ではベン・バーナンキの薫陶を受けた。いわゆるリフレ派であると目される。

埋蔵金
2008年(平成20年)には、いわゆる「霞が関埋蔵金」が存在すると主張し 、翌年に発生した世界金融危機に際しては、政府紙幣の大量発行によって景気回復を試みるよう提言した。

日本の財政について
財務省時代に国のバランスシートを作成(2012年現在は財務書類という名称で公表)し、国の借金は900兆、資産は500兆、差し引き400兆の負債であり、これを踏まえて財政を論議しなければならないと、増税を主張する財務省やマスコミを批判している。

日本の財政再建のためには、大胆な金融緩和によるリフレーション政策で経済を成長させ、税収の自然増を図るべきであると主張している。また2013年の時点で「日本は世界1位の政府資産大国」であり、国民1人あたり500万円の政府資産があり、売却すれば金融資産だけで300兆円になると主張している。

日本銀行批判
大蔵省在籍中から、日本銀行による金融政策への批判を繰り返してきた。構造改革論が盛んに論じられた2002年には、構造改革の模範と目されたニュージーランドがかつて、金融政策によってデフレーションに陥る危機を脱したことを指摘、インフレーション目標を採用しない日本銀行を批判した。

日本銀行はハイパーインフレーションを恐れ、紙幣の大量発行を拒否しているが、40兆円の需給ギャップがあるのでそうはならないとも主張している。その後、銀行の持つ国債を日銀がデフレ(需給、GDP)ギャップ分の30兆(2012年4月-6月は10兆(朝日新聞))円分引き取り、紙幣を供給する政策も主張している。

2012年現在の金融政策について、「日銀が100兆円ほどの量的緩和をすれば株価も5000円程上昇、そうしないと日本の景気回復(デフレ脱却)とはならない。今の日銀の5兆-10兆円での量的緩和では、海外からは見劣りし周回遅れである」と批判している。
アベノミクスの三本の矢で最も重要なのは『金融緩和である』としている。


<●●インターネット情報から●●>

スイス政府「民間防衛」に学ぶ
−日本が敵国から武力以外による攻撃を受け、破滅へと導かれないように−

■メインコンテンツ
「民間防衛」からの引用とその解説です。時間がなければ「重要」の部分だけでも目をとおしてください。

・はじめに
・敵は同調者を求めている1 / 眼を開いて真実を見よう
・敵は同調者を求めている2 / 社会進歩党は国を裏切るだろうか
・外国の宣伝の力 / 不意を打たれぬようにしよう
・重要敵はわれわれの抵抗意志を挫こうとする / 警戒しよう
・敵は意外なやり方で攻めてくる / 自由と責任
・敵はわれわれを眠らそうとする / われわれは眠ってはいない
・スポーツも宣伝の道具 / 真のスポーツ精神を守ろう
・われわれは威嚇される / 小鳥を捕らえる罠
・経済的戦争 / 経済も武器である
・重要革命闘争の組織図
・中まとめ
・敵はわれわれの弱点をつく / スイスは、威嚇されるままにはならない
・混乱のメモ / 健全な労働者階級はだまされない
・重要危機に瀕しているスイスに、人を惑わす女神の甘い誘いの声が届く/ 心理戦に対する抵抗
・重要政府の権威を失墜させようとする策謀1 / 政府と国民は一致団結している
・重要政府の権威を失墜させようとする策謀2 / それにもかかわらず、国民と政府は一致団結している
・重要政府の権威を失墜させるための策謀 / 国民と政府は動揺しない
・内部分裂への道 / 自らを守る決意をもっていれば
・重要滅亡への道……… / 法と秩序が保たれれば
・スイスが分裂していたら / スイスが団結していたら
・首に縄をつけられるか / われわれは他国に追随しない
・終局 / スイスにはまだ自由がある
・おわりに



