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CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?
[日本の政治]
2016年1月20日 14時9分の記事

今回は、「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味」の4回目で、昨日の小日向白朗氏の証言を取り上げた「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?」(2016年1月19日)の続きです。今回は尖閣問題について取り上げていきます。

「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?」(2016年1月19日)
「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?」(2016年1月18日)
「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味?」(2016年1月17日)

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これまで、新春から出された西日本新聞の二つの特大スクープ記事、「『外務省が機密解除に反対』 CIAの自民政治家へ資金 米元諮問委員が証言」2016年1月6日 西日本新聞)「『外交の闇』隠蔽躍起 『核密約』も米に要請か 外務省、80年代」(2016年1月6日 西日本新聞)と1971年に出された『富士ジャーナル7月号』での小日向白朗氏の証言を見つめてきました。この西日本新聞の二つの記事は、記事に書かれていること以外の多くのことをも裏打ちしていきますし、同時に過去の証言を合せて考えるとこれら二つの記事がさらに立体的に見えてきます。そういう意味で、この西日本新聞の二つの記事は極めて大きな意味を持つ特大スクープなのです。
今回は尖閣問題を取り上げます。

尖閣問題の実相
これまで取り上げてきた1971年に出された『富士ジャーナル7月号』の内容は、当時、最大の政治テーマである米中接近ということについて書かれたものです。その国際政治の舞台裏で小日向氏が動いたので、彼へのインタビューとなっているわけですが、同種の記事は同時期に『週刊現代』でも出されています。小日向氏は、一種、当時の「時の人」ということです。
米中接近は、米国がベトナム戦争から手を引く際に、どうしても中国との関係を築く必要があったことから生じます。つまり、ニクソン大統領が選挙公約として掲げたベトナムからの名誉ある撤退を実現するために米中接近が生じるのです。これがニクソンドクトリンなのです。
しかし、当時、米国には中国との有力なパイプがなく、そこで白羽の矢が立ったのが小日向白朗氏であったわけです。小日向氏はアジアから戦争がなくなることを願い、ニクソン政権の動きに協力します。このような意味で、小日向氏は当時のニクソン政権の路線(ニクソンドクトリン)を認め、また前向きなアドバイスをしているわけです。
米中接近ということは、それまで国連常任理事国であった中華民国(台湾、国民政府)の問題に必定、関わります。そして、それは同時に日本の政界にある台湾ロビー(人脈)に関わっていきます。この日本の政界の台湾ロビーと尖閣問題について、『富士ジャーナル7月号』で小日向氏は以下のように証言をしています。この証言で言われていることも一般に考えられているものとは全く逆のことです。括弧内は筆者注釈です。


本誌(富士ジャーナル) 陳伯達のいう四大財閥の復活ですから、金は十分ありますしね……。

小日向 これは別の話だが、僕が帰国した後、アメリカから有力な人がきて、岸たちの主流派と台湾との結びつきを徹底的に調べたらしいんだよ。それによると、蒋さんの海外にもっている資産は百億ドル近くあって、その中の五十億ドルはリオデジャネイロにあるというんだ。
そこで、すぐに香港に電話して調べて貰ったら、やはりサッスーン系の華僑の名前で裏山附近の土地を全部買い占めてあるそうだ。こういう人と手を結んでいる台湾ロビーが、米中の接近に極力反対するのは、あたりまえでしょう。
丁度、僕がワシントンにいる時に岸さんが三日ぐらい遅れてやってきたんだが、どうも反ニクソンの巨頭と手を握って、米中接近をじゃまするような工作をした徴候があった。
というのは、彼が帰ってくると、すぐに矢次一夫が、パッと台湾にとんで何かし始めた。俺の方でも組織をもっているから、行動はすぐわかるんだが、案の定、台湾政府が、“尖閣列島は台湾の領土なり”という宣言をしたんだな。それを、矢次が台湾滞在中に行われたということがわかったので、僕もカーッとなって佐藤内閣の閣僚連中にわざと聞こえるように、ワンクッション、ツークッションおいた上で「台湾政府に尖閣列島はわが領土なりといわせたとなると、誰がいわせたかは知らないが日本の領土を売ったことになる。
売国行為のみならず、亡国行為、いや国を滅ぼす行為だ」と言ったんだな。彼らは、僕を知っているから途端にあわてふためいて、早速に佐藤栄作が「尖閣列島は日本の領土である」とわざわざ二度にもわたって念を押すように発表したでしょう。

(中略)

本誌 反ニクソン派に岸さんが近づいているというのは、ガルフじゃないですか。

小日向 ガルフですよ。僕はテキサスまで現場を見にいったからね。
尖閣列島にしても、ガルフが岸などとくんでやることになっていた。
そこで僕はアメリカに「こうした反ニクソン行動を放っておいていいのか」とまた言ったんだ。すると一ヶ月もたたない中にガルフを引揚げさせてしまった。
(『富士ジャーナル7月号』1971年 P.23−24)

