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銃乱射テロに関してオバマ米大統領、異例のテレビ演説
[世界の読み方]
2015年12月7日 23時48分の記事

昨日、本ブログ「テロとの闘いに関する一つの見方」(2015年12月6日)で触れましたが、米国のオバマ大統領が、12月2日に発生した米国での銃乱射テロに関して異例のテレビ演説を12月6日夜(日本時間7日午前)に行っています。

「『銃乱射事件はテロ』 オバマ氏、異例のテレビ演説」(2015年12月7日)

「オバマ大統領、テロ非難 国民向け演説『脅威、新たな段階に』」(2015年12月7日 毎日新聞東京夕刊)

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このテレビ演説を見ると、彼の非常に慎重で理性的な姿勢、そして昨日も触れましたが彼が置かれている政治的状況などがわかります。非常に良い内容の演説で、やはり有能な人物と思います。
演説では、今回のテロによって「『米国とイスラム教徒の戦い』ととらえるべきではないと警告」(2015年12月7日 毎日新聞東京夕刊)し、差別や対立の構図を作らないようにしています。対立の構図が生まれれば、国内での混乱に拍車がかかり収拾できない可能性も出てきます。同時に、対立の構図が作られることによって、実はテロを仕掛けたものからコントロールされることになります。ディバイド・アンド・ルール(分断統治)です。これを避けようとしてると考えられ、それは適切な処置と考えます。
また、この異例の演説の中で、シリアへの関与について語っています。シリアに対して、オバマ大統領は「『長期にわたり犠牲の大きい地上戦』に踏み込むべきではないと語り、大規模な地上部隊派遣はすべきでないとの立場を改めて強調した」(同上)と報じられています。今回の米国内でのテロに関しての異例の演説でシリアへの関与について語るのは、昨日に本ブログで指摘した通り、テロが戦争拡大の装置であるという認識がオバマ大統領にはあるものと考えます。これは大変な英断であると考えます。
オバマ大統領は、テロの脅威が新たなる段階に達したと述べていますが、今回のテロ事件は国内で生じたこと、ホームグロウンです。これはテロ撲滅のために空爆するわけにもいかず、違うアプローチが求められているということは非常に明らかです。このようなことの背景は先進国内での人的性向や人的関係に由来するもので、オバマ大統領はこの意味でも対立の構図を作らないようにし、また米国内のイスラム教徒への責任を述べたと考えられ、良かったものと考えます。
このホームグロウンの問題も昨日に本ブログで指摘しましたが、人の消費性向に大きなポイントがあるものがあり、人種や宗教とは違う次元のものと考えます。日本で20年前に生じたテロ事件に同種のポイントがあるものと考え、そのような意味で日本の経験は今後、この種のテロについて示唆を与えるものと考えます。問題なのは、なぜテロをする人間が作られるかということです。
昨日に本ブログで書いたように、オバマ大統領はリーダーとして様々な要素を考え、国民へメッセージを出すことを決断したものと考えます。昨日、触れたドラマでの大統領と同じ状況であったのではないかと考えます。テロが起きたから、すぐにテロとの闘いというだけの短絡的にはならない思考がそこにはありますし、リーダーとして大変良いものと考えます。

ウクライナ紛争調停
本ブログ「COP21での外交」(2015年12月1日)で指摘しましたが、COP21でロシアのプーチン大統領と米国のオバマ大統領が11月30日に会談をし、その中で今年2月のウクライナ停戦合意を履行する以外の解決策はないという考えを両者で確認しています。これは米国もこのウクライナ停戦合意の枠組みを認めたということですが、その2日後に今回のカリフォルニアでのテロが発生しています。これまで、先進国ではこのウクライナ停戦合意をまとめたところでテロが生じています。フランス、ロシア、そしてドイツは、航空機が墜落しました。偶然にしてはかなり奇妙な一致であると考えます。やはりテロは戦争の拡大装置であるという側面はどうしても浮上します。
日本経済新聞が、以下のようにイスラム国の台頭は、2013年シリア危機で米国がシリアへの軍事行動に踏み出さなかったことにあると書いていますが、これはかなり偏った見方であると考えます。

「シリア危機、テロの火種 『イスラム国』台頭許す 」(2015年12月7日 日本経済新聞)

この記事において非常に特徴的なのは、中東の問題であるのにイスラエルという文字が一切ないことです。2013年9月のシリア危機の時はイスラエルは米国とともに行動をしていましたし、米国がシリアを攻撃したらイランがイスラエルを攻撃すると警告し、中東大戦(第3次世界大戦)の危機があったことは何も書かれていません。また、この時、実際に英国が米国と軍事行動をすることが議会で否決され、やめています。米国のオバマ政権の判断だけを根拠とするのはかなり問題があります。
原油の値段はその時以降も一貫して落ちていますので、米国が単に国内シェールオイルによって中東関与の度合いを低下させているとは言えないだろうと考えます。そこにある現実は、中東を含めたユーラシアの構図の変化であり、その変化が進行している一方で、これまで中東などに影響力を持ってきた勢力がその新しい構図を認められないことによる拮抗が本質と考えます。日経の記事は新しい状況に適応できていないか、利害をどこかと共有しているのかもしれません。経済紙にしては現実に敏感ではないように感じます。
上記のような状況で黒海やトルコ、ウクライナの問題があるのです。そして、新しい枠組みの中でイランと米国の和平が成立しているのです。

米国の銃規制
オバマ大統領は演説の中で、米国における銃規制に言及しています。今回のテロ事件だけはでなく、銃乱射事件は米国で多発しています。実際問題、これらの根は同じでしょう。テロは抑えられても、銃乱射事件はこれからも生じる可能性が十分にあります。その場合、銃規制ということは当然、取りうるべき対処法の一つでしょう。
米国では銃の保持は文化とも言えますが、皆が所持しているわけでもなく、常時携帯しているわけでもありません。ただ、銃規制をしても、都会はともかく、隣の家が見えないような地域では常に不安が伴います。このようなことが心的なポイントでしょうが、銃の問題に決着をつけないと、米国の危機もこのことによって生じていく可能性は今後、十分にあると考えます。

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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