________________________________________
■■■ 私が思うこと、聞いたこと、考えること ■■■

・「2000万人、567億円が過小支給、毎月勤労統計の不備、厚労省が発表」という報道は、さまざまな議論を呼んでいるようです。政治家や官僚のスキャンダルや失政報道は、国民が不安を覚え、国民が恥をかくといわれます。厚労省も年金問題等で国民に大きな打撃を与えました。また「政務活動費の問題も氷山の一角」と指摘されています。霞が関も地方自治体も失政が多いといわれます。資質の問題なのでしょうか?
困っている人も増えており、単に政治の貧困としては片づけられないそうです。「政治家や官僚が劣化している時代だ」ともいわれています。「「官僚と政治家、どっちが勝つか」こんな評論も多い。他の先進国から見たら噴飯ものだ」といわれます。国会や地方議会も憲法が作られた当時の想定された機能を十分に果たしていないといわれます。ここにも大胆なリストラクチャリングが必要と指摘されています。

・ウクライナ情勢、クリミア半島問題のロシアは、ヨーロッパでEUから経済制裁をうけています。国際法違反のシベリア抑留の損害賠償をすべきだと指摘されていましたが、「自民党初代総裁である鳩山一郎が首相のとき日ソ共同宣言を採択し賠償を放棄しました」とのこと。
「甘い国際感覚で国益を大きく損ねている」といわれます。移民問題等で外交官の評判も昔から悪かったといわれます。

・「産経新聞」(2019/2/26)ニュースによると、「東北地方太平洋沖のM7級地震、高い発生確率 政府が日本海溝で新想定」
政府の地震調査委員会は26日、東日本大震災の巨大地震が起きた日本海溝について、今後の地震活動を予測した新たな長期評価を公表した。宮城県沖でマグニチュード(M)7級の大地震が30年以内に90%の高い確率で起きるとしたほか、青森県沖などでもM8級の巨大地震を想定し、警戒を求めている。
 平田直委員長は「大震災の影響は現在も非常に大きく、M7〜8級の地震が非常に高い確率で起きる。再び強い揺れや高い津波が来ると考え、十分注意してほしい」と話した」とのこと。

・東日本大震災の被災地帯にも再び巨大な地震・津波の発生確率が高い(日本海溝で起きる地震の新想定)というのですから、不安です。日本全土、自然災害多発列島になったようです。近未来には被災者が急増する懸念があり、被災者の救援、生活立て直しには従来の法律・予算だけでは十分に対応できないといわれます。抜本的な法律・予算の改革が必要といわれます。想定外の被害が常態化してくるとなれば、経済的に大きな打撃となることでしょう。分け前の問題、利益や税金の分配、再分配の問題になり、赤字財政のもと財源をひねり出すためにも大胆なリストラが必要だといわれます。

・日本経済の動向や世界経済は、当然のことながら、現代のビジネス社会の毎日の関心事です。さまざまな情報や学者の見解が多くのメディアに流れています。日本の経済政策についても2020年の東京オリンピック・パラリンピック後については、不透明だといわれます。安倍総理自身もアベノミクスの失敗を認めたといわれます。今後、金融政策もどのように変わっていくのでしょうか。2025年の大阪万博では、来場者数2800万人、経済効果は2兆円と試算されていますが、「イベント戦略」の費用対効果の算定は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの算定のように不安定になるといわれます。

・「入るを量りて出ずるを為す」と昔から語られています。出典は『礼記』だそうです。「金持ち国だと自慢すれば、世界中から多額の援助の申し出がくるといわれます」。憲法を改正して「普通の国」になりますと戦後のアメリカのように、多額の海外援助もするし、「世界の警察官」として、膨大な軍事費もかかります。海外派兵をすれば、当然ながら、多数の死傷者がでます。当然ながら、軍事同盟は「血の同盟」だから日本だけは例外にしてくれとは言えないと指摘されています。兵士の人的コストが莫大になると指摘されています。「借金大国」というのなら、国民や政府は節約をしなければなりません。「1000兆円の借金国」についても、優秀なエコノミストの間でも大きく認識が違うといわれます。「財政再建」についても識者の意見は、多様のようです。エコノミストではないので、詳しくは分かりませんが。難民をはじめ、世界中で困っている人々は多いのですが、全員は、物理的にも救えないと語られています。よくいわれるように莫大な世界の軍事費を援助に回せればという話になるようです。私たち一般人には、「昔は、後進国に援助すると、現地の権力者や金持ちの懐に資金が入る」という悪いイメージが思い出されます。「国内で困っている人が多いのに、海外援助も多額にできない」といわれます。社会問題と同様に、「海外援助」についても、さまざまな問題があるといわれます。日本の海外援助も数十年のノウハウがあり、大胆に見直し、リストラすべきだといわれます。有識者からの議論もあまり知られていないようです。私たち一般人は、「海外援助」については当然詳しくはありません。何でも実証実験が必要だと指摘されています。「官庁はわが国最大のシンクタンク」ですので、活発に機能しているのでしょう。外国からは「金の成る木」「ATM(現金自動預け払い機)」「財布」とみなされていると指摘されています。実際は限られた予算、限られた財源、限られた処遇、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字といわれます。