この『富士ジャーナル7月号』の記事は1971年のものですが、小日向氏の渡米や、小日向氏が言及する岸信介氏の渡米、台湾への動きと台湾の反応などの出来事は、すべて1970年に生じたことです。
そして、このときから尖閣問題は始まるのですが、その発端は日本側にあると言うことです。
2013年4月、安倍政権は台湾に対して尖閣諸島海域での漁業権で日本は大幅に譲歩していますが、その背景には上記のような歴史的経緯があるものと考えます。
上記の小日向氏の証言では、テキサスの石油資本、岸信介氏の動きなどが語られていて、米中接近に抵抗する台湾ロビーの動きを小日向氏は利権の問題と述べています。実際、現在もあまり変わらないのではないかと考えますが、米国を見る時、このような二重性があることを忘れるべきではないでしょう。そして、小日向氏がこのような行為に対して売国行為、亡国行為と表現していますが、私もそう考えますし、現在も同じことがなされているのではないかという視点でもの事を見つめ、考えることは、歴史的経緯から考えても決して無駄なことではないでしょう。
上記のことを証明するように、実は1970年、この台湾、尖閣、ガルフ(テキサスの石油資本)の関係は国会でも取り上げられています。1970年8月10日の参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会で川村清一参議院議員が質問に立ち、以下のように述べています。


○川村清一君 十分な関心を持って対処していきたいという観念的な外務大臣の御意向は了解いたしましたが、しかし、問題は具体的に進んでおるのでございます。最近伝えられているところによりますれば、尖閣列島周辺の海域を含む東シナ海の大陸だなについて、国民政府はアメリカのガルフ・オイルの子会社であるパシフィック・ガルフ社に対し石油鉱区権を与えたと八月一日付の某新聞は報道しております。このことは、尖閣列島は当然日本の領土であるとするわが国の立場とまっこうから対立し、外務省としても、非公式ながら、国民政府の一方的な行為は国際法違反であるとの見解を明らかにしているようでありますが、こういうように具体的に問題が進んできておる。観念的な政府のお考えはわかりましたが、この問題に対してどう対処していかれるのか、この点を明らかにしていただきたい。


この質問に対して当時の外務大臣であった愛知揆一衆議院議員は、以下のように応えています。


○国務大臣(愛知揆一君) これは観念的な問題ではなくて、事実、大きな問題でございますから、先ほど申し上げましたように、日本政府としては国民政府に対しましても、かような一方的な宣言とかあるいは鉱区の設定等をやったって、これは国際法上無効なんであるということの申し入れをしておるということは政府としての具体的な態度でありまして、かようなことは国民政府としても軽々に私は行ない得ないことであると思いますが、ただいま申しましたように、申し入れをしているということは、これを重要な外交案件として国民政府に対して十分日本政府としてとるべき措置についてはやっておると申しましょうか、ことばが練れませんけれども、十分な工作といいますか、話し合いといいますか、これを展開中でございます。


かなりしどろもどろの答弁です。それはさておき、この答弁でも明らかですが、小日向氏が指摘したように台湾とガルフの関係を当時の日本政府も認めているわけです。そして、その台湾と石油利権については、小日向氏が「尖閣列島にしても、ガルフが岸などとくんでやることになっていた」(同 P.24)と言うように岸氏をはじめとする日本の中の台湾ロビーの利権の問題であるわけです。そのような中で出てくるのが、尖閣の問題の実相であって、問題をつくり出した本質は実は日本側にあります。だから、外務大臣の答弁もしどろもどろになっても当然のように考えます。いずれにせよ、この尖閣問題の本質はよく考える必要があるでしょう。
日本の政界の一部と石油資本との関わりと言うことは非常に重要なポイントと考えます。言うまでもなく、現政権も血縁ですから当時の台湾ロビーの系譜に間違いなくあります。そして、この尖閣の問題は石油資本(テキサス)と関わるということは常に忘れるべきではないものと考えます。
こう考えると、原油安において、その原油安を日本にとって「恩恵」と前向きにとらえることができない現在の政権の不可解さは、必定、ここにポイントがあるのではないかと考えます
小日向氏は、このような動きがあるとニクソンドクトリンの実現が遅れていくと述べています。そして、それはアジアの平和が遅れることを意味します。当然、このような米国の政策の大転換は、日本国内の政治を左右させ、上記のような台湾ロビーの動きも出てくるわけですが、同時に様々な形で、日本国内の政治情勢を左右していきます。
そのことは、当然、このニクソンドクトリンと軌を一にして動く日中国交正常化での田中角栄氏の意味も一般に思われていることとは違う実相が浮かび上がってきます。次回はその政治情勢について書きましょう。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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