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いずれにせよ、空飛ぶ円盤関連の書籍においては、南米や南極大陸にナチスのUFO基地があることが「通説」として語られてきた。(1)
[森羅万象]
2019年6月13日 11時11分の記事


『流言のメディア史』
 佐藤卓己   岩波新書     2019/3/21



<デジタル時代こそメディア史的思考を>
・そうした「絶対的な義務」を新聞社が果たさない理由を、林は三つ挙げている。第一に、自社掲載の記事を捏造だと発表することにより読者の信用を低下させるのではないかという不安。第二に、新聞を商品と考える新聞社の多くがコストのかかるニュース調査機関を備えていないこと。第三に海外からの特電を権威付けに利用する新聞が、その価値を損なう知識の普及に消極的であること。こうした新聞社の不作為の説明は、今日でも十分に通用するのではなかろうか。

・一方、当時の新聞読者は「捏造ニュース」をどう読んでいたのだろうか。その約2か月前、戦時下の読者にリテラシーの向上を求める五城朗「戦争ニュースは欺く」が同紙に掲載されていた。今日のフェイクニュースの原型とも言えるような「与太ニュース」の氾濫を指摘した上で、五城はアメリカの『フォーチュン』誌が行った各国首都(ワシントン、ロンドン、パリ、ベルリン、モスクワ)からの外電に関する信頼度調査を引用している。ロンドン電で32.4%、パリ電で33.4%、モスクワ電なら54.2%、ベルリン電に至っては59.1%のアメリカ国民が“ほとんど信じない”、“全然信じない”と答えている。もっともアメリカ国民は自国のワシントン電に対してさえ、12.2%が強い猜疑心を表明していた。その事実を示した上で、五城は日本国民に「一切の戦争ニュースを警戒せねばならぬ」と呼びかけている。

・どんなニュースに対しても、まず聡明な懐疑心を働かせ、苟くも軍事的に見て不可能、或は不合理な内容であれば、直ちに虚報であると看破するだけの眼識が具われば、もはや戦争ニュースも「欺く」ことは出来なくなるわけである。

・翌1941年12月8日、ドイツ軍の優勢を信じて日米開戦に踏み切った日本の政治指導者にも、そうした「眼識」はなかったようだ。とはいえ、「聡明な懐疑心」を訴えた五城さえもドイツ軍のポーランド占領、フランス降伏とつづいた電撃戦には幻惑されていたのだろう。「新聞は、思想電撃戦の最も浸透的で、最も有力な武器である」と、真珠湾攻撃の4か月前、「国際ユダヤ閥の世界新聞統制を衝く」を書き起こしている。五城は「国際ユダヤ閥の支配下にある大通信社」の虚報製造システムを次のように解説していた。

・マーク・トゥエーンが、「真実が靴の紐を結ばぬうちに、虚偽のニュースは世界を一周してしまう」といっているように、新聞の虚報が常にその取消よりもスピ―デイーに世界に流布すること、更に、一度プリントされた以上、結局何ものかは後に残る、というのがこれ等通信社の虚報製造のつけ目である。たとへ訂正要求、取消、その他の障碍が起ったとしても、報道の迅速と競争という理由のために、各新聞社はニュースの真偽を確かめる余裕がないので、自由主義的な新聞は、無批判にこれ等通信社の製造せる虚報を掲載してしまうのである。

・これほど虚報の効果を「聡明な懐疑心」をもって分析できる五城が、なぜ典型的なメディア流言ともいうべきユダヤ陰謀論に入れ込んでしまったのか。知識や理性だけでフェイクニュースを見破ることができると考えるべきではないようだ。それ以上に強調しておきたいのは、小説家マーク・トウェイン(1910年没)の警句、「真実が靴の紐を結ばぬうちに、虚偽のニュースは世界を一周してしまう」が第1次世界大戦以前から存在していたことである。

・それにしても、猜疑心がもっぱらSNSなどニューメディアに集中的に向けられている現状においては、まずメディア史的思考に立ち戻ることこそ必要だと私は考えている。果たしてSNSのデジタル情報より印刷メディアのアナログ情報を信頼する態度に陥穽はないのだろうか。

<バーチャル・リアリティーの日常世界>
・私たちは「あいまいな真実」と「魅力あるデマ」が絶えず流れ込む情報空間に生活している。日本で「インタ―ネット元年」と呼ばれる1995年、このデジタル革命を「リアリティー侵略戦争」として告発した著作がアメリカで出版されている。マーク・スロウカ『それは火星人の襲来から始まった』(原題は『宇宙戦争』)である。刊行から約四半世紀が経過した同書をいまヴァーチャル・リアリティー論として読む人はまれだろう。

・スロウカは電子文明が勝利した決定的瞬間として、1938年10月30日にアメリカで起こったマス・パニックを描いている。

・合衆国東海岸各地の市民が、H・G・ウェルズの原作[1898年]をオーソン・ウェルズがラジオドラマ化した『宇宙戦争』を聞き、16本の触手を持つ火星人が地球に着陸したと信じてパニックに駆られ、高台をめざしたからだ。それはRCA[アメリカラジオ会社]の技術者にとっての劇的勝利であり、新時代の到来を告げる決定的瞬間だった。ウェルズの電子的幻影は、来襲した火星人から逃れるために北へ逃げた大勢の人々の常識および現実を、あっさりと打ち負かしたのだ。

・ここで興味深いのは、ヴァーチャル・リアリティーの影響力を批判するスロウカが「火星人来襲パニック」が歴史的事件であることをまるで疑っていないことだ。

<弾丸効果パラダイムという神話>
・ここで「火星人来襲」騒動の背景を理解するために必要な若干の歴史的解説を加えておきたい。1938年春のオーストリア併合の後、ヒトラーはさらにチェコにズデーテン地方の割譲を要求し、ヨーロッパは一触即発の戦争危機に包まれていた。結局、イギリスの宥和政策により、ヒトラーの要求は9月30日ミュンヘン会議で承認された。それは火星人来襲ドラマのちょうど1か月前である。戦争回避に向けて外交交渉が続けられた期間中、アメリカのラジオ放送はしばしば番組を中断して臨時ニュースを放送していた。ウェルズのラジオ劇は臨場感の演出に、この臨時ニュースと前年5月の「飛行船ヒンデンブルク号炎上事件」実況中継のイメージを利用した。だとすれば、聴取者が「火星人」でドイツ兵を想起したとしても不思議ではない。キャントリルのインタビュー調査でも以下の回答が寄せられている。「わしはドイツ人がみんなをガスでやっつけようとしていると思ったね。火星人だなんていっていたが、アナウンサーはよく知らないで、まだヒトラーがかれらを送ってよこしたのを知らないんだと思ったね」

<新聞のパニック報道とその影響>
・「火星人来襲パニック」について最も頻繁に引用される記事は、翌10月31日付『ニューヨーク・タイムズ』の第一面にある。「ラジオ聴取者のパニック――戦争劇を事実と取る」の見出しの下で、「“火星からの毒ガス攻撃”から逃れるべく避難者多数――ウェルズの空想小説放送で警察に電話殺到」が報じられている。全米の新聞は3週間で1万2500件の関連記事を掲載したという。事件が翌日の新聞で大々的に報じられたのは、日曜日の夜に突如として新聞社に問い合わせの電話が殺到したことも一因だろう。

・むしろ、このパニック報道を「絶え間ない戦争扇動の帰結――火星人、アメリカを脅かす」として大きく報じたのは、11月1日付のナチ党機関紙『フェルキッシャー・ベオバハター』などドイツ紙である。その8日後、ドイツ各地では11月9日夜から10日未明にかけ反ユダヤ主義暴動、「水晶の夜」が発生している。ユダヤ人青年によるパリのドイツ大使館員テロへの報復を口実として、シナゴーグやユダヤ人の住宅が襲撃、放火された。ナチ党主導の「半官製暴動」ともいうべき事件だが、国際的非難をかわすべく憤激した民衆のパニックが演出された。
 その意味では、火星人来襲パニックは第三帝国にとっては利用できるニュース素材だった。ヒトラーは11月8日にミュンヘンでの演説で「たとえ火星や月から降ってくる爆弾にもおびえてはならない」と述べ、半年後の1939年4月にも「退廃した民主主義の神経症」の事例としてこの事件に言及している。他方で、ドラマ放送から4日後の11月3日付アメリカ共産党機関紙『デイリー・ワーカー』も、「アメリカ人は自分の想像のなかで、宇宙人をヒトラーに置き換えて受けとった」と分析していた。

<災害パニック神話>
・「危機の時代のメディア・コミュニケーション」という副題をもつ『宇宙戦争からソーシャルメディアへ』を私が取り寄せたきっかけは、やはり東日本大震災であった。3・11以後、いわゆる「災後」のメディア研究者としても私も流言現象に関心を寄せていた。東日本大震災の直後は「コスモ石油の黒い雨」「外国人窃盗団多発」「放射能にはヨウ素入りうがい薬が効く」………など多様な流言蜚語、デマ情報が広まっていた。そうしたニセ情報はツイッターやフェイスブックなどによって瞬時に拡散される。このテーマでは荻上チキ『検証 東日本大震災の流言・デマ』(2011)が役に立つ。

<古典「火星からの侵入」の問題点>
・プーシー&ソコロウは当時の新聞報道を検証し、現実には大したパニック現象は確認できず、「だまされた」聴取者はごく少数だったと結論付けた。実際、そのパニック報道と新聞記者が目撃した状況とのギャップは大きかった。たとえば、第一面で「ラジオのインチキ“戦争”が全米を恐怖に陥れる」と報じた『ニューヨーク・デイリー・ニュース』は、マンハッタンの大混乱を詳細に伝えている。しかし、同紙のラジオ部長ベン・グロスは、≪宇宙戦争≫放送直後にCBS本社前に乗り付けたとき、マンハッタンの通りは閑散としていた、と1954年の回想録で書いている。

<情報過剰社会の歴史改変>
<「ヒトラー神話」の戦後史から>
・19世紀にニーチェが宣言した「神の死」、つまり絶対善が消滅した後、あらゆる価値の参照点に立つのは絶対悪である。悪魔化されたヒトラーは、現代社会における絶対悪として人間的価値の審判者となったのである。

・それは、ヒトラーが1930年代当時のドイツ人よりも戦後世界の私たちに対して最大の文化的影響力を発揮している可能性である。映画やテレビで「人々はいまでも、ヒトラー、ヒムラーや親衛隊の話に胸をワクワクさせる」のであり、「表紙に鉤十字を描いておけば、ほとんどどんな本でも売れると考えているのがアメリカ出版界」だった。それは日本でも同じであり、否、むしろナチカル(ナチ・カルチャーの略称)は戦後日本の大衆文化で戦前以上に流行している。

・もちろんマンガやアニメなどの娯楽作品におけるヒトラー人気はおとぎ話であって、さほど有害ではない。ただ、そこに温存される「絶対悪=ヒトラー」の審美的なイメージには警戒が必要だろう。ありあまる自由に息苦しさを感じる大衆にとって、フリーターから第三帝国総統に上りつめたヒトラーは価値を一発逆転させる「神」と映らないだろうか。いまのところ、「絶対悪=ヒトラー」に帰依する社会的弱者は少数にすぎないが、格差社会化の進展の中で絶対した「負け組」が大量発生しないという保証はない。圧倒的多数の「負け組」を必然的に生み出すグローバル情報社会において「ヒトラー民主主義」の再来を回避するためにも、ヒトラーの悪魔化よりは人間化こそが必要なのだ。

<ナチスが月から攻めてきた!>
・ナチズムの恐怖を「火星からの侵入」に重ねたラジオ・ドラマから始まる本書の叙述を終えるに当たって、やはり宇宙からの来襲をテーマとしたSF娯楽映画≪アイアン・スカイ≫(フィンランド・ドイツ・オーストラリア共同制作、2012)は無視できない。そこでアメリカに攻め込むのは火星人ではなく空飛ぶ円盤に乗ったナチスである。その映画は2012年9月に日本公開され、一部で大ブレイクしたカルト的作品であり、公開に合わせて『別冊映画秘宝 ナチス映画電撃読本』も刊行されている。
 映画の設定は、第2次世界大戦後、月の裏側に逃れたナチスはそこで「第四帝国」を築き、着々と地球へのレコンキスタ(失地回復)を狙っているという荒唐無稽なものである。リアルな歴史では親衛隊幹部の逃亡先としてアドルフ・アイヒマン(ユダヤ人強制収容所移送責任者)のアルゼンチン、ヨーゼフ・メンゲレ(アウシュヴィッツの医師)のブラジル、あるいはアロイス・ブルンナー(アイヒマンの副官)のシリアなど中南米や中東が多い。メンゲレ博士をモデルにヒトラー・クローン計画を描いたアイラ・レヴィンの小説が『ブラジルから来た少年』であるように、「ブラジルから」ならまだリアリティーがあるが「月から」ではおとぎ話だ。
 もちろん、おとぎ話とてユング派心理学では学問的な分析の対象となる。C・G・ユング自身が『空飛ぶ円盤』(原著、1958)において、人々の無意識がUFOにうわさにより意識化されるプロセスを分析している。ユングは好奇心、センセーションを求める心がある限り流言は広まるとみなしており、「空中に見られる物体」と宇宙人が結びつく契機を次のように説明している。

・UFOの地上基地を発見したり、その物理的な特性を説明したりできないため、やがて地球の外から来たものだと想像されるようになる。第2次大戦勃発直前、ニュージャージーに起った大パニックの心理はこの想像に関連している。火星人のニューヨーク襲来をテーマにしたH・G・ウェルズの小説をラジオドラマとして放送したところ、現実に「大恐慌」が起り、無数の自動車事故が続出した。明らかに、目睫の間に迫った戦争に対する潜在的な情緒不安が、この放送劇によって爆発した。
 ユングは「火星人のニューヨーク襲来」も集合的無意識に内在している元型のイメージの投射と考えた。ただし、ユング自身がユダヤ人心理学者フロイトとの対立からナチ・シンパとうわさされていたこともあり、さすがにUFOのナチ兵器説については触れていない。

・いずれにせよ、空飛ぶ円盤関連の書籍においては、南米や南極大陸にナチスのUFO基地があることが「通説」として語られてきた。矢追純一『ナチスがUFOを造っていた』(1994)が典型的だろう。矢追は日本テレビのディレクターとして多くのUFO番組を手がけているが、1994年10月11日19時から2時間番組として日本テレビ系で放映された《矢追純一UFOスペシャル》は『朝日新聞』夕刊テレビ欄で次のように紹介されている。
 「独ナチスがUFOを製造していた ⁉」衝撃……戦車砲をつけたUFO写真66枚初公開 ∇国連事務総長が宇宙人の誘拐を目撃! ∇ヒトラーは生きていた ⁉ ∇50年前に日独共同のUFOが火星に着陸していた ⁉

・テレビ欄なら、 ⁉を付ければ、どんな無茶な内容でも新聞は載せることができるのだろうか。この番組にも「火星」は登場するが、SFの世界で火星がナチスの生存権であるのは常識となっている。
 {SFおたく}のバイブルともいうべきチャールズ・プラット『フリーゾーン大混戦』の第17章「火星から来た第三帝国クローネマイスター」では、ナチ突撃隊が地球に再突入する。あるいは、火星にヒトラーが転生して再び地球征服を志すという設定なら、デニス・ホイートリー『ナチス黒魔団』がある。火星どころか、さらに遠く金星のヒトラーを描いたのは、ターザン・シリーズで知られるエドガー・ライス・バローズの『金星の独裁者』(原著、1939)である。本書第5章で戦中に『デマ』を執筆した『ターザンの冒険』の翻訳者・本多喜久夫を紹介したので、敢えて言及するわけだが、類人猿ならぬ類猿人ターザンは同じ白人のナチスとは戦っていない。だが、黄色人種の日本軍とは戦っている。『ターザンと外人部隊』(原著、1947)で、ターザンはイギリス空軍大佐になりスマトラ戦線で日本軍を打ち破っている。バローズにとって、太平洋戦線は『野蛮=過去』志向、欧州戦線は「SF=未来」志向ということなのだろう。『金星の独裁者』はスペースオペラの金字塔「火星シリーズ」に続く「金星シリーズ」第3巻であり、ニュルンベルク党大会を彷彿とさせる分隊行進、親衛隊、政治犯の強制収容所など、まさに第3帝国のパノラマである。

