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当時から読売新聞の持つ力に絶対的自信を持っていた。「われわれの力をもってすれば、たいがいの内閣は半年か1年で必ずつぶせる」、そう言って居並ぶ社員たちを睥睨した。
[森羅万象]
2020年3月29日 9時30分の記事



『2050年のメディア』
読売、日経、ヤフーインターネット後の地殻変動を描く
下山進   文藝春秋  2019/10/25



<「読売はこのままでは持たんぞ」>
・2018年正月の読売賀詞交換会。いつも「経営は磐石」と太鼓判を押す渡邉恒雄がその年は違った。「紙の王国」に大きな危機が訪れていた。
分水嶺は2005年に訪れていた。
1995年には存在すらしていなかったヤフー・ジャパン。
そのヤフーは、読売からのニュース提供をうけて、月間224 億PVという巨大プラッットフォームに成長。
危機感を抱いた読売新聞の社長室次長山口寿一(後のグループ本社社長)は、ヤフーに対抗して新聞社が独自のプラットフォームを持つことを思いつく。
日経、朝日に声をかけ、ヤフー包囲網がしかれたかに見えたが・・・。
同じ時期、日本経済新聞社長の杉田亮毅は、無料サイトにみきりをつけ、電子有料版の準備をひそかに進めていた 。

< 読売はこのままでは持たんぞ>
・何しろ「朝日を読むなら赤旗を読め!」という言葉で目がさめない学生が当時いただろうか。早稲田、慶應、上智、津田塾といった有数の大学でマスコミを目指すものたちの中では、まず朝日が序列の一番に来る。社会主義に対する憧憬は、70年代にくらべれば、様々な現実が報道されることでずっと薄まってきていたが、しかし国内問題に関しては、左派的な視点からの記事を提供する「朝日ジャーナル」が、マスコミ志望の学生の間では「かっこいい」とされた時代だ。
 渡邊はそうした中で、はっきりと東西の戦いは西側の勝利に終ること、そうである以上日米同盟を基軸に様々な問題を考えることが必須であることを語った。

<朝日は日米同盟に立脚しない>
・86年2月7日に読売新聞本社9階の大会議室で行なわれる社員研修「読売新聞の社論について」。専務兼主筆であった渡邊が社員に語りかける会だったが、まず渡邊は朝日の社論を俎上にあげた。
――朝日の社論は、日米軍事同盟を軸とした現在の政策から非武装中立に日本を変えていくことだ。実際朝日は1972年の元旦の見開き2ページの「朝日新聞は考える」という社論特集の中でこうはっきり書いている。
「日米間の軍事同盟を薄め、日米安保体制の解消に至る道筋を周到かつ冷静に対処することが望ましいと考える」
 武装中立も非武装中立も読売の立場としてはとらない。武装中立は、金がかかりすぎる。非武装中立は、敵が攻めてきたら「降伏」する「降伏論」と同じ。だから、読売は日米同盟を基軸に行く。
 といっても読売は、右ではない。国家主義とか全体主義はとらない――。
 実際、渡邊は戦前の全体主義の体制を馬鹿げたものと思っており、なぜそのような間違いを犯したのかを徹底的に追求する「検証・戦争責任」の名企画を立案。

・当時から読売新聞の持つ力に絶対的自信を持っていた。
「われわれの力をもってすれば、たいがいの内閣は半年か1年で必ずつぶせる」、そう言って居並ぶ社員たちを睥睨した。
 実際社員たちは、その後90年代を通じて、多くのことが渡邊の言ったとおりになっていくのを目の当たりにした。東西冷戦は西側の勝利に終る。その後も中立的な外交政策をめざそうとした内閣はあったがうまくはいかなかった。民主党政権で中国に軸足を少しでもおこうとし、沖縄で無責任な約束をして迷走した鳩山内閣は潰れた。
 94歳まで読売で実権を振るい続けた「販売の神様」務台光雄の死によって、1991年に社長になってからは、渡邊は、販売に力を注ぎ、94年の下期には、初の1000万部台に部数をのせ、2001年の上期には前人未到 の1028万部を達成した。

<読売の経営は盤石>
・戦後、関東の弱小ローカル紙だった読売新聞が務台光雄という「販売の神様」によって1977年に朝日を抜き部数日本一になった歴史などをひきながら、最後にはかならず、現在の読売の経営が盤石であることを社員に保障するのだった。
「この精神力と体力があれば、これからの一定のパイの中の争いで、絶対に勝ち抜けると確信」(2007年)
「読売の経営があらゆる指標からみて最も健全」(2012年)
「とにかく読売新聞は盤石です。何も心配ありません。何をやっても必ず勝ちます。いかなる戦でも勝ちます。その自信があります」(2012年)
「思いきった政策を実現させ、景気を向上させ、広告収入が回復すれば、読売は絶対安全、安泰です」(2013年)
 読売の社員もその渡邊の話を聞いて安心をする。それが1年に一度の行事だった。

<何かが違う>
<いつもだったらば、正月のしめは、読売は無借金経営で経営は万全という話で終わる>
・「読売はこのままではもたんぞ」
 その言葉になんとも言えない不安を感じた社員もいた。
 2001年には1028万人部を誇った部数も2011年に1000万部を切ってから加速度をつけて減少してきており、873万部まで後退していた。7年で130万部を失ったのだ。
130万部という部数は北海道新聞と熊本日日新聞の部数を足した数に匹敵していた。つまりブロック紙一紙と県紙一紙分の部数がこの7年で消えてしまっていたのだった。
 70年代の朝日が「不健全な理想主義」に立脚しているとしたら、渡邊は徹底した現実主義で世の中を見通していた。東西冷戦の崩壊を見通し、政界を動かせるキングメーカーとして君臨をし、行政改革や憲法改正論議を主導する。
 が、その現実主義者の渡邊がたったひとつ見通せなかったことがあった。
 それは、グーテンベルグが活版印刷を発明して、紙のマスメディアが勃興し、今日の大衆民主主義の基礎ができたのに匹敵するほどの革命が、ある技術革新によって不可逆的に進行していることだった。
 インターネット。この出現によってあらゆる産業が変革を余儀なくされた。新聞もそのひとつであったが、渡邊はそれに抗っていたのである。

< 最初の異変>
<「新聞の切り抜きを使った授業はもうできないんです。新聞をとる家庭がもうないから」そう言われて北区で複数の読売の新聞専売店を経営する副田義隆は衝撃をうける>
・その副校長は社会科が専門の教師でもある。社会の授業においてかつてあたり前のように使っていたのが、新聞だった。たとえば、ある社会事象について生徒に「新聞の切り抜きをつくって、感想を書いてもってきなさい」といった指導は定番のことだった。
その「新聞の切り抜き」ができなくなっているのだという。だから新聞を学校にただで配ってくれるのはありがたいというのだ。なぜ、「新聞の切り抜き」ができなくなっているのか。それは、そもそも新聞をとっている家庭が極端に減っているからだと訴えた。
「生徒が10人いたら新聞をとっている家は3人くらいです。だから『新聞の切り抜き』はもうできません」

・その質問項目の中に「1日15分以上新聞をよむか」という設問があった。2005年の数字を見てみると、30代で「はい」と答えたのは、男女との29パーセントになっていた。1995年の調査を見てみると、95年当時の30代の50パーセント以上は、まだ新聞を毎日読んでいた。

<生活保護家庭が週払いで新聞をとる国>
・副田の家は、三代続いた読売の専売店である。専売店というのは、読売新聞とだけ契約し読売新聞だけを売る店のことを言う。
 1943年、戦中に始まった副田の家の家業である読売の販売店。ラジオが出てきた時も、テレビが出てきた時も「新聞がなくなる」と言われながら魔法のような言葉が、その悪夢を退散させた。
「新聞に書いてあるから」
 それは「だから真実なんだ」と同義の魔法の言葉だった。「テレビでやってたから」とはニュースの場合言わない。あくまで「新聞に書いてあること」。それが真実だった。そのことを副田は昨日のことのように思い出す。
 だから、どんなひとでも新聞をとった。
 学生時代の鮮烈な思い出がある。
 北区は生活保護受給率が高い。が、その生活保護世帯でもまずは、新聞をとるのだと販売店を経営する父親は言った。貧しいために一括では払えない。家のポストに毎週200円の金をいれ、週ごとに集金する。朝夕刊セットの料金が750円だった1970年代のことだ。
 どんなに貧しくとも、いや貧しいからこそ、必死の思いで新聞をとるんだ。
 新聞はライフラインと同じだった。その知識を得たうえで初めて仕事につくことができる。だから生活保護世帯も、家計をやりくりして、新聞を宅配してもらっているのだった。日本の国力が高い理由もそこにあると副田は考えた。国民全体の知力が高い。世界的にみても文盲率はほぼゼロに近い。その基本となっているのが、国民が新聞をとって毎日読んでいるからなのだ。ニュースに接して様々なことを考える習慣によるものだ。

<部数を追って>
・「改廃されてしまう」
「強制改廃」のことだった。成績の悪い販売店は、読売本社からその地区の営業権を強制的に他者に振り替えられてしまうのだった。新聞は伸び盛りの産業だった。だから新聞販売店を始めて一儲けしたいという人物は大勢いた。
 副田は乳飲み子を抱えたまま、会社を辞め店をつぐことになった。
 営業力のなかった父親に比べ副田は新聞販売店を伸ばす才能があった。地域のロータリークラブに積極的にかかわり顔役になる。ちょっとした用事でも骨をおしまず町内会でも協力をする。
 70年代、80年代は、新聞各社は部数を拡張するために必死だった。部数が増えればまず、本紙の広告料金のレートがあげられる。それで本社は潤う。
 販売店にも折り込み広告があった。折り込み広告は、文字通り新聞に折り込む広告のことだ。地域のスーパーや塾などのちらし広告が大きな収入になった。
 一部あたり48円の折り込み広告の収入があるとする。そうすると、3000部で1日当たり14万4000円の真水の収入になる。1年で5256万円。3店経営していれば、1年で1億5768万円もの売上になる。
 本社からどばっと拡販費用が注入された。その拡販費用で洗濯機や冷蔵庫を仕入れ、新しい読者への景品とした。

<中心のないネットワーク>
・「後に「日本のインターネットの父」と呼ばれるようになる村井純は、この技術が、産業のあらゆる分野で変革を起こすようになるとは夢にも思っていなかった」。

<未来をデジタルにかける>
・「かつて午前1時の降版の時間にむけて全社がまわっていた日経は、電子版の普及とともに変わった。午後10時には編集局にはほとんど人がいない。報道の中身も変わっていく」

<日本経済新聞社は未来をデジタルにかけている>
・紙の新聞の部数は、2009年から2019年にかけて71万部おちたが、誰も進出して行かなかった市場、有料デジタル版に2010年に進出していったことによって、2019年6月までに72万の契約者数を日経電子版でとり、2009年以降も、売上を維持している唯一の新聞社であることはすでに書いた。
 が、紙にこだわることをやめ、デジタルにシフトしていく過程で当然代償もある。

<フィナンシャル・タイムズ買収>
・こうした惨事をくぐりぬけながら、日本経済新聞は変わりつづけている。
2015年11月にはピアソン傘下にあったフィナンシャル・タイムズ(FT)を1600億円で買収する。
 日経の報道がはっきりと変わってきたのは、先にデジタル版で成功していたフィナンシャル・タイムズを買収してからだ。

<「テクノロジー・メディア」を目指す>
・FTの買収以降、社長の岡田直敏は日経を「テクノロジー・メディア」に変えようとしている。
 2018年度の日本経済新聞に占めるデジタル売上高は27パーセント、これを2025年には50パーセントを占めるように変える。
 そのためには、紙の部門のリストラ、効率化をはかり、デジタル・グローバル分野に集中投資する。
 日本経済新聞は、このテクノロジーの変化の主役、エンジニアを他の新聞社に先駆ける形で積極採用している。

<翌日の朝刊のスクープを前日の電子版に出す>
・FTに習い、個人が立った記事を積極的に掲載するように日経が変わったことはすでに書いたが、日経がもうひとつ力をいれているのがデータ・ジャーナリズムだ。このデータ・ジャーナリズムは、たとえば官公庁、自治体からデータを入手し、その膨大なデータを解析することで、大きな変化を掴む、というもので、すでに東京大学の越塚登研究室と協力しながらいくつかの成果を出している。

・そして日経は、2月16日の朝刊一面に出したこの記事を、前日の午後6時には、日経電子版には流してしまっているのである。
 これは日経電子版の「イブニングスクープ」と呼ばれるもので、ビジネスマンが帰宅時間にスマートフォンなどで、もっとも電子版を見る午後6時という時間帯に、翌日の朝刊の一面の調査記事を出してしまうのである。
 このイブニングスクープに選ばれる記事は「スクープ」というよりも、時間の変化に耐えうる大きな変化をつかんだ調査記事が多い。

・紙の新聞は午前1時前後の降版にむけて、すべての予定が組まれていく。 日経でも、10年前は、結婚して子どもを産んだ女性記者が編集局の現場で働くことは無理だった。
 チェック用の記事のゲラ刷りが出てくるのは21時。これからチェックをしてということになると、とてもではないが、公立の保育園で延長保育をしても、18時までというところだと家庭が回っていかない。
 しかし2019年6月の現在では、朝刊の紙面は夕方4時か5時にはある程度できているようになった。そこからチェックしてということであれば、子どもがいても記者として仕事を続けることができる。
 これも、電子版のアクセスが多い、午前6時から7時30分、昼休みである12時から13時、そして帰宅時の18時、ここにあわせて、朝刊用の締め切りも以前よりずっと早く設定しているために起こった変化だった。夜回りも極力少なくするよう、記者たちは指示され、独自の見方の記事を出すことが奨励されている。
 現在の日経は、午後10時ともなると編集局には、ほとんど人がいない。皆電子版に合わせた締め切りで記事を出して帰ってしまっている。

・紙の新聞だけだった時代、編集局に人がいるピークは午後11時台だった。騒がしく、そこかしこで、怒鳴り声がしていた。翌日の朝刊の紙面をうめるために、記者も校閲者も編集者も、午前1時にむけて必死に、時に陽気に行進していたのだった。
 その時代はすぎさってしまったことを、午後10時の日本経済新聞の森閑とした編集局は伝えている。

<2050年のメディア>
・「読売の山口が郵送してくれた一遍の論文。そこには、新聞の今後を考える意味で重要な示唆があった。新聞社の強固な防衛力となる日刊新聞法。が、それは、変化を縛っていないか?」

・つまり日刊新聞法は、日本の新聞社が従業員による強固なオーナーシップを持つことのできる世界でも例外的な法律ということで、それにしたがって読売グループは水も漏らさぬ鉄壁のグループ体制を保っているということだ。
 紙の新聞が伸び続けた2000年代初頭までは、それでうまくいった。
 が、紙の新聞の市場に大きなガラがきている今日ではどうだろうか?

<上場していたからこそ変化に対応できたのではないか?>
・例えばニューヨーク・タイムズにしても、あれだけ強固な紙の新聞の一面至上主義を捨てデジタルファーストに社を転換できたのも、株を上場しているがゆえに、市場からの強烈な風圧があったからこそなのではないか?
 ワシントン・ポストも株を上場していた。2000年代の半ばの新聞の苦境の中、様々な手をうつがまくいかず、彼らがとった手段はアマゾンのジェフ・ベゾスに社を買収してもらうことだった。そのことで、ワシントン・ポストもテク・カンパニーに生まれかわり、100万を超す有料デジタル版の読者を抱えるようになった。
 かりに、米国で日本のような日刊新聞法があったとしたら、ニューヨーク・タイムズもワシントン・ポストもマネージメントは変わらなかったということになる。2000年代半ばの趨勢のまま、有料デジタル版への移行がうまくいかず、シュリンクしたまま終わっただろう。



『新聞社崩壊』
元朝日新聞販売局の部長が、全国43紙の経営を徹底分析。
畑尾一知   新潮社  2018/2/15



<2030年代の新聞の姿>
・そのように再生した2030年代の新聞の姿を以下のように想定したい。
・今より部数はずっと少ないが、安定した購読者層を維持している。
・月決めの購読料は今より安く、ページ数も少ない。
・紙のサイズも今より一回り小さいタブロイドに。
・紙面は政治・経済・社会面を中心にほとんどストレートニュースで埋める。
・人々がニュースに接する手段はデジタルデバイスが主流だが、プラットフォームのニュースサイトに新聞社が配信している。
・紙の新聞の購読者が新聞発行を支え、その経営基盤を背景に信用できる記事をウェブニュースサイトに提供する。
・紙の新聞の発行部数は少ないが、ニュースサイトへの自社記事の配信により、社会へのプレゼンスはゆるぎない。
 はたして、新聞の未来はいかに――。

<復活のための改革案>
<新聞を読む理由>
・日本の金融や産業界のビジネス・パーソンの多くは、日経を読んでいる。たいてい定時に紙の新聞を読み、デジタル版はリアルタイムのニュースや過去の記事の検索に使う。

・多くの会社員はマクロの政治・経済、ミクロの産業・企業の動きを押さえておく必要があるので、紙かデジタルかにかかわらず、日経のコンテンツは手放せない。将来、日経が紙の新聞の発行をやめることになっても、購読者の多数はデジタル版へ移行するだろう。
 日経に比べると朝日や読売などの一般紙は、「世の中の動きが知りたいから」読んでいる人が多く、定型的な必要情報が載っているわけではないのが弱点だ。コンテンツが必需ではないため、購読者を紙からデジタルへ誘導するのは容易ではないと思う。

<急増するデジタル版>
・ここでは、一般紙でもデジタル戦略で成功しつつあるニューヨーク・タイムズ(以下、NYT)の現状を見てみよう。NYTのデジタル戦略の成否は、日本の一般紙のためのメルクマールになるだろう。
 NYTの紙の購読者数(月〜土曜日)は、2011年の103万部から2016年には57万部とほぼ半減した。ちなみに、日曜日の新聞(サンデーNYT)は100万部強発行されている。
 一方のデジタル版は、この5年間で60万部から185万部へと3倍になった。とくに2016年は大統領選挙の影響もあって、1年で46パーセントも増えている。2017年に入っても増勢が続き、9月には213万部を記録した。

・あくまで単純な計算に基づいたものだが、将来NYTがデジタルだけで生きていくのが並大抵のことではないことがおわかりいただけただろうか。
 それでも、世界中に熱烈な愛読者を抱えているNYTは、そのブランド力を活かして活路を見出す可能性がある。それに比べると、日本の一般紙はそこまでの競争力があるとは思えない。

<紙の新聞がない社会>
・私は、紙の新聞がない時代には、以下のようなことが起こると予想している。
1. 世に出るべき情報が埋もれる。
2. フェイク・ニュースが出回る
3. 常識的な世論が形成されない
4. ニュースの重要度が均衡を欠く
5. 興味深い記事がなくなる

<(1)世に出るべき情報が埋もれる>
・現在の主なニュースの供給元は、新聞やテレビに代表される旧メディアと、グーグルやフェイスブック(以下、FB)などの新メディアに大別される。旧メディアのシェアが瞬く間に新メディアに浸食されたのは周知に通りである。FBは1人のユーザー当たりのローカル紙サイトの30倍のページビューがあるし、Yahoo!ニュースは2016年1月の月間ページビューは128憶に達し抜群の存在感を誇っている。

・権力側にとって不都合な情報を公開されたくないのは、ごく自然なことである。情報の公開度は権力側と大衆との力関係で決まり、大衆の支持を背景にジャーナリズムがどれだけ頑張るかにかかっている。
 その公開度を測る1つの指標に、パリに本部を置く「国境なき記者団」の報道の自由度ランキングがある。2016年の1〜3位は、フィンランド、オランダ、ノルウェイで、日本は72位だった。日本は2010年には11位だったが、年々ランクを下げ、先進諸国のなかでは最低に位置している。日本の評価が下がったのは、特定秘密保護法による取材の自由の制約や、放送法改正によるインターネットを含むテレビ放送への政治的公平の要求が原因と見られている。

・その後各新聞社は、全国の地方議会における議員の政務活動費の使途について調査し、多くの県会議員の不正が発覚した。大多数の地方議会は、「活動費の内容は請求があった場合に開示する」としている。
 このような調査は、莫大なマンパワーを使い、時間と費用がかかる。そのうえで集計作業や問題の洗い出しなど専門的な知識も必要になる。そういう体系的な調査報道は、新聞社のような経営基盤が確立した独立の組織体でないととてもできない。

<(2)フェイク・ニュースが出回る>
・2016年の米大統領選の最中に、ドナルド・トランプ候補(当時)が連呼したこともあり、「フェイク・ニュース」という言葉が大ブレークした。

・なかでも衝撃を与えたのが、「クリントン陣営の選対本部長がピザ店で児童売春」というデマだった。デマが拡散されすぐ、ライフルを持った男が、そのピザ店に押し入り発砲した。男はその話の真偽を確かめにきたという。ピザ店の関係者が異変に気づいたのは大統領選直前で、ネット上には「皆殺しにしてやる」などの言葉が並んでいた。投票日前後には、店への嫌がらせがピークに達し、従業員の家族の写真までネットでさらされた。

・新聞やテレビなど従来のメディアは、裏づけがとれた事実だけを報道することを厳守しており、それがFBなどと根本的に違うところだ。近年の例では、朝日の従軍慰安婦についての誤報に対し世間から厳しい批判があったが、これは裏を返せば新聞記事への信頼度が高いことから起こった反響でもある。もちろん新聞にも一定の確率で誤報は載る。しかし、その誤報率は、現在でもその他のネット・メディアより低いと感じる。

<(3)常識的な世論が形成されない>
・マスメディアにはそれぞれのカラーがあり、保守色やリベラルな色が強かったり、時の政府に対するスタンスに違いがあったりする。しかし、民主政治を守るとか、人権を擁護するなど基本的な価値観は共通している。それが広い意味で冷静で常識的な世論を形成し、すぐ炎上するネット社会とは異なる。それぞれのメディアが中心になってコミュニティを形成しており、視聴者や購読者の多くはメディアの価値観に賛同する人たちであろう。
 もともと人間には、「自分と異なる意見は聞きたくない」という傾向がある。

・ネットの特色は“選択的接触”であり、新聞の“一覧性”と対照的である。また、現在のメディア環境は心理的に同調化が求められる傾向を強くし、異論に耳を傾け議論することを難しくしている。

