CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味? | |
[日本の政治] | |
2016年1月19日 13時6分の記事 | |
昨日の小日向証言の続編で、「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?」(2016年1月18日)の続きです。今回はVOA放送や歴代首相がしてきたサインについてです。 「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?」(2016年1月18日) 「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?」(2016年1月17日)
VOA 一昨日の記事「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?」と昨日の記事「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?」で取り上げた、小日向氏の証言の中に「VOA放送」という言葉が出てきました。VOA放送というのは、「ボイス・オブ・アメリカ(Voice of America)」という米国政府が運営する国営放送で、冷戦期は米国情報庁(U.S. Information Agency)によって運営されていました。小日向証言でのVOA放送とは短波帯の放送のことですが、証言ではVOA放送について以下のように述べられています。その証言部分を再掲します。括弧内は筆者注釈です。 (小日向) ところが、この復興資金三十億ドルの借りも背景にあってか、講和条約を結んだ時に、吉田さんは日本の航空権、国防権、電波権を売り渡し、その自由使用をアメリカに認める特別覚書きを密かに入れているんだ。 今年の四月二十六日にニューヨーク・タイムズが“核戦力の通過問題”の密約説を発表したが、それは、その中の一つにすぎない。この記事も漠然としているが、一応発表したということは、密約問題を僕がしゃべってもいいというようにうけとったので、いってしまうわけだが、この密約によって、日本の自衛権は一たん戦争が始まれば、全部アメリカの指揮下に入らなければならないわけだ。また日本は、アメリカ軍の施設には、アメリカの許可がないと自衛隊でも入れないが、逆にアメリカ軍は、自衛隊の施設でもどこでも自由に入れるという不平等な状態がいまでもつづいているわけなんだ。 だから、憲法も安保条約も、実は見せかけにすぎないんで、日本をしばっているのは、この密約なんだよ。 したがって、日本の国内にも核はあるんだ。 先頃問題となった沖縄のVOA放送、これは何のためにあるかと言えば、中国が原爆をもっている。中国はそれを使う気は全くない、よその国にその技術を売ろうとさえしているんだが、ソ連は、日本と中国を牽制するためにICBM網に懸命なんだ。そこで、これを防ぐには、迎撃して空中でおとすABM網が必要なんだが米ソはお互いに相手が、それをもっていることを知っている。そのABM網の電波探知機の触覚になるのが、あのVOAですよ。(『富士ジャーナル7月号』1971年 P.25−26) ABMとはAnti-Ballistic Missile、弾道弾迎撃ミサイルのことで、敵の弾道ミサイルを迎撃するミサイル(システム)のことです。 この「ABM網の電波探知機の触覚になる」VOA放送とは、OTHレーダー(Over The Horizon Radar)のことです。このレーダーの仕組みを簡単に言うと、各地にアンテナなど通信施設を設けて電波網を張り巡らせ、その電波網の区域にミサイルなどが飛来すると電波の乱れが生じるので、それを利用して探知するというものです。この電波網に短波帯の電波を使用するレーダーは、水平線以遠の遠距離までを探知できるもので、日本で米軍が北海道(キャンプ千歳)、沖縄(泡瀬通信施設)、そして埼玉県(所沢補給廠)で施設を設置していました。 そして、VOAに関しての小日向氏の証言は、以下の文章へと続いていきます。 本誌(富士ジャーナル) 朝日ジャーナルが昨年ですか、日本全国のをだしましたね。 小日向 日本だけで僕が知っているのは十一ヶ所もある。北海道でも二ヶ所、沖縄と同じ型で一つも違わない。 それで僕はアメリカに「これは残酷ですね。アメリカの兵隊も国民も一人も痛めずに原爆を使うことが、あなたの方はできる。しかし、日本の国民は全部犠牲になるんですね。ICBMを日本の空で抑撃し、二十発も核を一キロ上空で爆発させてごらんなさい。一億一千万の人口のうち、六千万は即死、残った五千万も全部原爆症になる。」と言ったら、向こうさんは黙っておったよ。 アメリカ国民をアメリカで殺させないために、アメリカの領土を破かいされないために、日本を犠牲にしようとしているんだ。そのために、あの密約を結ばせたわけなんだ。 VOAは宣伝放送だけじゃないんだよ。ABM網の最先端であることをわからせないために、わかりにくいところにちゃんと作っているんだからね。 その時、アメリカはこういうんですよ。「米中が手を握り、日本の国内がゆさぶられてもくずれないような体制になった時には、あの覚書きの密約、これは石橋さんを除いて歴代の総理がみんな異議なく実行しますとこれにサインしているそうだがこれを白紙に戻してもいい」「国民全体の合意ができたなら、いつでも日本の政府代表にサインを拒否して貰っていい。アメリカとしては、いつでも喜んで解除するだけの用意はしております」というわけだ。 