舛添都知事は誰に白旗をあげたのか? | |
[日本の政治] | |
2016年6月6日 23時50分の記事 | |
舛添都知事の政治資金支出における公私混同の問題について、本日、知事は、このことを調査した元検事の弁護士とともに記者会見にのぞみ、その模様はテレビ各局で生放送されました。 「舛添都知事が会見、私的流用疑惑「違法性ない」」(2016年6月6日 TBS)
この会見を聞いた多くの人が感じたように、違法性と道義的問題というポイントは間違いなくあるでしょう。しかし、この会見を行った本当のポイントは他にあるように考えます。 政治資金規正法はそもそも政治活動に伴う資金の流れを公開するということにポイントがあります。そこに実は支出がいかに行われるかということについての規定はありません。ただただ政治活動に伴う資金の流れを公に公開し、それを有権者に判断して貰うと言うことに法的な意義があるわけです。これはこれで良いと考えますが、だからこそ、虚偽記載や週刊誌等で指摘されて後から修正申告すると言うことには大きな問題点があるわけです。 調査をしたふたりの弁護士が、「不適切」とした支出は違法ではないが、同時にこれが舛添知事の政治家として考える政治活動と言うことなのです。そして、それを「不適切」として判断するのは、このふたりの弁護士の仕事では本当はなく、有権者の権利であり、責任でもあるわけです。もちろん、このふたりの弁護士が「不適切」と考えるのは個人的な問題としては許されますが、公においては有権者の判断がすべてです。もちろん、今、都知事選挙をすれば間違いなく舛添氏は落選するでしょう。 このような支出を政治活動として「公開」するのは、記載事項を政治活動と舛添氏が考えているものという政治家としてレベルの問題か、このようなものを公開しても有権者は黙っているか問題にしないとなめているかのどちらかでしょう。 今回の記者会見を見ていて、一種の「みそぎ」に見えました。弁護士が不適切と断罪し、それを聞いた都知事がうなだれ、不適切でしたと反省する。しかし、これは単なる茶番にしか見えないものです。そこに有権者の判断はありません。ですから、有権者次の選挙での投票について考える、もしくはリコールなどの権利に訴えるということになるのが今回の問題の筋でしょう。もちろん、舛添氏の辞職という選択肢もありますが、それは本人の判断、政治家としての判断で、後々有権者に判断されるものです。 あと付け加えて言うなら、この観点は同じ政治資金の問題で焦点となった甘利問題でも現状においては同じです。 舛添都知事は誰に白旗をあげたのか? この記者会見を見ていて、実は舛添知事が白旗を揚げたのは自民党という印象を強く持ちました。特に政党助成金の使途が自民党は厳密だった言及したことにその印象を強く持ちました。 しかし、白旗を舛添知事があげた言うことは、そもそも舛添都知事と都知事選で舛添知事を推薦した自民党が対立することがあったのかということになります。それが実はあり、以下の記事に書かれています。 「舛添都知事 安倍首相と菅官房長官にケンカ売り続けてきた」(2016年5月17日 週刊ポスト) この記事では、舛添知事が憲法問題、韓国との歴史認識問題で自民党政権と対立してきたと書かれています。舛添知事は自民党憲法草案について「立憲主義がわかっていない」(2016年5月17日 週刊ポスト)とまで言ってしまっているわけです。そんな本当のことを言ってしまえば、もちろん対立するでしょう。 ただ、これら対立点の中で最大のものはカジノと憲法でしょう。カジノについては舛添氏の「東京にカジノはいらない」(2016年5月17日 週刊ポスト)一言で大きく流れが後退しています。発言に関しては正しいことでしょう。 そもそも今回のような舛添都知事に関わる様々な疑惑で、弁護士ふたりに調査を舛添氏が依頼したということは、最初から違法性に関して問題がないという見通しがあってのことでしょう。だからこのような茶番劇になるわけですが、その茶番の本質は辞職に至らないように有権者の納得と論点の収束をはかることがポイントでしょう。 そして、この最低限のポイントを押さえた上で、この会見の本当の目的は自民党に白旗をあげることであったと考えます。これは明日からの議会での追及も視野も入っているのは間違いありませんが、より知事としての地位を安定させるために自民党と関係改善をなすことが目的と考えます。 したがって、舛添氏は上記のカジノと憲法という2点について今後、変節する可能性があるものと考えます。韓国との歴史認識問題は今年初めに一応解決しています。 ただ、自民党がこれに応じるかどうかはわかりません。明日からの議会での対応が一つのポイントになりますが、舛添氏を変えて、次の国会で一気にカジノというシナリオがあるものと考えます。 そういう中で以下のような記事が出てくる当然と考えます。 「ポスト舛添に嵐・櫻井翔パパ“待望論” 小林吉弥氏『技量的に十分、自民が担げば当選』」(2016年6月6日 夕刊フジ) ポスト舛添として名前が上がっているのが、人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔さんの父である総務省の桜井俊事務次官です。カジノなどの賭け事に関する所轄官庁は、様々にあります。宝くじは総務省、中央競馬は農水省、地方競馬は地方自治体、競輪とオートレースは経産省、サッカーくじは文科省、そしてパチンコは警察庁です。ただ、カジノについてはまだ所轄官庁がはっきりとしていなく、それが総務省になるという方向性があるのかもしれません。少なくともカジノと所轄官庁ということは当然、都政においても今後ポイントになるものと考えます。 この他に、現在、ポスト舛添の名前が多数上がっていますが、その方々とカジノという観点はポイントとして間違いなくあるものと考えます。そして、もう一つが憲法という観点です。それらの方々の名前が上がっていることの理由がここにあるものと考えます。 しかし、いずれにせよ、舛添氏の会見も、また舛添問題に関わると考えられる動きにも有権者は不在です。これが都政というのなら、それは大きく道を外していると言えます。 これまで、猪瀬前知事と舛添知事はどちらも自民党・公明党という現在の与党の支持・支援もしくは推薦で当選しており、そして、二人とも大きな問題を抱えるに至っています。明らかに次の知事は、この系譜から外れる候補者か、野党系の候補者がふさわしいのは当然の成り行きでしょう。ただでさえ、オリンピックにおいて利権というものが生ずる可能性が大きいのですから、カジノを否定し、清い政治ができる者がふさわしいのは言うまでもありません。 | |
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