<新聞がなくなると投票率が下がる>
・まず、選挙では軒並み投票者の数が減った。新聞がなくなったことで、住民の地方政治への関心が低下したと考えられる。

・この例で見るように、紙の新聞がコミュニティを形成し、常識的な世論を形成するために大きな役割を果たしていたことは、新聞がなくなって初めて理解されるようである。

<(4)ニュースの重要度が均衡を欠く>
・新聞やテレビはその日のニュースを重要度が高い順に報道する。国際ニュースや科学ニュースなど、一般受けしないものを含めて、書きたい記事と読みたい記事のバランスを考えて整理されている。受け手側も、それを承知して読みたくない記事も含めて報道されることを是としてきた。
 昔から政治関連の記事は人気がない。しかし読み飛ばすにしても、紙の新聞ならばその見出しぐらいは目に入る。政治スキャンダルがあれば、それがどのようなものであるか、世論に影響が出る程度に多くの人が知っていた。しかしデジタル版には階層性がなく、読みたくない記事をジャンルごとスキップすることができる。

<(5)興味深い記事がなくなる>
・従来型メディアの時代はすでに終わりを迎え、すべての人がニュースを発信する「誰でもがメディアになれる」時代になったとよく言われる。さらに「読み・書き・そらばん」のようなスキルセットとして、ジャーナリズムの作法も義務教育で教えるべきだ、という意見も聞かれる。
 しかし、ソーシャルネットワークでもてはやされる面白いニュースと、政治・経済・社会などのニュースが本質的に異なることは、言うまでもない。

<もし「値下げ」すれば………>
・2025年には、2015年に比べ購読者が30パーセント減少する。それに伴い、販売収入・広告収入が減るのは必至である。一方、費用は用紙費・資材費・輸送費・販売費などを変動費とみなし、販売収入減のうち30パーセントは費用も減ると仮定した。その結果、2025年には営業利益率がマイナス20パーセントとなり、多くの新聞社が経営危機に陥ることになると予測した。
 
・これは91社の平均像なので、相対的に業績が悪い新聞社はもっと早くに経営破綻が訪れるだろう。それを避けるには、売上を伸ばすか費用を抑えるしかない。
 売上の減少幅を縮めるために考えられるのは、以下の3点である。
1. デジタル版の購読者を増やす
2. 新規事業を成功させる
3. 購読料を値下げして購読者を増やす

・もちろん、この試算で仮定した「購読料を20パーセント下げたら、部数減のペースは半分になる」というのは、筆者の勝手な思い込みである。だが、値下げにより部数減の右肩下がりのカーブがなだらかになるのは自明なので、「1人でも多くの読者に読んでもらいたい」という新聞の本来的な望みに沿っていることは疑いないのである。

<人件費が4分の1になれば……>
・新聞社の経営において人件費の占めるウエイトがいかに大きいかが一目瞭然である。このように、従業員の人数と年収を減らすことができれば、経営が好転することは明らかであろう。

・その次は高い年収に手をつける。日本の労働法制では一気に給与を大幅にカットするのは困難なので、数年かけて半分にする。その結果、10年以内に社員数と年収の半減を実現することになる。

<誰も新聞社を助けたがらない>
・しかし現実には、日本の新聞界にマードックが出てくる可能性は限りなくゼロに近い。日本の新聞社の多くは、従業員持ち株会などの社内勢力が大株主になっている。その結果、「株主・取締役・労働組合」が一体的に社員で構成される「オール与党体制」ができ上った。社員の生活より会社経営を優先させる抵抗勢力がないに等しい。

<再生の可能性>
・そのときが、事業再生の専門家集団を擁する事業再生ファンドの出番である。前述のように紙の新聞の需要は根強いので、新聞社の構造を一変させてビジネスモデルを合理化すれば、再生は十分可能だからである。新聞社は20世紀の黄金時代に新聞代を極限まで高値に導き、自らを高コストにした。それを逆流させて、低価格、低コスト化すればいいのだ。

<「未来の新聞」を提案する>
・21世紀に入ってからの急激な新聞離れの原因は、高価格と紙面の品質低下、そして、その根底には読者軽視があると思う。

・未来の新聞は、それらを反面教師として、低価格・高品質の紙面・購読者重視が成功の鍵になる。そのうえで、発行母体の持続性を重視し、新たなビジネスモデルを構築する必要がある。そこで実行すべきは、顧客の満足度を最大化することと費用を最小化することしかない。そのために以下の方策を採り入れたい。
1. 値下げ
2. 夕刊廃止
3. 紙面のコンパクト化
4. 顧客の集中管理
5. 流通の合理化
6. 人件費の抑制
7. 販売店の多角経営化

1. 値下げ
・長い目で見て将来の売上を確保するために値下げをするわけだから、どの値段であればどのくらいの人が購読するのか、十分に研究する必要がある。また、購読料の設定については、長期契約をすれば割安になるなど、合理性が求められる。

1. 夕刊廃止
・既存の新聞社は、設備や人件費など固定比率が高いので、夕刊をやめる選択肢はなかったが、制作にかかる費用を変動費化すれば、夕刊を発行する必要はなくなる。

1. 紙面のコンパクト化
・紙面製作は東京だけで行う。全国の取材拠点も主要地にしぼる。
 ページ数はできるだけコンパクト化にする。最大20ページくらいで十分だと思う。

1. 顧客の集中管理
・新聞社の集中管理の利点は、
1. 記事に対する要望や意見を読者から直接聞ける
2. 購読者の属性などを知ることにより掲載広告の効果を上げられる
3. いつどの購読者に配達するかの情報が一元化し、委託先の販売店と共有できる
4. 販売店の業績が簡明になり、配達に集中できる

<(5)流通の合理化>
・新聞製作の根幹である、取材や編集業務以外の紙面伝送・印刷・輸送・営業・管理などはすべて外注化する。技術やデジタル部門も相当程度はアウトソーシングが可能だと思う。

<(6)人件費の抑制>
・少部数のうえ安い新聞を作ろうとするのだから、当然人件費も抑える必要がある。新しい新聞社の従業員は記者が中心だが、従来のような高給は払えない。

<(7)販売店の多角経営化>
・今現在の本業を深化させるという方向で、他に考えられるのは、多角化である。ある読売の販売店は、この業界では大量の景品を使う点に目をつけ、倒産したメーカーなどから商品を超低価格で仕入れる「バッタ屋」を始めた。そこで扱う品物を販売店で拡材に使うほか、スーパーにも卸している。そのバッタ屋で扱う商品は産地直送の農産物にも及び、新聞店舗で販売する。宣伝は自店でチラシを印刷し、扱い紙に織り込むので費用を最小に抑えることができる。そのうえ、拡材や産直品の扱いを他の販売店にも呼びかけ、賛同した店が相当数参加している。
 販売店が転身する2番目の方向は、地元企業の販促活動を支援する道である。

・しかしながら、新聞ビジネスそのものが破綻しているのではない。新聞業は、やりようによっては十分に収益性が見込める事業だと思う。つまり、新聞社は亡んでも新聞は生き残り得る。



『2030年の日本へ あらたにす『新聞案内人』の提言』
あらたにす編   日本経済新聞出版社   2012/3/22



<外国人で活性化する2030年の日本>(内海善雄)
<少子・高齢化により悲惨な状況が予想される2030年>
・20年前に誰がインターネットがこれだけ我々の生活を変え、また、日本で原発の事故を起こすと考えただろうか?本出版のテーマである「2030年の日本」などを予想することは、ほとんど不可能なことである。しかしながら、世の中には確実に予測可能な事柄もある。その一つが人口構成の予測であると言われている。

・現在、63歳以上の高齢者の総人口に占める割合は、20%程度であるが、20年後には、30%を超え、そのうち75歳以上が20%を超える。現在でも現役世代は3人に1人の老人を養っている勘定になるが、それが、1.6人で1人を養わなければならないことになる。

・働いて稼いでいる者にとっては、現在のほぼ2倍に近い負担をしなければならないのだから、なにか運命的な仕組みの変革が起きなければ、社会は成り立たない。当然、65歳以上の老人にも積極的に働いてもらわなければならないし、現役世代も現在の生活レベルの維持を放棄しなければならないだろう。

<一気に高負担・低福祉社会になることが明白である>
・人口減になる現役世代でさえも、就労機会が十分に確保できるかどうか怪しくなる。このような20年後の日本は、とんでもない絶望的な社会になることが予想される。

<問題の解決は、外国人受け入れ>
・人口構成の高齢化が、日本より先に進んでいた欧米諸国では、何十年も前から、働き盛りの外国人を受け入れてきた。東欧やトルコなどから労働者を受け入れて繁栄しているドイツ、旧植民地からの移民であふれるフランスなど。外国人は、その国の経済活動の大きな要素として組み込まれている。

・むしろ規制的な政策を取っているスイスなどでは、外国人が労働許可を得ることは至難の業である。

・確かにヨーロッパ先進国では移民が引き起こす社会問題がある。

・筆者が11年間暮らしたジュネーブは、人口の半分以上が外国人である。

<社会を変革させる外国人>
・筆者は、移民で成立した米国のシカゴに留学し、また人口の半分が外国人である国際都市ジュネーブに長く暮らした。そこで肌身で感じたことは、これらの地域が異文化の交流によるダイナミズムで活気を帯びていて反映していることであった。

<日本は横並びの先例主義が跋扈した均一同質社会>
・外国人は旧来の陋習に囚われることなく、国際スタンダードで物事を考える。視点は、もっぱら国際比較であり、国際競争である。

<引き起こされる問題こそが日本再生の鍵>
・その結果、日本に起きる問題は、少子高齢化ではなく、外国人労働者によって、一時的に就労機会を失うかもしれない国民が多く出ることになる。彼らは、必然的にあらゆる分野で外国人と競争しなければならなくなるだろう。

<取り返しがつかない先送り>
・冒頭の人口問題研究所の予測が真実となり、働いても働いても老人を養うために高い税金を徴収される社会となるであろう。

・外国人の受け入れは、財政再建と同様、痛みを先に延ばせば伸ばすほど取り返しのつかないことになる。、



『日本3.0』   2020年の人生戦略
佐々木紀彦  幻冬舎   2017/1/25



<ガラガラポン革命のキーワードは、「移動」と「下剋上」だ>
・2020年の東京オリンピックは団塊世代の卒業式となる。その後は、リスクを恐れず、挑戦する30代にチャンスが来る。大きな成功を掴むのは、デジタルとアナログ、世界と日本、地方と東京、大企業とスタートアップといった境界線を越えていける人間だ。

<第3のガラガラポン革命を引き起こす「10のファクター」>
・明治維新と敗戦という2つのガラガラポン革命により生まれ変わった日本。では、「第3のガラガラポン革命」はいつ起きるのでしょうか。
「第1のガラガラポン革命(18687年)」と「第2のガラガラポン革命(1945年)」は、およそ70〜80年の周期で起きています。その法則を当てはめると、敗戦70周年の2015年は、「第3のガラガラポン革命」が始まる節目になるのではないか、というのが竹内氏の見立てです。

・では、「第3のガラガラポン革命」において、何が「移動」と「下克上」を引き起こすのでしょうか。私は次の「10のファクター」が複合的にガラガラポンをもたらすと読んでいます。
(1) 年功序列の終わり
(2) 正社員と非正規社員の格差解消
(3) 男女逆転
(4) 外国人労働者の登用
(5) 難民
(6) 業界再編・伝統企業の倒産
(7) スタートアップの隆盛
(8) 第4次産業革命
(9) 交通革命
(10) グローバル化

<遂に平成にも身分改革と黒船がやって来る>
(1)の「年功序列の終わり」は、戦後のGHQによるパージと似た効果を生むはずです。今後は、先進的な企業ほど年功序列を廃止し、30代役員の誕生など若手の抜擢が進むでしょう。そうでないと国際競争に勝てないからです。政府は法律で「同一労働同一賃金」を徹底するなどして、その流れを後押しできます。
 また、「同一労働同一賃金」の推進は、(2)の「正社員と非正規社員の格差解消」にもつながります。これは明治維新によって打ち破られた「上士と下士のアンフェアな格差解消」と似たインパクトをもたらすはずです。
 安倍政権もすでに「年功序列の見直し」と「同一労働同一賃金」を政策メニューに掲げており、問題意識は十分持っています。

(3)の「男女逆転」は、一言で言えば、女性がどんどん地位と影響力を高めるということです。「男女逆転」社会がリアルになっていきます。
 法律の後押しもあります。2016年4月より、女性活躍推進法が施行され、労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが新たに義務づけられました。欧州でのクオータ制(女性役員比率などを法律で義務づける制度)に比べると緩やかな政策ですが、企業社会での女性の活躍を多少は促すはずです。

<今後、既得権を失う「おじさん」と、時代の追い風をうける「女性」の出世争いが過熱していくはずです>
・しかし、やっと女性登用の機が熟しました。女性の層が厚くなってきたのです。日本の大企業において、女性の総合職が一気に増え始めたのは、1976年生まれの“ナナロク世代”からですが、その世代が40歳を迎えました。
 この女性は、結婚、出産後も仕事を続けるのが普通です。多くの総合職の女性は、ワーキングマザーとして働く道を選んでいます。もちろん、保育園の不足や、家族のサポート不足により、ハンデを背負っている面もありますが、着々と存在感と実力を高めています。ビジネスパーソンとして一番脂がのっているこの世代の女性から、新時代のロールモデルが次々と生まれてくると私は確信しています。

(4)の「外国人労働者の登用」は、高度人材と単純労働人材の双方がありますが、まず優先すべきは、高度人材に日本に来てもらうための取り組みです。とくに、AIやソフトウエア開発など日本が弱い分野は、日本人だけでは世界競争に絶対勝てません。

・(5)の「難民」とは、ズバリ、北朝鮮と中国からの難民です。今後、北朝鮮の体制が崩壊した場合、数万人、数十万人単位で北朝鮮の国民が日本に押し寄せることもありえます。さらに、中国がバブル崩壊や権力争いで大混乱に陥った場合、中国人が日本に大挙してやってくるかもしれません。難民問題は日本にとって対岸の火事ではないのです。

<「第2の開国」で日本は浮かぶか>
・次にマクロな要因を見ていきましょう。
 まず(6)の「業界再編・伝統企業の倒産」はかなり高い確率で起きるでしょう。「失われた20年」の間に再編が進んだ業界もありますが、まだ手付かずの業界がたくさんあります。とくに、規制や言語や文化の壁で、世界との競争に晒されなかったセクターはその典型です。たとえば、建設業、流通業、農林水産業、メディアなどは、これから再編が本格化するはずです。都政の混乱からもわかるように、公的セクターの多くもいまだ昭和モードのままです。今後は地方議会不要論も出てくるはずです。特殊法人などを含む行政セクターも再編を強いられるでしょう。

・きっと今後10年の間に、有名企業の倒産がいくつも起こるはずです。
 業界再編が吹き荒れる中、(7)「スタートアップの興隆」も起きるでしょう。ただし、第3章で詳しく述べますが、スタートアップの過大評価は禁物です。日本はどこまでも大企業支配の国であって、スタートアップが成功するのは容易ではありません。
 ただ、死屍累々とはいえ、大企業や海外企業の力をうまく借りながら、急成長を遂げるスタートアップもいくつか出てくるはずです。

・そして、スタートアップを含む日本企業の大きなチャンスとピンチになるのが、(8)の「第4次産業革命」です。これも第4次産業革命とは、簡単に言うと、AI、ロボット、IOT(モノのインターネット)、ビッグデータの4つのテクノロジーがもたらすビジネス界の大変革です。

・(9)の「交通革命」は、まさしく、国内外の人の移動の流れが変わるということです。とくに注目すべきプロジェクトが2つあります。
 ひとつ目は、2027年始動予定の東京(品川)――名古屋間のリニア中央新幹線です。
 2つ目は、羽田空港の国際ハブ化、拡張です。

<南海トラフ地震>
・4つ目の「自然災害」の中で、もっとも恐れるべきは南海トラフ地震です。南海トラフとは、四国から静岡県の南の海底にある水深4000メートル級の深い溝のことであり、大規模な地震発生帯としても知られています。政府の地震調査委員会は、南海トラフ地震の発生確率を次のように予測しています。

・今後50年以内に90%以上
・今後30年以内に60〜70%
・今後20年以内に40〜50%
・今後10年以内に20%程度

・マグニチュード9.1とも言われる巨大地震が発生すれば、被害想定は、最大で死者32万人、被害総額は220兆円。もっとも被害を受けるのは静岡県で、10.9万人もの死者が出ると推計されています。地震が起きれば、国債も売り浴びせられ、財政危機も同時に到来するかもしれません。

<「日本3.0」時代は30代が主役になる>
・では、第3のガラガラポンによってもたらされる「日本3.0」の主役となるのは誰でしょうか。
 結論から言うと、今の30代だと思います。
 先ほど「2020年は団塊世代の卒業式」と書きましたが、卒業する団塊世代からバトンを受けるのが、団塊ジュニア以後の世代の「大人への入学式」でもあるのです。
 
・では、なぜ30代がカギを握るのでしょうか。それには主に3つの理由があります。
 ひとつ目に、30代は、いつの時代においても経験と無知のバランスが最適だからです。

<ナナロク世代の破壊力と新たな価値観>
・30代がキープレーヤーとなる2つ目の理由は、今の30代はそれ以前の世代と価値観が違うからです。おおまかに、1976年生まれあたりを分かれ目として、価値観に大きな溝があります。
 その最大の要因のひとつは、インターネットとケータイです。ナナロク世代は、若い頃から、インタ―ネットやケータイを当たり前に使いこなしてきた世代です。ネットが自然と体に染み込んでいるのです。

<団塊ジュニア、最後の「下克上」>
・最後に3つ目の理由として、30〜45歳の世代はとにかく数が多いのです。政治でも、経済でも、社会でも、やはり数は力です。
 これまで、日本で多数派を占めてきたのは団塊の世代です。2015年時点で、団塊の世代を中心とする60〜74歳の世代は約2600万人もいます。それに続くのが、団塊ジュニアを中心とする30〜45歳であり、人数は約2550万人に上ります。

・団塊ジュニアは、就職氷河期とバッティングしたため、就職などで苦労した人も多く、上の世代や社会への不満も大きいはずです。その構図が、昔の下級武士に似ているように思えます。

・2020年以降の「日本3.0」は、この世代が下克上を起こすチャンスなのです。

・上の世代と同様、30代は、先祖の遺産を食いつぶした無責任世代として歴史に刻まれるか、それとも、「日本3.0」をつくった祖として記憶されるか、その勝負をかけたチャレンジがこれから始まるのです。

<若いときに基礎を固め、よいクセを身につけておけば、それは一生の財産になるのです>
<ハーバードの最先端教養教育>
・ハーバード大、スタンフォード大ともに、伝統的に教養教育を重視してきましたが、近年、教育プログラムの大改革に踏み切っています。世の中が大きく変わる中で、時代に合った新しい教養教育を模索しているのです。

<安寧の日々が続くのもせいぜい2020年まで>
・それに前後して、日本にほぼ確実に修羅場が訪れます。それは、数年に一度のものではなく、数十年、おおげさに言えば、100年に一度と言ってもいいインパクトのあるものとなるでしょう。

・2020年前後から始まる「日本近代の第3ステージ」、通称「日本3.0」は、これまでとはまったく異なる思想、システム、人を必要とします。

<ターニングポイントとなる「4つの節目」>
・とくに大きなターニングポイントになるのは2020年です。この年に日本は4つの節目を迎えます。ひとつ目は、東京五輪です。

・2つ目は、安倍政権、アベノミクスの終わりです。
 予定通り、安倍首相は自民党の総裁任期を3年延長したことにより、2021年まで首相を続けられることになりました。安倍首相は五輪を花道として、遅くとも20201年には政権から去ることになるでしょう。
 安倍首相は、近年の首相の中では、稀に見るリーダーシップを発揮し、賛否両論があるものの、外交面を中心に実績を残してきました。その点は大いに評価できます。
 しかし、経済面では辛口にならざるを得ません。金融緩和はもはや燃料切れ。アベノミクスの「第3の矢」である規制改革もうまく進んでいません。このままでは、金融緩和、財政出動というカンフル剤が切れた後、日本経済は一気に勢いを失うでしょう。つまり、政府主導でGDP拡大を目指した「戦後型日本経済」もフィナーレを迎えるのです。

・3つ目の節目は、東京の人口減少です。
 成長の最後の砦である東京でも人口減少が始まります。最新の推計によると、人口減少のXデーは当初予定の2020年から5年延期されました。

<2020年は団塊世代の卒業式>
・そして4つ目の節目は、団塊世代の引退です。戦後日本の象徴であった「団塊世代」が、日本の主役から完全に引退するのです。いわば、2020年の東京五輪は、団塊世代の卒業式になるのです。

<「政界再編」。2021年までは安倍政権が続いたとしても、その後を担うリーダーたる人材がいません>
・一気に世代を飛び越えて、小泉進次郎氏がトップに立てば面白いですが、安倍政権以後、自民党は求心力を失い不安定になるおそれもあります。対抗軸となるべき民進党もまず復活の芽はないでしょう。(2020年まで存続しているかどうかすら怪しい)。となると、自民党の改革派、民進党の良識派、改革派首長などが合流して、新党を結成するシナリオを考えられます。その新党が軸となり、日本の政界が流動化する可能性は小さくありません。
 自民党の大幅な若返りか、第三極の新党結成か。このいずれかのシナリオに進まないかぎり、日本の政治はデッドロックに陥るはずです。



『100年経営』    世紀を超えるマネジメント
若松孝彦    ダイヤモンド社       2011/3/18



<7つの経営プログラム>
・100年先を見つめて、会社存続のために何をするべきか、「7つの経営プログラム」で会社の未来をつくる!
☑粗利益率40%・経常利益率10%・連続10年
☑1T3Dナンバーワンブランド戦略
☑究極の資源配分、承継こそ最大の戦略
☑社長を10人育てるサテライト組織
☑語り継ぐ経営システム
☑100年カレンダーをつくる
☑STSで変革をマネジメントする