・映画≪アイアン・スカイ≫は、こうした過去のナチカル遺産をかき集めた作品であり、チャップリン《独裁者》の有名なシーンなどそのまま引用されている。このカルト映画が最も人気を博した国の一つは日本だが、アニメ《宇宙戦艦ヤマト》や《機動戦士ガンダム》で育った世代にはとても外国映画と思えないはずだ。一方で、月面ナチスのヒロインがナチ流に「友愛」を謳い上げた演説にアメリカ大統領が感動して自分の選挙広報スタッフに加えるといったメディア政治を風刺する設定などは、ドイツで大ベストセラーとなったティムール・ヴェルメシュ『帰ってきたヒトラー』(原著、2012)ともシンクロしている。この風刺小説では現代にタイムスリップしたヒトラーが「ユダヤ的」商業主義メディアを「自分と同類」と認識した上で、パブリシティーでの共犯関係を築いて成功を収めている。こちらも移民排外熱の高まるドイツで2015年に映画化されて話題になった。とはいえ、月からのナチ来襲や総統のタイムスリップは娯楽作品であって、悪趣味と物言いがついたとしても、それ自体をメディア流言として問題視する必要はない。

<新華社が伝えた「和服姿のヒトラー」>
・むしろ、メディア流言として注目すべきは、たとえば2015年6月23日、中国国営通信社・新華社の電子版・新華ニュースが配信した「アドルフ・ヒトラーの紋付き羽織袴姿の写真――英紙が公開」の記事である(本章扉図)。
 色あせたモノクロ写真に映っているヒトラーは代表的な髪型と口髭で、紋付き羽織袴を着て、右手に扇のようなものを持ち、厳格なまなざしでカメラを見ている。着物には、ナチスを象徴する鷲のモチーフと鉤十字が入っている。
 
・この「写真」は英紙『デイリー・エクスプレス』電子版に発表され、『デイリー・メール』電子版にも掲載された。記事では1936年の日独防共協定を記念して撮影された写真ではないかと推定されているが、写真ではなくイラストと見るのが普通の感覚だろう。この種の海外ゴシップには目がない日本のマスコミだが、さすがに共同通信社や各紙特派員も管見の限りでは転電していない。『デイリー・メール』電子版にはフェイスブック、ツイッター、グーグル+などのシェア・アイコンも付いていたが、日本のウェブ上ではもっぱら新華ニュース日本語版が元データとして言及されていた。2015年9月3日の「中国人民抗日戦争および反ファシズム戦争勝利70周年記念行事」が、あと3か月足らずに迫っていた中国にとって「和服姿のヒトラー」は飛びつきたい証拠写真だったのかもしれない。
 
・ただし、このフェイク画像は戦前のヒトラー崇拝者による「メイド・イン・ジャパン」という可能性が高く、このグローバルな偽史情報を日本のメディアがただ黙殺して済ませればよいとも思えない。ゴシップ記事が多い大衆向けタブロイド紙『デイリー・メール』は無視してよいとしても、中国国営の新華ニュースに対してはフェイク画像であると明確に伝えるべきではなかろうか。

・一方、ヒトラーが日本に亡命したという「うわさ」なら、実は歴とした日本発のメディア流言である。1945年10月20日付『毎日新聞』は、同19日付アメリカ軍向け日刊紙『スターズ・アンド・ストライプス』の記事として、ヒトラー総統がドイツの降伏前に日本亡命を計画していたと報じている。同18日にこの亡命計画を明らかにした「日本海軍軍令部某幕僚」は、1945年3月3日の秘密会議の席上において「ヒ総統及びその愛人エヴァ・ブラウンをドイツから救出するための最終的取極めが行われた」と証言している。

・(ヒトラーは)もし日本が彼に対して安全な隠れ場所を提供してくれるならば日本に対して太平洋戦の勝利を保証すべき新秘密兵器の設計案を提供すると約束したとのことである(略)。3月5日未明90日分の食料を積んで1潜水艦がハンブルグに向け横須賀軍港を出港した。艦長を除いては乗組員の誰もが自分達の任務を知らなかった。しかしヒットラーとエヴァ・ブラウンのために美しい織物で飾られた贅沢な船室が甲板に設けられてあった。
 もちろん、「協同」と名付けられた潜水艦がインド洋上で給油したのちの行動は語られていない。この国際スクープはもちろん日本発の虚報だが、その後に日本で蘇生する「ヒトラーの替え玉」神話の原型をなしていることは否定できない。

<日本にさまようトラーの亡霊>
・戦後日本で頻繁に現れたのはヒトラーその人よりその亡霊である。たとえば、『文藝春秋』1954年3月の第5福竜丸水爆被爆から5か月後のことである。書き出しはこうである。

 近ごろ、またヒトラーという名前を、よく聞かされるようになった。しかも、この名が日本人の会話の中で、使われる度合は、だんだん増えている。

この特集記事のサブタイトルには、「吉田独裁政治への警鐘は鳴り渡る」が掲げられていた。つまり、戦前の吉田茂が外務省内で「ヒトラー嫌い」の最右翼だったことを考えれば「ワンマン宰相」吉田が「独裁者」ヒトラーに擬せられるのは皮肉である。

・おそらく「吉田は日本のヒトラーだ」との言説に私的な悪意はなく、「限られた視野から、自分につごうのよい断定をする」のたぐいである。

・実際、吉田退陣後、鳩山一郎内閣が成立したが、以後の日本で首相に選ばれて野党サイドから「日本のヒトラー」のレッテルを貼られなかった人物は数えるほどしかいないだろう。戦後日本では強権を行使する著名人は、その性格や資質を問わず誰彼なく「〇〇のヒトラー」と形容された。○○には政党や宗派から大学や企業まで何でも挿入できるため、罵倒用のフレームとして使い回されてきた。2018年現在、ウェブ上で「平成のヒトラー」と検索すれば、安倍晋三首相を批判する多くの記事を読むことができる。こうした現象こそメディア流言としてのヒトラー神話なのである。

・であるならば、権力者なら誰でもヒトラーになぞらえる発話行動にも、自らの民主主義への不安、より正確にいえば自らの民主主義がファシズムに転化することへの恐れが潜在しているのだろう。ヒトラー神話とは、われわれ自身のなかにある民主的独裁の願望である。実際、ヒトラーを批判し、糾弾する者の語り口は、しばしばヒトラーの語り口とよく似ている。SF映画≪アイアン・スカイ≫の見どころも、実はそこにある。
 こうしたヒトラー神話の言説を日本で分析した研究はほとんどない。しかし、ヒトラーのうわさは他の都市伝説と同じくらいに広まっている。世界博学倶楽部『都市伝説の真相――背筋の凍る噂78!』(2010)では、口裂け女など、「都市伝説」やトイレの怪談など「学校の怪談」と並んで「ヒトラー生存説――第二のナチス総統が現われる日」が収められている。21世紀の都市伝説らしく、死体の替え玉説よりもクローン技術による復活に力点が置かれている。1889年生まれのヒトラーがたとえ日本亡命に成功していたとしても、2019年では130歳となり生存説にリアリティーはない。
 しかし、チャーチルが90歳で没した1965年ならどうだったろうか。この年、ヒトラーは生きていれば76歳になっているが、吉田茂は87歳でなお健在だった。ちなみに、ドナルド・トランプが合衆国第45代大統領に当選したのも70歳であり、まだ70代なら現役といってよい。この1965年、日本の劇映画では初めて「生きていたヒトラー」が登場した。ハナ肇とクレージーキャッツ結成10周年記念作品《大冒険》(東宝・渡辺プロダクション)である。主人公・植松唯人(植木等)は『週刊トップ』のジャーナリストであり、「火のないところに煙を立てる」週刊誌を風刺した作品として見ることもできる。円谷英二が特技監督をつとめたこのコメディ映画では偽札を造る「ナチス陰謀団」を背後で操る黒幕として「ヒトラー」をアンドリュー・ヒューズが演じていた。ヒューズは日本で活動するトルコ人貿易商だったが、≪大冒険≫のために実施された「ヒットラーのそっくりさん」公開募集で選ばれた。ヒューズは3年後、同じ東宝クレージー映画≪日本一の裏切り男≫でもう一人の人気独裁者、マッカーサーを演じている。
 こうした日本の大衆文化におけるナチカル受容史は、ヒトラー神話をメディア流言として読み解く上で不可欠である。

・日本の文芸先品で「ヒトラー日本亡命」説を利用した最も重要な作品は、福田恆存の戯曲『総統いまだ死せず』(1970)である。劇団四季(演出・浅利慶太)によって同年初演された。ヒトラー自殺前後に逃げ出した自称「ヒトラーの影武者」と彼を利用しようとする「ヒトラー信奉者」のやり取りのなかで、実は影武者が「ほんもの」、つまりヒトラー本人かもしれないという疑惑も浮上してくる。劇中人物の水巻は、こう問いかける。

 君達はいつもテレビで吾が日本の総理の顔を眺めているね、そしてそれを本物の総理だと思い込んでいる、が、あれは本物ではない、単なる映像に過ぎないのだ、その映像と替玉と一体何処に違いがある?

・この戯曲が発表された1970年代の日本では、マスメディアの世界で「総統を死の世界から喚び戻」す試みが大胆に実行されていた。ヒトラー神話を日本社会で最強の都市伝説に引き上げた契機として、五島勉『ノストラダムスの大予言』(1973)の大ベストセラー化は無視できない。五島は本書第7章では左翼バクロ雑誌『真相』の反米主義ライターとして登場している。ミシェル・ド・ノートルダム(1503〜66)、ラテン語風に綴ってノストラダムスは、シャルル9世の侍医をつとめたフランス・ルネッサンス期のユダヤ系占星術師である。その暗号めいた四行詩は古くから多様に解釈されてきた。一番有名なのは、次の詩である。
 1999の年、7の月
 空から恐怖の大王が降ってくる
 アンゴルモアの大王を復活させるために
 その前後の期間、マルスは幸福の名のもとに支配に乗り出すだろう

・1999年の大破局説は、その日が来るまで多くのメディアで紹介され続けた。『ノストラダムスの大予言  最終解答編』(1998)までシリーズ10巻が刊行された。第一弾だけでも1998年8月までに累計発行部数は209万部(450版)に達していた。五島は右の詩の解釈として全面核戦争、地球環境汚染、彗星衝突など人類の終末をにおわせているが、必ずしもナチズム復活までは示していない。

・『ノストラダムスの大予言』が大ヒットした後、五島はヒトラーも予言者だったとする『1999年以後――ヒトラーだけに見えた恐怖の未来図』(1988)を刊行している。これに類するヒトラー関係本はそれ以後も大量に出版されてきた。
 当然のことながら予言崩壊の1999年7月以後はそうしたトンデモ本はいっとき書店から消えていた。だが、戦後70周年に五島は『1999年以後』を『ヒトラーの終末予言――側近に語った2039年』(2015)
として改訂出版している。日本に「戦後」が続く限り、メディアの中でヒトラー神話は再生産されるのではあるまいか。



<●●インターネット情報から●●>
ウェブサイト『ヒトラーの予言(完全バージョン)』より「引用」
『1999年以後 ─ ヒトラーだけに見えた恐怖の未来図』
(祥伝社/五島勉著/1988年10月出版)に
書かれている「ヒトラーの予言」の紹介
2000年以後は、それが一層ひどくなる。2014年にはヨーロッパの3分の1とアメリカの3分の1が荒廃してしまい(人心の荒廃も含めて)アフリカと中東も完全に荒廃する。結局、いまの文明は砂漠しか残さない。
しかし人類はそれでも滅びない。わがドイツの一部と米ソの中心部、日本や中国は深い傷を負いながらも生き残る。ただ諸君、それでも人類はいなくなるのだ。いまの意味での人類は、そのときもういない。なぜなら、人類は2039年1月、人類以外のものに“進化”するか、そうでなければ“退化”してしまっているからだ。」

「それをもっとはっきり言えば、人類の一部はそのとき、人類から、より高度なものに進化して、神に近い生物になっている。人類から神のほうへ進化するのだから、それは『神人(ゴッドメンシュ)』と呼んでかまわない。
残りの大部分は、これも進化なのか退化というべきかわからないが、一種の機械になっている。ただ操られて働いたり楽しんだりするだけの、完全に受動的な、機械的な反応しか示さない『ロボット人間』になっているのだ。それまでの気候異変と環境異変、政治と娯楽と食物、それから起こる突然変異が、そのようなロボットのような人間を大量に生み出す。
神人のほうも同様で、同じ原因から生まれてくる。ただ突然変異が大脳にプラスに働いて、進化の方向がロボット人間と別方向になるだけだ。その前段階の『超人(ユーベルメンシュ)』たちも、より進化して神人になる場合がある。
いずれにせよ、彼らはいまの人間の数次元上の知能と力を持つ。彼らは団結して地球を支配する。それまでのあらゆる危機や問題は、彼ら神人たちの知能と力で急速に解決されていく。」
「ロボット人間たちのほうは、それに従って生きるだけだ。これはある意味では気楽な身分だ。戦争も気候も経済も、神人たちによって制御されてしまうので、ロボット人間たちは神人たちの認める限度で、多くのものを与えられる。食物と住居も、職業も娯楽も恋愛も教育も、時には思想さえも与えられる。
ただロボット人間たちは、与えられ、操られていることを意識できないようになる。自分たちの意識では、何もかも自分で選択して勝手に生きているのだと思う。しかし、じつは神人たちがすべてを見通して、管理工場の『家畜』のように彼らを育て飼うことになるのだ。
こうして人類は、完全に2つに分かれる。天と地のように、2つに分かれた進化の方向を、それぞれ進みはじめる。一方は限りなく神に近いものへ、他方は限りなく機械的生物に近いものへ。これが2039年の人類だ。その先もずっと人類はこの状態を続ける。
そしておそらく2089年から2999年にかけて、完全な神々と完全な機械的生物だけの世界が出来上がる。地上には機械的生物の群れが住み、神々がそれを宇宙から支配するようになるのだ。」

■■■第3章:ヒトラーの予知能力の謎 ─ 「私は“あいつ”に選ばれて取り憑かれたのだ…」

●ヒトラーの予言の力の源泉に関しては、いろいろと議論の分かれるところだと思うが、
ヒトラー自身が予言の秘密について告白している。“あいつ”のおかげだ、と。
ヒトラーのIQは150近くあったことで知られているが、霊感(霊的感受性)も
すごく高かったようである。時々、何かに憑依されていたことを
ヒトラー自身、 実感していたみたいである。
ただし、この“あいつ”が何者だったのかは不明であるが……。