・アフガニスタンやパキスタンの中村哲医師の活動を支援する「ペシャワール会」の話があります。Amazonに「中村哲」と入れますと167件の書籍がわかります。ジャイカの活動もよく知りませんが、「青年海外協力隊」とかの活動のノウハウが豊富に蓄積されていることだと思います。実際は「本末転倒」になっていると指摘されています。そしてボランティア活動も大きな問題があるといわれます。海外援助にも問題があるのなら、早急に改革・改善すべきことでしょう。日本の外交官の悪い噂話も本(『外務省犯罪黒書』(佐藤優)等)になって暴露されたりしていますが、私たち一般人は、よく理解できません。昔から日本の外交官は評判が悪いそうです。拉致事件も外交問題といわれました。拉致事件も40年以上もかかっているのは、外交力がないからだともいわれます。歴史的に見れば、外交にしろ海外援助にしろ、失政が非常に多いのかもしれません。「外国では様々な意味で甘い国際感覚の日本人が狙われている」といわれます。日本人に特有な「甘い国際感覚、貧弱な語学力」では大きく国益を損ねるそうです。また「失政」を詳しく調べていくと、意外なことが分かるのかもしれません。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートの英知を結集したドリームチームの「国家改造計画」「防衛計画」が求められているそうです。政府にはベスト&ブライテストが集結しているはずですが?!またベスト&ブライテストしか政府を構成できないはずですが?!出てくる結果が悪いといわれます。

・「日銀が過去に何度も金融政策を間違った」ということは、しばしばエコノミストや経済学者にも指摘されることだといわれます。特にバブルの処理に誤って、「失われた20年」の日本経済を演出したと指摘されています。金利を急激に上げて、急速に景気を冷やしたというのです。当然のように、バブル崩壊となりました。根本的な経済理論の不安定さが、日本経済を迷走させているようです。理論家と実務家の争いといえましょうか。「船頭多くして船山に登る」ということだったようです。そして官庁エコノミストの限界でしょうか。官僚制度も時代の流れに適応できずに制度疲労、劣化が目立つともいわれます。また政治家は選挙民の対応に追われて、勉強ができないそうです。「日本の政治家はアメリカのロビイストのような役割を果たしている」という説もあります。そこで政治主導は理論的にも無理だといわれます。「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」と述べられます。ちなみに政治といえば、「日本合衆国」や「日本共和国」を目指す勢力もあるといわれます。
また地方議員の近未来の姿は欧米のようにボランティア議員の流れだといわれます。

・政治が劣化すれば、国民生活を直撃します。あまり知られていないことだが、日本の社会保障というのは、先進国とは言えないくらいお粗末なモノなのであるといわれます。今の時代、国民の血税のタックス・イーターが増殖しているのかもしれません。私たち一般人はエコノミストではないので、詳しくは分かりません。「政府にはベスト&ブライテストが集められているはずなのだが!?」といわれます。それにもかかわらず、原因は本当に有能な官僚や政治家、が登用されていないからだそうです。言語道断な人々も増えていると語られています。円高誘導政策がいいのか、円安誘導政策がいいのか、はたまた、その中庸なのか、百家争鳴と指摘されています。「円高は国益だ」と主張する学者もいます。「失われた20年」は深刻な影響を与えています。様々な統計の世界の国々のランク付けでも日本は先進国の順番が、降下しています。難病、奇病も増えており、困っている人も増加しており、単に政治の貧困としては片づけられないそうです。政務活動費の不正問題もあり、「政治家が劣化している時代だ」ともいわれています。安倍総理自身もアベノミクスの失敗を認めたといわれます。