<100年後、私はこの世にいない>
・私は経営コンサルタントとして、20年間で約1000社の会社に経営アドバイスをしてきた。中小企業から中堅・上場企業まで、企業再生や成長戦略の策定など、多くの経営の修羅場や戦略の現場を経験してきた。また潰れる会社、勝ち組企業、老舗企業など、企業の栄枯盛衰をそばで見てきた。「会社」とは、本当に不思議な生き物だと思う。
「会社は操業50年で老舗、100年で時代、200年で歴史になる」

<老舗企業の研究本ではない>
・「存続するために会社は何をすべきか」この悩みを少しでも持っているなら、その「問い」には真剣に答えたつもりである。

<変化をマネジメントできる会社>
・成長の前に変化ありき、経営資源の再配分のない成長は膨張である。100年経営を実現するためには、「変化をマネジメント」しなければならない。これが、会社存続の絶対的な経営技術となる。脱皮できない会社は消えるのである。

<会社を変えるチャンスは3回訪れる>
・「赤字」「不況」「継承」。会社を変えるチャンスは、3回訪れる。好況時の変化は、膨張である可能性が高い。不況時やピンチのときの変化が、真の成長である。

<日本経済の100年経営プログラムを考える>
・経営の現場から日本経済や地域経済を眺めたとき、大きな危機感が生まれてくる。本書で述べる100年経営プログラム(無借金経営システム、存続エンジンの開発、承継戦略のシナリオ、自律する組織デザイン、ミッションマネジメント、後継者育成カリキュラム、100年経営の階段)を、日本経済の運営に当てはめながらお読みいただくと、経済政策的な学び方ができるかもしれない。

・例えば、7つの経営プログラムでアプローチしたとき、「無借金国家経営システム(現実は借金漬け)」「存続エンジンとして3つ以上の世界ナンバーワン産業づくり(従来の競争力産業の地盤沈下)」「100年先まで世代継承できるシナリオ(人口減少と高齢化社会)」「ナンバーワン産業を生み出し続ける国と地方の組織デザイン(中央集権の組織体制)」「あるべき姿を描いた経営資源の再配分(使命感なき目先重視の政策)」「次代のリーダーを輩出して育成する仕組みづくり(頻繁に変わるリーダーたち)」「将来も日本が成功者であるための階段(破綻国家への下り坂)」となる。

・残念ながらカッコ内が現実であり、本書で提唱している100年経営プログラムとはあまりにもかけ離れている。これは何を意味するのか。このままでは、「日本経済の寿命が、会社の寿命を決める」ことになる。

<会社寿命はいつの時代でも「四択」>
・会社の運命は、4つのコースから選択しなければならない。存続、売却、廃業、倒産である。会社は「続けるか、売るか、やめるか、潰れるか」と常に隣り合わせの運命にある。その運命はリーダーの腕前、舵取り次第で決まる。

・私の約1000社の経営アドバイスの記録や記憶をたどると、およそ60%は事業承継が経営課題の本質であったように思う。

・タナベ経営の創業者・田辺昇一は、「会社は事業に成功して50点、承継ができて100点」と言った。事業承継は本当に難しい。将来を左右する重要事項でありながら、5年から10年に一度しか発揮しない経営技術だからである。同族企業であれば、20年に一度である。

<日本企業が直面する5つの新しい現実>
現実1 創業200年以上の会社は0.07%、100年では0.5%
現実2 創業5年以内に35%が消え、50年を迎えるのは5%
現実3 社長の高齢化
現実4 20年間で約100万社が消えている
現実5 倒産、廃業、売却の増加

<現実から見える未来>
・新しい5つの現実を線でつないでみると、次のような構図が浮かぶ。
「会社の業績が厳しい→経営の舵取りが難しい→現社長が経営せざるを得ない→社長の高齢化が進む→会社の将来性や魅力が乏しくなる→後継(候補)人材がさらに少なくなる→経営意欲の喪失→廃業(売却)」
 私は、この悪循環の構図を「後継者不足の時代」と呼んでいる。「後継者不足」にはさらに3つの真因がある。「なり手不足」「少子化」「悲観論」である。

<社長業の「なり手不足」>
・業績の悪い会社は、例外なく借金が多い。特に中小企業の場合、会社を所有するオーナーと、会社を経営する社長が一体化しているため、社長には債務保証問題がついてまわる。
 同族・非同族にかかわらず、自宅を担保に差し出してまで会社を引き継ぐ人がいなくなっできた。この10年間で、中小企業と金融機関との取引スタイルが大きく変化したことも影響している。金融機関の不良債権処理の中、メーンバンクがそれにふさわしい役割を果たせなくなり、メーンバンクが会社を潰すことすら当たり前の時代になった。会社が倒産すれば社長は丸裸――。会社を起業しよう、社長になろう、社会を変えよう、という気概より、同族後継者ですら「社長という仕事は割に合わない」という意識が優先し始めている。後継経営者の「なり手不足」を招いている。深刻な原因である。

<「100年経営プログラム」を導入せよ>
プログラム1 無借金経営システム。無借金経営――粗利益率40%・経常利益率10%を連続10年以上続ければ、実質無借金になる。

<2つのシェア20%以上>
・次に取り組むべき倍数の「20」は、自社が取り扱う製品・サービス領域で、「2つの市場占有率(シェア)を20%以上にすること」だ。2つのシェアとは、「ターゲット市場におけるシェア」と「得意先内におけるインストアシェア」のことである。

〈存続エンジン 1T3D戦略(事業シフトの法則)〉
・「単品たらふく病気になる、バラバラ少々健康」。おいしいからと言って単品ばかり食べているとバランスを崩し、病気になる確率が高くなる。事業も人間の体と同じである。儲かっているからと言って、一つの事業ばかりをやっていると、いずれ経営のバランスを崩すことになる。
 
・これを予防し、正しく変化(シフト)する戦略を私は「1T3D戦略」と呼んでいる。「1T」とは、1つの「テクノロジー」、すなわち固有技術(真の強み)を意味する。「3D」のDは、「ドメイン」、つまり事業領域の頭文字であり、3つのターゲット事業領域の創造を意味する。

・以上を考慮すると、1T3D戦略の推進は、まず、?水平展開である新規チャネルの参入可能性を検討し、次に、?垂直展開による川下攻略を意識して、?自社ブランドを開発できるよう川上から付加価値コントロール力を構築し、最終的に?川下へ参入してブランド確立を実現する戦略シフトが基本となる。
 
・100年経営を目指す存続エンジンは、「固有技術を生かしてニッチ市場を創造し、“開発見込型ナンバーワンブランド事業”を垂直と水平の展開力で”3つ以上“開発せよ」となる。「会社(事業)の寿命は30年」と言われて久しい。一つ目の事業の柱で30年、三つの事業で90年、限りなく100年に近づくのである。

<次の時代へ新規事業の種をまく>
・1T3D戦略を遂行するためには、存続エンジンとなる「新規事業の種」を市場や組織内にまき、育てなければならない。「まかぬ種は生えない」のだ。

<兄弟経営は3代目までに80%が失敗する>
<承継の無責任――兄弟仲よく、平等に>
<兄弟経営が派閥経営になるとき>
<承継こそ最大の戦略>
・戦略とは、持てる経営資源の再配分である。実は、経営の中で最も大切な資源配分は、会社寿命の90%以上を決める「トップ人事」という資源配分である。

・「戦略の失敗は戦術ではカバーできない。しかし、承継の失敗は戦略でもカバーできない」

・承継の失敗は、会社の成長を5年以上停滞させる。5年間が企業戦略遂行の命取りになることは容易に想像できる。「私のコンサルティング経験の約60%は、本質的には事業承継にまつわる課題であった」、と申し上げたのはこれを意味している。「承継こそ最大の戦略」なのである。



『データでわかる2030年の日本』
三浦展    洋泉社        2013/5/10



<100年で日本の人口は3分の1に減少>
・(人口)100年で日本の人口は3分の1に減り、人の住まない地域が増える!

・(高齢化)働き盛りが人口の3割しかいなくなり、現役10人が高齢者など10人を支える社会になる!

・(結婚・家族・世帯)未婚、離別、死別が人口の半数近くになり、親子ともに高齢者の世帯も増える!

・(教育・所得・福祉・住宅)大学定員割れ、空き家増加。正社員減少、改善が必要なことがたくさんある!

・今、日本は大変な転換期にあります。人口が減り、高齢者が増え、働き手である若い世代が減っていく、社会保障費は拡大し、消費税をはじめとした税金もおそらく上がっていくでしょう。高度経済成長期につくった道路などのインフラも老朽化していきます。

・今年、2013年は、1947年から49年に生まれた団塊世代(第1次ベビーブーム世代)は65歳前後になっています。団塊世代は、日本でも最も人口が多い世代です。彼らは2030年になると80歳を超え、ほとんどの人は仕事をせず、もしかしたら病気になったり、寝たきりになったりしているでしょう。

・2030年までの間に、われわれ日本人は、社会のさまざまな仕組み、制度を根本から変えていき、2040年からの社会に備えなければならないのです。

<日本の人口は20世紀に3倍増えた>
・ざっくり言うと、4000万、8000万、1億2000万と増えた。50年間で4000万人ずつ、2倍、3倍と増えたのですね。すごい増え方です。

<100年後に日本の人口は3分の1に減る>
・昔は「多産多死」の時代と言います。これが明治以降は「多産少死」の時代になる。江戸時代と同じ調子でたくさん子どもを産んでも、あまり亡くならなくなった。だから人口が増えたのです。
 戦後になると「少産少死」の時代になる。2人産めば2人とも生き残る時代になった。しかし現代は「超少産」になってしまったので、人口が減るわけです。

・せっかく1億2000万人台にまで増えた人口も、現代では子どもを産む人が減ったために、2050年になると9700万人ほどに減る。2100年には、4959万人になる。2110年葉4280万人です。20世紀には100年かけて3倍に増えた人口が、21世紀の100年をかけてまた3分の1近くに減るのです。

・しかも、この予測は「中位推計」というもので、出生数や死亡数の増減の仕方を多すぎも少なすぎもしない中間的な仮定で予測したものです。出生数の減り方がもっと激しく、かつ死亡数の増え方ももっと激しいと仮定すると、2110年の人口は3014万人にまで減ってしまうのです。

<アフリカの人口が35億になる>
・日本以外の国々の人口は、一部の先進国を除けば、今後も増え続けます。現在は世界全体で70億人ほどですが、国連の予測によると、2100年には100億人になる。増えるのは主に新興国と呼ばれる国々です。

<中国とアフリカが結びつきを強める>
・また、川端氏によると、中国とアフリカの貿易額はこの10年で24倍に拡大し、2009年以来、アフリカにとって中国は最大の貿易相手になっているのだそうです。中国外務省はこのほど、アフリカで働く中国人の数は100万人を超えるとの試算を発表しています。

<人が住まない地域が増える>
・人口の半数以上が65歳以上である地域を「限界集落」と言いますが。そういう限界集落が増え続ける。

・相続する人がいない土地や家が増えるのですから、土地の価格は安くなるでしょうし、空き家が増えます。安くなった土地を外国人が買うというケースも増えるのではないでしょうか。

<外国人が日本を買い占める?>
・すでに現在でも、売れ残ったマンションなどを外国人に安く売ることは頻繁にあるようです。



『日本最悪のシナリオ 9つの死角』
日本再建イニシアティブ 新潮社  2013/3/15

 

<最悪のシナリオ>
1 <尖閣衝突>
(課題)
・尖閣危機のシナリオを極小化する重要なポイントの一つは、中国側の上陸行動を防ぐ、あるいは最小限にする日本側の迅速な初期行動にある。それを可能にするシステムはできているのだろうか?

・中国側にとって、尖閣問題は対外戦略問題であると同時に、国内の権力闘争、ナショナリズムの問題である。中国国内に対して、日本側の正当な言い分を伝え、理解を得る発信をどうやって生み出すべきだろうか?

・国際社会に対して、日本は何を発信して、どうやって理解を得たらよいだろうか?また、国内世論にはどう対処すべきだろうか?

2 <国債暴落>
(課題)
・日本の将来に必要不可欠な社会保障制度改革と年金改革を先送りしかねない政治家の判断について、国民側から議論する必要はないだろうか?

・膨張する医療費をどうすべきか。政治と官僚による“上流からの改革”だけでなく、“下流”から議論を起こしていくにはどうしたらよいだろうか?

・改革のチャンスを渡してきた背景には何があったかのか検証する必要があるのではないだろうか。

3 <首都直下地震>
・30年以内に直下型地震が東京を襲う確率は、場所によっては7割を超える。

・東日本大震災後、東京都は都民に“サバイバルの時間”を意識させる条例を制定した。全事業者は従業員の3日分の水と食料を備蓄するよう定めた条例で、帰宅困難者を出さないための対策である。

(課題)
・政府の被害想定で見過ごされてきた東京湾封鎖ならびに電力喪失というシナリオを真剣に検討すべきではないだろうか。

・最悪シナリオにおいて首都機能をどこでどうやって継続するのかの検討が必要ではないだろうか?

・ライフラインが途絶して発生する膨大な数の被災者の生活をどう支えるのか。支援を被災地に送る発想だけではなく、被災者を外に出す発想の転換が必要ではないだろうか。

・都県や市区をまたぐ広域的な行政対応をどこがどうやってマネジメントするのか?

・政府のアナウンスが誤解やパニックを招かないようにするにはどうしたらよいだろうか?

・平時から求められるリスク対策の費用負担を、どう考えるべきだろうか?

4 <サイバーテロ>
(課題)
・私たちの生活に直結する国家や企業の重要情報が、激増するサイバー攻撃によって盗まれている。国内の対応体制の盲点はどこにあるのだろうか?

・国内にも世界に負けない優秀なハッカーたちがいる。日本を防御するためには彼らを登用するには、何が障害になっているのだろうか?

・オールジャパンで対抗するために、役所や政府機関の改革すべき点はどこか?

・現代社会はオンラインへの依存度を高めて、自らリスクを高めようとしている。利便性とリスクのバランスについて、どう分析したらよいだろうか?

・サイバーテロはそもそも敵の特定が極めて困難である。インテリジェンス機能を強化させるにはどうしたらよいだろうか?海外のインテリジェンス機関との協力が必要ではないだろうか?

5 <パンデミック(感染爆発)>
(課題)
・日本の医療機関は、医師、ベッド、人工呼吸器、ワクチンなどすべてにおいて不足し、平時から医療崩壊の危機にある。こうした現状を踏まえた上で、「新型インフルエンザ等対策特別法」に基づいた具体策の検討がなされているだろうか?

・日本国内だけでパンデミックに対処するには無理がある。海外の国に協力を求めるにはどんなことを整備すればよいだろうか?

・現在の法体制に、海外からの支援を遅らせたり、被害の拡大を招きかねない盲点はないだろうか?

・医療現場を崩壊させている原因は、行政や医療機関だけだろうか?患者の意識改革も必要ではないだろうか?

6 <エネルギー危機>
(課題)
・エネルギー危機には、資源の確保、市場への心理的な影響、国内への配分という3つの問題がある。この3つの問題を克服するにはどんな努力が必要だろうか?

・エネルギー危機の3つの問題をさらに悪化させかねないのが、アナウンス方式である。正しい情報が、一転してデマ。風評被害、パニックを呼び起こしてしまうのはどこに原因があるからだろうか?

・中東への依存度を抑えてエネルギー調達元の分散化を図るためには、具体策をさらに議論すべきではないだろうか?

7 <北朝鮮崩壊>
(課題)
・朝鮮半島で危機が起きた場合、現地在住日本人の退避について具体的な方策は練られているだろうか?

・日本の安全保障の戦略ビジョンを国内外に打ち出しているのだろうか?

・首相や首相官邸の事態対応が後手に回ってしまう場合、平時に何が足りないからだろうか?

・朝鮮半島で危機が起きれば、日本経済にも大きな影響を及ぼす。危機に対する予防策は平時から考えられているだろうか?

・平時から情報機関が独自に提供する首相への情報は、政府として共有・分析されているだろうか?首相を混乱させてしまう仕組みに陥っていないだろうか?

8 <核テロ>
(課題)
・防災や減災、また企業の事業継続や安全保障に関する訓練は、「式典化」していないだろうか?

・ファースト・レスポンダーの提携に際し、現場の権限の不明確さを具体的にどう克服すべきだろうか?

・「3・11」で起きた首相官邸と官庁との連携の失敗や国民からの不信を克服するために、統治する側はどんな努力をしているのだろうか?

9 <人口衰弱>
(課題)
・国家を衰弱させかねない人口構造の問題は、以前から危機を予測できていた。危機を知りながら、解決に向けた政策の優先順位が低いのは何が原因なのだろうか?

・国家として人口問題にどう立ち向かうかというビジョンを打ち出せていないのはなぜだろうか?

・出産や育児の環境を整えていない現状を続けていけば、危機はより大きくなっていく。全世代の意見を汲み取るための選挙制度改革など、国民的な議論を喚起すべきではないだろうか?

・前世代のツケを次世代が肩代わりする社会保障の仕組みは、個人への負担を増加させる一方である。この危機意識を国民に共有させるには何が足りないのか?

<「最悪のシナリオ」を起こさないために、政治は「制度設計責任」を果たせ>
<巨大リスク社会、巨大リスク世界>
・巨大なリスク社会と巨大なリスク世界が出現してきた。都市化に伴い巨大技術を活用する社会は、巨大なリスクを抱え込むリスク社会でもある。オプション取引やデリバティブなどの金融リスクヘッジ商品がさらなる巨大金融リスクを息子のように生み出す姿は、「自らのデザインの中の悪魔」と形容される。

<盲点と死角>
・盲点と死角は、日常、私たちが感じている日本のシステムとガバナンスと意思決定プロセスの問題点である。そこに地雷原のように埋め込まれてた数々の神話とシンドローム(症候群)である。例えば――、

・同質性(と閉鎖性)を根拠に、日本が「安全・安心」大国であるかのように思いこみ、それを自画自賛する「安全・安心症候群」。

・リスクを冷静に評価し、それを受け入れることを回避し、ひいてはタブー視する「リスク回避症候群」(失敗や恥を怖れる杓子定規の段取り重視、式典化する訓練)。

・「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿文化。つまりは、利害相関関係者(ステークホルダー)としての参画を意識的に排除し、各省、各部門のたこつぼ化と縄張り争いに精出す「部分最適症候群」。

・「チームジャパンとしての対応」ができず「オールリスク」を取る体制ができない「全体真空症候群」。

・明確な優先順位を設定することを忌避し、なかでも“損切り”の決断がなかなかできない「トリアージ忌避症候群」。

・権限と責任を曖昧にする「総合調整症候群」(「総合調整」という名の指揮命令系統の意識的曖昧化)。

・本部・本店は指図するだけ、ロジ(調達・補給)も不十分、ただただ現場にしわよせを与える「ガナルカナル症候群」。

・「安全保障国家」としての形も内容も未熟なまま、いざというときの米国頼みの「GHQ症候群」。

・9つの「最悪シナリオ」があぶり出した日本の国家的危機と危機対応の姿は、戦後の「国の形」が国家的危機に取り組むにはきわめて“不具合”にできており、また、私たちの社会があまりにも無防備であるという厳然たる事実を示している。
 日本の「最悪のシナリオ」を描く作業は、日本のカントリー・リスクを評価する作業でもある。それは日本の「国の形」と「戦後の形」を問う試みにならざるをえない。

・日本の国家的危機を考える場合、首都直撃のパンデミックやサイバーテロのような急迫性の高い危機だけが危機なのではない。
 国債暴落と人口衰弱の2つは、日本という国の悪性細胞が次々と移転する時限爆弾のような存在である。
 日本全体を丸ごと蝕む致死的なリスクという意味ではこの2つがもっとも恐ろしい危機となるかもしれない。

・問題は、政治である。政治家は、世論の反発や票離れを恐れるあまり、日本の将来に必要不可欠な社会保障制度改革や年金改革に着手できずにいる。

・国債大暴落と人口衰弱の「最悪シナリオ」を起こさないための確かな「制度設計」を急がなければならない。政治はその「制度設計責任」を果たさなければならない。

・多くの場合、それらのリスクは、東日本大震災と福島第一原発事故がそうだったように、複合的な性格を帯びる。司司(各省庁)でことに対処するのでは間に合わない。「国を挙げて」取り組まなければならない。それだけにガバナンスの善し悪しがこれまで以上に危機管理において決定的な要素となるだろう。
 ガバナンスとは、経済的、社会的資源を運営、管理する上での権限と権力のありようである。危機管理ガバナンスの再構築は政治の仕事である。司司(各省庁)の行政にその仕事を委ねることはできない。

<レジリエンスとリーダーシップ>
・あれから2年が経つのに、東日本大震災と福島第一原発事故の国難から日本が回復し、それをバネに復興に向けて歩み出した実感を私たちがなお持てないのは、そうしたレジリエンス(復元力・政府のリスク管理能力)を現出させ、演出するリーダーシップがこの国に希薄であることとも関係しているだろう。

・スイスの世界経済フォーラム(ダボス会議)は2013年の冬の会議で「国別レジリエンス評価」報告書を発表した。
 主要な世界的リスクとして考えられる50の指標を総合して各国別のレジリエンス(政府のリスク管理能力)度を評価したものだが、ドイツ、スイス、英国が最上位。米国、中国がその次。その後、インド、イタリア、ブラジルと来て、日本はその下である。大国のうち最下位はロシアとなっている。
 ほとんどの場合、国際競争力とレジリエンスは正比例している。国際競争力が高い国であるほどレジリエンスも高い。その中で、日本は例外的存在である。国際競争力はなお高いが、レジリエンスは低い。



『人類が絶滅する6つのシナリオ』
ブレッド・グテル  河出書房新社   2013/9/18



<スーパーウィルス>
・遺伝子のルーレットがたった一度悪い目を出しただけで、感染力も致死率も高いヒトのインフルエンザが誕生し、数日で世界全体に広がるかもしれない。致死率が60パーセントのインフルエンザであれば、大流行すれば破滅的な結果になることは間違いない。
 科学者たちはこのように心配しているわけだが、彼らにある程度、論理的に異議を唱えることは可能だ。まず、問題は、それほどに恐ろしい「スーパーウィルス」が生まれることが本当にあり得るのか、ということだ。正確なことは今のところ誰にも分からない。