アメリカのピュリッツァー賞作家ジョン・トーランドは、精密なドキュメント『アドルフ・ヒトラー』の中で、ヒトラー自身が、のちにイギリスの通信社特派員ウォード・プライスに語った言葉として次のものを紹介している。
「私はあのとき、戦友たちと夕食を摂っていた。すると突然、ある声が私に、『立って向こうへ行け』と命じた。その声が、あまりに明瞭に同じことを繰り返したので、私は上官の命令を聞くように機械的に従い、20ヤードほど移動した。とたんに、いままでいた場所から衝撃と轟きが押し寄せた。そのときまで私も属していたグループの上に、流れ弾が炸裂して1人残らず死んでしまったのだ」
つまりこれは、ヒトラー自身の判断ではなかった。彼の内部深くから噴き上げた何かの声、または外界か異界のどこからか来た、彼以外の誰にも感知できない妖異な命令だったのだ。
「そうだ、それは“あいつ”の命令だった。あのときから、私には“あいつ”が憑(つ)くようになった。恐ろしいことだ。私は“あいつ”に選ばれて取り憑かれたのだ」
彼はあとで、側近たちにこうも語っている。
それだけでなく、語っている最中、ふいに立ち上がって目を剥き、「“あいつ”だ、“あいつ”が来た。また私に未来を教えに来たのだ。そこにいる、そこだ!」 あらぬ方を指さして絶叫することもあった。

第一次世界大戦の戦場での、生死ぎりぎりの衝撃が、ヒトラーの深層意識に火をつけたのだろうか。とある沼地のほとりでハッと気付いたとき、ヒトラーは自分がそれまでとまるで違う人間に変わってしまったのを感じたという。
彼は思い出話として、第一側近のゲッベルスにこう語っていた。
「異常変化だった。それから起こることが全部わかるように感じた。実際わかった。人類の未来が、全て私の前にありありと見えだした。『そうだ、その通りになる。おまえにはわかる。おまえはその力を持った』と、“あいつ”も耳もとでささやいてくれた」
しかも第一次世界大戦が終わっても、“あいつ”はヒトラーから離れなかった。
「ついには、私の体の中にほとんど棲みつくように」なった。
そして様々な未来をささやき、単なる予知以上のことまで告げ始めたという。
「アドルフ、おまえは選ばれた。試練にも耐えた。おまえはドイツ民族を率いてヨーロッパを制覇する。新しい世界を打ち立てる。それがおまえの使命だ……。
おまえがそれをやらなければ、今世紀後半も21世紀も、ユダヤが地球を支配することになる。金も食糧も兵器もユダヤが支配する。世界はユダヤとその代理人どものものになる。だからユダヤを倒せ。打ち倒せ……。
そのためにも、まず政権を握れ。片足の不自由な変な小男が見つかる。その男は天才で、おまえの最大の協力者になる。その男を充分に活用すれぱ、おまえが45歳になるまでに政権が手に入る。50歳で世界征服の戦争が始められる……。
それを忘れるな。おまえは25歳で選ばれて能力を得た。そして生まれてから50年目、おまえは世界征服の大戦を起こすのだ。
さらに生まれてから100年目、150年目──つまり1989年、2039年──もうおまえはいないにしても、そのとき人類は、新しい次の段階を迎える。それが何かも、いずれおまえだけに教えよう……



『宇宙人第0の遭遇』
南極大陸の地下基地で活動したエイリアンの生態記録
アルバート・K・ベンダー  監訳;コンノケンイチ 
  徳間書店  1995/4



<ベンダーが接触した宇宙人の特徴>
1. 黒服の男、美形の女性、高貴な男性を偽装して現れる。
2. しかし、その実体は「緑色の想像を絶する怪物」。
3. 完璧なマインド・コントロールの技術を持っている。
4. 異様な、硫黄のような臭気を放つ。
<ベンダー・ミステリー>
・1953年秋、全米規模のUFO研究会(IFSB)を組織していたアルバート・K・ベンダーはアメリカ政府筋の強要を受けたにしては、あまりに異常で深刻な恐怖を示し、突如としてIFSBの機関誌『スペース・レビュー』に次のような声明文を掲載し、組織を解散してベンダー自身もUFO研究活動から身を引くと宣言した。
「もはやUFOは謎ではない。その正体はすでに分かっているのだ。だが、これについての情報は、ある種の権力によって押さえられている。我々としては、その詳細を本誌に発表したいのは山々だが、情報の特質にかんがみて発表しないように勧告されたことははなはだ残念である。我々のようにUFOに関する仕事にたずさわっている人々には、十分に警戒するよう、せつに忠告するものである」

・一つは、正確な正体は不明だが、全身黒ずくめの身なりをした当局の秘密工作員がUFO研究者などへ脅迫を行なっていたことである。
 それらの報告は、すでに1940年代後半から散発し始めていた。彼らは一般の目撃者だけではなく、UFO研究家の前にも現れて脅しをかけ、活動の停止を強要するという行為を行っていた。

・もう一つのブラックメンのタイプは、異星生物(アンドロイドのようなもの)が人間の容姿を装って現れたというものだ。ベンダーが本書で述べているのはまさにこれなのだ。異星生物によるテレパシーなどに類する超常現象の手段を用いた脅迫や、UFO調査活動の停止と沈黙の恐るべき強要だった。
 つまりベンダー・ミステリーの本質は、異星人による強制拉致(アブダクション)によるコンタクト・ストーリーそのものだった。

・ベンダーが述べるコンタクト・ストーリーはあまりにも具体的かつリアルなもので、しかも異星生物のドライ(非常と酷薄)さが事件全体にわたって横溢している。
 ベンダー・ミステリーは欧米ではジョージ・アダムスキーの『宇宙人会見記』と並ぶ古典派UFO本の双璧とされていたのに、情緒的な日本人には受け入れられなかった理由もこれで理解できた。

・たとえば、ベンダーの問いに対し、彼らは次のように答えている。
「神は人類の創作で、存在しない。死後の生命も存在しない。キリストは小さな町の噂話が大きく膨らんだもので、他の人によって奇跡を大きく誇張された人物である」
 そうした観点では、キリストの再来のような金星の長老たちが哲学的な訓話を垂れるアダムスキーもコンタクト・ストーリーとは対照的で、内容的にも正反対なのは面白い。

・私たちにはドキリとするようなことも述べている。
「いくつかの点では地球は非常に呪われている。その1つに、地球には多くの人種と国家群があるために常に紛争が起こる可能性があり、これが地球を完全破壊することにつながるかもしれない」
「我々は実験のために、地球人の多くを我々の惑星に送った。そして我々の仲間に見せるため、地球人の何人かを展示している。我々は多くの惑星の住民の標本を保存しているが、標本の何人かは死んでいる。地球人の場合も同じで、彼らは生き残らなかった」

・癌の原因についてベンダーは質問しているが、私も以前からある推測を持っていた。
 それは日本における癌患者発生率の統計が石油コンビナート周辺と大都市に集中しているからで、タバコが肺ガンの原因と目の敵にされているがそうではなく、石油をエネルギー源とする大気汚染が多くの癌患者を発生させているらしい。
 ベンダーの質問に対して彼らは「ガソリンで動く乗り物の出現が主な要因だ」と、ズバリ答えている。

・その南極のUFO基地にベンダーは強制的に拉致されている。そこで見た情景は本書に驚くほど克明に記述されている。
 このベンダーの本は出版された当時、人々から自己宣伝や売名行為であるというごうごうたる非難の矢面にさらされた。しかしその後のベンダーはUFO研究から身を引いて、マスコミからも完全に消息を絶っている。単なる売名や宣伝のためだけだったとも考えづらい。長い目で見れば真偽は分かることである。

・いまアメリカで大きな問題と化しているUFOアブダクション(強制拉致)事件、それは対岸の火事ではない。近い将来は日本にも、必ず大きな波となって押し寄せてこよう。
 否、すでに起きているらしい。私自身も仙台でアブダクション体験者としか思えない人の訪問を受け、数々の不思議な体験を聞いている。
 ブラックメンの存在も他人事ではない。それは今でも形を変えて存続し、世界各地で秘密裡に活動しているのかもしれない。

<『グリーンウェイ円盤報告』>
・グリーンウェイは、自家用車から3つの円盤状の空飛ぶ物体を目撃した。

・彼は、時速約400キロメートルで飛行していたと推定し、それは薄く金属のようで端の尖った円盤、推定直系12メートルと観察した。

<異星人と会ったアダムスキーの報告>
・1952年11月24日ごろ、4人連れがアリゾナの砂漠センターの東16キロメートルの場所に、ピクニック・ランチにやって来た。1時30分に大きな葉巻形の物体がときどき停止しつつ、猛スピードで東へ移動するのが目撃された。

・その訪問者は話しかけてきた。彼らは他の惑星から、同胞たちが目にしたきのこ雲を調査にやってきたということだった。葉巻形の宇宙船は母船で、円盤はそこから出てきた。男はアダムスキーが宇宙船に近づくことは許さなかった。彼はアダムスキーと握手をして立ち去る前に、自分の足跡が重要な意味を持つことになると示唆を与えた。

<南極エイリアン基地はやはり存在していた>
<「プロジェクトX」創設計画>
・同時に、オーストラリアとニュージーランド地域に円盤目撃が集中しているということの裏には、何らかの深い意味がある。もしも詳しく調査をすれば、この二国の近くには必ず空飛ぶ円盤の基地があるという見解に行き着くはずだと考えた。

<「南極基地理論」に加えられる迫害>
<テレパシーによるコンタクト実験が成功していた>
<エイリアンのテレパシー>
・「世界コンタクト・デー」とは、その日にIFSB全メンバーがテレパシーによって、宇宙からの訪問者にメッセージを送る実験をしようというものだった。

<エイリアンの正体は怪物――驚愕の会見報告>
<異星人の国で私はすべてを知らされた>
・突然のショックで浮遊は終わり、すべての動きが止まった。暗さが消えたと同時に、大きなサーチライトの光線が目に当たったかのようなまぶしい輝きに取り囲まれた。やがて、目が慣れて周囲が見分けられるようになってきた。
 私は、ガラスドームの巨大な部屋の中にいた。壁はステンレス鋼のような金属でできていたが、光を放っているようでつねに輝いていた。
 私は同じ金属でできた椅子に座らされていた。

・「それは我々があなた方の惑星に滞在中、いわゆるペンタゴンに我々の仲間が駐在している事実をあなたにお知らせしたかっただけです。我々は、あなた方の惑星上で現在起こっているすべての情報を収集し続けるために、あなた方の惑星の多くの場所に仲間を駐在させました。

・「我々の宇宙研究所の小さなボタン1つで、我々はあなた方が地球上に持っているすべての貯蔵所の核爆弾を爆破することができます。それによってあなた方の惑星は、ほぼ完全に破壊されるでしょう」

・彼は画面の中から、その怪物自身の心で話しかけているようだった。あたかも彼が人間の形から、ウェストバージニア州の目撃者か説明のために描いたフラットウッズの怪物によく似た生き物に、即座に変身したかのようだった。

・「我々は最初に地球の人類が進化するのを見た時、彼らを奇妙だと思いました。我々は人類が海の小さな生物から今日のあなた方に進化するのを見守ってきました。しかしもし、あなた方の惑星が自ら破滅することなく存在し続けるならば、今後、数十億年かけて人類のすがたは変わっていくでしょう」

・「我々の惑星には3つの性があります。人類の女性に似た機能を持った性、人類の男性のような性、第3の性は男でも女でもありません。第3の性の持ち主は我々の支配者となる高貴な人物ですが、滅多に存在しません。そこで彼らが生まれると盛大なお祝いをします。我々の女性は卵を産みそれをしまっておきます。我々は人口を管理しています。偉大な暗黒が我々の惑星を包み多くの生命を奪ったときにのみ、その卵を孵化することが許されるのです」

・なぜなら、画面が再び青く光って暗くなり、彼は人間に再び変身して台座に立った。
それから彼は、スライドする壁のパネルの所へ行き、それが開くときその陰に消えた。突然、部屋が真っ暗になり、私は意識を失った。再び私は雲の上にいて宇宙を漂う感じがした。

・目を開けると、ブロード・ストリートの自分の部屋のベッドに横たわっている自分に気がついた。私は座って辺りを見回し、時計を見た。たった30分しか経っていなかった。あれほど多くの出来事がこんな短時間に起きたとは信じられなかったが、確実に起きたのだ。
 また私には、自分が実際にどれほど遠い所まで行ってきたのかも分からなかった。
 この体験全体のうちでもっとも心に残ったのは、画面でみたあの怪物だった。
 それは、我々が言葉によって想像する怪物とはまったく違っていた。

<怪物との会見を信じる者は誰もいない>
・「おい、そんな大風呂敷を広げるのは止めろ。そんなナンセンスな話は、IFSBの宣伝にはなるだろうが、誰が信じると思うんだ。異星人とコンタクトしたなんて考えは捨てろ」

<ブラックメンが再び私を連れ出す>
・ドアを開け屋根裏部屋を覗いてみるべきか、誰かすでにその中にいるかどうかを少し待ってから調べてみるべきか、判断できなかった。しかし臭いがしだいに強くなるので、とうとうかんぬきを開けた。
 心臓が凍りついた。ドアを開けると、劇場で私の隣に座り、道路で私の跡をつけ、部屋に私を訪ねてきた同じ人物が、そこに立っていた。
 彼の目は依然と同じ光を放ち私の目に焦点を合わせながら、部屋に戻るようにと合図した。彼一人だと思ったが、彼の真後ろに他の二人がいるのを見て間違いだったと知った。三人とも部屋に入りドアを閉めた。

・彼らをこんなに間近に見たのはこれが初めてだった。彼らの衣服は聖職者の着る服に使われる布のような黒い素材で作られ、よくアイロンがかかって、新品同様だった。
 ネクタイ、シャツ、ストッキング、靴などの装身具もみな黒かった。そしてこれも黒のホンベルグスタイルの帽子を被っていた。

・「我々は、あなたをもっとも重要な面接を行うために迎えにきた。今回はかなり遠くまで行くので、我々全員であなたについていかなければならない。あなた方の惑星にある我々の活動基地を案内したいので、あなたにわたしてある小さな金属盤を持ってくるように」

・突然、体全体がノボカイン(局部麻酔剤)を大量に服用したかのようにしびれていった。以上が、目を開けて、ある種の大きな洞窟にいることに気づくまでの最後の記憶だった。

<南極の基地内部に私はいる!>
・洞窟の大きさに驚いた。なぜなら、このような洞窟を見たことも聞いたこともなかったからだ。まだ地球にいるのかどうかも定かではなかった。
 私は過去数カ月間にまるで信じられないような出来事を体験していたので、たとえそこが月だったとしても驚かなかっただろう。
 3人の付添人はまだ私の側にいた。ステンレス鋼のような明るく輝く金属で作られた台の上に、我々が立っていることに気がついた。我々の前方のさほど遠くない所にある物体から、明るい光線が我々を照らしていた。
 なぜ数多くの光が上からも射してくるのかと思い、視線を上げてみて理由が分かった。天井全体が氷でできていて、天井を通して外光が輝き、洞窟内を照らしていたのだ。人が熱い鉄で雪の中に空洞を作るように、超人類がこの巨大な洞窟を掘ったかのようだった、きっと、とてつもない熱が、この隠れ家を作るのに使われたに違いなかった。
 私はまだ地球にいるという驚くべき感じを受けたが、そこは人間が何年も足を踏み入れたことのない遠隔の地のようであった。
 付添人は私が周囲に大きな興味を持っていることを知り、真正面に続く金属の道を指し、そこを歩くように指示した。私は歩き続けた。

・光線が跡をついてきた。道はしばらくまっすぐに続いていた。それから右へ鋭角に曲がった。
 そこには、洞窟の大部分を占領する我々のロケットに似た大きな葉巻形の物体がぼんやりと現れた。それは我々の海洋船舶と同じくらいかそれより大きく、全体を見通せる地点に立っても向こう端は見えなかった。物体はやはりステンレス鋼に似た輝く金属で作られ、横に機窓のようなものがあることに気がついた。
 その通路は巨大な物体の側面のパネルに直接続いていた。パネルに近づくと我々についてきた光線がパネルの小さな半球に集った。すぐにそれは後ろにスライドし、長く耳を突き刺すような音をたてた。

