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孤立化する日本――成果を上げられていない外交
[日本の政治]
2015年11月21日 23時48分の記事

憲法の規定に基づいて野党が要請した臨時国会を開催せず、その代わりに法の支配を徹底させると息巻いて外遊に出た安倍総理は、明らかに国内における法の支配をないがしろにしました。
何というか、あまり見たことのない奇異なダブルスタンダードですが、国内における法の支配を軽視する姿勢は、そもそも国民を想う気持ち、国を想う気持ちの欠如に原因があると考えます。国内の法をないがしろにする為政者は大抵の場合、自己の利益をはかることを優先しているか、暴虐者になるかどちらかでしょう。
それでは、憲法をないがしろにして臨時国会より優先した外遊とは何であったのでしょうか。

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一連の外交日程が始まる前、G20開催中に日露首脳会談を行うことがアナウンスされました。9月末の会談に引き続いてのものになりましたが、その「成果」をあまり見出すことはできません。この会談の一方の当事国、ロシアの論調を見ると、慌ただしい中で会談を開いてもあまり意味が無いという論調です。実際、9月末の首脳会談でも同様な内容ではなかったかと分析します。実質がなく、むしろロシアの論調からは苛立ちも見えますので、かえって関係を悪化させていると思われます。

「安倍、プーチン首脳会談にオバマ氏の許可がいるのか?」(2015年11月21日 Sputnik)

G20
G20についてはどうでしょうか。今やユーラシアにおいてロシアの存在感は非常に大きくなっています。日本で言われているようなロシアが力と無法によって影響力を拡大しているのではなく、フランスがロシアと同盟ともいえる関係を築き始めたのは、日本では報道されていない側面がロシアにあることをフランスが認めているからに他なりません。
ロシアの存在はユーラシア内だけでなく、今や世界的に大きなものになっています。そのロシアと上記のように上辺だけで実質がない関係しか築けていないのですから、G20で日本が存在感を示すことはほとんどできなかったのは当然の帰結になるだろうと考えます。

APEC
APECでは、法の支配をと言っていた南沙問題は議論にすらなりませんでした。安倍外交の実力の程が鮮明に出ています。日本の影響力が低下しているか、それともそもそも方針が間違っているかというポイントがあると考えますが、米国についても同じことが言えるでしょう。いずれにせよ、日米で「タッグ」を組んでも、主張を取り上げてすらもらえないというのが実情ではないかと考えます。

「APEC閉幕:南沙、議論にならず 比、中国に配慮か」(2015年11月29日 毎日新聞)

ASEAN
ASEANの拡大国防相会議では、共同宣言を出すことができませんでした。南沙問題で対立したために共同宣言が出せなかったと報道されていますが、これは南沙問題は決着がつけられなかったということです。
拡大国防相会議は11月4日のことですが、その後に上記のAPECが開かれています。つまり、時系列で見ると南沙問題の位置づけの流れがよくわかると思います。
現状、ASEANがどうなるかわかりませんが、ここまでは成果は上がっていないと考えたほうが自然でしょう。

自衛隊を南シナ海へ派遣?
このような状況で自衛隊の南シナ海へ派遣を検討ということを安倍首相が述べたと報道されました。この首相発言について火消しの動きが官房長官や外相に見られますが、上記の一連の状況を見ると一種、首相の自暴自棄的な発言とも見えます。このような外交的なイベントが続いている時に、火消しの発言がでるような首相の発言は軽率以外の何物でもないでしょう。
それにしても、安保法制が成立してわずか2ヶ月で、域外への自衛隊派遣の発言が出るというのは、違和感があります。それは、あまりにも早いからです。法案が成立する前から準備作業が進められていることを安部首相の発言は如実に物語っています。これは次期通常国会の一つの焦点になるでしょう。

外交プレーヤーとしてみなされていない安倍外交
実際、現在の安倍政権の外交は、対米依存が強すぎて、国際社会でプレーヤーとしてみなされていないと考えます。本ブログ「評価すべき野田聖子議員の南沙問題についての発言」(2015年11月7日)でも言及しましたが、同盟関係であってもあまりに依存が強すぎると、日本と交渉しないで米国と交渉をするということになりますから、国益に反することになります。これは、国際社会においてプレーヤーとして見なされていないことを意味します。
このような状況では、日本が何かを主張しても、関係国は米国を当然見て、もし米国の利益に合致しないものはすべて日本の主張が通らないという結果に当然なります。この時点で、日本は米国との一国の関係しか成立していない状況になります。これは、ほぼ99%国際的に孤立している状況になりますし、同時に日本が米国の意のままに動かざるを得なくなることを意味します。安倍政権はこの依存が強すぎるリスクが見えていません。これは、恐らく、戦後の時代、米国との利害に関わった人たちが多すぎて、新しい時代を構想できる人がいないためでしょう。そこで言われるのは、せいぜい復古主義で、新しい時代を構想する力はほぼなくなっています。これでは、今後の時代は、どこの国も日本を相手にしなくなるでしょう。
米国への依存が強いということは、裏腹に米国との関係が築けていないことをも意味します。現状、日本の強すぎる依存は同盟国である米国の影響力を結果として弱めています。米国の国益にもかなっていないのは明らかです。これは生産的な同盟関係になっていないことを意味しますが、実は、既に日米関係も危機に瀕しはじめているのです。これは、米国の日本に対する政策が時代遅れになっていることが原因と考えますが、同時に日本の米国に対する政策も既に時代遅れになってもいるのです。上記の外交イベントでの結果はこのことをはっきりと示しています。
2013年4月、日露2+2を結んで以降、ロシアとの関係を発展させるどころか、悪化させた安倍政権の外交失策は、既にその悪影響が出始め、今後、甚大な損害をわが国にもたらすと予測します。新機軸を打ち出すことができる政権の必要性が非常に高まっているものと考えます。

通貨における新しい状況
IMFが中国人民元に準備通貨の地位を与える決定をしました。このことは、世界的に見て、FRBの問題と関係があると考えますが、影響は考えられているほど大きくはないものと分析します。
但し、通貨の問題は軍事や外交への影響があるのは間違いないので、現在の安倍政権の外交方針では、影響力の拡大をはかるのは難しくなっていくことは明らかでしょう。中東への外交方針もそうですが、アジア等での外交方針も既に見直しに迫られているのが、現在の安倍政権の外交方針の実相でしょう。現状、日本は米国やFRBの補填などをしている可能性があると分析をしますが、それは今後、日本を大きく疲弊させていくものと考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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