<核戦争>
・人類は半世紀にもわたり、核戦争の恐怖に怯えながら生きてきた。一度、核戦争が起きれば、悲惨な結果を招くことがわかっていたからだ。放射性物質が世界中にまき散らされる上、埃や塵が空高く舞い上がり、日光が遮られれば、急激に気温が低下することになる(核の冬)。そうなれば、人類はもはや長くは生きられないだろう。

<気候変動>
・そして気候システムも攪乱された。これは、ただ地球の気候全般が一様に変化したというより、各地域の気候が複雑に関係し合った。「ネットワーク」の成り立ちが以前とは変わってしまったと言うべきであろう。このネットワークが正確にはどのようなものかは、まだ誰も知らない。気候には、海流のサイクル、モンスーン、氷河、熱帯雨林といった多くの要素が影響を与える。

<ウィルス>
・人口が増え、居住地域が広がったことで、人間は以前よりも多くの生物と密に接触するようになった。そのせいで、新たな病気にかかる危険性も高まってしまった。病原体となる細菌やウィルスなどに、新たに広大な生息域を与えたとも言える。

・21世紀型の、まったく新しい感染症が広く蔓延する日がいつ来ても不思議ではない。14世紀の黒死病は、ヨーロッパの人口の3分の1を奪ったが、同じくらいの致死率、感染力の感染症が今、発生すれば、もっと速く、広い範囲に影響が拡大するはずである。

<二酸化炭素濃度>
・環境ジャーナリストのビル・マッキベンは、気候変動はもう、普通の対策ではどうすることもできない段階まで進んでおり、問題を解決するには、急いでエネルギー、経済をもっと環境に優しいものに転換しなくてはいけない、と言う。石炭や石油を基礎とした経済から、風車や太陽電池(マッキベンは原子力発電を支持していない)を基礎した経済に転換するというわけだ。だが、転換に何十年という時間がかかれば、その間にも大気中の二酸化炭素濃度は上昇し、手遅れになってしまう。

<エネルギー>
・エネルギーは人類の生存にとって大きな要素だが、同じくらいに大きいのが食料だ。世界人口がこの先100億人になった時、それだけの人に食糧をどう行き渡らせるかというのは、重要な問題である。

<食糧の供給>
・ノーマン・ボーローグの緑の革命は確かに偉業だ。これによって生産性は劇的に向上し、飢えていたはずの大勢の人に食糧を供給することができた。だが、弱点もある。その一つは、大量の化石燃料を必要とするということだ。化学肥料と農薬も大量に必要とする。土壌を耕し、作物を植え替えるという作業を頻繁に行わなくてはならない。

<101億人の人口増加>
・小規模農業にも利点があるが、今世紀の末、現在よりもはるかに人口が増えた時に、それで十分な食糧を供給できるとは考えにくい。世界の人口は今世紀の末頃にピークに達し、101億人ほどにもなると予想されている。つまり、今の中国があと二つ増えるようなものだ。(中国自体の人口は、一人っ子政策により、現在の14億から、今世紀の末には10億を切るくらいにまで減ると考えられる)もちろん、この数字は何か予想外の事態により、人口が激減しなければ、という前提のものである。そんなことがあって欲しくはないが、この本で書いてきたような「最悪のシナリオ」が実現すれば、人口は激減する可能性もある。

・これから増える人々の大半はアフリカに住むことになる。実のところ、今世紀の半ば頃に約90億人でピークに達するとしていた予測を国連が訂正したのも、アフリカの人口の伸びが予想以上だったからである。現在のアフリカの人口は10億人ほどだが、21世紀の終わりには36億人にまで増加すると見られている。アフリカ大陸は、10億人の人口ですら十分に支えられているとは言えないのに、さらに人口が3倍以上にもなってしまう。

<鳥インフルエンザウィルス>
・人類の滅亡の日が近いうちに来る危険性はどのくらいなのだろうか。簡単に答えてしまえば、「誰も知らない」となるが、間違いを恐れずに予測してみることはできる。

 私がこの本に書くにあたって話を聞いた科学者、あるいは科学の関係者のほとんどは、ウィルスこそが人類にとって最も切実な脅威だと信じていた。1997年以降、多くの科学者が心配しているのは、鳥インフルエンザウィルスが種の壁を越え、人間のインフルエンザウィルスになることである。いずれH5NIウィルスに突然変異が起き、ヒトからヒトへ早く感染し、致死率も極めて高い、というウィルスが生まれるのではないか、と恐れている。

<マルウェア>
・マルウェアが困るのは、体系的に対処する方法がないということである。特に、未知のマルウェアの場合、確実に見つける方法は存在しないし、どういう動作をするか予測することもまず不可能だ。マルウェアの問題を簡単に解決できると思うのは危険だ。あらゆるコンピュータに合法的に侵入し、データやソフトウェアを調べる権限を政府やセキュリティ企業に与えればそれでどうにかなる、と安易に考えている人もいるが、実際にはそうはいかない。たとえ、コンピュータの中をくまなく調べることができたとしても、マルウェアの攻撃から私たちを守ることができるとは限らない。自律性を持ったマルウェアの脅威は、配電網以外のシステムにも迫っている。銀行や医療機関のシステムは、配電網よりはセキュリティ対策が進んでいるが、それでも脆弱性はあるし、攻撃された時の社会への影響も大きい。


<インターネットのセキュリティ>
・最近、ヒリス、ジョイはともに、インターネットを今よりも安全性の高いものにする方法を模索している。二人とも、初期のままの体制を野放しにしていてはもはや立ち行かないと考えているわけだ。解決策の一つとして二人が考えているのは、「インターネットの中にもう一つ新しいインターネットを作る」というやり方である。

<数ある問題の中で、おそらく最も重要なのが気候変動>
・数ある問題の中で、おそらく最も重要なのが気候変動である。気候は私たちの存在の基盤を成すものだからだ。文明のすべてを動かすエネルギーの供給にも影響を与える。そして、さしあたって何が脅威なのかよくわからない、という点も厄介だ。近い将来、ある時点から地球のあらゆる地域の気候が一気に別のものに変わってしまうのか。あるいは、その急激な変化はすでに始まっているのか。それとも、そういう考え方そのものが間違っているのか。

・果たして人類は気候変動によって絶滅するのか。その問いに答えるのは極めて難しい。



『危機とサバイバル』
ジャック・アタリ    作品社   2014/1/31



<21世紀を襲う“危機”から“サバイバル”するために>
<人類史の教訓から学ぶ“危機脱出”の条件>
・生き延びるためには、不幸から逃れるための隙間を見つけ出そうと、誰もが必死にならなければならない。

・人類史において、危機は、それがいかなる性質のものであるにせよ、多くの犠牲者とひと握りの勝者を残し、やがて終息してきた。
 しかしながら、歴史の教訓を学べば、危機をバネにして改革を促し、危機から脱出し、危機の前よりも頑強になることも可能だ。
 人類史の教訓から学んだ「危機から脱出する」ための条件を、簡潔に記してみたい。

1、「危機」という事態をつらぬく論理とその流れ、つまり歴史の論理をつかむこと。

2、さまざまな分野に蓄積された新たな知識を、大胆に利用すること。

3、まずは「隗よりはじめよ」。つまり、自己のみを信じること。そして、何より自信を持つこと。

4、自分の運命を、自らがコントロールすること。

5、自らに適した最善で大胆なサバイバル戦略をとること。

<サバイバル戦略に必要な<7つの原則>>
・第1原則<自己の尊重>
 自らが、自らの人生の主人公たれ、そして、生きる欲望を持ち、自己を尊重せよ。まず、生き残ることを考える前に、生きる欲望を持つことである。

・第2原則<緊張感>
20年先のビジョンを描き、常に限りある時間に対して<緊張感>を持て。

・第3原則<共感力>
味方を最大化させる「合理的利他主義」を持つために、<共感力>を養え。

・第4原則<レジリエンス(対抗力・抵抗力)>
 柔軟性に適応した者だけが、常に歴史を生き残る。<レジリエンス>を持て。

・第5原則<独創性>
“弱点”と“欠乏”こそが、自らの“力”となる。危機をチャンスに変えるための<独創性>を持て。

・第6原則<ユビキタス>
あらゆる状況に適応できる<ユビキタス(「いつでも、どこでも、だれでも」に適応できること。>な能力を持て。

・第7原則<革命的な思考力>
 危機的状況に対応できない自分自身に叛旗を翻す<革命的な思考力>を持て。

・「あなたが世界の変革を願うのなら、まずあなた自身が変わりなさい」。

<日本は、“21世紀の危機”をサバイバルできるか?>
・では、どのような危機が襲っているのか?膨張しつづける国家債務、止まらない人口減少と高齢化、社会やアイデンティティの崩壊、東アジア地域との不調和などが挙げられるだろう。

<膨張しつづける国家債務>
・まず、国家債務が危機的な状態にあることは明白である。人口が減少している日本では、将来の世代の債務負担はどんどん重くなっていく。しかし、日本がこの重大性を直視しているとは言えない。日本の公的債務は制御不能となっている。

・アメリカは目がくらむほどの債務を抱えているが、無限にドルという通貨を発行してきた。金融危機が叫ばれたヨーロッパは、それでも債務は国内総生産の8割程度と比較的少なく、人口の減少は日本ほど壊滅的ではない。日本の債務は1000兆円を超え、国内総生産の2倍まで膨れ上がったが、これまでは低金利で国内市場から資金調達ができていた。
 だが、日本も、この状態を長期間つづけられるわけではない。というのは、日本は国内のすべての貯蓄を国債の購入に回さなければならなくなるので、産業への投資できる資金が減っていくからである。

<止まらない人口減少と高齢化>
・私は、日本の国政選挙で、人口政策が重要な争点にはなってこなかったことに驚きを感じざるをえない。出生率が下がりつづけると、人口が減少し、高齢化が進み、経済成長を資金面で支える手段がなくなる。国民が高齢化する状況において、現在の年金制度を維持しようとすれば、国力は落ちるだろう。日本は、このまま合計特殊出生率が1.3人で推移すると、今から90年後には、人口は6000万人強にまで減少する。

・人口減少と高齢化に対する対策の選択肢は、以下の5つである。

•出生率を上げる政策を実施し、子どもの数を増やす。フランスでは成功した。

•少ない人口で安定させ、高齢化を食い止める。

•移民を受け入れる。移民は、アメリカでもフランスでも発展の原動力である。

•女性の労働人口を増やす。ドイツではこの方法を選択しようとしている。

•労働力としてロボットを活用する。これは韓国の戦略だ。
 このうち(3)の移民の受け入れは、人工問題だけではなく、国家の活力を左右する重要な政治的選択である。国家には、新しいモノ、考え、概念、発想が必要であり、それらをもたらすのは外国人なのだ。外国人を受け入れれば、未来のアイデアやこれまでにない発想が得られる。優秀なサッカー選手の争奪戦が起きているように、世界では優秀な外国人の争奪戦が繰り広げられている。アメリカの雑誌『フォーチュン』の調査によると、企業格付け上位500社のうち約半数は外国人が創設した会社であるという。21世紀においては、活力のある優秀な外国人を惹きつけるための受け入れ環境を整えた国家がサバイバルに成功する。

<社会やアイデンティティの解体>
・だが、こうした日本モデルは、貯蓄率の減少と社会的格差の拡大によって解体に向かっている。今日の日本には、将来に備える余裕などなくなってしまったのである。ビジネスパーソンは出世をあきらめ、野心を失った。彼らは、いつ自分がリストラされるのかと戦々恐々としている。また、日本の若者たちのなかには、19世紀的な過酷な労働条件によって使いつぶされたり、また労働市場からはじき出された者が少なからずいる。非正規雇用者が多数出現し、職業訓練を受けることもできないままニートと化す若者が急増しているのだ。こうした労働環境は、かつて世界最高水準だった日本の労働力の質的低下を招くだろう。

・はたして藤原氏が主張するように、日本は危機に打ち勝つために伝統的な倫理である「滅私奉公」に回帰すべきなのだろうか。私はそう思わない。

<東アジア地域との不調和>
・日本は、近隣アジア諸国との緊張関係において、相変わらず有効な解決策を見出していない。かつて私は「2025年、日本の経済力は、世界第5位ですらないかもしれない」「アジア最大の勢力となるのは韓国であろう」と述べた。韓国は今、生活水準や技術進歩において日本と肩を並べている。情報工学や都市工学の分野では、日本を上回っているかもしれない。さらに、韓国は中国と緊密な関係を築き、中国市場へのアクセスを確保している。

<日本/日本人がサバイバルするために>
・日本が目指すべき方向に舵を切るには、時には現在と正反対のことを行なう勇気を持たなければならない。
 もちろん、日本人が危機から脱出するのは、伝統的な文化資産を大いに活用しなければならない。ただし、例えば男女の不平等な職業分担、他国と協調できないナショナリズムなど、未来に有効ではない伝統的な観念に立ち戻るのは大きな誤りだろう。

・また、日本人は、個人レベルでは他者に対する<共感力>は極めて高いが、なぜか国家レベルになると、他国の視点に立って相手を理解し、そして他国と同盟を結ぶための<共感力>が不足するようだ。これは、現在の日本と隣国の緊張した外交関係にも如実に現われている。日本が危機から脱出するには、アジア地域において隣国とパートナー関係を樹立する必要があるだろう。
 そして最後に、私が最も強調したいのは<革命的な思考力>である。だが、この力を発揮するには、今日の日本には「怒る力」「憤慨する能力」が不足している。

<日本化、マドフ化、ソマリア化>
・この3つの減少は、世界の未来の姿を象徴しているかもしれない。今のところ、どれもがローカルな現象だが、将来的には地球全体の現象になるかもしれない。
 日本はかつて、バブル経済に踊り、そしてバブルは崩壊したが、銀行は貸付けの焦げ付きを隠蔽し、さらにそこには反社会的犯罪集団(暴力団)が巣食った。いまだにその痕跡から脱しきれていない。銀行は、門戸を大きく開いて無利子で貸している。国家債務は、世界最大規模に膨れあがっている。そのため、この国のテクノロジーの水準は世界最高であるにもかかわらず、経済成長率は伸び悩み展望が開けない。失業率は4〜5%台と先進国のなかでは低率にとどまっているが、これは高齢化の急激な進行によるものにすぎない。現在、新たな経済政策的チャレンジによって、やや風向きが変わりつつあるが、新たな危機も孕んでいると言えよう。

・失業率が労働力人口の7〜10%弱に達しているアメリカは、日本とまったく同じように銀行システムの荒廃によって危機にみまわれたものの、「日本のようになることだけは避けたい」という観念に取り憑かれ、「企業の延命と株式市場の維持のためには何でもする」という対処をしてきた。

<今後10年に予測される危機>
<想定されうる経済危機>
<企業の自己資本不足>
・西洋諸国の経済では、企業の自己資金が、銀行と同様に不足している。企業の多くは、債務過剰に陥っているのが実情である。

<“中国バブル”の崩壊>
・現在の危機のさなかにおいても、非常に力強い経済成長を保ってきたが、中国経済も中国人民銀行による莫大な信用供与によって崩壊する恐れがある。これは中国の資産(土地と株)の暴落を引き起こす。
 中国の生産キャパシティが過剰であることに市場が気づいたとき、この「バブル」は崩壊する。

・これによって、中国の株式市場がいずれ暴落し、中国の経済成長は減速して年率7%すら大きく下回る可能性がある。社会的・政治的なリスクが増大する。そうなれば、世界の金融市場も崩壊し、企業に対する貸し渋りはさらに悪化し、世界経済は再び低迷することになる。

<保護主義への誘惑>
・不況による国際貿易の低迷により、各国は自国の雇用を守ろうとする。また、納税者からの支援を受けた企業や銀行は、自国領土内で資材の調達や人材の雇用を行なうように指導されるであろう。
 近年の事例からも、こうした傾向はうかがえる。

<ハイパー・インフレ>
・主要国・地域の中央銀行によって創りだされた5兆ドルもの流動性、公的債務残高の増加、1次産品価格の上昇は、いずれ、デフレ下にインフレを呼び起こすだろう。
 すると、世界規模でワイマール共和国時代(第1次大戦後のドイツをさす)のようなハイパー・インフレに襲われることになる。このインフレは、すでに株価の上昇という形で現われている。さらに、インフレは、不動産・1次産品・金融派生商品などにも波及する。農産物や工業製品の価格にもインフレが波及すると、公的債務や民間の借金は目減りするが、それ以上に、貧しい人々や最底辺層の資産価値は大幅に減ってしまう。

<ドル崩壊>
・アメリカは自国の借金をまかないつづけるために、国債利回りの上昇を甘受しなければならない。しかし、これは自国の債務コストの上昇を招くことになり、借金はさらに増え、ドルの信頼は失われる。すなわち、これも世界経済・国家・企業・個人に惨憺たる影響を及ぼすことになる。
 この問題に対する解決策は、経済的理由というよりも政治的理由から、次の金融危機の際に、突然現われるだろう。ただし、その条件は、ユーロが強化される、または中国の元が兌換性を持つことだ。

<FRBの破綻>
・最後に掲げるべき経済的リスクは、可能性は最も低いが、最もシステマティックなリスクである。それはアメリカの連邦準備制度が破綻するというリスクである。

・もしそうなれば、われわれは今まで経験したことのない未知の領域に踏み込むことになる。

<2023年の世界は?>
・フランスでは、誰もが未来について不安になっている。今より悪くしかならないと確信している。この悲観主義は、リーダーたちの虚しさによってさらに拍車がかかる。リーダーたちには、21世紀の歴史に何の計画もない。フランスが世界に占める位置の見通しすらない。歴史を作ろうと欲しなければ、歴史においていかなる役割も果たすことはできないのだ。未来について語らないのは、未来においてすべてを失うのを与儀なくされるということだ。

<深刻なエネルギー危機――ピーク・オイルとシェール革命>
・近い将来、原油の生産量は「ピーク・オイル」によって、まずは一時的に、次に決定的に不足することが予想されている。一方、シェール革命に希望が託されている。現在、この両者は同時進行しているが、それぞれの進行具合によっては深刻な経済危機を引き起こす恐れがある。
 ピーク・オイルとは、二つの壁にぶつかることである。まず第一の壁は、「技術上のピーク・オイル」である。これは、油田探査に対する投資を減少することによって、原油の生産量が一時的に需要を下回る時期のことを言う。そして第二の壁は、「絶対的ピーク・オイル」である。これは、原油埋蔵量の半分が消費されると、原油が自噴しなくなるため産出量が減少するとともに採掘コストが大きく上昇してしまうことを言う。

・絶対的ピーク・オイルが訪れる日を予想することは、かなり難しい。国際エネルギー機関(IEA)によると、2030年以前であるという。

・ピーク・オイルの到来がいつであろうと、またその定義が何であろうと、原油の生産量は年率4%下落するであろう。したがって、一人当たりの化石エネルギーの使用量を今後20年で4分の1に減らす必要がある。そこで、自動車や飛行機など、現在のところ代替するエネルギーが見つからない部門だけで石油を利用するために、経済活動と各人の生活様式を大胆に見直す必要がある。

・原油生産者や石油会社は、原油価格を吊り上げるためにピーク・オイルの到来が間近であると信じ込ませることで儲けられるので、ピーク・オイルが訪れる日の予測については、現在のところ不確かな面がある。しかし、本当にピーク・オイルが間近に迫ったとの認識が広がれば、原油相場価格は1バレル当たり100ドルを軽く突破し、地球規模の新たな景気後退を引き起こす恐れがある。

・しかし一方で、現在、ピーク・オイルと同時並行で進んでいるシェール革命に、熱い期待が寄せられている。しかしシェールガス・オイルの採掘は、著しい環境破壊を引き起こす恐れも指摘されている。また、シェールガス・オイルが原油の不足をどのくらい補填できるかは未知数である。浮かれ気分だけでなく、注意深く見守る必要があるだろう。また、自然エネルギーの技術開発・普及も21世紀のエネルギー革命の重要な要素である。

<アジアの未来は?>
・経済的には、アジアは、ヨーロッパのような共通市場を創出するにはほど遠い。地政学的に見ても、アジア諸国はバラバラであり、軍事紛争の危険すらある。アジアは世界経済の成長の原動力だが、各国が政治的・経済的に合意できる条件を整えられないかぎり、次の段階に進むことはできないのである。

・一方、ソ連の解体によって“敵”を失ったアメリカの軍産複合体は、新たな敵を必要としている。想定される敵は中国である。アメリカが中国を敵としてみなすには、日本を守るという口実が必要であり、そのためには日本が中国と敵対しつづけなければならない。これがアメリカの基本的な戦略であり、今後も、中国とアジア諸国を対立させるための口実作りや紛争が増えていくだろう。

・中国は広大な国土と莫大な人口を抱え、成長への潜在力を持った国だ。そして他国と同様に民主主義へと向かっている。現在の体制は、共産党による独裁という名のエリート支配の一形態だが、今後、民主主義の台頭に直面しながらこの体制を維持しつづけるのは、きわめて困難がともなうだろう。中国のように広大で不平等な国に民主主義が台頭すれば、社会的な混乱を招く可能性が高い。しかし中国が安定し統一された状態であることは、世界にとって望ましい。



『21世紀の歴史』   未来の人類から見た世界
ジャック・アタリ    作品社     2008/8/30



<三つの波が21世紀を決定する>
<2050年の世界は、一体どうなっているのであろうか>
・現状はいたってシンプルである。つまり、市場の力が世界を覆っている。マネーの威力が強まったことは、個人主義が勝利した究極の証であり、これは近代史における激変の核心部分でもある。すなわち、さらなる金銭欲の台頭、金銭の否定、金銭の支配が、歴史を揺り動かしてきたのである。行き着く先は、国家も含め、障害となるすべてのものに対して、マネーで決着をつけることになる。これはアメリカとて例外ではない。世界の唯一の法と化した市場は、本書で筆者が命名するところの<超帝国>を形成する。この捉えがたい地球規模の超帝国とは商業的富の創造主であり、新たな狂気を生み出し、極度の富と貧困の元凶となる。

<こうして、人類は自らの被造物であることをやめ、滅び去る>
・人類がこうした狂気にとらわれ、悲観的な未来にひるみ、暴力によってグロ−バル化を押しとどめようとするならば、人類は頻繁に勃発する退行的な残虐行為や破滅的な戦いに陥ってしまうであろう。この場合、今日では考えられない武器を使用し、国家、宗教団体、テロ組織、<海賊>が対立しあうことになる。本書において筆者は、こうした戦闘状態を<超紛争>と呼ぶ。これも人類を滅亡へと導くであろう。