・彼らは私に中に入るように指示した。私は、化学工場の実験室に似た部屋に入っていった。
 実験室には、すべて同種の光る金属からできているように見える複雑な機械が設置されていた。長い菅とコイルの至る所で、球状のガラス容器が水のような透き通って流れる液体を受けていた。
 液体は明らかに何らかの方法で加熱され、泡を立てて蒸発していた。とてつもない規模で何らかの蒸留作業をしているという印象を受けた。
 実験室の一方には、計器、照明、メーターの巨大装置があり、パネルの前に座ったオペレーターがレバーを動かし、ボタンを押していた。
 3人の付添人が近づき立ち止まると、パネルのオペレーターが彼らに話しかけたが、あいかわらず唇は動かなかった。
 私は、それまで話しかけられたことはすべて理解できたのに、このときの彼らの話はまったく分からなかった。オペレーターはガラスドームの部屋の画面で見た通りの、彼らにとっては自然な、私にとっては怪物のような外見のままだった。
 彼は付添人ほど背は高くなかったが、この上なく醜かった。外形はどっしりとしていてほぼ長方形だった。目は例の輝きを湛えていて、彼が私を見るとその目はまさに私の魂を焼き尽くすようだった。

<都市はすべて地下に造られている>
・彼が私に話しかけているのを感じた。
「ようこそ、我々の地球オペレーション基地へ。あなたはここへ来るまでに、ほんの数秒間に何キロも旅をしましたが、その旅は、地球の伝統的な輸送手段では何日もかかったことでしょう。今あなたは南極にいるのです。我々がこの地を基地に選んだのは、ここには地球人が住んでいないし、仕事を邪魔する人間もいないからです。氷で覆われた地表にトンネルを掘り、小型宇宙船が発着する小さな唯一の開口部だけを残してすべを埋め、この基地を建設しました。ここの厳しい寒さも、我々には苦になりません。なぜなら、我々はあなた方の温度の許容範囲にまったく影響を受けないからです。我々の体はそのような範囲にたやすく順応します。我々の故郷の星の表面は不毛で、その寒さはこの南極よりもはるかに厳しいのです」
「我々の都市はすべて地下に造られています。地表にクレーターのような開口部があり、そこを通って、発着のための宇宙ステーションを上昇させることができます。ステーションは使わないときにはクレーターの中に降りています。その着陸場所が開口部の蓋となり、そこには通信塔だけが見えます」
「私は、我々が地球の表面から取っている海水で何をしているのかを、あなたに見せるように言われています。まず、この水がどのようにしてここまで運ばれるのかを説明しましょう。そのために、我々は隣の部屋へ移らなければなりません。あなたの付添人が案内をします。その後、再びあなたをこの部屋に連れて戻り、ここで水の分解について説明しましょう」

・彼は我々を解放した。
 付添人は私を別の壁パネルへ連れていき、例の「懐中電灯」を使ってパネルを開けた。はるかに規模は小さいが、ニューヨークの地下鉄のような長く狭いトンネルの中を進んだ。
 我々は一本のレールで支えられた椅子がある小さな動くユニットに近づいた。それは、宇宙船と思われる広大な壁の中での輸送用に使われていた。
 3人の付添人の合図で椅子の一つによじ登った。彼らもまた座った。

・円盤は積荷を吐き出した後、鉄道の操車場に似た待避線へ向かい軌道に沿って動いた。トンネル内には数多くの軌道が横切っていた。
 待避線の一本一本に数多くの円盤を見たときは、思わず目を擦った。
 円盤乗組員が出入りに使うプラットホームのある待避線に、すべての円盤が待機していたのだ。
 ここは、地球の言葉で言うなら、「巨大な円盤のガレージ」と呼ばれるに違いない:
 周辺の至る所に硫黄の臭いが漂っていた。どうやらこの臭いは、円盤が使用する燃料に何か関係があるのだろうと思った。

<南極基地における「高貴な人(エイリアン)」との質疑応答?>
<なぜ私は選ばれたのか>
・我々4人は部屋の中央に歩いていって台座に上り、計器盤の前の椅子に半円状に座った。すぐに部屋は暗くなり、我々に面したスライドパネルから、青い霞の中でかすかに光る人物が入ってきた。
 彼は金色の制服を着ていて、銀白色の髪が明るい日焼けしたような茶色の肌によく映えていた。彼が近寄ってきたとき、私の注意はそのハンサムな顔に集中した。
 ほぼ地球人のようで、これまで会った異星人の醜悪さとは対照的だった。彼は筋骨たくましく、3メートルほどの背丈だった。
 彼こそ、私が前に聞かされていた両性具有の「高貴な人」で、この基地やこの惑星活動全体の責任者だと直感した。

<地球飛来の目的は海水を得ることにあった!>
・彼は唇を動かさずに話しかけてきた。
「あなたが我々の地球活動基地へ来てくれたことを心から歓迎する。深い敬意を持って、あなたに来賓となることを許した。なぜならあなたは、宇宙からの来訪者と友好関係を確立するために、これまで多くの時間を費やしてきたからだ。我々は、あなたが我々とコンタクトを試みようとして徒労に終わった実験の日のはるか以前から、あなたの活動のことは知っていた。個人的にコンタクトする前に、我々はあなたを監視していた。しかしそれは、単にあなたの誠実さを試していたにすぎない」

・最初の質問を躊躇なく発した。「あなた方はどのくらいの期間、地球にいるのですか」彼はためらうことなく答えた。「あなた方の時間の尺度で1945年以来だ」私は続けた。
「地球に来た主な目的は何ですか」「地球の広大な海から水を得るためだ」

・「あなたは、とても重要な質問を選んだ。あなたは非常に明晰な人間だ。宇宙、あるいは大きな真空は、我々が探索する限り無窮である。前にも説明した通り、まず大きな中心体があり、そこから我々が宇宙と呼ぶ巨大な真空へ排出されることによって、すべての惑星とその太陽が作られる。その中心体は、つねに新しい天体を放出しているにもかかわらず、大きくなり続け、決して縮小することはない。それは非常に高温の塊なので、たとえ何十億光年離れた所へも近づくことはできない。放出されたすべての天体は熱く燃える火の玉である。それが宇宙の寒い場所に来ると爆発し小さな天体を作る。その小さな天体が火の玉の周囲を取り囲む。この小さな天体は冷えると惑星となる。しかし冷却期間には長い時間を必要とする。

<火星には建築の傑作である荒廃した都市がある>
・「赤い惑星、火星と地球人が呼ぶ惑星に、ある期間人類が存在していたことは以前に話した。彼らは我々に似た通りすがりの惑星から来た人類によって滅ぼされた。彼らはその訪問者に搾取され略奪された。地球にもっとも近いもう一つの惑星は金星と呼ばれているが、これは密雲層に覆われている。金星は現在、地球が何年も以前に経験したと同様の有史以前の段階を経験しているのだ。そこでは、生命体がまさに進化しつつあるが、それが地球の生命体と似ているかどうか、我々には分からない。しかし、あなた方の進化の初期における生命体によく似た特質を持っていることだけは確かだ」
「火星に生命体が存在していたという証拠はありますか」
「建築上の傑作である荒廃した都市がある。また、主に移動に使われた広大な水路組織の遺構もある。火星の人々は破壊にあったとき、まだ飛行移動技術を持っていなかったし、あなた方の現在の進歩の段階に匹敵する技術も発達させていなかったのだ」

・「月に到達することはできるだろうが、月は地球人にとっては大きな失望を与えることになるだろう」

<「神」は地球人の創作にすぎない>
・「我々は何も崇拝しないが、偉大な中心体が我々のすべてを創造したことを知っている。中心体は生命を作るために、我々を宇宙に放出したことを知っている」

<南極基地における「高貴な人(エイリアン)」との質疑応答?>
<イエス・キリストとは何者か>
・「しかし地球人の宗教については、多くのことを語らず放置しておくのが最善の方法である。なぜなら、それは地球上に大暴動を引き起こす原因となる話題だからだ」

・「我々の惑星では、いったん体が滅びたときに生命もなくなる。しかし幸運なことに、我々は地球人の5倍の寿命を持っている。我々の惑星に病気はない」

・「これを知ったらあなたは驚くだろうが、地球の表面下はるか深くにある洞窟都市に、地球人とは異なる生き物が暮らしていて、彼らは地表に現れるときに、自分の姿を地球人には見えないようにする方法を知っている。彼らはいつも地表をぶらつき、盗み取ったものを隠すために、地球人を恐怖の淵に沈めることを好むのだ」

<スクリーンに映ったエイリアンの生活>
・ここで明りが弱くなって台座が回り、壁の周囲にあるスクリーンが不思議な訪問者たちの惑星の生活シーンを映し出した。高貴な人は、各シーンや彼らの言うところの「フレーム」を説明しながら、計器盤のボタンを押してレバーを引いた。
「最初のフレームは、我々の惑星の地表にある地域の景色である。よく見ると高い着陸場所が、堂々とした塔とエレベーター・シャフトで昇ってくるのが分かるだろう。我々の多くの都市は地下の通路でつながっていないので、主な移動は小さな乗り物で地表を行く」

・すぐに二番目のフレームが現れた。地下都市だった。そこは壮大で、何か未知の光源によって日中のように明るかった。建物は半透明の管状の道路につながっていた。その道路は、接続する建物だけで支えられていた。小さな乗り物が管の中央部分で双方に動いていた。人々はその両端を歩いていた。
 次のフレームは地下納骨堂か墓に似た建物だった。内部に、引き出しのような仕切り箱がある壁があった。開いた仕切り箱からは駝鳥の卵に似たものが現れた。これは、惑星の将来を担う世代であると説明された。暗闇が近づき多くの死を引き起こしたときには、制御システムによっていつでも孵化されるという。
 私の前にいる高貴な人も事故死した人の代わりに孵化されたのだということだった。
 もう一つのフレームは大きな地下射撃場だった。
 何人かが、見たこともない変わった銃の使用訓練をしていた。銃は銀色の管状の道具で、把手にいくつかのボタンが付いていた。ボタンを押すと大きな火の玉が飛び出し、離れた場所に置かれた大きな金属のシートを燃え上がらせて突き抜けた。
 これが、彼らの武器の一つであると教えられたが、発砲のときが一番印象的だった。火の玉は厚い金属を貫くと空中で輪を描いてゆっくりと戻り、もと出てきた「銃」の中へ再装填されるのだ。そして再び発射された。

・「我々は、地球の茸に似た菌類のような成長物を原料として、さまざまな種類の食物を育てている。また、多くの種類の貝殻を持った水生生物を消費する。水辺に育つ大きな植物には美味なフルーツがなるが、それからも多くの食品を作る」
「あなた方の惑星に水があるなら、なぜ我々の海から水を取る必要があるのですか」
「我々の惑星の水には、まったく不純物が含まれていない。地球の海水のような多くのものが豊富に含まれている水がないのだ」

<彼らのマインド・コントロールは完璧だ!>
・「我々は頭蓋骨を貫いて、あなたの意識を完全にコントロールすることができるのだ」

・この金属盤は、私を低温から守るものだったのかもしれないが、一度もこれについて質問をしようと思わなかった。
 洞窟の床に続く金属製の階段を降りていたとき、付添人が突然私を止め、周囲を取り囲んだ。彼らは金属盤を私の頭に押し付け、私は再び気を失った。
 正気に戻ると、私は一人で書斎の中央に立っていた。まだ頭痛がして目が熱く腫れているように感じた。ベッドに腰を掛け、目を擦って頭を抱えた。
 今度も、自分が気が狂ったのではないかと思った。何か発作を起こしたのだろうか。あれこれと現実的な体験の夢を見たのか。私は、医者に診てもらうのがもっとも理にかなっているし、賢明な方法だと考え始めた。

<異星人のデモンストレーション>
・彼らの存在を他の人々に信じさせるための異星人によるデモンストレーションの約束だった。約束はすぐに現実となった。

<空飛ぶ円盤の謎はもはや謎ではない>
・いっぽう、IFSBの会議で残りのメンバーは、私がもはや円盤の謎に興味を持っていないのだからグループは急いで解散し、私がUFOには関係のない科学路線の雑誌を発行し続けることができると決議した。

・空飛ぶ円盤の謎はもはや謎ではない。その正体はすでに知られている。しかし、これについての情報発表はより高度な筋からの命令で禁じられている。我々は「スぺ―ス・レビュー」にすべての話を掲載したいと思うが、情報の性質上、否定的な忠告を受けたことが残念でならない。我々は円盤研究の仕事に携わる人々に十分に注意するよう忠告する。

<「それには答えられない」とだけ言いなさい>
・付添人の出現は、10月3日土曜日の夜10時ごろだった。
 10月号に関して寄せられた郵便物を調べていると、突然、馴染みの硫黄の臭いが鼻を突いた。椅子に座ってぐるりと回ると、3人の「友人」が真正面に立っていた。彼らの周りには青みがかった霞が立ちこめていた。
 彼らの目が私に焦点を合わせた。目の上にひどい痛みを感じ、こめかみがズキズキした。これで彼らは、私にメッセージを送る準備をした。私は彼らの訪問になれていたので、いささかも恐怖を感じなかった。
「あなたは明日、あなたの組織の2人のメンバーの訪問を受けるだろう。彼らは、あなたを詰問し秘密を知ろうとするだろう。我々はあなたに、できる限り結論の方向を逸らす以外、彼らの質問に答えないように警告しに来たのだ。どんな状況になっても、あなたの持っている金属盤を見せてはならない。もし見せた場合には、あなたとあなたの2人の友人は大きな不幸に見舞われることになるだろう。2人は、あなたととても親しいようだが、あなたが以前に言ったことが真実ではなかったことを証明するため、可能な限り力を尽くすだろう」

<緑色の怪物――人間の擬装を解いた異星人>
・しかし私は、振り返らねばならいことを知っていた。ゆっくり頭と体を回し、背後に立っているものを見たとき、私がこれまでの人生で一度も体験したことのない最悪の恐怖を覚えた。その生き物は約3メートルの背丈で、光る赤い顔以外はすべて緑っぱい色をしていた。その目は、私が見た別世界の生き物のように光っていた。私は気絶した。
 正気に戻ってみると、屑籠の中味をぶちまけた中に倒れていた。あの生き物はすでに姿を消していたが、硫黄の臭いが残っていた。敷いてあった絨毯の、生き物が立っていた部分が熱いアイロンを当てられたように焼け焦げているのに気がつき、震え上がった。これまでの比較的友好的な訪問の後で、なぜこのような恐怖の訪問を受けたのか、途方に暮れた。その生き物は、ロバーツとルッケシが私に質問している間、ずっと部屋にいたのだろう。そして、うずくまるようにして椅子に座り、私が口を滑らせるのを待っていたに違いなかった。

<3人のブラックメンの訪問と美女エイリアン>
・そして、台座のスライド・パネルが開き、私は我が目を疑った。3人の美女がぴったりと体型にフィットした白いユニフォーム姿で現れて、私に近づいてきた。彼女たちの周りに漂う謎めいた雰囲気は、彼女たちを囲む青みがかった霞によって助長されているように思われた。私は直ちに彼女たちの細部まで気がついた。
 髪は銀色で一種の束髪に結い上げていて、その周りに大きな銀色の光輪があった。その光輪は、私の見た部屋や他のものの素材とは違う金属でできていた。

<監視用ショック治療を施される>
<あなたは我々の秘密を守る義務がある>
・「いっぽう、あなたは我々の秘密を守る義務がある。我々は極端な行動はとりたくない。我々がまだ地球上にいる間に、あなたはこの情報の一部を明かしたいとたびたび考えるに違いない。しかしそのような考えを持った瞬間、あなたはほとんど耐え難い頭痛によって、我々の忠告を思い出すだろう。そして、我々がもたらすもっとも深刻な事態にくれぐれも用心したほうがよい」