・政治家は、世論の反発や票離れを恐れるあまり、日本の将来に必要不可欠な社会保障制度改革や年金改革に着手できずにいると語られています。また「政治は税金なり」といわれますが、税制が劣化してきているともいわれます。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」と述べられます。そのために政治の近代化を急がなければ、それこそ先進国から脱落すると指摘されています。「失政」が予想以上に多いともいわれます。補償も十分とはいえません。それで「失政」を詳しく調べていくと恐るべきことが分かるのかもしれません。

<●●インターネット情報から●●>
・ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)でみますと、
「三重野康」
バブル経済とその崩壊への対処

当時、バブル景気による地価上昇が一般庶民の生活を苦しめていたこともあって(当時のサラリーマンにとって、東京都内に家を建てる事は出来無かった)、それを果敢に退治する三重野を、マスメディアは「平成の鬼平」と賞賛した(佐高信など)。だが、この時の行き過ぎたバブル潰しが、その後のデフレーション(失われた20年)を招来せしめたとして、現在は三重野の政策を否定的に解する向きが多い(例えば、慶大教授・竹森俊平:『世界デフレは三度来る』など)。特に、バブルが崩壊した後の金融緩和が遅れ、また小出しとなった結果、日本経済にとっては引き締め環境が続いたことの影響は大きかった。

なお、1992年(平成4年)には宮沢喜一内閣総理大臣と共に、日銀特融の形で公的資金投入を模索したことが知られているが、財界や大蔵省の反対に遭い、果たせなかった。後に宮澤は、当時の政官民の主要人物で、危機意識を共有していたのは三重野だけであったと述懐している」とのこと。

・安倍総理の登場でアベノミクスという経済政策が採用されました。金融的にも量的緩和を大規模に実行したようです。しかしながら、TPPのように貿易自由化政策を推進しているために、この面からの物価の下落圧力が強まるそうです。アクセルとブレーキを同時に踏んでいるといわれますが、デフレ不況を止めることはなかなか難しいそうです。トランプ大統領がTPPから離脱宣言をしましたが、従来のように米国に追従しないのでしょうか。TPPも事情変更になれば、米国と同じ立場になり米国のように大衆が地獄を見ると懸念されています。いつまでも自由貿易至上主義が通じるほど、国際社会は甘くないと指摘されています。

・著者(浜田宏一氏)によると「日本銀行が暴走して無茶な引き締めを行い、結果的に10年以上デフレが続いています。人類史上稀にみる経済失政、大災害が現在進行形で続いているのです」ということです。私たち一般人は、エコノミストでないので、詳しい経済メカニズムは知らないのですが、容易にデフレ不況から抜け出ることは難しいようです。「財源不足」と言う理由で、福祉予算がどんどん削られますので、さまざまなレベルが下がっていくことでしょうか。

・「日本の借金は1000兆円」「一人当たり830万円」という数字の情報操作は、国民に広く浸透した情報操作だったといわれます。当時の野田総理も「子孫に借金を残すな」と盛んに答弁していたといわれます。財務省には、この数字の説明責任があったようです。この数字の情報では「増税に反対」する世論は力がなくなります。様々な政治力学が働いたのでしょうか。また経済評論家等の「日本経済破綻説」や「国債暴落説」の本が店頭をにぎわしたものです。しかしながら、「国の借金問題など存在しない」というエコノミストもいるといわれます。私たち一般人には、経済学説にも理解不能なことが多いようです。このような経済の最も基本的な事柄にエコノミストの見解が分かれるのは、エコノミストの資質が窺われます。安倍総理自身もアベノミクスの失敗を認めたといわれます。経済問題は国民の主要な関心事です。そこで、いわゆる「正しい説明」をしてもらいたいものです。「あまり知られていないことだが、日本の社会保障というのは、先進国とは言えないくらいお粗末なモノなのである」といわれます。どの程度、一般認識があるのでしょうか。政治経済の制度疲労が激しく、システムが劣化しているそうです。そのうえ官僚と政治家の劣化もひどいそうです。その点については政治家と官僚の認識も自覚もないといわれます。ある意味ではディスインフォメーション(偽情報)になったのかもしれません。