・最後に、グローバル化を拒否するのではなく、規制できるのであれば、また、市場を葬り去るのではなく、市場の活動範囲を限定できるのであれば、そして、民主主義が具体性を持ちつつ地球規模に広がるのであれば、さらに、一国による世界の支配に終止符が打たれるのであれば、自由・責任・尊厳・超越・他者への尊敬などに関して新たな境地が開かれるであろう。本書では、こうした境地を<超民主主義>と呼ぶ。

・今後50年先の未来は予測できる。まず、アメリカ帝国による世界支配は、これまでの人類の歴史からみてもわかるように一時的なものにすぎず、2035年よりも前に終焉するであろう。次に超帝国、超紛争、超民主主義といった三つの未来が次々と押し寄せてくる。最初の二つの波は壊滅的被害をもたらす。そして、最後の波については、読者の皆さんは不可能なものであると思われるかもしれない。

・筆者は、この三つの未来が混ざり合って押し寄せてくることを確信している。その証左に、現在においてもすでに、これらが絡み合った状況が散見できる。筆者は2060年ころに超民主主義が勝利すると信じている。この超民主主義こそが、人類が組織する最高の形式であり、21世紀の歴史の原動力となる最後の表現である。つまり、それは<自由>である。

<未来の歴史を記述することは、可能か>
・現在、未来について語られている物語の大多数は、すでに進行中の現象を演繹的に導き出したものにすぎない。

<2035年―<市場民主主義>のグローバル化とアメリカ帝国の没落>
・まず、全ては人口の大変動から始まる。2050年、大災害が起こらない限り世界の人口は現在より30億人増加して95億人になるであろう。もっとも豊かな先進国では、平均寿命は100歳近くに達する一方、出生率は人口の現状維持率を下回ることになる。

・いかなる時代であろうとも、人類は他のすべての価値観を差しおいて、個人の自由に最大限の価値を見出してきた。

・2035年ごろ、すなわち、長期にわたる戦いが終結に向かい生態系に甚大な危機がもたらされる時期に、依然として支配力をもつアメリカ帝国は、市場のグローバル化によって打ち負かされる。

・世界におけるアメリカの勢力は巨大であり続けるであろうが、アメリカに代わる帝国、または支配的な国家が登場することはない。そこで、世界は一時的に<多極化>し、10カ所近く存在する地域の勢力によって機能していくことになる。

<人類壊滅の危機―国家の弱体化と、<超帝国>の誕生>
・また、国家は企業や都市を前にして消え去ることになる。そこで<超ノマド>が土地もない、「中心都市」も存在しない、開かれた帝国を管理していく。本書ではこの帝国を<超帝国>と呼ぶ。超帝国では各人は自分自身に誠実であることはなく、企業の国籍も跡形もなくなる。また貧乏人たちは、貧乏人同士の市場を作る。

・アメリカ帝国の滅亡、気候変動にともなう被害の深刻化、また人々の領土をめぐる紛争の勃発、数多くの戦争が起こる以前に、こうした事態は当然ながら悲惨な衝撃的事件なくしては進行しない。

・さらに、超帝国の出現により、個人間の競争が始まる。石油、水資源、領土保全、領土分割、信仰の強制、宗教戦争、西側諸国の破壊、西側諸国の価値観の持続などをめぐって、人々は争うことになる。軍事独裁者は、軍隊と警察の権力を両用して権力を掌握するであろう。本書では、こうした紛争のなかでも、もっとも殺戮の激しい紛争を<超紛争>と呼ぶ。超紛争とは、前述したすべての紛争の終結を意味し、おそらく人類を壊滅させることになる。

<2060年―<超民主主義>の登場>
・2060年頃、いや、もっと早い時期に、少なくとも大量の爆弾が炸裂して人類が消滅する以前に、人類は、アメリカ帝国にも、超帝国にも、超紛争にも我慢ならなくなるであろう。そこで、新たな勢力となる愛他主義者、ユニバーサリズムの信者が世界的な力をもち始めるであろう。

・これらの制度・機構は、無償のサービス、社会的責任、知る権利を推進し、全人類の創造性を結集させ、これを凌駕する<世界的インテリジェンス>を生み出すであろう。いわゆる、利潤追求することなしにサービスを生み出す<調和を重視した新たな経済>が市場と競合する形で発展していく。これは数世紀前の封建制度の時代に、市場に終止符が打たれたように実現していく。

<市場と民主主義はいずれ過去のコンセプトとなるであろう>
<なぜ本書を執筆したのか?>
・しかしながら本書の目的は、もっとも高い可能性をもって未来の歴史を予測することにあり、筆者の願望を記述するといったことではない。むしろ筆者の思いとしては、我々の未来が本書のようになってほしくない、そして現在芽生え始めているすばらしい展開を支援したいというものである。

・これまでにも筆者は、次に列挙するものを、世間で一般的に語られる以前から予測してきた。

1、 太平洋に向かう世界の地政学的変化。
2、 資本主義における金融の不安定
3、 気候変動
4、 金融バブルの発生
5、 共産主義の脆弱性
6、 テロの脅威
7、 ノマドの出現
8、 携帯電話
9、 パソコン、インターネットといった現代のノマドが使用するオブジェの普及<ノマド・オブジェ>。
10、 無償とオーダーメイド・サービスの出現、特に音楽をはじめとした芸術の大きな役割、世界における多様性。

・本書は、筆者が長年の研究と思索、現実の経済・政治との実際的な関わりのなかからたどりついた結論である。

<21世紀を読み解くためのキーワード集 <保険会社>>
・アタリが重視する未来の産業は、娯楽産業とならんで保険業である。国家が衰退すると、個人は生活のリスクを保険会社にカバーしてもらうようになる。保険会社は被保険者に対して個人データから割り出した差別的保険料を適用し、徹底したリスク管理から巨額の収益をあげる。こうした息苦しい社会において娯楽産業は、人々に一抹のやすらぎを販売する。

・アタリの理念は、フランスを超過利得者の存在する社会から知識経済へ移行させることである。

・博学卓識のアタリは、毎日2時間半の睡眠で、好物のチョコレートを大量に食べながら、政治活動、ブログの更新、執筆活動、本書のキーワードの一つである「超民主主義」の実戦を含め、様々な活動に従事している。



『私は宇宙人と出会った』
 秋山眞人  ごま書房  1997年4月30日



<宇宙人の未来予測(世界編)>
(中国)  
・中国はこれからの地球の変化の大きなポイントになっていく。とくに内乱が起こる可能性が強く、それが引き金となって第3次世界大戦へと進むかもしれない。香港の返還によって思想的・経済的な大きな遅れがあり、アメリカとの対立構図が更に強くなる。これは東洋文明対西洋文明の対立といってもいい。
また、2015年から2030年の間に4つの国に分割される可能性もある。



『こうして世界は終わる』
すべてわかっているのに止められないこれだけの理由
ナオミ・オレスケス  エリック・M・コンウェイ
ダイヤモンド社   2015/6/25



<文明崩壊をシュミュレーションする>
・設定は西洋文明(1540〜2093)の終焉から300年後。ここに示されているジレンマは、「知の申し子」である私たちが、気候の変化に関する信頼性の高い情報を持ち、いずれ危機的状況が訪れることを知りながら、なぜ適切に対処できなかったのかということだ。
 語り手である歴史家は、西洋文明は第二の暗黒時代に突入していて、そこに渦巻いていた“自由主義”という強迫観念に根ざした否定と自己欺瞞のために、大国が悲劇を前にして何もできなくなっていたと結論を下している。

・ではここからは、第二次中華人民共和国に住む未来の歴史研究家が、大崩壊・集団移動の時代(2073〜2093)を導くことになった「暗雲期」と呼ばれる時代(1988〜2093)の出来事について語る。

<北極で氷がなくなるのは「時間の問題」>
・夏に北極の氷がなくなるのは時間の問題であり、それは深刻な事態だと、科学者は理解していた。しかし実業界、経済界では、それがさらなる石油やガス開発のチャンスと見なされた。

<気温上昇4℃で、熱波と干ばつが状態になる>
・2001年、気候変動に関する政府間パネルは「大気中の二酸化炭素濃度は2050年に倍になる」と予測した。
 実際は2042年に、そのレベルに達してしまった。科学者は気温が2℃から3℃上昇するマイルドな温暖化を予想していたが、実際には3.9℃上昇した。
 もともと予測自体は単に議論のための数字で、物理学的な意味は特になかった。しかし二酸化炭素濃度が倍になったのは、非常に重要だった。
 それに対応して気温上昇が4℃に達したとき、急激な変化が起こり始めたのだ。2040年には、熱波と干ばつは、ごくふつうのことになっていた。

・しかし海面の上昇は、この時点では地球全体で9センチから15センチにとどまり、海岸地域の人口はほとんど変わらなかった。

<「虫の大発生」で病気が爆発的に広がる>
・そして2041年の北半球の夏、かつてないほど熱波が襲い、世界中の作物が枯れ果てた。
 人々はパニックに陥り、大都市ではほぼ例外なく食料をめぐる暴動が起きた。栄養不良、水不足による大規模移民、そして虫の大量発生が重なって、チフス、コレラ、デング熱、黄熱病、さらにそれまで見られなかったウィルスやレトロウィルス性因子による病気が広く流行した。
 また虫の大発生によって、カナダ、インドネシア、ブラジルで大規模な森林破壊が引き起こされた。

<エネルギー・インフラはすぐには変えられない>
・また世界のエネルギー・インフラを変更するには10年から50年かかるが、そこまではとても待てない、ましてや大気中の二酸化炭素が減る
のに必要な100年も待つのは無理だという声があがった。

<永久凍土が解け、シロクマが絶滅する>
・はたしてこれが急激な温度上昇によるものか、すでにぎりぎりの状態だったのかはわからないが、温室効果が世界的な臨界点に達した。2060年には、夏季の北極で氷が見られなくなっていた。

<海面上昇で、地球の「大崩壊」が起こる>
・その後の20年間(2073年から2093年)で、氷床の90パーセントがばらばらになって融解し、地球のほとんどの地域で海面が約5メートルも上昇した。
 そのころ以前から南極氷床より不安定と考えられていたグリーンランド氷床が、同じように解体し始めた。夏季の融解がグリーンランド氷床の中心部まで達し、東側が西側から分離した。その後に大規模な分裂が起こり、平均海面がさらに2メートル上昇した。

<「人口大移動」から全生物の7割が死ぬ>
・海面が8メートル上昇すると、世界の人口の10パーセントが住む場所を移動せざるを得なくなると予想されていた。しかしそれは過小評価だった。実際に移動したのは20パーセント近くにのぼった。
「集団移動」の時代と呼ばれているこの時期については不完全な記録しかないが、世界中で15億人が移動したと考えられている。
 海面上昇による直接的な影響による移動もあれば、気候変動の他の影響によるものもあった。

・このときの集団移動は、第二の黒死病流行の一因となった。新しい系統のペスト菌がヨーロッパで発生し、アジアと北米に広がったのだ。中世にペストが流行したとき、ヨーロッパには人口の半分を失った地域もあった。この第二の流行においても同じくらいの被害があった。病気は人間以外の生物にも広がった。
 20世紀には地上の生物種の目録をつくっていなかったので、正確な統計は不足しているが、全生物種の60から70パーセントが絶滅したという予測も、非現実的とは言えないだろう。

<なぜ中国は切り抜けられたのか?>
<「中央集権国家」が生き残った皮肉>
・「大崩壊」の破壊的な影響が現れ始めたころ、民主主義国家(議会制も共和制も)は、次々と起こる危機への対処を渋っていたが、やがて対処が不可能となった。食料不足、病気の流行、海面上昇といった現象が起こっても、これらの国家には市民を隔離したり移動させたりするインフラも、組織的な力もなかった。
 しかし中国ではやや事情が違った。他のポスト共産主義国家と同じく、中国も自由主義への道のりを歩んでいたが、強力な中央集権政府は残っていた。
 海面が上昇して海岸地域が危険にさらされたとき、中国はいち早く内陸に都市や村をつくり、2億5000万人を安全な高地へと移動させた。

・生き残った人々の多くにとって――これはこの話の最後の皮肉といえるが――中国が気候変動による災害を切り抜けたことは、中央集権政府の必要性の証明となった。そのことが第二次中華人民共和国(「新共産主義中国」と呼ばれることもある)の誕生につながった。
 立て直しを図った他の国々も、同じようなモデルを採用した。

<フィクションとして書く利点はたくさんある。>
・本書の語り手を第二次中華人民共和国の住人にしたのは、中国では一定期間、自由化と民主化に向かったあと、気候変動による危機に対処しなくてはならないという理由で、専制的な権力者が再び現れるという想像からです。

・中国文明は西洋文明よりはるかに歴史が長く、数多くの困難を乗り越えてきた。今の中国政府が持ちこたえるかどうかはわからないが、――国内情勢はかなり緊張している――中国と呼ばれる場所がなくなっている未来は想像できない。

・フィクションとして書く利点はたくさんある。一つには、ふつうの歴史研究家にはできないやり方でテーマをみせられること。フィクションはそれほど出展に縛られない。

・――本書の最大の皮肉の一つは、最終的に新自由主義体制では気候変動による災害を防ぐための行動を適切なタイミングでとれなかったこと、そして指揮統制という政治文化を持つ中国が、組織的に大規模な措置を行うことが可能で、国民を救えたということでしょう。このシナリオはかなり大胆な推測ですね。

・本書『こうして、世界は終わる』はどんなジャンルの本なのか、ひとことで説明するのは難しい、時代設定は西暦2393年。温暖化による海面上昇で西洋文明が崩壊してから、300年の時間がたっている。第二次中華人民共和国の歴史研究者が20世紀から21世紀(つまり私たちが生きている今現在)を振り返って近未来SF小説のように聞こえるが、災害のドラマチックな描写も、SFにはつきものの新しいテクノロジーもない(一つだけ、大気中の二酸化炭素量を減らすあるものを、日本人の女性科学者が開発したということになっているが)。



『いま、眼の前で起きていることの意味について』
―行動する33の知性
ジャック・アタリ   早川書房   2010/12/17



<現実に意味を与える>
・事件であれ自然現象であれ死であれ、あらゆることを説明のつかないままにしておけないのが人間の本質である。人間はみずからの歴史に理解できない要素があると、それがどんなに些細なつまらないものであっても、容認できたためしがない。理解しないとは予測できないことと同義であり、さらに言えば脅威を予測できないことを意味する。これではあまりにも心もとない。

・目の前の現実にどのような意味を与えるか、それを決めるのは、この世界の最終的な当事者である人間にほかならない。

<気候をめぐる諸問題>
<気候変動について分かっていることは何か>
・いまわかっているところでは、今世紀末までに地球の気温はおよそ2℃から6℃上昇する見込みです。2℃なら対処可能ですが、6℃となると影響は甚大です。
 気温が6℃高い地球がどのようなものか、我々にはまったくわかりません。さらに、これはあくまでも平均気温であって、地域によってはより深刻な危険にさらされるおそれがあります。簡単に言えば、北極または南極に近づけば近づくほど、温暖化が顕著になるのです。

・温暖化の概念が、現在問題となっている気候変動をやや単純に要約したものであることも忘れてはなりません。現実には暴風雨や熱帯低気圧といった異常気象の増加、少なくともこうした現象の深刻化が数多く付随しています。熱帯低気圧は年々勢いを増してヨーロッパを襲っているし、海面は予想を超える速さで上昇しています。加えて我々は、たとえば、“奇襲型気候”に備えておかなければなりません。暖流のメキシコ湾流の流れに変化が生じれば、フランスは温暖化ならぬ寒冷化に向かうおそれがあります・・・。

<気候の将来>
・今日では、化石燃料の燃焼によるCO2の排出と気候の変化とが関連していると考えられる。原因が何であれ、結果については一般に知られているとおりである。
 気候変動によって北極の流氷が消え、北極圏が深刻な変質を被るおそれがある。やがては移住を強いられる住民も出てこよう。他方、淡水の水源が発見されるとともに、石炭の鉱脈や油田が利用可能になるだろう。

・そして、地球の北と西を結ぶ交通が開け、中国・ヨーロッパ間、ヨーロッパ・カリフォルニア間の航路が大幅に短縮される。カナダ、ノルウェー、アメリカ、ロシアを含む沿岸8カ国は激しい競争を繰り広げるだろう。ナタリー・コシュスコ=モリゼが言うように、気候変動はまた北半球の海の寒冷化を引き起こし、その影響でメキシコ湾流が、そしてヨーロッパが寒冷化へと向かうかもしれない。

・標高の低い国々は洪水に見舞われるおそれがある。まずモルジブ共和国が犠牲になる。次いで、ヒマラヤ山脈とガンジス、プラーマプトラ、メグナの三河川とベンガル湾に挟まれ、もっとも高い地点が海抜47メートルしかない。約3億人の人口を抱えるバングラデシュの大部分が地図から消える。さらに、とりわけサハラ以南のアフリカの国々が水没すると考えられる。これによって2億人から20億人の“環境難民”が生じるという予測もある。

・気候が様変わりして温度が上がれば、水の(農業、人間、動物、自然、産業のための)需要は増える。だが水の一人あたりの可能供給は減っている。人口が増大し、農業に大量の水を使い(現在使用される水の70%以上)、水資源は増えず、人間は豊作物を直接口にするよりもそれを飼料として肉に変える事がほとんどだからだ。水の必要量は消費するカロリーに比例する。産業の場合も同じである。

・したがって、イスラエルをはじめとする国がすでに着手しているような農業用水の管理を採用し、海水を淡水化する技術を活用しなくてはならない。これからの問題は水が手に入るかどうかではなく、水に不自由する人々に水を買う経済的余裕があるかどうかになる。

・50年から100年先には、温暖化によってロシアと中国とのあいだに軍事衝突が起こる可能性がある。イスラム教を信仰する中央アジアの民族はすでにある程度、中ロ間の火種になっている。
 気候に及ぼす二酸化炭素の影響を減らすために、国あるいは国際機関によって炭素税が課され、その税収で世界のインフラを整備するしくみが実現するかもしれない。

・この先何が起ころうと我々が必要とするエネルギーの20から30パーセントは、30年後には代替エネルギーになるだろう。だが問題もある。提言に従って洋上に風車を建設していくと、フランスの海の景観は惨憺たるものになる。
 いま我々が持ち合わせている選択肢は、二酸化炭素で大気を汚すか、原子力発電によって生じる放射性廃棄物で地下を汚すか、の二つしかない。

・いまから50年もすれば、太陽光発電の技術は他のさまざまなエネルギーに完全に取って代わるだろう。現在の技術水準でも、サハラ砂漠の一部を太陽光パネルで覆えば、アフリカ全土にエネルギーを供給できる。



『未来を透視する』
ジョー・マクモニーグル ソフトバンククリエイティブ 2006/12/26



<自然災害>
<2014年〜2023年、ハワイ諸島で大きな火山活動が発生する>
・今後百年の間に以下に挙げる地域でほぼ間違いなく大きな地震が起こるだろう。いずれもリヒタースケールでいうと、少なくともマグニチュード8.5から8.8。まさに壊滅的な大地震だ。詳細は年表で示すが、年代は前後に5年位の誤差を見ておくのがいい。

2013コム(イラン)
2013〜2015ロサンゼルス
2018カタニア付近(伊シチリア)
2022シワス付近(トルコ)

2022〜2023サンフランシスコ
2026マハチカラ付近(ダゲスタン共和国)
2028ムルタン付近(パキスタン中央部)

2031メキシコシティ(メキシコ)
2033蘭州付近(中国)
2038グアテマラ・シティの東方280km
2039愛知県名古屋市と三重県松坂市の間

2041バルディビア(チリ南方)
2044トルヒーヨとチクラヨの間(ペルー)
2050ニューヨーク州の北部
2056ラパスから160km南方(ボリビア)

2056アムラバティ(インド中央部)
2056ミンダナオ島(フィリピン)
2061サンディエゴ(カリフォルニア)
2071ビスクラ付近(アルジェリア)
2077アンカレジとキーナイの間(米アラスカ)
2078衡陽(中国南部)

<2035年までに、米国では真水の確保が大きな問題となる>
・また、2030年までには、北米の低地、それも中西部の大河沿いの地域で、洪水がいまよりもはるかに頻繁に起きるようになる。

・気象変動と継続的な水位上昇の結果、2041年までに、世界中の大都市で一部区域が放棄されるか、居住・事業以外の目的に転換されるだろう。

・2050年の終わりまでに、世界中の沿岸部全域で平均水位の大幅な上昇が始まる。同時期に飲料水の確保も問題になるだろう。これに先立ち、2038年までに、平均海面の上昇が始まる。上昇の度合いはだいたい75センチから120センチメートルくらい。北極と南極の氷冠が急激に解け出すのが原因だ。融解現象はすでに始まっているが、2038年ごろにはさらに加速している。2080年までに、極地の氷冠はほとんど消え去るだろう。

・2055年までには、飲料水を運ぶ数多くのパイプラインが、南北のアメリカ大陸をまたがるようにして張り巡らされているだろう。

・気象変動のもう一つの影響として、ハリケーンの頻度と破壊力がぐっと高まることも挙げられる。米国では2025年までに、年間平均25から30回発生するようになり、少なくとも2回は壊滅的な被害をもたらすだろう。

<2041年、日本とハワイを結ぶ太平洋上に、新たに列島が隆起する>
・日本とハワイを結ぶ太平洋上の真ん中に、新たな列島が形成される。まず、海底火山の大規模な噴火活動が9年間続いた後、2041年に最初の島が海上にあらわれる。



『2050年の世界地図』  迫りくるニュー・ノースの時代
ローレンス・C・スミス   NHK出版  2012/3/23



<人類の未来にとって「北」の重要性が拡大することーを、まったく初めて見いだそうとしていた。>
・私の専門は気候変動の地球物理学的影響だった。現地で河川などの流量を計測し、氷河の先端を調べ、土壌サンプルを採取するなどした。 