<『彼らは空飛ぶ円盤について知り過ぎた』出版により有名人になる>
・1956年4月、グレイ・バーカーの『彼らは空飛ぶ円盤について知り過ぎた』という著書が刊行され、私は一種の有名人になった。
 バーカーはIFSB(UFO研究団体)閉鎖と、私がそれについて話すことができないことに関して多くのページを割いた。その本は、私の友人や知り合いの間でかなりのセンセーションを巻き起こし、再び、私は多くの質問を受けることになった。本が増刷されると、秘密を知りたがっている好奇心旺盛な人々から家への個人的な訪問とともに、多くの電話を受けた。

<円盤はヒットラーの手によるものか>
・やや長い引用になったのは、私が受け取った奇妙な、時として脅しの種類の手紙を例証したかったからだ。
 ところで、ジェームス・W・モスレーは、『円盤ニュース』という定期刊行物を出版している実在の人物である。彼がこの手紙の主から同じような脅しを受けたかどうかは知らないが、たぶん彼も脅されたことだろう。
 モスレーは、私を訪ねてブリッジポートにやって来た円盤研究者の一人で、また質問の際に、高い知性を発揮した数少ない訪問者の一人だった。

<コンタクトの道具・金属盤が消えた!>
・臭いに気づくとすぐに金庫を取り出して鍵を開け蓋をはね上げた。私は中を見てびっくりした。“金属盤がなくなっていた”のだ。
しかも、いっしょに金庫の中に入れてあったすべての物が、突然分解したかのように塵になっていた。

<次の訪問者が友好的だとは限らない>
・私自身の訪問者は、彼らが太陽系の外から地球に現れる唯一の知的生命体ではないと私に教えたのだから。

・もし再び我々が訪問を受けるとして、訪れる知的生物は、私の場合の訪問者のような非軍事的な使命を持っていないかもしれない。

・そして彼らは、我々の技術よりも、我々が彼らの食糧として適しているかどうかに興味を持っているかもしれないのだ。
 もし、彼らが私の訪問者の次元にまで進歩しているならば、彼らも地球人の形や性格をまねることができる。そして力ずくで我々を搾取する時期が熟すまで、我々に知られることなく、地球人の中に混じっていることができる。
 いっぽう我々は、我々よりはるかに進んだ惑星によって救われるかもしれない。好運にも、私の訪問者は敵対的ではなかった。ただし、彼らは人類の科学の夢や文化の夢を、今の時点で現実化するために我々を後押しすることには、興味を持っていなかった。



<●●インターネット情報から●●>
アメリカ人UFO研究家アルバート・K・ベンダーは、1952年UFOの謎を研究する団体、IFSBを創設し、海外にもその輪を広げている。
1953年3月、IFSBの会員がテレパシーで宇宙からの訪問者に相互理解のメッセージを送っていて、ベンダーが自宅で3度目のテレパシーを送った直後、頭痛がひどくなり何か硫黄のような匂いがして
半ば意識を失ったが、小さな青い光が脳の中にあり、目をあけるとベッドより空中1m位で浮いていて、声が聞こえてきた。「私達はあなた方の活動を見守っているが、宇宙の謎を追究するのはやめなさい。」という声だった。

その後7月になって、ベンダーが2週間の休暇から自宅にもどって自分の部屋に着いたとき、あの強烈な硫黄の匂いがして頭がズキズキ痛みだした。そして就寝する時に3つの人影が現れた。彼等は黒い服を着て帽子を被っていた。彼等が言うには、地球人とは容姿がかけ離れた異星人であることや、UFOの謎の研究をやめろと強要もしてきた。そしてベンダーに小さなコインの金属盤を置いていった。それは彼等との唯一のコンタクトの道具だった。

その後だいぶ経って、金属盤でコンタクトをとり、ベンダーはまたもや痛みを感じ、身体が浮遊するのを感じつつ移動している錯覚で突然動きが止まり、ガラスドームの巨大な部屋に招かれた。そこにはエイリアンがいた。そして彼等の惑星の光景を見せられた。彼等の惑星は地球から何億光年の彼方にあり、文明もはるかに進んでいると説明をうけ、彼等の真の姿を画像で見せられる。それはゾットする怪物だったのである。ウエストバージニア州のフラットウッズでおきた事件の怪物にそっくりだったのである。
ベンダーは恐怖を感じたという。
また、彼等は男、女、両性具有の支配者となる高貴ある人物、の3つの性を持つ。女性は卵を産み、彼等の多くの生命が途絶えた時にフ化するという。地球人と進化の過程が根本的に違うのである。
53年8月にあの3人の黒い服の男がやってきて、ベンダーの肩に手をおくとシビれて気を失うことになり、気付くと大きな洞窟で南極の彼等の地下基地だった。
ベンダーはここで地球人に似た筋骨たくましいハンサムな、3mの両生具有の高貴あるエイリアンと会い会話をしている。彼等の地球飛来の最大の目的は、地球の海水から(彼等の存在に不可欠な)貴重な成分
を取ることであること。
地球人をアブダクションし、彼等の惑星に連れていき、標本にもしていることや、死人もでていることを告げられる。そして、この事をバラすと生命の保障がないとのことも告げられる。
その後、また3人の訪問と3人の美女エイリアンの訪問を受けることになるが、ここでも口止めされる。

9年後の1962年に、本「宇宙人第0の遭遇』・・邦題(徳間書店)を発売後、ベンダーは消息不明になっている。バラしたので殺されたのか、彼等の惑星へ連れて行かれたかは謎である。
コンタクトのなかでも恐怖がつきまとった事件で、UFO研究家の間ではベンダー・ミステリーと呼ばれている

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より引用
「メン・イン・ブラック」
メン・イン・ブラック(Men in Black、MIB、黒衣の男、ブラックメン)は、UFOや宇宙人などの目撃者・研究者の前に現れ、警告や脅迫を与えたりさまざまな圧力や妨害を行う謎の組織とされ、実在するしないに関わらず、その存在自体が一種の都市伝説や陰謀論となっている。

(初出)
メン・イン・ブラックが現れるという報告や噂の多くは、1950年代および1960年代に登場しており、その中でも最初のものはUFO・超常現象研究家のグレイ・バーカー(Gray Barker)が1956年に出版した『彼らは空飛ぶ円盤を知りすぎた』(They Knew Too Much About Flying Saucers)だとされる。バーカーは故郷で起きたフラットウッズ・モンスターの事件をきっかけにオカルト業界に入り、UFOや超常現象に関する記事を寄稿していた。

UFO雑誌を出版し、1952年には全国規模のUFO調査団体「IFSB」(International Flying Saucers Bureau、国際空飛ぶ円盤事務所)を立ち上げ率いていたアルバート・K・ベンダー(en:Albert K. Bender)が1953年に突然「私は空飛ぶ円盤の背後にある秘密を知ったが、そのために黒い背広と帽子の3人の男たちから『これ以上円盤のことを書くな』と脅された」と主張し、IFSBを解散した。バーカーの本は、このベンダーの遭遇した事件を描いたものである。ベンダーの証言は、当初は言外にアメリカ政府の介入があったことをほのめかしたものであったが、後に語った証言ではUFO目撃談のうちの超常現象的な部分が混ぜ合わされたような話へと変化している。

「黒服の男たちに脅された」という主張を始めるよりも以前に、ベンダーは1947年にワシントン州で起きた「モーリー島事件」(Maury Island incident)の取材を行い報告を雑誌に載せているが、この事件にもすでに「黒服の男」が登場している(当時、ベンダーはこの件について懐疑的だった)。モーリー島事件は、漁師のハロルド・ダールが息子とともにピュージェット湾に船を出していた際に複数の空飛ぶ円盤を目撃し、うち1機がトラブルを起こして部品を落とし、その破片がダールの船に当たって船の損傷と船に乗っていた飼い犬の死をもたらしたという事件だった。

翌朝、黒い背広を着て黒い1947年型ビュイックに乗った男がダールの家を訪問してダールを近所のダイナーに食事に誘い、その席で事件について沈黙を守るよう警告したという。ここでは、後のメン・イン・ブラックの噂に出てくる典型である「浅黒い肌の、もしくはどこか外国人風の顔色の3人の男が、黒いサングラスに黒い背広を着て、黒いセダンに乗ってやってくる」がまだ完成していないが、その原型はすでに現れている。



『シリウス・コネクション』   人類文明の隠された起源
マリー・ホープ  荒俣宏(翻訳) 徳間書店    1998/3



・ぜひ読むべき本だ。マリー・ホープは、いわば先駆者であり、その仕事は謎に満ちた人類の過去に通ずる扉を次々に開け放つ。
グラハム・ハンコック『神々の指紋』の著者

・マリー・ホープは本書で素晴らしい仕事をなし遂げた。読むのが本当に楽しい。
ロバート・ボーヴァル『オリオン・ミステリー』の共著者

<ガイア(大地の精)>
・ガイアは自分の体を傷つけ汚すものを憤っており、その報復として極変動を通して人類の大多数を滅ぼすつもりだと警告している。

<古代エジプトの神々>
・古代エジプトの宗教は一般論としては多神教の傾向がはっきりしている。しかしウォリス・バッジのように、古代王朝期のエジプトの多数の神々は、実は唯一の創造神の表現の一形態であり、神として崇められた様々な動物も神そのものというよりは「神の住処」としてとらえられるべきだと主張する学者も存在する。ここでは一応、多神教の立場で次のような分類を行った。
1 先王朝期からの土着または州の神々
2 神格化された王、人間となった神
3 外国から入って来てエジプト土着の神に同化した神々
4 「付加された5日間」に祀られた神々
5 地球外天体の影響を受けた神々

・(ラー(アトゥム))  ラーは配偶者なしで双子のライオン神シュウとテフネートを生んだ。この二人の間に大地ゲブと天空ヌートが生まれ、ゲブとヌートからイシス、オシリス、セト、ネフティスの家族が生まれる。この寓話の哲学的コンセプトは明らかだ。両性具有から男性と女性(陽と陰)への分離、そして生殖における細胞分裂である。

・(シュウとテフネト)  双子のライオン神シュウとテフネトについては、妹テフネトは常にライオンとして描かれるが、兄シュウは人間の姿で描かれることも多い。ここでシリウスに関心のある読者は、人類と猫族が住んでいる太陽系外の星と、ラーとの関連の暗示を読み取るだろう。

・(ヌート) ヌートは次に述べるネイトと同じく、何も存在しなかった空間に天空を生み出した天の雌牛である。おそらくはこの二柱の女神はもとは一つの神だったのだろう。

・(ネイト・ネト(西方の貴婦人)) ネイトはサイスの町の守護神であり、下エジプト全域の主神でもあった、極めて古い起源を持つ女神だ。

・(ケペラ) ケペラという名は「スカラベ」「コガネムシ」と「成る者」という2つの意味をもつと言われている。ケペラは昇る太陽の神だった。

・(ハトル) バッジはハトルを4大女神のネクヘベト、ウアジェト、バスト、ネイトと同一視している。ハトルはラーの娘である天空の女神だったが、後にはホルスの妻ヘト・ヘルとなった。ヘト・ヘルとは「ホルスの家」という意味である。ネイトと同様にハトルも雌牛の姿で表される。人間の姿で描かれるハトルは、頭に角を2本生やし、角の間には太陽盤を掲げている。

・(セクメト) ハトルの分身としてだけではなく、セクメトはそれ自身なかなか面白い女神だ。セクメトのような雌ライオン神の系譜はかなり古くまで遡ることができる。

・エジプト神話ではライオンや猫の神が極めて多く登場するという特徴を知っておかなければならない。

・(トト) いろいろな意味で、トトはエジプト神話で最も有名であり重要な神だ。

・古代の記者たちは、トトが蟹座の時代にエジプトにやって来た異邦人だったと記す。トトはオシリス一家にとっての「面倒見のいい伯父さん」の役割を果たしている。これは彼が、オシリス一家より一足先にエジプトに着いたということの暗示なのではないだろうか。古代の記者たちが正しかったとすれば、トトが「古い国」の文明をエジプトに持ち込んだ最初のアトランティス人神官だった可能性は十分だ。

・しかし、マアトはトトの女性的側面を表す概念に過ぎない。一方で、書物と歴史の女神であるセシャト(セシェタ)という妻がいたことにもなっている。こちらもマアトと同様にトトの分身だととらえてよさそうだ。セシャトは星との関係が深く、時間を測ったとも言われる。「書物の家の女主人」「建築家の女主人」「書記の女主人」「歴史家の庇護者」「神々の記録係」などの呼称も与えられている。彼女もトトと同様に、シリウスから教えを受けたアトランティス人だったのかもしれないし、シリウス人そのものだったのかもしれない。ロバート・テンプルはきっと後者の考えを取るだろう。
 トトの動物(トーテム)は本来は朱鷺である。ところが犬頭のヒヒがお供としてしばしば登場するため、このヒヒがトトそのものだという誤解も受けているようだ。この誤解のもとは、エジプト南部に端を発するもので、この地方ではヒヒに変身することがあると信じられていた。

・(アヌビス) アヌビスは霊魂を冥界へと導く案内人であり、後にトトと混同されることもあった。

・バスト(東方の貴婦人) バスト(バステト、パシュト)は猫の姿をしており、テフネトとセクメトの分身だとも言われる。

・(プタハ)  建築家・職人の擁護者であるメンフィスのプタハは、最も重要な神の一人に数えられる。彼に冠せられた「宇宙の建築家」という称号は明らかにフリーメーソンとの関連を示している(現在も存在するフリーメーソンは、大昔の石工組合を母体とする秘密結社でその長は「宇宙の建築家」と呼ばれる)。プタハは太陽系の外からやって来て、トトの指示に従って世界、太陽、惑星、すべての生き物を造ったとされる。となると当然、彼はオシリス一家よりも古い神々のカテゴリーに属することになる。

・形而上学的観点からは、プタハのエネルギーはエネルギーから物質への変換、妻のセクメトのエネルギーはその反対で物質からエネルギーへの変換だ。

・プタハの聖なる名前「宇宙の建築家」からフリーメーソンを連想した時、MASONIC(メーソンの)という語が「SONIC」(音波・音声)だ、ということに気付いたのは私だけではないはずだ。「古い国」では音声の研究と利用を専門とする一部門があり、そこに属する神官たちは完全な秘密を守る誓いを立てていた。と言うのは、この音声の知識は誤用されるととんでもない危険を招く恐れがあったからだ。

<テーベ三柱神、アモン、ムト、コシス>
・アモンは「神々の王」と呼ばれるところから、ギリシアのゼウスと同一視されたりもするが、実は古王国時代(前2680〜2181)にはほとんど無名の神、影の薄い存在だった。

<エジプト文化の起源とその変則性>
・神話・伝説とは過去に起こったことの具体的表現であると考えれば、1年に5日が加わったことについて、古代エジプトの5人の誕生神話ほど、これをうまく表現しているものはないだろう。時を司る双子のライオン神シュウとテフネトは、太陽神ラーの子だ(この「太陽」は、いわゆる太陽系の太陽ではなく、恒星シリウスなのではないかと私は思っている)。そして、彼らは、ゲブ(大地)とヌート(空)を生む、しかしラーの妻でもあったヌートは、夫に背いて弟ゲブと同棲する。ラーは妻の背信に怒り狂い、ラーの年の360日間、子を生んではならないと言い渡す。この命令は彼女にとって致命的な痛手となるところだったが、時の神、科学と数学の神であるトトがヌートを救う。彼は月とチェッカーの勝負をし、月の光の72分の1を勝ち取って「5日」の新しい日を作り「付加日」としたのだという。お陰でヌートは宿していた5人の神を、オシリス、ホルス、セト、イシス、ネフティス、という順で5日の付加日に生むことができた。