・「日本の借金は1000兆円」といわれると誰でも驚いたものです。解釈が違うと別の結論がでてくるようです。財務省というファイナンスの権威のある役所のいうことは、誰でも従うともいわれます。財務省の政策にも問題があると指摘されています。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、国民の血税を費用対効果を考えて政策財源にあてるべきだ」そうです。役所の税金の無駄遣いを指摘する有識者も多いようです。1票の格差が大きいと政権の正統性が疑われるといわれます。「政治は税金なり」といわれますが、税制が劣化してきていると語られています。消費税に重点を置きすぎていて、累進課税や法人税の実質的な税制が応分負担に改正されるべきと指摘されます。文部省の天下り斡旋が問題になりました。官僚制度も時代の流れに適合できなかったといわれます。そして「改革が遅れているのは本当に優れた官僚や政治家が登用されていないからだ」ともいわれます。「失政」が増えている時代に、私たち一般人は、政治意識を高めていく必要があるそうです。「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」といわれます。

・amazonに「アベノミクス」といれますと904件の書籍がわかります。『アベノミクス崩壊』(牧野富夫)、『日本経済崖っぷち  妄念の中の虚像、アベノミクス』(浜矩子)等で、ネガティブなものが増えてきているようです。アベノミクスの評価も立場の違いで、2つのグループに分かれるようです。官庁エコノミストは、痛烈に批判する人は当然ながら、少ないようです。『「新富裕層」が日本を滅ぼす』という本の著者(武田知弘氏)は、37冊くらいの本を書いているようです。財務省の見解というものは専門家集団ですので、指導力は強いそうです。「実は日本は社会保障“後進国”」という認識の有識者は多いのでしょうか。

・著者(武田知弘氏)によると消費税という税は不合理な政策だということになります。しかし、「無税国債」の発行に賛成する官庁エコノミストは多くないようです。「無税国債の発行」を主張する新しい首相はでてくるのでしょうか、社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。改革の速度も大変遅いようです。「失われた日本経済の20年」といわれますが、その間の経済政策は効果的ではなかったようです。20年の間に「日本経済の劣化」は相当すすんだようです。世界中で「格差の問題」が議論されています。「格差」は、税制で作られたともいわれます。「財源の裏付けのない政策は実現できない」ということで、「限られた予算、限られた処遇、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字」という状況が続きました。財政・社会保障費の抜本改革が不可欠であることは明らかですが、実施は難しいようです。「もともと国家予算の分配の問題になるようで、財源をひねり出すためにも、行政、立法、司法の大胆なリストラ、近代化、効率化が必要」といわれます。税金の無駄遣いもなくせないようです。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、国民の血税を費用対効果を考えて政策財源にあてるべきだ」そうです。

・「日本は先進国だろうか」という声も街中では増えてきているようです。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。スイスではベーシックインカムの実施が国民投票で否定されましたが、大胆な改革の試みが先進諸国で行われているようです。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートのドリームチームによる英知を結集した「国家改造計画」が求められているといわれます。舛添氏の公私混同が議会で批判されました。メディアにも大きく取り上げられました。エリートで、あまりにも期待された人だったので、反動も大きかったようです。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。困っている人も増えており、単に政治の貧困としては片づけられないそうです。いつまでも「政治が遅れている」ということでは複雑化する社会問題に対応できないでしょう。政治家は選挙民の対応に追われて、勉強ができないそうです。「失政」が増えている時代に、私たち一般人は、政治意識を高めていく必要があるそうです。「改革が遅れているのは本当に優れた官僚や政治家が登用されていないからだ」といわれます。どんな時代、どのような体制においてもテクノクラートの官僚や官僚制度は必要になります。有能な人材が活用されていない結果だと指摘されています。

・「政治家が劣化している時代だ」ともいわれています。「日本の政治家はアメリカのロビイストのような役割を果たしている」という説もあります。そこで政治の改革がなかなかすすまないといわれます。「政治が遅れている。私たち一般人は、政治意識を高めて政治の近代化を急がなければならない」そうです。政治の費用対効果の向上、行政サービスの効率等、問題は山積みといわれます。道州制も夢のような素晴らしい計画ですが、実施されると大衆が地獄を見る懸念もあると指摘されています。