・科学的研究から、北部地方(北半球北部)では気候変動が増大しはじめていることがわかったが、その結果、北部地方の住民と生態系はどうなるのだろうか。

・政治的および人口構造的な傾向、あるいは、海底の下に埋蔵されていると考えられている膨大な化石燃料については、どうだろう。世界各地で増大している、さらに大きな温暖化の圧力によって、地球の気候はどう変化しているのか。そして仮に、多くの気候モデルが示唆するように、地球が殺人的な熱波と、気まぐれな雨と、からからに乾いた農地の惑星になったら、現在は定住地として魅力に欠ける場所に新たな人間社会が出現する可能性があるだろうか。

・21世紀、アメリカ南西部とヨーロッパの地中海沿岸部が衰退し、逆にアメリカ北部、カナダ、北欧、ロシアが台頭するのだろうか。調べれば調べるほど、この北の地域はすべての人類に大いに関連がありそうだった。

・長年の研究の末、私は「北」−および人類の未来にとって「北」の重要性が拡大することーを、まったく初めて見いだそうとしていた。

<しのびよる異変>
・「予測は非常にむずかしい。未来についてはなおさらだ」

・身近な野生生物を見るのが好きな人は、ひょっとしたら気づいているかもしれない。世界各地で、動物や魚や昆虫が緯度や高度のより高い地域に移動している。

<思考実験>
・これは私達の未来についての本だ。気候変動はその一要素に過ぎない。人口、経済統合、国際法などの面で、ほかの大きな潮流も探る。地理と歴史も調査し、既存の状況が将来まで痕跡を残す様子を示す。最先端のコンピュータモデルに目を向けて、将来の国内総生産(GDP)、温室効果ガス、天然資源の供給を予測する。これらの潮流を総合的に探り、合致する部分や類似点を突き止めれば、このままの状況が続いたら、今後40年間でこの世界がどんなふうになるのか、それなりの科学的信憑性を持って想像できるようになる。これは2050年の世界に関する思考実験だ。

・2050年の世界はどうなっているだろうか。人口と勢力の分布は?自然界の状況は?優勢になる国、苦境に陥る国は?2050年、あなたはどこにいるのだろう?
 これらの問いに対する答えは、少なくとも本書では、中心となる議論から導き出されるー北半球北部が今世紀のあいだに大変な変化を経験して、現在よりも人間活動が増え、戦略的価値が上がり、経済的重要性が増す、という議論だ。

・この「ニュー・ノース(新たな北)」は、私の大まかな定義では、アメリカ合衆国、カナダ、アイスランド、グリーンランド、(デンマーク)、ノルウェー、スウェーデン。フィンランド、ロシアが現在領有する、北緯45度以北のすべての陸地と海だ。

・これら8カ国は、北は北極海まで広がる広大な領土と海を支配し、北極海をほぼ一周する新たな「環北極圏」を構成する。第2部と第3部では、こうした環北極圏の国々―本書では新たなNORC諸国またはNORCs(NorthernRim Countries)と呼ぶーにおける開発について探る。第1部では、人口、経済情勢、エネルギーと資源に対する需要、気候変動といった、世界の文明と生態系にとって極めて重要な要因における、世界規模の大きな流れを紹介する。第1部では、2050年にはほとんどの人類の生活がどうなっているかを想像するだけでなく、ニュー・ノースの誕生を促している重要な世界的圧力のいくつかを突き止める。

この2050年の世界をめぐる旅に出かける前に、いくつかルールを決めておこう。

<守るべきルール>
・しかし、どんな実験でも、結果を得るにはまず、前提と基本原則を決めなければならない。

1、「打ち出の小槌」はない。今後40年間の技術の進歩はゆるやかだと仮定する。

2、第三次世界大戦は起こらない。

3、隠れた魔物はいない。10年間に及ぶ世界的不況、死に至る病気のとどめようのない大流行、隕石の衝突など、可能性が低く、影響は大きいできごとは想定していない。

4、モデルが信用できる。本書の結論の一部は、気候や経済といった複雑な現象のコンピュータモデルを使った実験で得られたものだ。モデルはツールであって、神託ではない。欠点や限界はつきものだ。

<なぜ40年後の未来を予測しようとするのか>
<四つのグローバルな力>
・第一のグローバルな力は人口構造、いわば異なる人口グループの増減と動きのことだ。

・第二のグローバルな力―第一の力とは部分的にしか関連がないーは、人間の欲望が天然資源と生態系サービスと遺伝子プールに対する需要を増大させていることだ。

・第三のグローバルな力はグローバル化だ。多くのことに言及するわかりにくい言葉で、最も一般的にはますます国際化する貿易と資本の流れをさすが、政治的、文化的、理念的な面もある。実のところ、グローバル化にはそれを研究する専門家と同じくらい多くの定義がある。

・第四のグローバルな力は気候変動だ。ごく単純に、人間の産業活動が大気の化学組成を変化させているので、気温全体が平均すると必ず上昇することは事実として観測されている。

・以上の四つのグローバルな力(人口構成、資源の需要、グローバル化、気候変動)は私たちの未来を方向づけるだろう。本書でも繰り返し登場するテーマだ。

・四つの力のあいだを縫うように流れる第五の重要な力は、技術だ。とりわけ、第3章でくわしく取り上げるエネルギー関連の新技術が最も重要だ。バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、材料科学の進歩は、単なる資源ストックの需要に影響する。スマートグリッド、太陽電池パネル、地球工学は気候変動と闘うだろう。

<21世紀の大干ばつ?>
・「おそらく、現在、北アメリカ西部は21世紀の大干ばつを迎えている」

<自然災害リスク評価の崩壊>
・モンタナ州のグレイシャー国立公園では2030年には氷河がすっかり消えているだろう、と大方の氷河学者はみている。

・季節的な雪塊氷原は夏を越さないので、氷河のように年々水をため込んでいくことはできないが、やはり極めて重要な保管庫だ。

<湾岸都市の水没危機>
・モデルによって、2050年に海面はおよそ0.2メートルから0.4メートル、つまり、ふくらはぎくらいの高さまで上昇するわけだ。

・今世紀の終わりには、世界の海面は0.8メートルから2メートル上昇する可能性がある。大変な水かさだー平均的な成人の頭くらいの高さになる。マイアミの大半は高い堤防の陰になるか、住民がいなくなるだろう。メキシコ湾岸からマサチューセッツ州まで沿岸部の住民は内陸に引っ越すだろう。バングラデシュのおよそ4分の1に相当する面積が水没するだろう。海面が上昇すれば、沿岸部の集落はどこも深刻な状況に直面する。

・人口増加、経済成長、地下水の汲み上げ、気候変動がこのまま続けば、2070年には、リスクにさらされる人口は3倍以上増えて1億5千万人になる見込みだ。リスクにさらされる資産の総額は10倍以上増えて35兆ドル、世界のGDPの9パーセントに達する。危険度上位20位までの都市では、2070年には、リスクにさらされる人口が1.2倍から13倍になり、リスクにさらされる経済資産は4倍から65倍になる。これらの主要都市の4分の3−そのほとんどがアジアにあるーがデルタの上に位置している。きっと、これまでにないタイプの防衛支出が大いに注目を集めることになる。それは、沿岸防衛と呼ばれるものだ。

<2050年を想像する>
・ここで紹介するのは、ウォーターGAPによる2050年の予測のうち、典型的な「中庸」のシナリオだ。ウォーターGAPのモデルパラメーターをどういじろうと、全体像ははっきりしている。人間集団が最も深刻な水不足にさらされる地域は現在と同じだが、状況はさらに深刻化する。これらのモデルからわかるように、21世紀半ばには、地中海、北アメリカ南西部、アフリカ北部および中東、中央アジアとインド、中国北部、オーストラリア、チリ、ブラジル東部が、現在よりも過酷な水不足に直面することになりそうだ。



『未来を透視する』
(ジョー・マクモニーグル) FBI超能力捜査官
(ソフトバンク・クリエイティブ)2006/12/21



<気象変動>
・来るべき気象変動により、2008年からこの台風の発生回数は増えていくと私は、予想している。とくに2011年は過去に例を見ない台風ラッシュとなり、大規模な暴風雨が吹き荒れる深刻な年になるとの透視結果が出ている。この台風ラッシュは、2012年にずれこむかもしれないが、可能性は低い。嵐の増加を促す地球の温暖化は、現在も急速に進行中だからである。

・2010年から2014年にかけて、また、2026年から2035年にかけて、平均降雨量は年々560〜710ミリメートルずつ増加する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけては、380〜530ミリメートルずつ減少する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけて、平均降雪量は300〜550ミリメートルずつ増加する。



『未来を透視する』   ジョー・マクモニーグル
ソフトバンク・クリエイティブ    2006年12月26日



<日本の自然災害>
<2010年、長野で大きな地震が起きる>
・透視結果を見てもうろたえず、注意程度にとらえてほしい。ただし、最悪の事態に備えておいて、何も起こらないことを願おう。こと天災に関しては、透視は間違っているほうがありがたい。

<今後、日本で発生する大地震>
2007年  高槻市  震度6弱
2008年  伊勢崎市 震度6弱
2010年  長野市  震度7
2012年  伊丹市  震度6弱
2018年  東京都  震度6弱
2020年  市川市  震度6弱
2037年  鈴鹿市  震度7

・噴火や地震にともなって海底では地盤の隆起や沈降が起きる。そして、膨大な量の海水が突然動きだし、衝撃波となって陸地の海外線へと進行する。

・遠洋ではあまり目立つ動きではないが、浅瀬に入ると、衝撃波は巨大な津波となって陸地を襲い、都市部などを徹底的に破壊してしまう(波の高さはときには30メートル以上になることもある)。

・内陸へと押し寄せる力がピークに達すると、今度は海に戻り始め、残された街の残骸を一切合財引きずりこんでいく。警告もなしに、突然襲ってくれば被害はとりわけ甚大となる。

・幸い日本には、優良な早期警戒システムがあるのだが、海底地震が発生して警報が発令されてから、津波が押し寄せる時間は、残念ながらどんどん短くなっている。

<日本を襲う津波>

2008年夏   11メートル
2010年晩夏  13メートル
2018年秋   11メートル
2025年夏   17メートル
2038年初夏  15メートル
2067年夏   21メートル

・日本は津波による大きな被害を受けるだろう(なお、波の高さが10メートル以上に及ぶものだけに限定している)。北海道の北部沿岸の都市部は特に津波に弱い。徳島市、和歌山市、浜松市、鈴鹿市、新潟市、石巻市も同様である。このほかにも津波に無防備な小都市は数多くある。

<土地>
・気象変動とともに、日本の土地問題は悪化しはじめる。沿岸部での海面上昇と、暴風雨の際に発生する大波によって、低地の村落と小都市の生活が脅かされるようになる。堤防や防壁といった手段は効力を発揮しないため、2012年から2015年のあたりまでに多くの人が転居を余儀なくされるだろう。



『ドラッカーの遺言』
ピーター・F・ドラッカー 講談社 2006/1/20



・情報化が進展する新時代の世界経済のもとで、最も苦労する国は日本である―――。

<時代の変わり目に入る自覚を>
・重要なのは、「時代の変わり目」にいま自分がいるということを明確に認識できることです。

<日本の“いま”>
<20世紀の歴史を作った国>
・かつて私は、「隆盛を極めた日本の歴史こそが、20世紀の世界史そのものであり、現在の世界経済を生み出したのは日本である」と主張しました。どんな側面を採り出しても、いかなる観点から分析しても、日本が他の国に比べ、少なくとも同等か、それ以上の成功を収めてきたからです。

<通用しなくなった武器>
・しかし、先に詳しく紹介した「時代の変化」が、あなたたちの国を苦しめています。前世期には万能の武器とも思えるほど威力を発揮し、日本をかつてない大成功に導いた旧来の手法が適用しなくなり、あまつさえ足かせになってしまう状況が訪れたからです。

<「日本の危機」の嘘>
・「失われた10年」という言葉に代表されるように、この十数年間、「日本が危機的状況に瀕している」という言われ方が幾度となく繰り返されてきました。――明らかな間違いです。日本が直面しているのは危機ではなく、時代の変わり目=移行期だからです。

<時代は変わった>
<変化を拒絶してはならない>
・日本がいますぐ取り組まねばならない課題――それは、時代が変わったことを認め、その変化に対応していくための意識改革です。それでは、日本が直面している変化とは何でしょうか。

<保護主義死す>
・一つめの変化は、日本を成功に導いてきた原動力である「保護主義」が適用しなくなったことです。情報がグローバル化し、トランスナショナルな経済の勃興で一国内での金融政策が無力化したことはすでにお話ししましたが、まさしくこの二つによって保護主義は息の根を止められました。

<情報革命に勝てない>
・かつては自国の農業を守るため、そして現在の先進国では製造業を守るために、保護主義的な政策が採られることがままあります。しかし、グローバル化した情報=すなわち情報革命と、保護主義とは、互いに相容れないものであることを十分に認識しなくてはなりません。

<自身の歴史を知らない日本>
・保護主義とはすなわち「変化への拒絶」ですから、新しい時代への入り口で足かせとなるのは自明の理であると言えるでしょう。保護主義と同様に前近代的な旧来の因習を引きずり、日本の変革を阻害しているのが官僚システムです。

<ローテーション制度を導入せよ>
<強固な防護壁>
・保護主義に絡めて一言申し添えるならば、最も効果的に日本を外部から保護しているのは「言語」であるということです。難解で、他の言語とは大きく異なった特徴を持つ日本語を母語にしていることは、関税など、他のいかなる保護政策よりも効果的に日本を守ってくれています。

<大いなる遺産>
・日本で外国人が務めることができるのは、経営トップとしての役目だけでしょう。現場の実務を担当するには言葉の壁が高すぎ、結果的に仕事は日本人が行うことになる。日本語の壁は、外部に対するかくも強力な盾の役割を果たしているのです。

<「言葉の壁」が作る影>
・しかし、言葉の壁に守られていることは、あなたたちの強みであると同時に、弱みであります。ただ、一つグローバル化された存在である情報の多くは、世界の主要言語たる英語で流通されています。先に紹介したインドの例とは対照的に、日本人は情報へのアクセスに苦労する可能性があります。

<”仕事“に起こった変化>
<進行しつつある二つの変化>
・日本が直面しているもう一つの大きな変化、すなわち労働市場で進行しつつある変化についてお話ししましょう。
 労働市場の変化には二つの側面があり、「労働の質」と「労働を担う世代」の両面で進行しています。

<国際競争におけるただ一つの尺度>
・「質」の変化としては、ブルーカラーが担ってきた「労働集約」的な仕事が重みを失い、ホワイトカラーが中心を成す「頭脳集約」的な仕事、すなわち「知識労働」がますます重要性を増してきました。
 私はかねて、現代の国際競争において意味を持つのは唯一、「知識労働における生産性」のみであると指摘してきましたが、その傾向がますます強まっています。

<企業に起こった変化>
・労働の質を劇的に変えた原因は、企業に生じた大きな変化にあります。バブル期の日本企業に代表されるように、かつての国際企業はさまざまな国にできるだけ多くの資産を「保有」することを重視し、いかに資産――土地であれ、企業であれ――を増やすかに狂奔しました。
 しかし、21世紀の国際企業が最重視しているのは「戦略」です。いかに効率的に経営できるか戦略を練り、研究・開発をコントロールしていくかに知恵を絞る頭脳労働=知識労働が、その中心を成しているのです。
 実際アメリカでは、すでに単純労働的な仕事はなくなっており、製造業関連の労働者数は10パーセント強に過ぎません。他方、日本ではいまだに就業人口の20パーセントほどを占めています。

<飛行機の中で過ごす人生はムダ>
・新しい時代の製造業は労働集約型ではなく、頭脳集約型のものになるからです。アウトソーシングには不向きで、プロジェクトに従事する人間が顔と顔を突き合わせて、直接やりとりすることで進捗が見込めるタイプの仕事になります。

<いま求められている経営構造>
・議論をすべきは「雇用の輸出」に対する不安についてではありません。事業計画を立案し、設計やデザインを考え、マーケティングや研究開発に知恵を絞ること、そして自ら手がける必要のないものを選別して
アウトソーシングすること――すなわち、「戦略」を管理する経営構造の確立こそ、知識労働時代の最も重要な課題であるべきなのです。

<20年後の日本に期待する>
・この課題を乗り越え、知識労働の生産性向上に努めてゆけば、20年後の日本も、いまと変わらず世界の製造業のメインパワーであり続けるでしょう――計画、設計とマーケティングなど、高度な頭脳だけを国内に残す形で。

<新しい時代の企業像>
・新しい時代の国際企業は、従来の「すべてを自ら保有する形」から、「事業提携や合弁を基盤とした戦略型」にシフトします。従来の西洋の企業より、日本の得意とする経営手法に近いものと言えるでしょう。
 日本の企業は、きわめて明確に、新しい企業像を模索する方向に向かっている――私はそう考えています。

<知識労働の生産性をいかに上げるか>
・それでは、知識労働者の生産性を上げるには、何をすればよいのでしょうか。過去30年間にわたってこの問題に取り組んできた経験から見出した、いくつかの事実についてご紹介しておきましょう。この問題の大前提として、現代の“知識”が、その定義上、高度に専門化・細分化していることを把握しておかねばなりません。

<昇進制度を整備せよ>
・知識労働者のための昇進制度を整備する必要があるでしょう。

・知識を生産的にすることが、競争を可能にするただ一つの方策である。

<日本が進むべき道>
<情報経済で立ち後れた国>
・しかしながら、日本が直面している問題は、経済の停滞ではありません。問題は、あなたたちの国が情報技術の分野、ひいてはグローバル化した情報に基礎を置く世界経済=情報経済の進展の中で、ひどく立ち後れてしまっている点にあります。

<最も苦労する国>
・国際的な金融機関や製造業においては強みを持つ日本ですが、革新技術や情報の分野でリーダーになり得ていません。情報経済が主軸となる今後の世界経済の中では、日本が最も苦労する国になるでしょう。

<「日本の台頭」の本質>
・第2次世界大戦後の日本が強大な力を発揮し、歴史上稀に見る発展をなし得たのは、自国内で事業を行い、独自の伝統的経営手法と労働力を保ちつつ、西洋の最新技術を導入することに成功してきたからです。日本の台頭とは、「和洋の統合に成功した企業の台頭」でした。

・情報経済が主軸となる新時代の世界経済のもとで、最も苦労する国は日本である。つねにイノベーションを追求し、新しい価値を生み出すことでしか、日本が生き残る道はない――。

<絶えざるイノベーションを>
・東洋に属しながら西洋の一部になり得たことが、日本を成功に導いた最大の要因ですが、その結果、日本は非常にハイコストな国になってしまいました。ハイコストな日本が生きていくためには、絶えざるイノベーションと、それによって生み出される新しい価値を輸出し続けていくことが要求されます。

<情報技術をリードする存在になれ>
・日本には情報技術に関する潜在能力はありますが、いまだ成果を挙げることができずにいます。情報技術の分野でイノベートする術を学び、進展する情報経済の中でリーダーとならなければ、日本が生き残る道はないでしょう。

<チャンスに目を凝らせ>
・あなたたちの多くが「問題重視型」の思考様式に囚われていて、「機会重視型」の発想を持っていないことを危惧しています。

<変化の陰に好機あり>
・繰り返しになりますが、私たちはいま、転換期に生きています。ところが、多くの人々は、そのことを理解していません。変化は予測できず、理解することも困難で、みなが考える常識に反する形で起こるからです。しかし、変化した現実に考え方をすり合わせていく過程にこそ、好機は訪れます。

<成果を挙げる唯一の方法>
・絶えざるスキル・アップを達成するために最も重要となるのは、自分の強みを把握することです。自分が何を得意とするかを知り、磨きをかけていく――これこそ個人のイノベーションの要諦であり、成果を挙げ続けていくための唯一の方法です。

・ところが現在では、学校教育の修了時こそ、真の意味での学習の開始時期を指し示しているのです。

<「株主資本主義」の嘘>
・株主の利益を最大化することに努めるこの考え方は、事業における最優先順位に混乱を生じさせます。事業にとって、あるいは経営者にとって、最優先すべきは決して株主ではありません。経営者が自身や株主の利益を考え始めたら、決して事業がうまく回転していくことなどありえないのです。

・20世紀の著述家で、ピーター・ドラッカーほど、より多くの人に、より甚大な「良い影響」を与えた人物はいないでしょう。世界中のどこでも、経営者が労働者に存分の腕を振るわせているところには、ドラッカーが存在しています。経営者が「その人間性で人を導き」「結果を重視して経営する」ところには、ドラッカーの存在があるのです。従業員がコストではなく“パートナー”として扱われているところにはドラッカーの存在があるのです。



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■■■ 私が思うこと、聞いたこと、考えること ■■■

・「新型コロナウイルス感染症」の世界的なインパクトは深刻なようです。メディアは、「あたかもそれだけかの報道」のようです。恐れていたリーマンショック以上のものがきたようです。分析してみるとネガティブな情報ばかりのようです。
朝日新聞デジタル(2020/3/26)によると、
「米の失業申請、週328万人 世界恐慌時に匹敵の恐れ」
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業などの影響で、米国では新たに失業保険を申請した件数が21日までの1週間で328万3千件に上った。前週より約12倍増と記録的な急増となり、過去最大だった1982年10月の69万5千件も大きく超えた。
 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は26日朝、米NBCに出演し「米国はたぶん景気後退に入った」と指摘。失業率は4月以降、30年代の世界恐慌時の水準まで急速に悪化する可能性が出てきた。
セントルイス連邦準備銀行のブラード総裁は22日、米メディアに、失業率が6月までに30%に上昇しうるとの予測を示していた。4月3日に発表される3月の米失業率は大幅に悪化し、4〜6月はさらに高まりそうだ。リーマン・ショック後の最悪期だった09年10月の10%を超え、戦前の世界恐慌期(33年の約25%)に匹敵する雇用危機となる恐れが指摘されている」とのこと。

・世界的に失業者が増大し、雇用の需給の異変が起こるのかもしれません。日本でも新型コロナウイルスの経済異変による「雇用の異変」が起こる可能性があるといわれます。外国人労働者、人手不足がどうなるのでしょうか。誰でも消費を控えます。ホテルも空き室が増えています。外出や旅行をしなくなります。
新型コロナウイルス感染症のショックで「大衆の不安をあおるな」といわれます。流言飛語やデマで「食料品の買い占め」もおこったりしました。このような場合もメディアはさまざまな抑制的なルールで報道しているようです。2021年の東京オリンピック・パラリンピックにおいても陽気に海外旅行する人びとが戻ってくるのか懸念されています。新型コロナウイルスで「海外旅行が激減している」そうですが、回復するには数年かかるのかも知れません。観光客が来るのでしょうか。大きく報道された豪華客船の海外クルーズツアーもいつ頃回復するのでしょうか。新型コロナウイルスの「ワクチン」は早くても1年以上かかるといわれます。他の薬も代用できるともいわれますが。