・そして、付加日に祀られた5柱の神々はシリウスと強い結びつきを持つということが、古代エジプトの様々な資料から読み取れることから、こう推論することができるだろう。大犬座の中で青白く明るく輝くその星シリウスこそが、この天界のドラマの、3番目の、しかしおそらくは最も重要な登場人物だったのだと。

・アトランティス滅亡の原因に関しては諸説あるが、最大の原因は地球と小惑星との衝突による地軸の傾きではないかと思われる。なお、先史時代の地球にアトランティスのみならずいくつもの先進文明が存在したことも忘れてはならない。

・興味をお持ちの方は、拙著『The pachats and The crystal people(1991) 』を参照されたい。この発掘から得られた情報を、完全な形で収録してある。また本書には、パシャト(ライオンの形をした異次元の時空に住む知的種族)及びシリウス連星系におけるパシャトの古くからの隣人クリスタル人と著者とのテレパシー交信記録を紹介してある。テーマは差し迫る極変動、科学とオカルト、地球における動物の役割、“宇宙警察”、非友好的なエイリアンの見分け方とガードの方法など多岐にわたる。

<シリウスから受け継いだもの>
・シリウス・エネルギーを探求してみたいと思われる読者は、The Lion people(1988)に実際の応用方法が詳述してあるので、是非そちらをお読みいただきたい。本書には異次元時空にすむライオン族(パシャト)と著者のテレパシー交信記録を収めるとともに、パシャトの存在とそのメッセージの信憑性を証明する様々な証拠—―歴史資料、古代の秘儀、芸術、人類学、天文学などからの—―をあわせて紹介してある。

<ライオンの力>
・シリウスとネコ科遺伝子との関連は奇妙に見えるかもしれない。ただ現実として、古代エジプトには、猫やライオンがいかにも目立つのだ。なぜなのか?この理由が分かったのは、シリウス魔術に関わりを持つようになってからのことだった。『死者の書』、ピラミッド・テキストなど古代文書をきちんと読めば、その理由はそこに詳らかにされているのだ。もっとも、ライオンのテーマが奏でられたのはエジプトだけではなかった。インダス文明をはじめとする、様々な「失われた文明」にもライオン神は登場する。古代人がライオンに注目したのは、必ずしもその強さや勇敢さだけが理由ではない。秘境的レベルにおいて、すべてのライオン信仰はシリウス的含蓄を持つのだ。
 我々地球人類にとってのライオンの重要性は、シリウス系にライオン族が住んでいた(あるいは住んでいる)という説を認めるか否かによって決まるのではない。もっと深い含みがある。それは太陽系の生みの親であるシリウス人から、我々が受け継いだ遺伝子に共鳴する何ものかなのだ。もしホイル教授の、宇宙にはミクロの有機生命体が偏在し、地球にも絶えず侵入しているという「パンスペルミア説」に多少の真理があるとすれば、地球人に伝えられた地球外遺伝子はシリウス系の他にもあるということになるのだろう。しかし、少なくともシリウス遺伝子を確実に持つ我々にとって、最も強いのは猫・ライオンそしてクリスタル人の血なのである。

・古代エジプト人はライオンの重要性について、またどのような形でライオンが地球に影響を与えるかについての手掛かりを残してくれている。その最も明瞭な表現がセクメトという女神のパーソナリティと機能だろう。

・すべてのライオン神がセクメトのような火の激しさを持つわけではない。

<シリウスと「付加された5日間」に祀られた5柱の神々>
・トトはオシリス一家より先にエジプトにやって来た。ではなぜトトが先なのか。ちょっと推理を楽しんでみよう――—―最初のトトが「古い国」からエジプトにやって来たのはオシリス一家(付加された5日間に祀られた神々)のエジプト到着よりかなり以前のことだった。彼はエジプトで心血を注いで、後に彼の名前を冠することになる医者・科学者からなる神官組織を作り上げる。しばらくの後、トトのお陰で高度な知識を身につけたエジプト人たちは、天体観測などによって、地球に異変が迫っていることを知る。彼らは「古い国」からの神官たちと協力して、植民地に避難所を求めている王族たちを迎え入れることにする。
 いよいよ異変の予兆が見え始めると、その王族たちすなわち女王イシス、夫であるオシリス、息子ホルス、妹ネフティスの5人が、彼らの新しい住まいとなるエジプトに到着した。ところが一行が到着してまもなく、太陽系全体を巻き込んでの天地を揺るがす大異変が起こった。地球の気候は激変し、太陽と地球との位置関係にも変化が起こり、何と1年に5日も余分な日ができてしまった。

<『死者の書』>
・エジプト人は宇宙を3つの部分に分けた。天、地、そしてドゥアト(冥界)だ。それぞれには特定の種類の神々が住んでいた。「天」の概念は時代と共にその時代の流行にあうよう少しずつ変化した。

・ところで「天」には神々の他にも、様々な階級の「神に準ずるもの」が住んでいたらしい。例えば、「シュムス・ホル」と呼ばれるホルスの弟子たち、これはキリスト教の天使のような存在で、ホルスの玉座に侍って護衛をつとめていた。それから、「アシュム」というエーテルのような存在、また「ヘンメメト」という。これからの人間化を待っているか、あるいは既に人間に転生した存在も住んでいたとされる。

<連星シリウス>
・では、シリウス星人の方はどのような容貌をしていたのだろうか。人類以外の種族もいたのだろうか。これは心霊学会ではよく議論されるテーマだ。最近のある雑誌の記事によればシリウスには「2種族」がいたという。そのうち一つが人類であり、他の一つはある種の動物だという。
 人間の方は「髪はブロンド、目はラヴェンダー」だという。これは心霊学会で「イシュナ」という名で知られている「クリスタル人」と同一視できる。クリスタル人というのは高い文明を持つ極めて美しい人種で、シリウス系の惑星に住むとされる。彼らの住む惑星が水晶でできているところからクリスタルという名が付けられたという。男性と女性が存在するが、それぞれに女性面と男性面が完全なバランスを保っているため、我々地球人には外見からは男女の区別がつかないという。このイシュナの星に隣の惑星から移住してきたのが、古代エジプトのライオン像を思わせる別の種族だということになっている。

・イシュナは我々とは異なった次元、言葉を換えれば異なったタイム・ゾーンに存在すると考える研究者もいる。それを我々の「未来」だと考えることも可能だ。もちろんこの「考え」はきちんとした説明がなされるまでは単なる推理の域を出るものではない。

・古代エジプトにおけるライオンの重要性を裏付ける証拠は膨大な量になる。何よりも頭部が人間、胴体がライオンという、あのスフィンクスそのものが動かぬ証拠だろう。

・結論を出すには証拠が不十分であり、直観に頼るしかないが、私の直観ではシリウスに住む2大種族とは、美しい人間とライオン(パシャト)だと言える。ただ、ライオン族がかつて住んでいたとされるシリウスBの周りを回る衛星には、高度な進化を遂げた植物と両生類が住んでいたとも言われる。となるとシリウス系には知的生命体の住む星がまだほかにもあるのかもしれない。
 さて、ここで注意しなくてはならないのは、論理的推論と空想とを混同しないということだ。その上、今我々が扱っている時間の概念は、普通の歴史学のものさしとはかなり違っているという点にも留意しなくてはならない。例えば、ライオン伝説は「シリウスB衰退以前」の出来事だ。我々のものさしでは数百万年単位の話になるだろう。彼らは今もどこかで、あるいは我々の宇宙とは違った次元の宇宙で生きているのかもしれない。

・各種の資料から判断して、イシス、オシリス、ネフティス、セト、ホルスの5人がシリウスからやって来た神々であることに間違いはないようだ。では、アヌビスはそしてトトは、どのようにしてこの5人の中に入り込めるのだろう。アヌビスもトトもエジプト神話では重要な位置を占め、オシリス一家の欠くべからざる一員なのだ。
 アヌビスはネフティスによるオシリスの息子だと言われる。

・ドゴン族の天文学上の知識はシリウスに関するものばかりではない。望遠鏡を使わないと見えないはずの木星「ドナ・トロ」の4つの衛星「ドナ・トロ・ウヌス」(ドナ・トロの子供)についても、土星の輪についても知っている。彼らは土星に「場所を限る星」という呼び名を与えているが、これは占星術の立場から見ると実に適切な呼び名なのだ。
 さらに、彼らの知識は人間の循環器の構造、地球以外の天体に住む生命体について、と実に広い範囲に及ぶ。そして彼らはこの膨大な知識は、何世紀も昔にシリウスからの訪問者が授けてくれたものだと主張する。彼らが遠い昔シリウス星人から教わったという伝承では、宇宙には生命の住む星が幾つあり、それらの知的生命体は必ずしも人類とは限らないという。第4の地球には人類(すなわち我々)が住んでいるが、第3の地球には「インネウ・ガンムルグ」(角のある人=半人半獣のサチュロス?)、第5の地球には「インネウ・デュログ」(尻尾のある人=猫族?)、第6の地球には「インネウ・ブンモ」(翼のある人)が住んでいるという。

<先王朝時代の遺産>
<5柱の神々はシリウスから来た異星人だったのだろうか?>
・エジプト学者と呼ばれる人々の間では、王朝期以前のエジプトに進んだ文明のあった証拠はないというのが定説となっているようだ。では初期王朝時代のエジプト人はいったいどこから、また誰からこれほど高度な数学や天文学を学んだというのだろうか。もちろん、これを、自然の数学発達のプロセスが生み出した結果だ、と言うことは可能だ。

・しかし一方で、過去のある時点において地球は地球外空間から見られていた、という可能性も検討されるべきではないだろうか。となると、我々は今や超能力者や精神のタイム・トラベラーたちと一緒に自由に想像力を駆け巡らせることができるのだ。エジプトの進んだ文明のブレーンは実はアトランティス人だったのではないか。シュメール伝説に登場する鱗のついた宇宙服を着たオアンネスとは?それとも地球外生物(ET)との遭遇?それもシリウスからの?もし地球の歴史上のある時点でシリウスとの接触があったのならば、それはアトランティス文明の黎明期であり、シリウス人が宇宙に関するあらゆる知識を授けた相手は、アトランティスの科学者たちだったのではないだろうか。

・3番目の可能性だが、科学的にはこれが最も受け入れやすいかもしれない。「時間を超越した実体」(すなわち宇宙の創造者)が人間の姿をとった時、その一人の遺伝子に突然変異が起こった。その遺伝子は休眠遺伝子(対立遺伝子?)として彼の子供たちに受け継がれた。そして今やこの遺伝子は地球の隅々まで広がっている。この遺伝子こそがやがて来るべき地球の大変動に耐えて生き残れる人とそうでない人を分ける決定的要素なのだ。しかもその大変動の影は既にゆっくりながら地球にしのびよっている。

<監訳者解説――イシスのベールを脱がせるために 荒俣宏>
・たいへんな本を読んでしまった!というのが、解説を仰せつかった者の偽らざる第一声である。マリー・ホープの『シリウス・コネクション』は、それほどにすごい。すごいというよりも、超絶的というべきかもしれない。生半可な常識ではついていけないのだ。

・しかもその結論がすさまじいのだ。そう—―エジプト文明は、シリウスという星に関する科学的知識を具えた渡来人(?)により、突如として開花したものだという。エジプト文明は最初から完璧だった。

・これがホープ女史のテーゼである。しかも、彼女によれば、多々ある地上の古文明は遡れば同一の起源に行き着くという。これを立証するものが、世界各地に発見されるエジプト神やエジプト神話の痕跡なのだ。名づけて「シリウス・コネクション」とは、彼女の発想に潜んだ、まことに宇宙的な展開を象徴して余りある。

・ホーブが次に注目するのは、いったい何時ごろエジプトの超文明が成立したかという点である。これは換言すれば、誰が超文明をエジプト人に教えたか、という設問にもなる。なぜなら、ホルスをはじめエジプト神の多くは「青い目」をもち、「金髪」すら生えているからである。これは褐色の目と黒い髪をもつ土着エジプト人の特色から大きくかけはなれている、とホープ女史は指摘する。ここで手掛かりになるのが、エジプトの神々にまつわる世界的な比較研究なのである。彼女は、まず軽い筆致で、時のトトが「蟹」と深くかかわっている事例を示し、ヘリアカルライジングのとき太陽が「蟹座」にあった時代はいつかを考えていく。すでに書いたが、十二宮は一定の年数ごとに一宮ずつズレていくのだが、さて、「蟹座」の時代を計算すると、なんと伝説のアトランティスが水没した時代との関連が浮上するのだ。

・ここからホープ女史の力業となる。たとえばエジプト神とのかかわりをもつ土地を探るとしよう。このひろがりがどこまで行くかといえば、西は海をわたって南北アメリカ大陸、東はインドから中国に及ぶのだ!エジプトの主神イシスの足跡をもとめて世界中の神話を渉猟したユルジス・バルトルシャイティスによれば、「———さて、この時、驚くべき現象が生じた。遡って過去を探る視野が拡がるにつれ、エジプトがあらゆる所に立ち現れてきたのである。エジプトの神々が方々に姿を見せた。それも、実際にそれらが信仰されていた古代のローマ植民地にかぎらない。探索と発見が進むにつれ、うんと遠い土地、例えばインド、中国、メキシコにまで、エジプトの神々が見つかったのである。ヨーロッパでも、紀元前2千年頃、イシスとオシリスがみずからゲルマニア、イタリア、フランス、イスパニアへやって来たと主張する歴史家が出た。さまざまなイシス・オシリス信仰が中世の末期まで行なわれた。あたかも、数多い方策によってエジプトが蘇り、今は柱廊も墓地も砂に埋もれてその聖典もまだ読み解けぬ古代エジプトの上に重ねられたかの如くであった」

・たとえばイシス女神が中国でみつかったという話にしても、かすかな証拠は残っているのだ。中国にはピラミッドによく似た9層の塔がある。9層の塔はむしろオベリスクに似て尖塔じみているではないか、という人のために書くと、古くはピラミッドも四角錐形でなく尖塔形と考えられ、17世紀までの図ではたしかに塔のように尖っていたのである。

・現在この『シリウス・コネクション』が欧米で多くの読者を獲得している理由のひとつが、この実践提示にある。かつてピラミッドやエジプトの神々の秘密に挑んだ研究家は多く存在した。

・彼女は、セトのような邪悪な神のふるまいを、「場所を間違えたエネルギー」と呼ぶ。このエネルギーの氾濫を回避することこそ、古代の宗教儀式がめざした目的なのだ、と。そこにイシスの女性原理が発動する。またイシスの発する声、光、波動などもそのために利用された道具である。ホープ女史はいう。
「あるエネルギーはある特定の周波帯でしか機能しないという法則を思い出してほしい。もちろんこの前提を変えれば問題は解決する。しかし宇宙の法則と完全に調和を保つイシスにはその法則に背くことは許されない。だから十分な数の地球人が地球というものの本質に目覚め、これまでの自分たちがしてきた破壊的行為に気付くまで、イシスは待たなければならない。この『目覚め』が、今この時代、我々の地球で起こりつつあるのだ」

・もちろん、本書は我々の目覚めを助けてくれる有力な指針だが、ひとつだけ指摘しておかねばならないことがある。それは、ホープ女史が「エジプトにシリウス文明をもたらした者」たちをアトランティス人であると述べている部分である。彼女はときに、それをシリウス人であるかもしれない、と書いている。この部分を字義通りに解釈すれば、あたかもデニケン説のようにシリウス星人が地球に飛来したかのごとく思えるだろう。あるいはまた、チャーチワードのように、水没した古代大陸の遺物を実際に掘り出してみせるかのごとく思われるだろう。
 だが、ホープ女史はアトランティス人やシリウス人の意味に関し、それぞれきわめて精密な著作を発表しており、その内容を踏まえた上で発言しているのである。

