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今だから改めてTPPについて考える?
[日本の政治]
2016年12月17日 7時18分の記事

本ブログ「今だから改めてTPPについて考える?」(2016年12月16日)の続きです。

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安全保障の面から見ればTPPとは何かと言うことが一目瞭然ですが、日本の場合、目先の利益、経済しか見ないので、自分の足下が知らずに失われているというのが実相と考えます。
この国家の消滅はISD条項を見ても明らかです。これまで米国は日本に対して対日要求を繰り返してきました。それらのほとんどは日本の市場開放と言うことですが、本質は米国政府を通して私的企業や私的資本が、日本の市場で有利に経済活動をできるよう日本政府に要求してきたということなのです。だから、TPP=米国と考えたわけです。
しかし、ISD条項はその米国政府を吹っ飛ばして直接日本政府に要求ができるようになることを意味します。これは明らかに米国の国家機能の消滅を意味します。もちろん、これは日本にも当てはまります。政府というのはTPPにおいてはせいぜい連絡窓口というくらいのものなのです。
現状、日本は自国の利益を売り払って国家と言うことをぶちこわして、日本という地域でブロック経済に組み込まれるという選択をしたに過ぎないということなのです。これは相当問題があることです。そして、米国はそこから離脱するわけです。どちらがまともか答えははっきりとしています。
そもそも貿易とは国と国との間で行われる商品の売買のことを言います。自由貿易とはその際の障壁をなくすことですが、TPPでその『国』がなくなってしまうのなら、それは明らかに『貿易』ではありません。市場における商品の売買ということです。日本国内で商品の売買をしてそれを『貿易』とは呼びません。国内での経済行為です。TPPというのは『自由貿易』ではないのです。TPP圏内での経済行為・商行為というのが正確な表現なのです。用語の使い方が間違っているわけで、『TPPが自由貿易の旗』などというのは明らかに日本国内で経済のことしか考えていない人向けのプロパガンダです。
こう考えれば、TPPから離脱し、多国間協定も見直すという米国が、実は自由貿易の精神を堅持しているということなのです。そして、日本こそ自由貿易の精神を放棄したということなのです。
現状、TPPを米国が加わらない状態で、ほぼ日本が自国だけで行うような状態ですが、日本は一体どこに向かおうとしているか甚だ疑問です。まさにそこに見える国家像は極めてヘンテコなものです。TPPに賛同する保守層という変な人たちがいますが、それが最近、国家の形などという言葉を吐いているのをみるとそこに明らかな欺瞞を見いだします。
国家というものが消失すれば、政治が形骸化され、同時に資本の論理だけが横行するようになります。そうなれば、社会は壊れますし、同時に公共という概念は消失し、政治的調整は行われない状況が出現します。それは政治がなくなるということなのです。政治を考えない保守層とは一体何なのか、普通に疑問が浮上します。その本質は、実際の所、保守ではないということなのです。

米国がなぜ降りたか
国家を消滅させるTPPから米国は離脱します。そうなるとTPPを主体的に進めていたのが米国ではないことがよくわかります。それでは日本なのか? 国家を消滅させるTPPにどこかの国が積極的に関与するという考え方自体、意味がないものと考えます。
TPPを進めていたのは、市場が統合化されることによって利益を得る私的企業や私的資本です。今風に言えば、これはグローバル資本であり、昔の言葉で言えば国際金融資本です。そこに戦争(軍事)も、通貨も、市場の本因があるのです。TPPに賛同する政治家というのはその周りにいる人々です。
戦争とお金の構造についてはこれまで何度も拙著や『ザ・フナイ』の連載で述べてきました。戦争を国と国との問題と考えるから物事がわからなくなるのです。資本というのは150年以上前の近代期からとっくに国際化しています。その国際化した資本の動きによって戦争があるのであり、その逆はありません。軍事とはお金なしでは動かないからです。このようなことは本ブログ「宿痾」(2016年12月13日)でも書きました。
そういう私的資本の動きにこれまでずっと国というのが翻弄されてきたのが、世界史の実相です。そして、今度はその国もなくしてしまえと言うのがTPPであるわけです。それはそうすることがその私的資本にとって有利だからです。
そのTPPから米国は降りたというわけです。当たり前です。一方で日本はそれを自由貿易だといって猛進するわけですから、当然、このままなら日本と日本国民はその私的資本に翻弄されることを意味します。
TPPとはお金を支配するものからの新たな支配の構図です。したがって、その主体は米国ではないということです。実際にそうなりました。そこには政治という概念はありません。そして、日本がそのTPPに変質しても猛進すると言うことは、この支配の構造によって日本の国の形を変えると言うことなのです。つまりもっと日本から収奪できるようにするということです。米国はすんでのところでそこから離脱します。日本は淡い期待を抱いてそのことにまっしぐらです。しかし、そこで利益を得るものは、TPPを推進するものだけなのです。まさに99%の人は収奪され、1%だけが利益を上げるという国になろうとしているのです。早く気がつくべきでしょう。自分のために。

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◆この記事へのコメント(投稿順)
1. とよ 2016年12月18日 12時32分 [返信する]
1%を利するTPP。
片桐氏の著書により99%側に居る私は気づいていますが、如何ともしがたい。過日、選挙立会人にもなって状況を見るに、余りにもズサン(投票所から開票所へ投票箱を運ぶ車が全て自家用車で、それも皆ご老人がそれぞれ一人で運んでいた等々)かつ立会人の仕事を形骸化している現場を見て、不正が横行していると確信しています。
99%側の参政の機会を愚弄し、メディアは1%の利益誘導情報を流し続けます。その上、大多数の識者は国民意識の低さを指摘します。何をなすべきかの壁に阻まれる。片桐氏の著作には、このような状況にあって希望を見いだせます。

 


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先の大戦も、現在も日本国民を大切にしない政治。この2冊がそのことを雄弁に物語ります。

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◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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