・昔の新聞社は地方紙も含め、それなりの力、権威があったといわれます。今はサラリーマン化したというのでしょうか。昔は「朝イチ」で新聞を読む習慣の人が多かったようです。新聞を中心に世の中・社会が動いていた面があったようです。全国の家庭では、昔からその地域の家で読んでいる新聞が、親から子へとつながっていくといわれます。インターネット革命で「紙の王国」にも大きなインパクトを受けているようです。国土の広大な米国では、容易に新聞の「有料デジタル版」が普及しています。時代の流れとして「紙の新聞」「紙の本」「紙の書類・文書」が減少していくことでしょう。一覧性は「紙の新聞」が便利だそうですが。現代では「朝日新聞」の悪評が頻繁に雑誌に載っていましたが、学生から社会人となりビジネスの世界に入ると「日経新聞」を読む人が増えるそうです。コスト面でデジタル情報を選ぶ人も増えています。パソコン・ネットに処理できないほどの情報があります。今5Gの時代になりつつあるようです。
「当時から読売新聞の持つ力に絶対的自信を持っていた。「われわれの力をもってすれば、たいがいの内閣は半年か1年で必ずつぶせる」、そう言って居並ぶ社員たちを睥睨した」といわれます。
読売新聞といえば、正力松太郎と言う人物が思い出されます。CIAと結びつきがあったというのです。『原発・正力・CIA:機密文書で読む昭和裏面史』(新潮新書)、『日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」』(宝島SUGOI文庫)、『正力松太郎と影武者たちの1世紀 巨怪伝』(文春文庫)という本もあるくらいです。
ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)でみますと
「正力 松太郎(しょうりき まつたろう、1885年(明治18年)4月11日 – 1969年(昭和44年)10月9日)は、日本の内務官僚、実業家、政治家、CIAエージェント。読売新聞社社主らを歴任。位階勲等は従二位勲一等。富山県高岡市の名誉市民であり、京成電鉄OBでもある」とのこと。
 
・新聞は、インタ―ネットが普及するまでは、毎日の生活に根付いており、ビジネスマンは、日本経済新聞を読むのが普通といわれていました。インタ―ネット革命が進みますと、新聞を隅から隅まで読む人が少なくなってきているようです。米国の新聞や書籍は、インタ―ネットやイーブック等にシェアを大きくとられているようです。やはり米国の新聞業界の実態が先行しているそうです。日本では大手新聞社の記事や記者に関することも大きな社会的な論争になっていたようです。「朝日新聞の誤報事件」もよく雑誌等で取り上げられているメディアの大問題だったようです。一般的に朝日新聞と読売新聞の紙面を比較すると、読売新聞のほうが読みやすいといわれます。子供の時代から、その家庭がどの新聞を読んでいたのかが大きな要素になるようです。昔は、地方新聞と全国紙を併読する家庭も少なくなかったそうです。

・新聞社や記者の「劣化」の問題もあると指摘されています。昔は「新聞記者は、無冠の帝王として権力を監視する役割を持つということがメディア論の基礎にあった」そうです。昔の新聞社は何だか権威があったものだといわれます。「2030年の新聞の姿」を私たち一般人は、予想できませんが、業界人は危機感を持って検討しているようです。ジャーナリズムの世界も大変革期のようです。米国では小説のビジネスモデルが成り立たなくなっていると報道されています。「本」の世界も大きく変わってきているようです。古本が「1円」で入手できるようになったのは驚きです。

・紙の新聞や紙の書籍も未来においても一定の位置を占めるといわれます。手に持って見る一覧性や手軽さは、格別なものです。テレビでも将来は自分の好みの放送内容をYou Tube等のインタ―ネット動画で見る時間が極端に増えてくるといわれます。ネット上では「情報爆発」といった個人では把握できない量の情報が流れています。また「紙の新聞」そのものが変わっていくことも必然のようです。それ以上に「販売店」の機能が多角化していく可能性が指摘されています。さまざまな商品の販売ツールとして機能していくのかもしれません。

・フェイクニュースの問題がウェブの社会では大問題になっています。その点では、新聞社の公器としての社会的な評価は、将来も生きるものと思われます。会社でも家でも、朝一番でパソコンのスイッチを入れる習慣がついているので、コーヒーを飲みながら新聞を広げて見るということが、会社での習慣でもなくなりつつあるようです。今後はプログラミング教育も義務教育化されていきますので、若い人たちにとって、パソコンで日記やその他の記録をしていくことが、当然なことで、無理なくできるようになっていくことでしょう。今の中高年の人々には抵抗のある人も多いといわれます。
日本の政策としては、外国人観光客にどんどん来てもらいたいという事で、外国人観光客の誘致にはとても熱心のようです。将来の観光立国を目指しているのでしょう。不況ですから、どこの観光地でも外国人観光客にどんどんお金を落としてもらいたいのでしょう。

・法務省の入国管理局の統計によると、2010年の外国人入国者数は、大幅に増え、2009年比24.6%増の944万人となっています。また2010年末現在の外国人登録者数は、不況の深刻化で213万人、総人口に占める割合も1.67%に縮小しているようです。また不法滞在者は、1993年の29万人から8万人へと減少しているようです。以前は外国人の犯罪も大きな問題となりましたが、警察の手入れの強化でかなり減少しているようです。

・外国人労働者については、賛否両論があり、行政当局にもかなりのノウハウが蓄積されているようです。ヨーロッパ諸国では、移民が大きな社会問題化しており、ネガティブな意見が多いようです。日本は国土が狭く昔は「移民を出さなければならなかった貧しい国」だったのですが、高度成長の結果、外国人労働者を雇えるようになりました。移民政策を取らなくても様々なルートから外国人は雇用を求めて世界中から来ており、自然とその数は増えてきているようなのです。産油国にも多くの外国人労働者が流れ込むように、雇用を求めて世界中に外国人労働者は移動するようです。世界中が不況ともいえますので、雇用問題は深刻です。世界の失業率も悪化しているそうで、日本でも将来は雇用の確保が大きな問題となることでしょう。

・移民大国のアメリカ合衆国は、1400万人の不法移民がおり、それがさまざまな社会問題を生んでいるそうです。やはり昔から世界の移民は「アメリカへ、アメリカへ」と流れ込んでいくようです。ヒスパニック系の移民が増えているようです。日本の移民政策については、さまざまな政党が政策として検討しているそうですが、具体化するのはどうなのでしょうか。外国人でさえ、「日本に顔色の違う世界の人びとを移民として受け入れるのはいろいろと無理なことでしょう」と多くの人が認めているそうです。今は田舎の街中でも外国人の姿が見受けられる時代です。

・「ネット情報」によると「日本に住み日本を愛する外国人たちが嘆く『最悪にイケてない10のこと』としてつぎのようにあげています。

1、 日本ではハリウッド映画の公開が遅い。
2、 日本のクリスマスは休日でないし、家族団らんで過ごすとは限らない。
3、 日本のチーズはイケてない。スーパーではプロセスチーズが主流で、決して美味しいとはいえない。
4、 部屋を借りる場合に必要となる初期費用の多さがイケてない。
5、 その規則ゆえに、日本のお役所仕事はイケてない。銀行口座開設のために印鑑が必要。
6、 気付けば大量の袋の山ができている。この過剰包装はイケてない。
7、 博覧会は大都市で催される場合はイケてない。大勢の人が押し寄せてくる。
8、 現金とATM。現金主義の社会だといえる。手数料がかかる場合もある。
9、 暖房と断熱性。セントラルヒーティングが欧米では一般的。
10、 テレビ番組の多くはイケてない。その多くが退屈で、出演者や観客たちの決まりきった反応も面白味を感じない。

・人口減少にともなってさまざまな社会的な変化が起こってきています。現在の「人手不足」は深刻になっていくようです。そこで企業では、さまざまな手を打っているようです。例えば、外国人労働者の研修生をいれたり、外国人を正社員として採用したりしています。移民を認めなくても将来は1千万人程度の外国人労働者が日本に職を求めて住みつくといわれます。しかしながら、「移民の問題も移民に土地を与えることができないので受け入れられない」といわれます。さまざまな議論が「移民の問題」についてあるといわれます。高齢者や主婦の就業機会も増えているようです。このように「労働革命の兆し」はいたるところで社会現象となっていくようです。長時間労働や非正規雇用の問題なども、「労働革命」にいたる摩擦の過程現象と指摘されています。労働社会の変化は、著者の言うように「年功序列の終わり」「正社員と非正規社員の格差解消」「男女逆転」「外交人労働者の登用」「業界再編・伝統企業の倒産」「スタートアップの隆盛」「第4次産業革命」「交通革命」「グローバル化」といった潮流を急速に招きよせるようです。「今後、既得権を失う「おじさん」と、時代の追い風をうける「女性」の出世争いが過熱していくはずです」という風潮が「労働革命」を進めていきそうです。女性管理職を活用してこなかった大企業の劣化はひどいものだといわれます。「東芝」の問題もメディアには想定外だったといわれます。

・「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。ヒューマンリソースの活用では、女性が最も活用されていないと指摘されています。日本の1人あたりの生産性は、先進国としては驚くほど低いのですが、改善をするためには女性の活用にかかっているといわれます。高齢者と女性の活用で、かなりの問題を解決できると指摘されています。「女性管理職の活用」が「労働革命」「能力主義の貫徹」のエンジンになるのかもしれません。世界的に遅れているといわれる1人当たりの「生産性」の向上は、女性の活用によって達成されるでしょう。しかし、法律的なバックアップが十分ではないといわれます。「労働革命」が進むにつれて、「働き方改革」や職業の内容も大きく変化するといわれます。また近未来では、終身雇用的な体制が弱まるといわれます。雇用形態や雇用時間が変わり、採算の取れない古臭い職業は、消えていくことでしょう。産業の空洞化ということも、海外進出の見直しがすすむといわれます。機械化、ロボット化が一層進み、第4次産業革命が本格化することでしょう。

・2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは、何とか経済がまわるかもしれないといわれました。しかしながら、新型コロナウイルスのショックで「世界大恐慌のリスク」懸念も議論されています。また万博も計画されているといわれますが、アベノミクス以後の大胆な経済政策がうてるのかどうかも懸念されています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの準備は非常に大事でしたが、首都直下大地震津波、南海トラフ巨大地震津波の発生リスクに対する準備も緊急に必要です。東日本大震災のショックで、遅れていた関係者の認識も非常に厳しいものになっています。最悪で数年間200兆円の被害も想定されおり、延期されたオリンピックよりも、深刻なインパクトが出そうです。延期された東京オリンピック・パラリンピックにも膨大な「延期コスト」がかかるといわれます。
「想定外の天災」ではありませんので、被害を最小にしたいものです。「2020年は団塊世代の卒業式」ですが、高齢者は、「100歳寿命」で一層活躍ができる社会になっていきそうです。「政界再編」としては「2021年までは安倍政権が続いたとしても、その後を担うリーダーたる人材がいません」と述べられます。私たち一般人には、「政界のシナリオ」については理解不能なことが多いようです。「対抗軸となるべき民進党もまず復活の芽はないでしょう。(2020年まで存続しているかどうかすら怪しい)」ということも、意外な展開の結果となりました。

・「天国でも経営コンサルタントが必要である」といわれるくらい経営コンサルタントの活躍のすそ野は広いそうです。私たち一般人は、経営コンサルティングの世界には詳しくはないのですが、企業の存続、サバイバルが難しくなっている状況は、人口減少で、ますますひどくなるのではないのでしょうか。経営コンサルタントを必要としない大企業は別として、動きが激しい現代では中小企業においては、誰かに経営アドバイスを受けたくなるようです。
会社経営と国家経営は似ているようで違うようです。前者は、会社収益を柱とし、後者は公益、国益を柱とします。ミクロの会社とマクロの社会ということで、会社経営の方が、難しいようです。これからの日本は人口が減少し、2083年には半減のレベルまで到達することが予測されています。将来、国内市場は半減することになりますので、企業経営や国家経営には懸念材料となることでしょう。

・会社社会でもパートなどの労働形態が変わり、サラリーマンの雇用・転職など時代とともに大きな変化が起きているようです。「私のコンサルティング経験の約60%は、本質的には事業承継にまつわる課題であった」ということで、事業承継にも新しい時代の流れが押し寄せているようです。日本における職業の数は約2万8千種類だそうですが、人口減少の時代にむけてどのように変わっていくのでしょうか。採算の取れない古臭い職業は、なくなっていくことでしょう。
人口減少は大きな政治社会問題ですので、少子高齢化については10年程前からよく議論されてきたようです。が、私たち一般人は、政府の対応策については詳しくありません。当然ながら、各省庁では日本全体の長期計画を作成していることでしょう。人口を増やす施策も実現をすることは難しいようです。外国の例ではフランスの対策に学べという説もあるそうですが、すでに人口の減少はストップできないようです。当然ながら、全国の自治体やシンクタンク等の研究機関でもシミュレーションや対策を研究しているようです。

・無理に人口を増やすことはできないようです。そこで、人口減少の現象には、それなりに企業は「自助努力」をする必要があるようです。たとえば、大学の学生数も減りますので、経営がうまくいかない大学も増えてきているようです。留学生を受け入れるのも限界があるようです。労働力も減りますが、大量の「移民」をいれようという議論は少数説のようです。やはり日本的な一体性を保ちたいということと、ヨーロッパ諸国が移民で社会的な問題を抱えていることも現実の難問としてあるそうです。移民大国のアメリカでも1400万人の不法移民が大きな社会問題となっており「格差社会」も深刻のようです。また日本でも法律で移民を認めなくても、世界中から「職」を求めて、将来は1000万人くらいの外国人労働者が日本に移り住むという説もあるようです。実際に観光客ばかりでなく外国人労働者も田舎の街中にも増えてきているようです。

・日本国の借金に関して「子供たちに借金を残すな」という議論が政界で多くありましたが、人口減少問題については、将来の子供たちのためにも官民一体の「知恵と工夫」が必要のようです。また、amazonに「人口減少」といれますと3284件がわかりますが、「地方消滅」も懸念される深刻な問題になりそうです。今の時代、国民の血税のタックス・イーターが増殖しているのかもしれません。

・『日本最悪のシナリオ 9つの死角』では、<最悪のシナリオ>として、尖閣衝突、国債暴落、首都直下地震、サイバーテロ、パンデミック、エネルギー危機、北朝鮮崩壊、核テロ、人口衰弱が挙げられています。人口衰弱は、確率的に統計的に予想されています。また首都直下大地震津波、南海トラフ巨大地震津波は、東日本大震災により、発生確率が非常に高いと関係機関から警告されています。政府も当然のことながら、様々なシナリオを検討して対策に余念がないと思われます。「想定外」の事態が起こらないように検討していきたいものです。危機に対応する政策は政府やシンクタンク等が準備していると思いますが「日本的な対応の弱点・死角」もあるといわれます。
人口減少もマイナス面ばかりでなくチャンスに変えて「労働革命」の契機にする必要があるといわれます。「日本は先進国だろうか」という声も街中では増えてきているようです。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。女性の登用も「労働革命」のひとつですが、その途上には、長時間労働等、さまざまな軋轢。摩擦を生じていきそうです。もともと国家予算の分配の問題になるようで、財源をひねり出すためにも、行政、立法、司法の大胆なリストラ、近代化、効率化が必要といわれます。

・『人類が絶滅する6つのシナリオ』では、可能性としてスーパーウィルス、気候変動、大量絶滅、食糧危機、生物兵器(バイオテロリズム)、コンピュータの暴走(ハッキング)が、リスクが非常に大きいとみています。生物化学兵器は「貧者の核兵器」といわれています。スーパーウィルスの懸念も専門家では問題とされているようです。「人類は細菌で滅びる」という奇説・怪説もあるようです。核戦争も、核兵器の拡散がどの程度までになるのか、予断を許さないようです。気候変動も近年明らかな異常気象に見舞われております。世界的な規模で起こっており、農業への影響も甚大です。ウィルスも新種が出来ているようで、難病、奇病が増えているようです。ガンで死亡している人も多いですが、未発見の発がん物質でもあるのでしょうか。「人類はウィルスで衰退・滅亡する」という奇説もあると述べられています。そのようなハリウッド映画(「アイ・アム・レジェンド」)もありました。

<●●インターネット情報から●●>

<リオ五輪 ジカ熱より怖い豚インフル…すでに1000人超死亡>
(産経新聞 7月3日(日)14時0分配信)
「南半球のブラジルはこれからが冬季。蚊を媒介にしたジカ熱の収束が期待されるが、ところが今度は豚インフルエンザの拡大が懸念されている。ブラジル保健相が6月22日、今年1月からの死者が1003人となったと発表した。気温が下がる8月頃までがピークで、感染者が増える傾向にあるという。五輪が8月5日から開催されるリオデジャネイロ州では150人の感染と44人の死亡が報告され、選手にとっては新たな不安材料だ。経済の低迷や政治危機、多発する犯罪に加え、リオ五輪を取り巻く環境は厳しさを増すばかりだ」と報道されています。
ブラジルもオリンピックで浮かれていることができなかったと述べられます。感染症ばかりでなく「多発する犯罪」で、観光客がオリンピックに行きたくなかったそうです。青少年の路上強盗もひどいといわれます。

・二酸化炭素濃度の問題も目に見える形で「地球の温暖化」による異常気象を招いています。しかし、トランプ米大統領は2017年6月1日、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定から離脱 すると発表しました。エネルギー問題や食糧不足、そして101億人への人口増加に、特に急増するアフリカが対応できるとは思えません。「最悪のシナリオ」が実現すれば、人口は激減する可能性があるようです。鳥インフルエンザウィルスも突然変異が起きると非常に怖いものになる可能性があるといわれます。コンピュータのマルウェアの問題やインターネットのサイバーテロも深刻化するようです。サイバー犯罪も近未来には激増するという予想もあるようです。

・バングラデシュの事件も「海外援助」の問題を再検討する機会になると思います。海外援助は、様々な問題を抱えており、「甘い国際感覚」では、実効性にあるものにはならないといわれます。日本の海外援助にも大胆な「改革」が必要のようです。海外援助には数十年のノウハウが蓄積されていますが、「大幅な見直し」が必要であるといわれます。社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。改革の速度も大変遅いようです。本当に優れた官僚や政治家が登用されてこなかった結果だともいわれます。叡智やノウハウが十分に生かされていないそうです。政府にはベスト&ブライテストが集結しているはずですが?!「外国では様々な意味で甘い国際感覚の日本人が狙われている」といわれます。

・「諜報機関のない国は拉致事件にも無力だった」といわれます。「諜報機関は国家にとって最も重要な死活の国家組織だ」そうです。公安調査庁の元部長によれば「日本は諜報機関のない世界的に珍しい国だ」そうです。真面目な官僚や政治家が諜報機関の設立におとなしいのは私たち一般人には、不思議です。「諜報機関のない国は既に国益を大きく損ねている」といわれます。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、諜報機関の設立運営の財源にあてるべきだ」そうです。大新聞社もメディアとしての主張が弱まっているともいわれます。

・「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。「失政」が増えている時代に、私たち一般人は、政治意識を高めていく必要があるそうです。「日本の政治家はアメリカのロビイストのような役割を果たしている」という説もあります。「政治家が劣化している時代だ」ともいわれています。政治家が小粒になってリスクを取れる人が少なくなったといわれます。「政務活動費の問題も氷山の一角」と指摘されています。いつまでも「政治が遅れている」ということでは複雑化する社会問題に対応できないでしょう。政治家は選挙民の対応に追われて、勉強ができないそうです。困っている人も増えており、単に政治の貧困としては片づけられないそうです。「政治が遅れている。私たち一般人は、政治意識を高めて政治の近代化を急がなければならない」そうです。政治の貧困が子どもの貧困を創っていると指摘されています。議員の近未来の姿は欧米のようにボランティア議員の流れだといわれます。

・ジャック・アタリの本は『未来の為に何をなすべきか?――積極的社会建設宣言』(2016/5/25)があります。amazonに「ジャック・アタリ」といれますと70件の本が分かります。フランス人としては翻訳本が多いようです。フランス人から見ると極東は遠い国で、国境の近いヨーロッパ諸国を分析するようにはいかないようです。
「中国バブルの崩壊」にしても、ヨーロッパ人からみると深刻度が薄いように思われます。日本の様々な政治や社会の問題もグローバリゼーションで世界の傾向を参考にするよりも、日本独自の対策を打つ必要があるようです。それにしても、経済政策はうまくいっていないようです。
「人口減少を利用して労働力の再配置の「労働革命」を狙え」という説もあるようです。しかし、移民を認めなくても未来には1000万人の外国人が、日本に「職」を求めて棲みつくともいわれます。ちなみに、米国では1400万人といわれる不法移民の対策が大統領選挙の大きな争点になりました。世界中で若者の「失業」問題が深刻になっています。それが麻薬の蔓延や犯罪の激増を生んでいると述べられます。

・フランスといえば、2016年にはパリの洪水がメディアに話題になりました。1910年にも大洪水がパリではあったようです。パリのセーヌ川が増水し、過去30年で最も水位が高くなったようです。ドイツでも集中豪雨がよくあったようです。ヨーロッパも異常気象の影響がだんだん劇的にでてきているようです。未来は世界的に異常気象による、洪水や水不足などの被害も深刻になるといわれます。また冬の寒波の影響も大きく変動しているそうです。
 ピーク・オイルやシェールオイル等の原油の問題も未来に枯渇が「深刻化」すれば、「異常気象」以上の衝撃を世界経済に与えるといわれます。原油の枯渇については諸説ありますが、「原油は200年で枯渇する」という怪説もあり、それが核戦争の原因になるというのです。代替エネルギーでも十分に対応できない国々がでるというのです。
 ジャック・アタリの未来予測は、かなり時間をかけて読み解く必要があるようです。独自の定義をしたキーワードがありすぐには理解できません。「アメリカ帝国の没落」は多数説のようですが「エイリアンの超テクノロジーを入手している米国は、発展段階の初期である」という有力説もあるようです。「エイリアン・テクノロジー・リバース・エンジニアリング(宇宙人科学技術工学)」は米国の一人勝ちという説もあるそうです。つまり多くの識者は「アメリカ帝国の没落」を唱えていますが、「アメリカの発展はこれからだ」という少数説もあるようです。