・ただし、イシスを覆ったベールの奥からは、実体をもったシリウス人たちが、いずれは現れるだろうけれど。いずれにせよ、大変な著作が日本語に移されたことを喜びたい。



『女神イシスの降臨』
古代エジプト神話の謎に迫る
大川隆法   幸福の科学出版   2011/8/9



<女神イシスの正体は、琴座、ベガ星出身の神秘の女神であり、古代エジプトの実在の歴史上の初代の王とも呼ばれているホルス王の母でもある>
・また、「オシリスの復活信仰はイエスの復活信仰の原型であり、古代エジプトに流れる、この神秘思想がキリスト教に流れてきた」という考えもありますし、「転生輪廻の思想も、このあたりから始まっていて、それが仏教に入っている可能性もある」という考えもあります。

・ハトホルとこのイシスとを、ほとんど同一視するような見方もあります。

<夫であるオシリスの腹違いの妹だったイシス>
<オシリスとイシスの子ホルスはエジプトの覇権を確立した>
<天照大神(あまてらすおおみかみ)とイシスの深い縁>
・天照大神は日本担当、イシスはエジプト担当として下りた。
・天照大神とイシスは「ベガの女王」。
・プレアデスは“顕教”ベガは“密教”を担当している。
・ケンタウルス座α星人の中には、映画「猿の惑星」に出てくる、猿が人間になったような外見の者もいる。



『世界文明の「起源は日本」だった』
巨大地上絵でわかった 
ついに開いた!世界史のびっくり箱
大国主=神武天皇=イエス・キリストの衝撃!
次々と特定される驚天動地の解き明かし
上森三郎&神部一馬  ヒカルランド  2013/7/12



<大国主=神武天皇=イエス•キリストの衝撃!>

◎ 3500年前にモーセが日本に来た
◎ 古代日本の基礎を作ったのはモーセだった
◎ その後イザヤが契約の箱を剣山に運んだ
◎ ウガヤ王朝は紀元前660年から始まった
◎ 神武天皇はイエス•キリスト
◎ 神武天皇即位の紀元前672年は西暦57年のこと
◎ イエスの血を引く卑弥呼は世界のスメラミコトだった
◎ 卑弥呼の役割はモーセとイエスの墓守り
◎ 物部氏はレビ族の末裔だった
◎ 蘇我馬子の名はキリストの暗示
◎ 天照大神とはアブラハムの父祖御テラのこと
◎ 本書はイスラエルの失われた10部族の完成版ともなる
幾重もの封印を超えて本物の歴史の目がとうとう開かれる
21世紀の黙示録がここに始まる!

<モーセ以来3500年ぶりにヤハウエから契約を迫られた男
「上森三郎」が明かした驚愕の超真相とは?>
空海と卑弥呼が告げた緊急メッセ―ジを解読した
「現代版モーセの物語」がここに始まった!

◎ モーセとイエスは日本で理想の国造りに生涯をかけ、骨を埋めた
◎ 「失われた10部族」は古代日本で国造りをした!
◎ 聖書が明かす「東の海に囲まれた島々」とは日本だった
◎ シュメール文明は日本がルーツだった
◎ エジプトのピラミッド文明も日本が発祥だった
◎ イスラエルの12部族は日本への里帰りだった
◎ 「モーセの契約の箱」は剣山から兵庫県埴岡の里に移された
◎ 兵庫県の朝来市生野町と神崎郡神河町が世界の聖地になる
◎ 失われた契約の箱と聖杯はそこから出土する
◎ カゴメ唄のかごめの中心点は八幡山ピラミッドだった!
◎ 婀月山が卑弥呼の古墳だった
◎ 空海の「ひな型日本の巨大国仕掛け」がとうとう浮かび上がった

<八幡山ピラミッド>
・空海が作った亀の岩が掘られた巨石をはじめ、入口付近の役行者の安置された巨石、そして中腹の巨大な岩といい、この山は明らかに人工的に作られた山、つまり古代ピラミッドか、または巨大な古墳か、そのどちらかであろう。阿比留草文字や豊国文字などの神代文字といい、全世界から見つかっているペトロフラフといい、酒井が特定した2万年以上前のピラミッドの存在といい、日本の太古には高度な文明が存在していたことがほぼ明らかではないだろうか。

・どうも古代人は、現代人の思考が及びもつかない高度なテクノロジーを備えていたようだ。実は、紀元前3800年頃、歴史上に忽然と登場した古代シュメール人もすでに1日24時間、1時間は60分とする60進法を使い、なんと日食や月食が起こる期日を知っていたというのだ。この古代シュメール人とはいったい、どこから現れ、どこに消えたのか?それを上森は明らかにする。
 上森は、このピラミッドが建設されていたという八幡山で卑弥呼が祈っていたとの啓示を受けた。そして、この八幡山ピラミッドを中心に半径10km以内に神社の造りに見られるような神道の原型モデルが再現されているというのだ。

<古代ユダヤと日本は密接に関係していた>
<膨大な私財を有していた渡来人秦氏によって、日本の神社仏閣が創建された>
・「これを解く鍵は西宮市の市章です、なんと意味深なデザインでしょうか。古代ユダヤや大陸から日本に着いた航海航路の邪馬臺国への最終港が西宮であり、最終港は始発港でもあるのです。卑弥呼たちもこの始発港を使い、中国遼寧省の千山をめざし、航海したものと思われます。
 この西宮には創建不詳と言われる七福神をお祭りするえびす神社の総本社がありますが、先人たちはこのことを祀ったのでしょう。この神社の拝殿には10支族のヨセフの部族の紋章とされるユニコーン(一角獣)が祀られていることからも古代ユダヤとの関係が裏付けられます。

・ユダヤのダビデの星の中に書かれている文字は西という字ですが、私には弓偏に田と書いて、「西の方角にユダの国がある!」と教えている気がしてなりません。実は私に聞こえてくるメッセージでは、「七福神は日本に福をもたらした人たちですよ」と告げています。
 福禄寿と寿老人のお爺さんはモーセで、大黒様はイエス・キリストで………、皆さんユダヤの人たちがこの港から上陸して、宝塚を通って三田、篠山、春日を経由して福知山を通って、粟鹿を通って生野、神河町の聖地である埴岡の栗まで行ったのです……と。
 どうしてユダヤの人たちが……と奇妙に思われるかもしれませんが、ユダヤの人たちのルーツがこの神聖なる日本であり、その聖地が、八幡山を中心にして半径10?の圏内に鶴や亀や龍などの壮大なスケールの巨大地上絵を作って神様を崇め、なんとユダヤの人たちが神と崇める一対の巨大なメノラー(神の木)も作って祀っていたではありませんか。

・確かに伊勢神宮の灯籠や本殿に刻まれたダビデのマークにしても、西宮市の市章にしてもダビデの星にそっくりだ。日本古来の神社を建築したのは、物部氏や秦氏と言われる。
 特に秦氏は八幡宮や稲荷神社、金毘羅神社、日吉神社、白山神社など、全国規模の神社のほとんどを建てたとされる。
 聖徳太子のブレインとなった強大な権力を誇った秦河勝は、平安京の造営と遷都にも私財を投入。また、エジプトのクフ王のピラミッドや始皇帝陵よりも広大な世界最大の規模を誇る仁徳天皇陵も秦氏が建設したことが判明している。

・このように膨大な私財を秦氏は有していたわけだ。この秦氏は、中国の秦の始皇帝のブレインとされ「万里の長城」なども建設したようだ。驚くべきことにこの始皇帝をはじめ、秦氏のルーツはイスラエル10支族の末裔との説が有力だ。どうもこの始皇帝の父は、呂不韋(りょふい)という豪商で、ユダヤ人だったようだ。

・始皇帝の命を受けて、不老長寿を探しに「東の蓬莱島」(日本)に来た「徐福」にしても、呂不韋にしてもユダヤ人で秦氏だったというのが真相らしい。
 秦氏は、紀元前3世紀あたりから日本列島に住み始め、弥生時代後半から平安時代初頭までには、都市造りや治水、灌漑、土木工事などの技術を持った技術集団数万人が朝鮮半島の百済を経由し、日本に移り住んだことが史実からも明らかとなっているのだ。
 前出の『日本とユダヤのハーモニー』の著者・中島によれば、「国立民族学博物館によれば、縄文晩期の人口は7万6000人前後と推定されるので、こうした秦氏などの渡来人は100万人から150万人が移住したと考えられます」というのだ。
 この渡来人が帰化し、先住民と混血しながら、同化し、奈良、平安の文化を生んでいったと考えられる。となれば、彼らのルーツであるユダヤの神秘思想カバラを使い、国造りを行い、日本全国に神社を配置したことは納得がゆくのだ。

<古代ユダヤは日本がルーツだった/神武天皇=イエス・キリストの衝撃!>
<モーセとキリストは日本で死んだ!?>
<イエス一行は理想の国家を創るために、日本の出雲へ戻ってきた>
・2011年の春、上森は、なんとあのモーセの神霊と称す存在から驚嘆するメッセージを授かっていた。これまで全世界中の人間が学んだ歴史とは、まったく異なる歴史があることを告げられた。上森にアドバイス、メッセージを伝える人々の協力があって、このドキュメントの謎が解けてきたことは度々述べた。

・この仙人が果たして何者かはわからない。しかし、上森に以下のことを告げてきたのだ。
 キリストはイスラエルのガリラヤで生まれ、御霊の故郷である日本のスメラミコトに会うために日本に帰り、そしてスメラミコトの命を受けてインドを経由してイスラエルへ向かった。
 伝道しながら、故郷に戻ったのだが、迫害にあってしまった。ここで弟イスキリが兄キリストの身代わりになった。イエスとその弟子たちは、シルクロードを通って朝鮮半島の手前まで帰ってきた。彼らが一時を過ごした場所が蓬莱仙境で、仙人に教えを請うたところが千山だった。
 イエス一行はモーセを信仰する人たちの協力のもと、理想の国家を創るために日本へ戻ってきた。そしてその地こそが出雲の国だったというのだ。
 なんと上森が啓示を受けたイエスの生涯と、前出の竹内文書に記載されるイエスの生涯がかなり酷似するのだ。

<青森・戸来村にはキリストの墓があり、東北の一戸、二戸から十戸までの地名は、イスラエルの失われた10支族を指している>
・ところが、青森の旧・三戸郡戸来村にはこの歴史を裏付ける遺跡がある。
 この現在の新郷村では、公式に「十来塚がキリストの墓である」と公表しているのだ。なんと、弟イスキリの墓もあるという。実際、戸来という地名はヘブライを指し、東北にある一戸、二戸、三戸から十戸までの地名は、イスラエルの失われた10支族を指しているという説もある。
 また、地元で行われる「ナニャドヤラー ナニャドナサレノ」という意味不明のお祭りは、ヘブライ語で解読できるというのだ。
 この掛け声は、こうだ。
 ナニャド ナサレテ ナニャドヤラ
 ナニャドレヤ ナサレデ ノーオ ナニャドヤレ
 ヘブライ語翻訳家の青木遺作氏の解析によれば、ナギャド(王子)、ヤ(神)、ラ(見る・啓示を受ける)、ラヨー(神)、ナサレ(ナザレのイエス・キリスト)の意ではないか。つまり、「神の子、その神を見よ、ナザレの王子、身代わりになった神の子、神を見よ」と解読できるというのだ。
 実際、毎年、この地では村ぐるみで「キリスト祭」が行われ、イスラエル大使館関係者も集まり、盛大に行われているというのだ。
 さらに前出の謎の文献、『竹内文書』には、まさに「キリストは118歳まで八戸太郎天空坊、戸来天空坊として名乗ることもあり、長生きし、3人の娘をもうけた」ことが記載されているという。

・竹内文書とは、今日の歴史学のアカデミズムから信憑性を否定された文献だ。
 実は、このイエスが青森で没したという説は、竹内文書を世に公表した竹内巨麿が昭和10年、現地を訪れ、イエスの墓であることを明らかにしたものだった。
 しかし、超古代史研究家の間では、キリストの墓が日本に存在することや、日本に古来、スメラミコトが存在し、天照大神以前の神々の膨大な系図があることなど、すでに周知の事実だ。
 また、1万年続いたという縄文時代、またはそれ以前に、アヒル文字やカタカムナ文字などの神代文字が複数見つかっており、日本に高度文明があったことがほぼ確実なのだ。世界中から人が集まる熊本の幣立神宮は、創立は1万年以上前に遡るという説もある。

・琉球大学の地質学の権威・木村政昭教授は、台湾沖から与那国島あたりにかけ、1万3000年前に水没したとされるムー文明時代の古代の城壁や回廊などを発見、これを公表した。
 前出の酒井は、広島の葦嶽山のピラミッドは2万3000年前に作られたと主張したことは前述した。
 残念ながら、日本のアカデミズムの古代史の概ねの研究家が、「縄文時代は狩りが中心で、木の実を食す縄文人が1万人くらい日本に住んでいたらしい」程度の認識しか持っていないのは嘆かわしい。

<秦氏はキリスト神社として和歌山に糸賀稲荷神社を建てた>
・そこで、パソコンを開くと、稲荷神社の成り立ちについての情報が飛び込んできた。これは、『日本の中のユダヤ文化』(学研)を著した前出の聖書研究家、久保有政のページだった。
 日本の国造りをしたキリストを祀った日本で初めての神社は、稲荷神社であるというのだ。久保によれば、景教(ネストリウス派・東方キリスト教)では、キリストのことを、しばしば「JNRI」、あるいは「INRI」と表現するという。これを読むと「インリ」、すなわち「イナリ」となる。“稲荷”は当て字というのだ。
 安閑天皇の時代に、秦氏はキリスト神社として稲荷神社を建てた。最初に建てられた稲荷神社は和歌山県有田市の糸賀稲荷で、この地方は現在も“王子信仰”が盛んな地だという。建立時の稲荷神社は霊験あらたかで、瞬く間に日本全国へ広がったというのだ(狐が祀られるようになったのは、後の8世紀になってからで空海によるという)。

<邪馬台国は邪馬臺国と書き、<モーセの律法を第一とする国>すなわちキリストが造った国である>
・モーセとキリストが日本を訪れ、理想的な国造りを行ったとする根拠としては上森は、2012年2月、丹後半島にある竹野神社を訪れ、再度知らされることになった。

・「私はこの2年半で沢山の神社やお寺などを走らされましたが、このような彫刻を見たのは初めてでした。しかし、わが国の歴史において、重要にして重大な神社であることがわかったのです。魏志倭人伝に書き記されたこの国の呼び名は、邪馬臺国ですが、この読み方を私に、『シャモイッコク』と読みますと教えてくれたのです。
 邪……しゃも、これを右から読むと(ヘブライ語は文字の暗号化の一つとして逆さ読みする手法がある)≪もーしゃ≫、モーシェ、モーセだとわかったのです。
 つまり、邪馬臺国とは、<モーセの律法を第1とする国>であり、キリストが造った国であると教えられたのです。
 またキリストはイコール、神武天皇であるとも知らされました。立派な門に彫られている≪ブドウ≫は、イスラエルの11番目の部族のエフライム王を表し、≪狐≫は、キリストを表していたのです。

・キリストを祀った稲荷神社には狐が奉られていることでも裏付けられます。
 そして、伊勢神宮から生野へ伸びる生命の木(カバラ)のセンターラインにある千ヶ峰の先は、中国遼寧省鞍山市の千山ですが、ここに祀られている額の長いお爺さん(仙人)こそが、実は、モーシュ(モーゼ)だったわけです。お爺さんはひょうたんが付いたヘビの杖を持っていて、その下には、仙人の使いである稲穂をくわえた鶴と三束の粟の穂をくわえた鹿がいました」
 モーセとキリストが日本の国造りを行ったというのも驚天動地だが、キリストが神武天皇だったという説も仰天しないではいられない。藤原不比等が編纂した日本書紀には、神武天皇の即位は紀元前660年と記されているからだ。