まあ、ニクソンドクトリンを実行していけば、そういうことにもなると思うが、このままじゃ日本にとっては密約がはやり問題だね。(『富士ジャーナル7月号』1971年 P.26) 電波権無き日本では当然、米軍によって電波がこのような形で使われていたのは容易に想像がつきます。小日向氏もそう指摘していますし、このような体制を日本で維持していたのは他ならぬ日本の政治家なのです。 VOA放送が単なる反共のプロパガンダのためと考えるのは人が良すぎで、実際には、上記で小日向氏が指摘しているように、日本や日本国民が米国へのミサイル攻撃の盾、もしくは犠牲になっているわけです。このことだけを考えても、日米に存在する「安保タダ乗り論」などは暴論も良いところです。むしろ、日本の政治家、特に自民党がこれまでしっかりと米国に対して主張していないからこそ、現在までも「安保タダ乗り論」が米国で横行するものと考えます。 そして、このVOAと関連する話が、日本のテレビ放送網が同じようなかたちで使われていたというものです。これはVOAで使用していた短波帯の電波を、妨害電波に強いマイクロ波に変え発展させたレーダーと考えられます。このことに関連して、1954年12月3日、参議院電気通信委員会で山田節男委員が次のように質問をしています。 私は、ここで何故正力君のテレビ免許申請の経過を殊更詳しく述べるかと申しますと、只今当委員会で問題となつているマイクロ・ウエーブ中継所設置問題と非常に関係が深いと申しますか、不即不離の関係にあるからです。ユニテル社の機関誌テレ・テツクの一九五二年二月号五十七頁を見ますと、この正力氏の計画し政府へ申請したテレビの東京放送局(NTV)は、ユニテル杜が企画しているグロバール・マイクロウエーブ・システムのアジアの第一ステーシヨンであることか明記してあります。換言すれば、NTVは、テレビでもつて、自由諸国家をつなぐ、即ち前述のヴオイス・オブ・アメリカと並行してヴユー・オブ・アメリカの一環であると思われるのであります。 当時、この放送網に関しては大きな問題となっていますが、この質問を見てもそのことがよくわかります。普通、単なるプロパガンダ放送を拡大するために放送網(電波網)を設けるということは考えにくいことでしょう。むしろ、上記の小日向証言とこの国会質問で「ヴオイス・オブ・アメリカ」と言われていることを合せて考えれば、ABMのためのレーダー網という軍事的な側面を考えた方がつじつまがあいます。このことは、同じ質問で以下のように言われていることからも明らかでしょう。 NTVがマイクロウエーブ施設を、アメリカからの借款で建設せんとして、電電公社に貸与せんとする申入れが拒絶されるや、今度は手を変えて、防衛庁へ、そのマイクロウエーブ施設の管理を一部委ねる形においてこれを建設せんとする意図を持つていることは明らかであります。 短波帯の電波から妨害電波に強いマイクロウェーブを利用し進化したABMシステムということをこの質問は述べていると考えます。 このマイクロウェーブ電波網は日本だけでは無く、世界的に展開されたものの一部です。以下のように山田委員は述べています。 ついでに申しますが、このユニテル社のグローバル、マイクロウエーブ・システムは、アメリカ、アジア、アフリカ、地中海、ナルコム、(北大西洋)スカンジナビヤの六つのネツト・ワークのブロツクに区分し、北大西洋はグリーランド、アイスランドを経て英国へつなぐのであり、マイクロウエーブのほかに超過電力のVHFを利用し、又はコアキシヤル・ケーブルを利用して長距離の海上中継をやるのです。この方面は技術的にも可能なことは確かですが、アメリカから日本へつなぐのにはアリユーシヤン群島から、千島列島かソ連領である今日、如何にして北海道の北端を中継するか、この海上距離の長大なることから、末だ結論的なものはないやうです。 ABMシステムを米国にとってより堅固なものにするには、世界的なネットワークにする必要があるわけです。日本はその一部と言うことです。 このような話についても、『原発・正力・CIA 機密文書で読む昭和裏面史』(2008年 新潮新書 有馬哲夫著)などを記した有馬哲夫氏の著作でも明らかのようにCIAが関わります。西日本新聞の二つの記事は、かつての日本で秘密裏に行われていたことを証明する一里塚になっていくのです。 サインを拒否した宰相 上記の小日向氏の証言に、覚書きの密約に石橋湛山元総理以外は歴代総理の皆がサインしたとあります。石橋内閣は2ヶ月という極めて短いものですが、この証言ともしかしたら関係があるのかもしれません。 このサインを拒否した宰相が、戦後、もうひとりいるのではないかと考えています。それは鳩山由紀夫元総理です。そのようなことを耳にしたことはありませんが、当時、近しい場所にいたことを思い返すと、その可能性も考えます。そして、当時、巻き起こった鳩山批判の背景の本質は正にここにあると考えますし、その背景が現在のTPPなどを推進しているものと考えます。つまり、第二の戦後体制を構築しようとしていると考えますし、それを国内で推進しているのは他ならぬ日本人なのです。 次回は尖閣問題について触れていきます。 | |
このブログへのチップ 0pts. [チップとは] [このブログのチップを見る] [チップをあげる] |
このブログの評価 ★★★★★ [このブログの評価を見る] [この記事を評価する] |
◆この記事へのコメント | |
コメントはありません。 | |
◆この記事へのトラックバック | |
トラックバックはありません。 トラックバックURL https://kuruten.jp/blog/tb/katagiri/345002 |