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ダイナミズムか、一枚岩か
[日本の政治]
2015年11月30日 23時56分の記事

先ほど、NHKの午後9時からの番組、『ニュース9』で自民党結党60周年のニュースを流していました。その中で、今の「安倍一強」の自民党を語るということで、亀井静香衆議院議員と二階俊博自民党総務会長のインタビューが交互に流れていました。亀井さんは元国民新党代表ですが、その前は自民党の派閥の領袖、自民党総裁候補にまでになった言わずと知れた元は自民党大物議員です。その彼が今の自民党を語り、一方で二階総務会長という現在の幹部が同じテーマについて語るという構成です。考えてみれば、片や自民党を出た人、片や一度出て戻ってきた人ですが、そのふたりとも実は派閥の系譜は同じなのです。

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インタビューで亀井さんは相変わらず面白いことを言っていて、昔は自民党内は喧々諤々(けんけんがくがく)、ダイナミズムがあったが、今は皆、何も言わずに金太郎飴のようになっているという趣旨のことを述べていました。自民党に限りませんが、やはり議論がない、多様性のない場というのはダイナミズムが失われていくのは確かでしょう。
一方で、二階総務会長は、党で決めた方針に一枚岩になることは良いことで、昔よりも現在の方が進んでいるという趣旨のことを言っていました。党の幹部として、また「安倍一強」と言われる中で、自民党内部が一枚岩でない方が良いなどとは言えないのだろうと思います。
ただ、二階総務会長のお話を聞いていて、人間とはそんなに頭が良いものなのだろうかと疑問に思いました。政治の世界は一寸先は闇といわれますが、現実の社会や経済も国際情勢も常に動くダイナミズムの中にあります。その状況の変化に対応するには、その時、その時の判断力が必要とされ、その判断力の良さが政治には求められます。特に政治には最初から答えがあるわけではありません。現実対応力と判断力が非常に問われますが、そのためには衆知を結集して、多様な視点で喧々諤々して方向性を見出すしかないでしょう。最後に決断する者は一人かもしれませんが、その決断に至る過程においては、金太郎飴の一枚岩ではなく、やはり多様性が担保される必要があります。
内部で人が口をつぐむ組織は、思考がモノ(単一)になり、走りだすと止められなくなり、最後は滅びます。本ブログ「『日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦 』(NHKスペシャル取材班)」(2015年11月9日)でも触れましたが、太平洋戦争に至る道筋においてやはり軍部で沈黙が支配する状況に至ります。そして、皆「米国に戦争で勝てる」と言って突っ走るわけですが、その結果は日本の破滅です。これが一枚岩の成れの果てであると考えます。一枚岩になることが進んでいるとは思えませんし、むしろそこに怖さを感じます。
また、二階総務会長の言葉の裏側に、本質が「野党」なのだという感覚を持ちました。政権与党なのですから一枚岩であるより、国民の意見に広く耳を傾けなくてはいけません。自民党国会議員はそもそも選挙区の代表ですから、まずその地元の声を拾い上げ、その代表でなくてはなりません。日本の内情は千差万別で、その各事情を国会や党内で調整して方向性を作り出すというのが、国会議員としての職務でしょうし、そのために歳費が出ているのです。これが民主主義の流れです。最初から方針が決まっていたら現実に対応できないですし、国会議員としての職務も果たしたことにはならないでしょう。
NHKの『ニュース9』のキャスターが、政権与党だから国民の声を広く聞くことが大切というようなことを言っていましたが、その通りでしょう。
自民党は、なぜか、まだ野党気分が抜けていないように思います。与党であるのに心は野党というギャップが現在の日本の政治における問題点の一つでしょう。そして、振り返れば民主党はまだ与党気分が抜けていない。悲しいかな、このことが日本の政治の最大の問題なのだろう考えます。これでは、憲法を軽視する責任感がない与党が生まれ、一方でそれを抑止する野党がない状況が生まれてもしかたがないでしょう。大変に危険な状況です。
いずれにせよ、ダイナミズムがなくなった組織や社会というのは、生命力がなくなってきた証拠であろうと考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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