・「消費税増税のスタンス」が政治の一般論としてあります。日本の「借金」は1000兆円もあり、財政危機の状況であり、消費税を上げて財政危機を回避しなければならないという議論が有力説となり、政府を動かしているといわれます。1000兆円という数字が独り歩きしており、真面目に「国債暴落」、「日本経済破綻」を主張している学者・エコノミストも少なくありません。経済学者やエコノミストが最も基本的な問題に見解が対立しているのは、私たち一般人には不思議な話です。財政の危機を考えると、消費税増税もやむをえないという思考が一般的でしたが、「日本の借金問題は、懸念することはない」という説もあり、驚きます。

・Amazonに「日本破綻」といれますと908件の書籍を見ることができます。『2020年、日本が破綻する日』(日本経済新聞出版社)、『1500万人の働き手が消える2040年問題―労働力減少と財政破綻で日本は崩壊する』(ダイヤモンド社)等です。その一方で、『何があっても日本経済は破綻しない!本当の理由』(アスコム)という全く反対の見解もあります。とにかく「財政問題」については百家争鳴のようです。

・「築土構木の思想で、土木工事を大規模にして日本を建てなおす」必要があるようです。国土強靭化構想で、水道や下水道等、道路のインフラを再整備する必要があります。老朽化がひどいそうです。また地震や津波に対する対策や東日本大震災の復興にも大規模な「土木建設」が必要です。首都直下大地震津波や南海トラフ巨大地震津波も発生確率が非常に高いと、大衆レベルでも認識が浸透しています。かつて日本は、田中角栄氏の「日本列島改造論」にあるように「土建国家」ともいわれたものでした。田中角栄元首相の実績には毀誉褒貶があったようです。

・「熊本地震」も、このような大地震がくり返されて、不気味な南海トラフ巨大地震津波へと繋がっていくと、地震学者が述べています。「財源の裏付けのない政策は実現できない」といわれますが、建設国債や日銀の引受など手法はいろいろとあるといわれます。「コンクリートから人へ」ともいわれましたが、両方への投資が必要です。金融緩和と同時に大規模な財政投融資の両方が機能しなければならないといわれます。

・「政府債務残高約1000兆円」ということで「財政破綻」を喧伝し、大騒ぎをするエコノミストもいましたが、「国の借金問題など存在しない」と主張するエコノミストもいて、奇妙な面白い議論です。政府の紙幣発行権をめぐる考えの相違といいますか、デフレなどの基本的な考えが、それぞれ違っているようです。アベノミクスに対しても、厳しい評価をする経済学者もいるようです。外国の経済学者の評価も明らかになりました。今の状況では消費増税は無理だとされ延期されました。

・私たち一般人は、エコノミストではないので、詳しい分析はできませんが、円の国際的な評価が、その実態を反映するそうです。「国債などの政府債務残高は現在、約1000兆円。日本政府の資産を考えると、ネット(差し引き)で500兆円になる。そこに日銀を政府との連結で考えると、日銀が300兆円分の国債を持っているから、政府債務は連結すると200兆円ということになる。GDP比で考えると欧米より少ない」という結論になると主張する学者(高橋洋一氏)もいるようです。ギリシアのような経済の弱い国と比較はできないようです。

・「日本の核武装」に言及する知識人が増えてきているそうです。核装備は一種の政治のタブーになっていた感がありましたが、世界情勢が大きく変わってきたためか、有識者から様々な提案がなされているようです。私たち一般人は、核兵器については詳しくは知りませんが、日本の周辺の仮想敵国が核兵器や「貧者の核兵器」といわれる細菌兵器、化学兵器を熱心に開発している以上、日米安保条約のみに頼ることは十分ではないようです。タブーなき防衛論議が必要のようです。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートのドリームチームの英知を結集した現代の「国家改造計画」「国防計画」が求められているそうです。防衛政策ははたしてどのような評価をうけているのでしょうか。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。民間防衛の取り組み方も低調のようです。スイス型の「民間防衛」が参考になるといわれます。大衆に危機を煽ることのないように、何も知らせないということでは、改革が進まないといわれます。良識の国会の「ノーシェルター政策」は、一般国民が恥をかくといわれます。良識の国会の「ノーシェルター政策」は、「敵の一番の弱点を攻撃する核攻撃を招き寄せる」といわれます。総務省と地方自治体の管轄の「郷土防衛隊」の創設が必要だといわれます。