・「最近になって、ロシア人はタウ人との協定を破棄し、同じ協定をリュウ座人の前衛部隊と交わしてタウ人を追い払ったと考えられている」といわれます。ロシアはタウ星人と当初コンタクトがあったそうです。くじら座タウ人は、イプシロンのエラダナス星系で大きなコロニーを保持している。祖国の大気と重力の関係で、密度の高い身体を持っている」と述べられます。「彼ら蛇人はすでにロシア共産主義勢力としてやってきており、マルクスとレーニンはその勢力のいわば幹部たちだった」という説もあります。「エイリアン・テクノロジー・リバース・エンジニアリング(宇宙人科学技術工学)」は、ロシアも研究しているのでしょう。「モスクワには多くの異星人が住んでいる」というリーク話もあるそうです。

・当ブログでよく引用するジョー・マクモニーグルの未来予測(『未来を透視する』ソフトバンククリエイティブ)のなかに、「23世紀と24世紀に2度の世界大戦があり、人類の人口が6分の1になる。細菌兵器が使われる」というのがあります。マクモニーグルは米陸軍の情報員だったので、戦争に関する未来透視については詳しくは記していないようです。「イルミナティ・エージェントが第3次世界大戦を引き起こす」という不気味な予言もあるようです。当然ながら、マクモニーグルの未来透視もよく当たらないようです。20世紀の米ソ核戦争の勃発の危機は避けられましたが、オバマ大統領の広島訪問でも分かるように、米軍による核戦争の備えは、今も緊張を持ってなされているようです。北朝鮮も核武装を急いでいますが、「核戦争の危機」はいつでもそこにある危機と語られています。

・「人口問題の解決法は二つ考えられる。戦争というハードなやり方と出産制限によって人口の伸びを抑える平和的なやり方だ」、「アジアでは2020年までに、水をめぐる大規模な戦争が少なくとも一度は起きているはずである」とのこと。マクモニーグルの未来透視も当たる確率は高いとはいえませんが、有力な参考資料だそうです。「当たるも八卦、当たらぬも八卦」なのかもしれません。予言が当たらなくなるのは、パラレル・ワールドとの相互作用があるからだといわれます。パラレル・ユニバース(並行宇宙)は、目に見えないが、すぐ隣にあるといわれます。パラレル・ユニバース(並行宇宙)は「幽界」のように「この世」に似ている世界ですが非常に大きく違うアストラル界のような世界といわれます。

・PM2.5(微小粒子状物質)問題も深刻なものになっていくのかもしれません。マクモニーグルによると「(大気汚染)、21世紀になって、大気の汚染はしだいにひどくなっていく。2050年には、多くの企業は社屋内の冷暖房よりも空気清浄に力を入れるようになっている。それに先立って、2025年には、空気中の有害物質や二酸化炭素を取り除く新型の空気清浄機が開発され、家庭や職場など人が集まるところに導入される。その頃には子供のアレルギーも深刻化し、国家的危機とみなされるようになる。
 空気清浄機の設置場所は、はじめのうちは、職場、ショッピングセンター、映画館、会議場、レストラン、ホテルなど大勢の人が集まるところのみである。しかし、21世紀半ばには米国の個人宅の少なくとも4分の1で利用されるようになる」との未来透視のようです。現在中国では空気清浄機が売れているようです。

・「中国は2015年から2030年の間に4つの国に分割される可能性もある。とくに内乱が起こる可能性が強く、それが引き金となって第3次世界大戦へと進むかもしれない」というカシオペア座方面の宇宙人の未来予測が気になります。はるかに進化した異星人でタイム・トラベラーであるのかもしれません。
「中国は2015年から2030年の間に4つの国に分割される可能性もある」とのことですが、現在の中国の情勢を分析するとその可能性は高まってきているのかもしれません。 共産党官僚がノーメンクラーツ(赤い貴族)と化し都市部 の民工、農村戸籍の人民などの「豊かさを制限する」危機的な状況が懸念されています。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」といわれます。「歴史のシナリオを描く」といわれるシリウス星人とは、パラレル・ユニバース(並行宇宙)に存在しているそうですが、どのような力関係が働くのでしょうか。彼らが、この世に対して何をどのようにしているのか分からないようです。アヌンナキとかサナンダといわれる金星のマスター(長老)が活動の中心ともいわれます。かってイエスであった存在は現在「サナンダ」と名乗っており、アシュタールとともに彼の宇宙船に住んでいると述べられます。
 ソ連(ロシア)が分割されて様々な国ができましたが、そのように中国も分割されるのでしょうか。ソ連が分割された時には、どのような「闇の権力」が作用したのかもしれませんが、その舞台裏は私たち一般人には理解不能のようです。

・「シリウス星人の地球支配があまりに巧妙なためしょっちゅう戦争が起こる」という珍説もあるそうです。天国に自由に出入りし、人間への“憑依”や人間の“転生”を自由に操作するシリウス星人はパラレル・ワールドに存在しているそうです。「はるかに進化した宇宙人が人間の精神体に侵入してくる時代だ」そうです。そうなると人間自身が「変容」、「変性」してしまうそうです。「シリウスのテクノロジーは、アヌンナキによって地球にもたらされた」そうです。宇宙人情報を公開すると主権が危うくなるともいわれます。

・ニルヴァーナ(涅槃・天国)評議会も地球に影響力を行使しているのでしょうか。各国を自由に指導する超人的な異星人の組織の存在「闇の権力、闇の政府」は、誰も考えることは難しいのでしょうか。イタリアのマオリッツオ・カヴァーロによると異次元に神々の都市があるそうですが、日本を管理している異次元の超高層ビルでもあるのでしょうか。
「日本はヘルメスが統治する国だ」と語られています。シリウスの大天使の代表であるというヘルメスは、ギリシア神話に登場する青年神です。
 シリウス星人が「闇の権力」を通じて地球に影響力を行使しているのかもしれませんが、何しろ目に見えない世界のこと、私たち一般人には不思議な話です。あまりに進化しすぎているので人間の行いを観察しているだけかもしれません。人間の背後霊や守護霊は、はるかに進化した異星人がなっているという説もあるそうです。
 日本の経済界も膨大な人口市場を持つ中国から同様なインド市場へ軸足を動かしているようです。インド神話は宇宙人に関して豊富な情報を提供しています。「マハーバーラタ」の物語のように異星人の神話の豊富な地域のようです。現代のインドでもかなりの異人が現地人に混じって住んでいるのかもしれません。

・「国内の暴動や内乱を抑えるために対外戦争に打って出る」という中国の以前の共産党の常套手段は、他国間の国境紛争・軍事紛争に介入していくというパターンを取るかもしれないそうです。1994年の「宇宙人の未来予測」ということですが、秋山氏の行ったカシオペア座の方面にある惑星はかなり進化した宇宙人のようです。彼らは、金髪碧眼の宇宙人だったようですが、進化の程度は想像を絶するようです。ガストン・ブートゥールは「古来、人間が戦争を起こす理由はただ一つしかない」と言って、その理由を「若者が増えすぎることにある」と語っています。一人っ子政策の歪み による3400万人の「男性余剰」の問題は、中国の地政学リスクになっているといわれます。
 おそらく、時空を超えている異星人のようで、タイム・トラベラーですから単純に昔の「宇宙人の未来予測」だとはいえない面もあるそうです。秋山氏の行った惑星は、リラ星人の惑星というよりもむしろシリウス星人の系列の惑星だったのかもしれません。日本民族の神話の原郷、「高天原」とも関係があるのかも知れません。

・サタン(悪魔)と呼ばれるリラ星人や遺伝子操作で人間を実験室で創ったエロヒム(天空から来た人々)の神々の「不死の惑星」の宇宙人を創造した「はるかに進化した異星人種族」がいるのですから複雑怪奇で不思議です。異星人には地球語と異星語のネイティブ・スピーカー、コンプリート・バイリンガルが多いそうです。言葉の問題は、とうに解決しているといわれます。「はるかに進化した宇宙人が人間の精神体に侵入してくる時代だ」そうです。「宇宙人と普通の人間を区別できなくなっている」時代だそうです。時空を超えた宇宙人の「この世」への介入・影響力は普通人は分からないそうです。タイム・トラベラーが「この世」を支配しているといわれます。

・中国の経済情勢が予断の許さないものになりつつあるそうです。一般紙の新聞にもネガティブな情報が載るようになりました。中国経済の不動産バブルの崩壊、シャドーバンキングの崩壊は世界中に大きな影響を与えたそうです。中国経済の変調は日本にダイレクトに響くようです。したがって中国経済の動向から目が離せないようです。イギリスのEU離脱で、EUの流動化が始まったのでしょうか。「EUが解体していくというシナリオも、20年くらいのスパンで見るならば、完全に否定することはできない」といわれます。

・『こうして世界は終わる』は、フィクションですが、世界中の「天候異変」から、ますますこの種のフィクションやナンフィクションの書物が増えるようです。未来から過去の地球を見るフィクションの手法です。amazonに「地球温暖化」といれますと1014件、「地震 津波」といれますと2358件の書物が分かります。「地球温暖化」については、世界中の多くの知識人や研究機関が警鐘を鳴らしてきたようです。地球温暖化でかなり深刻な被害を受ける国々もあります。バングラデシュなどの標高や海抜の低い国々の未来が懸念されています。
 暖冬で、雪が少ないと、農業用水も不足するともいわれます。以前に「利根川水系のダムの水不足」が報道されました。東京でも「水不足」が、近未来には頻繁に起こるようになるのかもしれません。台風でもきて雨が降ってもらいたいものですが集中豪雨の被害がでることもあります。未来の地球における海面上昇による、都市部の浸水、そして、温暖化による「水不足」と私たち一般人の常識では、考えられないような世界環境の事態になるのかもしれません。

・東日本大震災によって、日本では「地震・津波」に関する、集団ヒステリーともいうべき現象が起こったともいわれます。東日本大震災の衝撃は、遅れていた有識者の意識の覚醒を促したようです。首都直下大地震津波や南海トラフ巨大地震津波の起る確率は、非常に高く、対策が地方自治体においても、さまざまな形で作られているようです。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの準備の費用も当初の目論見よりも6倍の約1兆8千億円に上昇したようです。大きな問題になったと語られています。東京オリンピック・パラリンピックにかける費用分、地震津波対策費が減ることになり、日本国民の被災リスクが高まりそうです。現代社会では、人間が生きていくための、さまざまなリスクが急増している時代になっているようです。東京オリンピック・パラリンピックは2021年に延期になりましたが、「イベント戦略」の費用対効果も悪くなっているといわれます。

・地球温暖化に関する懸念は、世界中の有識者に共通のもののようです。二酸化炭素の排出をめぐる国際的な動きもあるようですが、地球温暖化に関する学者の見解はいろいろとあるそうです。日本でも地球温暖化の影響かもしれませんが、気候異常が増えてきているようです。雨の量もひどくなり記録的大雨や集中豪雨の被害もあり、逆に「水不足」も増えているようです。東日本大震災で「地震・津波」に関する私たち一般人の認識が非常に刺激をうけました。しかし、地球温暖化に関する脅威は、一般的な認識が高いとはいえないようです。とうとう「異常気象の時代」になったようですが、異常気象に対する備えも難しいようです。今後、アメリカの独自の動きが注目されます。

・日経新聞のインターネット情報によると、「政府の地震調査委員会は(2016年)6月10日、全国各地で今後30年内に震度6弱以上の大地震に見舞われる確率を示した2016年版の「全国地震動予測地図」を発表した。太平洋側が軒並み高い確率になるなど全体の傾向は14年12月に公表した前回と同じだった。長野県北部から山梨県南部に延びる断層帯の評価を見直した結果、長野県とその周辺で確率が上がったり下がったりしたところが出た」と報道されています。「地震調査委の平田委員長は「日本は世界的に見ても非常に地震の多い国だ。強い揺れに見舞われる確率がゼロとなるところは存在しない」と強調。そのうえで、建物の耐震化や家具の固定など地震に対する備えの重要性を指摘した」とのこと。常識化した情報の地震が起こることが懸念されています。「備えあれば憂いなし」といわれますが。

・未来に南極や北極の氷が解けることは、大変な事態を招くそうです。また世界的に「水が不足する」という未来予測もあまり認識ができない現象のようです。私たち一般人は、「水が不足する」というイメージが湧きませんが、現実に中国などでは「水が不足している」そうです。地震や津波は直接的で誰の目にも分かりますが、異常気象は、その程度がひどくなり被害が増えるということで私たち一般人にも分かるようになるようです。
 地球温暖化に対する対策はいろいろとありますが、電力の確保ということで、太陽光発電や風力発電などの代替エネルギーが増強される方向にあります。そして自動車も化石燃料から「燃料電池」の「水素」を使う燃料電池車が将来は主流になるそうです。自動車メーカーも燃料電池車の開発に余念がないそうです。

・火山噴火による陸地形成を続ける小笠原諸島の西之島は、依然として火山活動は活発に続くと見られています。噴火前の西之島と比べても約6倍以上に広がっており、今後の動きが注目されます。「50年から100年先には温暖化によってロシアと中国とのあいだに軍事衝突が起こる可能性がある。イスラム教を信仰する中央アジアの民族はすでにある程度、中ロ間の火種になっている」とのことですが、温暖化が中ロ戦争の原因になるとは驚きです。現在、ロシアとウクライナの問題が大きな国際問題となっていますが、国際問題は人種や民族の問題が絡み、複雑怪奇となるそうです。

・地球温暖化でさまざまな悪影響がでてくることが懸念されています。日本でも近年、異常気象が頻繁に起こり出し、人々の生活を脅かし始めております。台風も大型化して、最大級の台風が増えてきそうです。集中豪雨、大雨や水不足、暖冬、大雪や竜巻と、地域によってその影響が大きく違ってきているようです。現在ですらこの状況ですから、地球の温度が本格的に上昇を始め出すと、途方もない被害がでてきそうです。2050年頃には、さまざまな懸念が大きく顕在化することでしょうか。

・地震・津波はいつくるか予測できませんが、異常気象の状態は、これから、ずっと続きます。大雨にしても従来の基準で対策を打っていましたが、今後は予想もしない被害が出てくるようです。気象変動に関しては、大型コンピュータによってさまざまなシュミュレーションが多くの研究所により調査研究されているようです。
 北極海の海底に眠る化石燃料の支配権をめぐって世紀の争奪戦が始まったようです。また温暖化で氷が解け航路が開けたことで、主導権争いが加速しそうです。水不足の国へ水を売るビジネスも始動しはじめているといわれています。
 温暖化が地球規模で影響がひどくなり、大洪水や大干ばつの影響で、戦争以上に深刻で広範な被害が懸念されているようです。水不足が国際紛争や戦争に発展する懸念もあるそうです。「地震や津波」、「大干ばつ」や「大洪水」、「大雨」、「水不足」など人類は「水」に悩まされていくようです。

・「これら8カ国は、北は北極海まで広がる広大な領土と海を支配し、北極海をほぼ一周する新たな「環北極圏」を構成する」とありますが、この環北極圏が人類のカギを握る地帯に変化していくのでしょうか。「未来学」というものがあるそうですが、先進国のシンクタンクではさまざまな未来のシュミュレーションを、大型コンピュータなどを利用して研究しているようです。そこから、国家的なプロジェクトが打ち出されるのでしょう。エネルギー問題も原発の事故で顕在化してきましたが、予断を許さない情勢のようです。誰も認識できない速度で地球の気温が上昇していっているようです。予測不能な温度まで。

・「2083年には日本の人口が半減する」という予測もあります。超長期の予測は、人類にとりネガティブなものが多いようです。そうしたことで日本丸の将来も多難のようです。地球温暖化のシュミュレーションでも「第三次世界大戦」の想定は除外されています。「竜座人(ドラコ)が遥かに進化しており、このレプティリアン型生物の交雑種がイルミナティである。交配人種であるイルミナティが地球を支配・管理している」ともいわれます。
「イルミナティ・エージェントが第3次世界大戦を引き起こす」という不気味な予言もあるそうです。米国のマクモニーグルの未来透視に「23世紀と24世紀における2度の大戦で人類の人口が6分の1に大激減する」というのがあります。また大戦になれば「貧者の核兵器」といわれる生物化学兵器が大量につかわれるようです。第3次世界大戦の火種は世界各地にくすぶっているといわれます。

・米中間のサイバー戦争が懸念されています。サイバー戦争についても私たち一般人には、理解不能なことが多いようです。子供の頃からプログラミング教育をしようという世界的な潮流があります。それゆえに、サイバーテロやサイバー犯罪が近未来に急増するという予測もあるそうです。またウィルスについては私たち一般人には、よく分からないことが多いのですが、「ヨーロッパの人口が激減した中世の黒死病の流行は異星人の細菌兵器だった」という奇説もあるそうです。「細菌をばらまく堕天使もいる」といわれます。周辺諸国では、核兵器や生物化学兵器、核シェルターの開発を熱心に展開しているそうです。核戦争を想定内にしているからでしょうか。この方面に脳天気(ノー天気)ですと、日本も歴史から消えていくことになるでしょうか。ちなみに「日本の失われた20年」という話も「失われた40年」になるという話もあるといわれます。20年は確かに異常に長い期間でした。資質的に問題があるのでしょうか。

<●●インターネット情報から●●>

・ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より
「マルウェア」
マルウェア (malware) とは、不正かつ有害に動作させる意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称である。マルウェアには、様々な脅威が含まれる。マルウェアの例としては、ウイルス、バックドア、キーロガー、トロイの木馬、ランサムウェア、マクロウイルス、ブートセクタウイルス、スクリプトウイルス、クライムウェア、スケアウェア、スパイウェア、悪質なアドウェア、ミスリーディングアプリケーションなどがある。日本では、「悪意のある不正ソフトウェア」または「不正プログラム」とも呼ばれる。

・「マネジメントを発明した男」、「マネジメントの父」、「経営学の巨人」ともいわれるピーター・ドラッカーは、経営学の権威であり、経営コンサルタントです。amazonに「ドラッカー」と入れると1426件の書籍がわかり、いかに注目されていたかが窺われます。「他人からは未来学者(フューチャリスト)と呼ばれたこともあったが、自分では“社会生態学者”を名乗った」そうです。
高度成長期には賞賛された日本の「官僚制度」も時代の流れに合わなくなってきているといわれます。「情報経済」に適応して生き抜くためには、従来の思考や行動様式からの脱却が必要のようです。ドラッカーは日本経済をネガティブな面ばかりでなく、ポジティブにも把握しており、チャンスがあると見ているようです。「情報経済」には、先頭を走っていないと日本を見ています。しかし、2030年ごろには、日本の活躍を期待しているそうです。

・いま日本では「労働の問題」が盛んに議論されています。正社員が減少しているとか、「労働形態」、「過労」、「残業時間」とか、「ブラック企業」の問題等です。高度成長期にはなかった労働状況がでてきているようです。「失われた20年」といわれますが、企業経営も外国の競争相手と戦う力も衰えてきているようです。イノベーションのみが、日本の選択肢であるとドラッカーは主張しているようです。
「日本語の特殊性」が、強みであり弱みとなっているようです。グローバル化の時代には、インド人の英語力が強みになるとドラッカーは見ているようです。また観光大国を目指して、受け入れ側の英語教育も熱が入っているようです。「日本語」という壁が外国人には、参入障壁になっているようです。「移民」を認めなくても将来は日本に「職」を求めてくる外国人労働者が1千万人くらいになるという説もあります。そうなれば国際結婚もすすみ、人種のるつぼのような社会になるのかもしれません。人口減少の将来は、「定年のない会社」が増えたりして「労働革命」が起こるかもしれません。アメリカの事情は詳しくは知りませんが、アメリカは「定年のない会社」がほとんどといわれます。日本の「労働革命」への道は平たんなものではないようです。

・世界がビジネス社会化する一方では、「イスラム国」やウクライナなどのように戦乱地帯も増えていくのかもしれません。特に経済が破綻している地域は、戦争に道を求める手法が選ばれるようです。米国の「競争至上万能主義」、「ビジネス至上万能主義」、「マネジメント至上万能主義」の「精神的資本主義」の国では、発展途上国や後進国との格差が大きく開いていくそうです。さまざまな世界中の「格差の問題」も大きくなってきています。



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・ブログ名称: UFOアガルタのシャンバラ
日本は津波による大きな被害をうけるだろう
・第2のブログ名称:UFOパラレル・ワールド

「神の国か?」「人類の原郷か?」 「天上のエルサレムか?」・・・・・・・・・
「パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の殖民星が、地球か?」、「ネガティブのシリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるのだろうか?」
「金髪碧眼のノルディックが住んでいたアガルタのシャンバラ情報の集大成を目指す・・・・・・・・・・」「金星蛇人と火星霊人の戦争はその後どのように展開したのだろうか」
「日本民族の神話の原郷『高天原(たかまがはら)』は、『都市型の超巨大宇宙船』なのか!?」「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔なのか」
「小人族のグレイの母船に同乗する金髪碧眼のノルディックは、”悪魔の王””ルシファー”なのか?!」
「円盤は神人や異人、悪魔の乗り物なのか!?」「天使は神の秘密諜報員なのか」「神は最初のフリーメーソンなのか」
「UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象なのか。UFO問題とは、人間にとっての死の問題を解くことなのだろうか。UFOはフリーメーソンの創作なのか」
「全宇宙を創ったという“虹の神々”も地球に来ているのだろうか」
「イルミナティなどのフリーメーソン組織に入ると神に会えるのだろうか」「金星の神々は地球に到着するやいなや、イニシエーションのためのフリーメーソン本部を設けたのだろうか」「フリーメーソン結社はこの大地が創出されるよりずっと前から、さまざまな太陽系をめぐって、存在していたのだろうか」
「国際連合の設立に動いたキリストの星、アプ星人とは」
「人は皆、記憶喪失の異星人だろうか」
「はるかに進化した天使のような宇宙人は、人間の守護霊や背後霊なのだろうか」「セドナ上空に見えないエーテルのシティが滞空するのだろうか」

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