<地球上の人々のために世界平和を祈り、神と交信できるスメラミコトこそが天皇!>
<卑弥呼の神霊が≪私が何を成したか、世界中の人たちに伝えてください!≫と告げた>
・ここで活躍するモーセは、3500年ほど前、多くの民を従え、この千山に留まった後、日本で骨を埋めた可能性が高い。実際、石川県の宝達山の三ツ子塚古墳は3つ連なっており、一つはモーセの墓で、残りはモーセの妻の騾馬姫と孫の墓であるとの伝説がある。
 また、鳥取の馬ノ山古墳群は古代モーセを信奉する人々が居住していたというのだ。



『「ピラミッド」の謎』  失われたメシアの神殿
フリーメーソンのカッバーラで読み解く未知なる第三玄室の正体と大嘗祭の秘密
飛鳥昭雄・三神たける  学研  2010/1



<絶対神ヤハウェと出雲族>
・古代エジプトからイスラエル人を導いた絶対神ヤハウェは、しばしば雲として姿を現した。昼は雲の柱、夜は日の柱となって道標になった、と『旧約聖書』にはある。モーセが十戒を授かったシナイ山でも、神が臨在する山頂は雲で覆われ、雷鳴が響きわたった。雷雲は神の顕現の証であり、それは十戒石板を収めた契約の聖櫃アークでも同様だ。契約の聖櫃アークに神が宿ると、移動式の神殿である幕屋の上に雷雲が現れた。
 これらの情景をすべて表現したのが、実は神社なのである。日本人は見慣れているせいで、まったく意識していないのだが、神社の拝殿は臨在の幕屋を象徴しているのだ。
 まず、幕屋の名にあるように、神社は祭礼のとき、社殿を幕で覆う。神の臨在のしるしとなる上空の雷雲は、巨大な注連縄である。大根締めとも表現される太く大きな注連縄は、雷雲を表現しているのだ。その証拠に注連縄の間からは雷の稲妻を示す白い紙垂、雨を示す縄が垂れ下がっている。
 祈願するときにお賽銭を入れる箱は契約の聖櫃アークの象徴であり、その上にある鈴は雷鳴となる音を出し、それを鳴らすための綱は、まさにイスラエル人を導いた雲柱にほかならない。
 このように、神社における雲は、みな絶対神ヤハウェの象徴なのである。このことを示す名が「出雲」である。天津神を奉じ、天照大神の子孫と称する天孫族に対して、国津神を奉じる出雲族はスサノオ命の子孫を称す。天照大神が太陽神であるのに対して、スサノオ命は嵐を呼ぶ荒神である。それゆえ、太陽の輝きを隠す雲は、天孫族に対抗する出雲族のシンボルと見なされてきた。

・天照大神はイエス・キリストのことである。天照大神を天照大神たらしめる天岩戸開き神話は、イエス・キリストの死と復活の場面を描いた物語にほかならない。天岩屋にお隠れになった天照大神とは、死んで横穴式墳墓に葬られたイエス・キリストであり、常世の長鳴き鶏はペトロの鶏、裸踊りをした天鈿女命(あめのうずめのみこと)は娼婦とされたマグダラのマリアを示す。天岩戸から出てくる際、八咫鏡に写った天照大神の姿は、性的に鏡像反転した男神を暗示し、かつ、その八咫鏡を吊るした真賢木は、イエス・キリストが磔になった十字架を示しているのだ。
 これはイエス・キリストを信じるユダヤ人原始キリスト教徒である秦氏が渡来し、ユダヤ教起源の神道をフォーマットしていく過程で、かってパレスチナでも同様なことがあったように、保守的なユダヤ教徒たちが反抗。やがて、雲をヤハウェ顕現のシンボルとする出雲族と呼ばれていったのである。
 いずれにせよ、神社の構造は出雲族の影響を強く受けている。神殿構造を分析するに当たって、出雲というキーワードは意外なことに、かの大ピラミッドの謎も解き明かすことができるのだ。

<上古出雲大社と第三玄室>
・しかし、八雲をヤー雲、すなわちヤハウェの雲と考えれば、ヤハウェの神殿である大ピラミッドに関する謎かけであると想像してみたくなる。というのも、頂上部にある第三玄室と第三重力拡散の間の高さは約288メートル。そう、ちょうど、96丈なのである。
 しかも、第三玄室には、そこにいたる大回廊が存在しない。この世ではなく、あの世の神殿だとすれば、対応する上古出雲大社が実在しない理由も納得がいく。

・第一玄室を今日の出雲大社であるとすれば、古代出雲大社と上古出雲大社は、それぞれこうなる。

出雲大社:第一玄室御子:ヤハウェ=イエス・キリスト

古代出雲大社:第二玄室:聖霊:コクマー=ルーハ

上古出雲大社:第三玄室:御父:エル・エルヨーン=エロヒム

 ご覧のように、上古出雲大社は第三玄室、すなわち御父エロヒムの神殿とみなすことができる。『旧約聖書』と『新約聖書』を通じて、御父エロヒムは直接、人間と接することがない。カトリックやプロテスタントは御父をヤハウェと見なしているために、この重要なポイントがわからなくなっているが、カッバーラにおいては一目瞭然。第三玄室にいたる大回廊が存在しないのも、上古出雲大社が実在しないのも、それは御父エロヒムの神殿であるからにほかならないのである。

<大ピラミッドで行われた儀式と大嘗祭>
・古代エジプト人が日本人と似た思想をもっていることを指摘する吉村教授であるが、もうひとつ、三大ピラミッドを含めたギザ大地の遺跡が、伊勢神宮に似ているというコメントをしている。三大ピラミッドが定説でいうようなファラオの墓ではなく、死後の世界を再現した壮大な神殿であると主張する吉村教授は、内宮と外宮、別宮や摂社などを併せて125社から成る伊勢神宮の神域に、同じ神々の世界を見たのかもしれない。

・この疑問については吉村教授は、こう考える。古代エジプトでは、ファラオが死ぬと鳥のような姿をした魂カーは天空に飛翔して、オリオン座のダウトという領域にいたり、やがて神になると信じられていた。大ピラミッドは、そのための巨大な装置である。ファラオの魂が天に昇る際、玄室や大回廊、女王の間で儀式が行われた。しかも、それは東西ふたつ、両方の神殿で行われたに違いない、と。

<地底王国シャンバラ>
・ヒトラーが夢見たシャンバラとは、いったい何なのか。ひとことでいえば、それは理想郷である。かつて人類がなしえなかった楽園の名前である。そこに住む人々は、だれもがこの世の真理を悟り、高度なモラルのもと、争いのない社会を実現しているという。
 ただし、シャンバラは地上世界にはない。一般の人間の目から隠された聖なる場所、すなわち神々が住むヒマラヤの地下に存在し、その入り口は、はるかなる北の果てにあるといわれる。

・だが、しかし。こうした見解に対して、チベット密教の最高権威、ダライ・ラマ14世はシャンバラが実在すると断言する。たんなる象徴を超えて、リアルな世界として存在するというのだ。ここに密教の恐ろしさがある。

<チベット密教とカッバーラ>
・最終経典にシャンバラが説かれているように、シャンバラの存在を最初に説いたのは仏教の開祖、釈迦なのだ。釈迦は自ら、北の果てにシャンバラへの入り口があると説いた。なぜ釈迦はシャンバラの存在を知っていたのか。

<釈迦はセムメーソンだった!>
・神秘思想における樹木は、いうまでもなく「生命の樹」であり、カッバーラの奥義を示す象徴である。説いた教えがカッバーラの叡智と通底することを考えれば、釈迦がカッバーリストであり、預言者であったことは間違いない。神を信じ、神とまみえ、そして神の言葉を授かったフリーメーソンだったはずである。
 注意してほしいのは、ヤフェトメーソンではなく、セムメーソンだという点である。バラモン教はアーリア人の宗教であり、それを担ったのはヤフェトメーソンだが、釈迦はセムメーソンだった。

・モンゴロイドはアーリア系ではない。有色アジア系であり、ユダヤ人やアラブ人、そしてトルコ人と同じセム系なのである。したがって、釈迦がカッバーリストならば、民族的にセムメーソンだったと考えられるのだ。
 しかも、それだけではない、釈迦はシャンバラの住民と同じ血を引いていた可能性がある。鍵となるのは、釈迦族=サカ族を生みだしたスキタイにある。

<失われたイスラエル10士族はどこへ消えた?>
・ソロモンの死後、王国は分裂。紀元前925年、イスラエル10支族から成る北朝イスラエル王国が独立すると、残る2支族は南朝ユダ王国の樹立を宣言した。このうち、南朝ユダ王国の末裔が今日のユダヤ人である。
 問題は北朝である。北朝イスラエル王国は紀元前722年、メソポタミア地方に勢力を拡大してきたアッシリア帝国によって、あっけなく滅亡。国民は捕囚され、遠くユーフラテス河流域へ強制的に移住させられてしまう。それから約200年ほど、イスラエル10支族はメソポタミア地方に住んでいたのだが、先述したように、いつの間にか集団で姿を消してしまうのだ。

・さて、ここで思いだしてほしいのが釈迦族である。サカ族はスキタイ系騎馬民族の流れを汲みながらも、本流ではなかった。マガダ国の釈迦族はモンゴロイド、すなわちセム系だったことを考えると、何か見えてこないだろうか。
 そう、釈迦は失われたイスラエル10支族だったのだ。ガウタマ・シッダールタのガウタマが優れた牛を意味するように、釈迦は10支族のうち、雄牛のシンボルをもつガド族のイスラエル人だったのである。
 最終仏教であるチベット密教を奉じるチベット民族も、しかり。チベット人は、東に広がった失われたイスラエル10支族である。チベット系民族のチャン族やカレン族が、失われたイスラエル10支族であることは、今日、イスラエル共和国の情報機関「アミンシャーブ」の調査によって判明しているのだ。

<失われたイスラエル10支族の本隊がいる場所>
・スキタイによって連れ去られたイスラエル10支族とは別に、自主的に北へ向かった人々がいる。彼らこそ、実は失われたイスラエル10支族の本隊である。『旧約聖書』の外典には、こんな記述がある。
「彼らは、多くの異邦の民を離れて、人がまだ誰住んだことがないほかの地方に行こうと決心した。彼らはそれまで住んでいた地方では守ることのできなかった掟を、そこで守りたかったのである。彼らはユーフラテス川の狭い支流を通って入って行った。その時、いと高き方は彼らにしるしを行い、彼らが渡るまで、川のせきを止められた。その地方を通りすぎる道のりは長く、1年半に及んだ。その地方はアルザルと呼ばれている」(エズラ紀(ラテン語))第13章41〜45説)

・失われた10支族は、ユーフラテス河を遡行した。方角でいえば北である。北に向かって1年半、歩いた。真っ直ぐ行けば、行き着くのは北極である。極寒の北極圏にいたって、彼らは約束の地「アルザル」を見出した。そこで失われたイスラエル10支族は、神の教えを守り、大いに繁栄しているという。これに対応するかのように、『旧約聖書』には失われたイスラエル10支族に関する、こんな預言がある。
「見よ、わたしは彼らを北の国から連れ戻し地の果てから呼び集める」(「エレミヤ書」第30節8節)

・何か変だと思わないだろうか。アルザルの記述は、まるでシャンバラのようである。理想郷であるといい、地上のどこにもない点といい、入り口は北の果てであるという話まで、シャンバラそっくり。いや、文字通りシャンバラなのだ。はっきり断言しよう。アルザルとは、まさにシャンバラのことなのだ。
 失われたイスラエル10支族の本隊は現在、シャンバラに住んでいる。同じ失われたイスラエル10支族の血を引く釈迦は、その事実を知っていた。北の果てに楽園への入り口があり、失われたイスラエル10支族は、そこからシャンバラに入った。釈迦はすべてを見通していたからこそ、弟子に語り、その言葉は最終経典として残された。

<地球内天体アルザル>
・シャンバラは神秘主義者によって、しばしば地球空洞論と結びつけられてきた。地球の内部は伽藍堂のようになっており、内側には地上と同じような環境が広がっており、そこには人が住んでいる。彼らは理想社会を実現しており、ときどき地上に現れて人類を教化、指導しているという。

・では、シャンバラはどういう形で存在するのか。これを現行科学で理解するには少しむずかしい。まだ一般に認められていない現象を前提とするからだ。その未知なる現象とはプラズマ・トンネルである。
 プラズマとは気体、液体、固体に続く物質第4の状態で、原子を構成する電子と原子核がバラバラになった高エネルギー状態を意味する。プラズマの研究は現在、核融合をはじめさまざまな分野で進められているが、まだまだわからないことが多い。ちょっとした条件変化によって、プラズマが消滅したり、生物のような振舞いをしたりする。

<秘密組織フリーメーソン>
・詳細は既刊に譲るが、結果として、人類はノアの大洪水を生き延びることができた。箱舟がアララト山に漂着し、そこから出てきた4人の男、すなわちノアと3つ子の兄弟ヤフェト、セム、ハムは、ともに神聖なる預言の鍵を手にしていた。いわば預言者である。
 預言者の組織を「フリーメーソン」という。今日、世に知られる秘密結社としてのフリーメーソンは近代フリーメーソンである。1717年にイギリスで結成されたグランドロッジから派生した組織である。もっとも、アングラの偽フリーメーソンも多々ある。最近ではマフィアのフリーメーソンもあり、儀式や秘密の文言を共有し、それだけ見て判断する限り、承認されたフリーメーソンと見分けがつかない組織も多くある。

・だが、そうした近代フリーメーソンとは別に、本物のフリーメーソンがある。近代フリーメーソンが成立する以前にもフリーメーソンは存在したが、それとも違う。預言者の秘密組織としてのフリーメーソンが、実はこの地球上に存在する。主に密議宗教の祭司の組織という形で継承されており、それをたどっていくと必ずノアに行き着く。
 もちろん、ノアの先もあり、エノクを経て最後はアダムに遡る。人類最古のフリーメーソンとは、「アダムメーソン」である。エノクもまたアダムメーソンだ。
 ノアに至った段階で、アダムメーソンに大きな変革が起こる。「生命の樹」の象徴に応じて、預言者の奥義が3つの流れに分かれた。すなわち、ノアの3人の息子が独自のフリーメーソンを形成したのである。

・ヤフェトからは主に白人、アーリア系民族、コーカソイドが、セムからは主に黄色人種とユダヤ、アラブ系、モンゴロイドが。ハムからは主に黒人が派生していく。とくに、セムメーソンはカッバーラの重要な鍵を継承した。
 そして、セムの子孫からはアブラハムが生まれ、ヘブライ人が誕生した。セムメーソンは「ヘブルメーソン」となって、『旧約聖書』の預言者を輩出することとなり、『新約聖書』の時代にあってはバプテスマのヨハネはもちろん、イエス・キリストや12使徒らがカッバーラを継承し、今日に至っている。

<古代エジプトのカッバーラと三大ピラミッド>
・冥界の王オシリスは、姿を現さない至高の神エル・エルヨーンであり、慈悲の母神イシスは救世主、イエス・キリストを示し、隼の頭をもつホルスは、鳩という鳥の象徴で示される精霊ハールとなる。これを念頭に三大ピラミッドの神殿を対応させる、こうなる。

第一ピラミッド:慈悲の柱:御子:ヤハウェ=イエス・キリスト:イシス

第二ピラミッド:均衡の柱:御父:エル・エルヨーン=エロヒム:オシリス

第三ピラミッド:峻厳の柱:聖霊:コクマー=ルーハ:ホルス

おわかりのように、大ピラミッドはイシスの神殿となる。実際、大ピラミッドには「イシス神殿」が付随している。これは大ピラミッドそのものがイシスの神殿であるという認識が、古代エジプト人にあった証拠なのだ。





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