・「核の恫喝を受けないためにも核には核を」という合理的な思考が求められているといわれます。周辺諸国では、核兵器や生物化学兵器、核シェルターの開発を熱心に展開しているそうです。核戦争を想定内にしているからでしょう。核兵器を持たなければ歩兵の大量出血を強要されるといわれます。抑止力のない高価な通常兵器を少数そろえたのでは、拉致事件にも抑止力がなかったそうです。「抑止力のない高価な通常兵器を少数揃える」よりも、巡航ミサイルやバージニア級の攻撃型原子力潜水艦等の「抑止力のある高価な通常兵器を少数揃える」ほうが、費用対効果があるといわれます。核シェルターもありませんし、この方面に脳天気(ノー天気)ですと、日本も歴史から消えていくことになるでしょうか。5兆円という限られた防衛予算では不十分だともいわれます。「脳天気(ノー天気)な核シェルターもグローバルスタンダードを適用すべきだ」といわれます。

・「次の戦争では必ず新兵器が使われる。将軍たちは前の兵器で軍事演習をしている」そうですので、通常兵器が陳腐化する時代に備えておく必要があるのでしょうか。「核には核で」という常識がゆきわたるのはいつのことでしょうか。もちろん、日本の核装備には言うまでもなく、多くの反対論があります。法律や条約の問題もあります。しかし、憲法改正をしなくても核兵器は持てるといわれます。 海外派兵の前に核兵器を持つべきだといわれます。

・太平洋戦争も米軍の新兵器と原爆によって、日本軍が圧倒されたように、新兵器の登場によって旧兵器が完全に陳腐化するのだそうです。核ミサイルによって兵器のパラダイム・シフトがおこっているといわれます。旧軍は、レーダーなどの新兵器で完敗しました。それも現代では新兵器の開発のスピードが速くなっているそうです。旧軍のほとんどの将官や将校も「戦争に勝てる」とは思わなかったそうです。そして「戦争に負ける」ということは、どのようなことを意味しているかも認識していなかったといわれます。ひどい目にあったのは、国民すべてですが、特に庶民でした。

・サイバー戦争では米中戦争がすでに始まっているとも言われています。「サイバー戦争をみても第3次世界大戦はもう始まっている」という説もあります。深刻な人口問題と社会問題を持つ中国は、国内が乱れると、さまざまな面で国際間のトラブルを起こし、対外戦争に打って出るという懸念が国際社会、チャイナ・ウオッチャー間では言われているそうです。トランプ大統領も「中国は敵だ」と認識しているといわれます。Amazonに「サイバー戦争」といれますと152件の書籍が出てきます。『サイバー戦争〜すべてのコンピューターは攻撃兵器である』、『日本サイバー軍創設提案:すでに日本はサイバー戦争に巻き込まれた』という具合に書名は刺激的です。どうもサイバー戦争はいまも熾烈に継続中だそうです。メディアに人民解放軍の将校の名前が出たりして米中サイバー戦争は奇妙な問題でした。専門家やメディアもどの程度把握しているのでしょうか。近未来は、世界的にサイバー犯罪も急増する懸念があるといわれます。私たち一般人は、米中間のサイバー戦争についても当然詳しくはありません。北朝鮮のサイバー攻撃も報道されています。

・中国の社会が不安定化することにより世界中に深刻な影響を与える懸念があるようです。学校にいけない子供たちが増えており、社会問題がいろいろと深刻化しているそうです。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」といわれます。米国の学者も2016年に中国は昏睡状態に陥ると予測していたようです。また「中国人は国を捨てた人でないと信用ができない」という中国社会特有の国内事情があるそうです。

・中国の経済学者によると「影の銀行(シャドーバンキング)に対する規制が強化されるなら、中国の不動産価格が最大50%下落する可能性がある」という見方を示していました。不動産市場も株式市場もバブルが崩壊しましたが、再び、投機資金が動いているともいわれます。「チャイナ・リスク」を誰もが認識できる時代になりました。中国の経済の減速、混乱が大減速と大混乱になるのでしょうか。 中国では「上に政策あれば、下に対策あり」といわれていますが、限界がきているといわれます。「中国ははたして「中所得の罠」を破れるだろうか。筆者(高橋洋一氏)は中国が一党独裁体制に固執し続けるかぎり、罠を突破することは無理だと考えている」ということで、中国経済はハードランディングしかないといわれます。

・識者によると、中国共産党の「みっともなさ」が世界中のメディアに露呈されている時代だそうです。世界のメディアへの頻繁な露出こそが中国共産党が最も恐れていることではないのでしょうか。「誰も13億人を食わせられないので戦争をする」といわれます。「来世はブタでも良いから中国人には生まれたくない」と回答する者もいるといわれるくらい深刻な状況といわれます。中国が民主化すれば米国との(核)戦争はありえないといわれます。米中サイバー戦争(ナウ)はどのようになっているのでしょうか。

・ ハニートラップや産業スパイ、人口大国ですから「何でもあり」といわれます。私たち一般人は、複雑な国際政治のメカニズムが分かりません。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」といわれます。同世代の男性が4000万人も偏りがある深刻な人口問題があると指摘されています。「愛国青年を戦場に送れとする古典的な手法が使われる」ともいわれます。20世紀は、内戦と共産党の独裁の失政のために中国国内では、膨大な数の餓死者がでたといわれます。ですから「愛国青年に貧乏を忘れさせるために戦争をする」、「誰も13億人を食わせられないので戦争をする」、「愛国青年を食わせられなくなるので戦争をする」等の執拗な戦争政策を取っていたといわれます。周辺諸国は、ほとんど戦争政策に巻き込まれています。ガストン・ブートゥールは「古来、人間が戦争を起こす理由はただ一つしかない」と言って、その理由を「若者が増えすぎることにある」と指摘されています。ブートゥールは「若者がたくさん戦死すれば、戦争は当初の開戦目的に関係なく自然に終わりを迎える」と語っています。「戦争の結果、人が死ぬ」のではなく、「若者がたくさん生まれ、人口が増えすぎると、戦争が起きて人口調整する」と答えたのです。「ブートゥールは古代のアラブでは男の子を尊び、女の赤ん坊はしばしば殺されていたと書いている。女性の人口が減ればいきおい出産数が減る。人口調整としては最も効果的な方法である」という説もあります。


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・ブログ名称: UFOアガルタのシャンバラ
日本は津波による大きな被害をうけるだろう
・第2のブログ名称:UFOパラレル・ワールド

「神の国か?」「人類の原郷か?」 「天上のエルサレムか?」・・・・・・・・・
「パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の殖民星が、地球か?」、「ネガティブのシリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるのだろうか?」
「金髪碧眼のノルディックが住んでいたアガルタのシャンバラ情報の集大成を目指す・・・・・・・・・・」「金星蛇人と火星霊人の戦争はその後どのように展開したのだろうか」
「日本民族の神話の原郷『高天原(たかまがはら)』は、『都市型の超巨大宇宙船』なのか!?」「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔なのか」
「小人族のグレイの母船に同乗する金髪碧眼のノルディックは、”悪魔の王””ルシファー”なのか?!」
「円盤は神人や異人、悪魔の乗り物なのか!?」「天使は神の秘密諜報員なのか」「神は最初のフリーメーソンなのか」
「UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象なのか。UFO問題とは、人間にとっての死の問題を解くことなのだろうか。UFOはフリーメーソンの創作なのか」
「全宇宙を創ったという“虹の神々”も地球に来ているのだろうか」
「イルミナティなどのフリーメーソン組織に入ると神に会えるのだろうか」「金星の神々は地球に到着するやいなや、イニシエーションのためのフリーメーソン本部を設けたのだろうか」「フリーメーソン結社はこの大地が創出されるよりずっと前から、さまざまな太陽系をめぐって、存在していたのだろうか」
「国際連合の設立に動いたキリストの星、アプ星人とは」
「人は皆、記憶喪失の異星人だろうか」
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