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小池知事の記者会見と都議選の意味
[日本の政治]
2017年6月22日 22時50分の記事

先日、小池東京都知事が、豊洲市場移転問題について記者会見を行いました。この会見は、現在の都政、そして国政の本質を見事に示しているのではないでしょうか?

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以下の記事は、都議会選挙に関係するものですが、加計学園問題などで自民党に逆風が吹き、それが選挙に影響しているというものです。

「加計問題、強行採決に『調子乗ってる』都議選影響も 」(2017年6月21日 日刊スポーツ)

別にこの記事に限らず明日告示の都議選で自民党に逆風が吹いていることは、様々に伝えられていますし、街頭に出ている各党も、その風を追い風、逆風と違いはあれど感じていると思います。これだけでなく、自公の政権与党にまつわり、焦点となっている加計学園問題や森友学園問題などと、その問題への対応ぶりに対して、読売新聞なども逆風という形でこの風にさらされているわけです。
いずれにせよ、この記事のポイントは、このような国政における問題で、都議選においても自民党が逆風にさらされていると言うことです。ただ、このことは既に数週間前から明らかであり、数字としても今週初めの報道各社の世論調査の結果に表れているわけで、本ブログ「支持率、支持率?」(2017年6月20日)でも書きました。
このような逆風が自民党に吹いていることは、都議選で自民党は苦戦もしくは敗北することを意味しますが、このことが、都政・都議会選で何を意味しているかと言えば、都政において問題となり都議会与党が推進してきた豊洲市場移転問題の趨勢です。つまり都議会選挙で自民党が敗北すれば、確実にこの豊洲市場移転問題は、選挙後、大きな焦点となります。移転がなされないという流れになってもおかしくはない、ということで実は“あった”わけなのです。
しかし、これは先週までのお話しです。この流れが今週に入ってある一件によって大きく変わりました。それは20日、小池知事が「築地は守る、豊洲は生かす」という方針を会見で発表したからです。この発表で、この問題は都議選で争点とならなくなりました。つまり、都民が意思を表明する前に、この問題について都民の口をふさいだ形となったわけです。
この会見が行われる前は、都議選の趨勢は確実に豊洲移転問題に直結する状況でした。しかし、それならば、都議選が終わる前に豊洲移転を表明する必要があり、それがこの小池氏の会見の本質と私は考えます。これなら、仮に都議選で小池知事率いる都民ファーストの会が勝っても、この豊洲移転問題は、焦点になりません。単に豊洲移転が加速するだけで、それは自民党が勝っても同じなのです。
つまり、都民の判断が出る前に先手を打ったのが、この小池氏の会見の本質と私は考えますし、これは都民を蔑ろにする暴挙と考えます。明らかに民主主義を否定するもので、“都民ファースト”という党名がやはり虚構に私には見えます。国政の自民党とやっていることは変わりないものと考えます。

昨年の都知事選挙の時を思い返せば、豊洲移転問題、オリンピックに関わる問題、自公などが推してきた舛添氏や猪瀬氏の問題が極めて大きな焦点となっていました。これらのポイントは明らかに政治腐敗であり、利権構造の可能性があるものです。このことは、現状の国政の問題と全く変わりがありませんが、昨年の都知事選当時、これらに関わる共通項はやはり与党、自民党であり、都庁(行政)と議会の癒着や腐敗がポイントであったわけです。
そこに、“自民党”の小池氏が、ものを申して立ったので、このような都政の問題に対する批判票が小池氏に一挙に集まり、小池氏が圧勝しました。しかし、約1年が過ぎ、この間、何かあったかと言えば、何もなかったと言えます。都庁の体制は刷新されたのかといえば、目立って大きな処分も、大きな変革もないままです。豊洲移転問題は、政治問題と以前、指摘しましたが(「核心は政治の問題、それ以外はない」(2017年3月29日))、その政治的改善点が見てきません。しかし、これらの問題には明らかに都庁職員が関わっています。オリンピックについても、結局、昨年、色々と問題視されたことは、そのまま、何もなかったように時が過ぎています。この1年を振り返れば、大山鳴動してネズミ一匹、小池知事は都政の今後を明らかに変えるような施策や処分はまだ何もしていないと考えます。そして、今回の都議選という都民の審判がなされる前に出されたのが、上記の方針であったわけです。流れとしては自然です。
小池氏は知事、即ち行政の長ですから、処分と言ってもその範囲は限られますし、議会に対して処分を下すことが出来るわけではありません。議会に対して処分を下すのは、あくまでも主権者である都民であり、その場が都議会選挙であるわけです。だから、実際のところ、小池氏はこの選挙の前に焦点となってきた豊洲移転問題の方針を示すべきではなかったのは明らかで、そのような機会を小池氏はつぶしたと言うことです。これで都民ファーストの会が議席を増やしても、それは単に自民党から離れた票の受け皿という意味しか、ないものと考えます。政治腐敗が焦点となっていた豊洲問題という争点を見事に外しました。
腐敗がポイントになっていて、そのことが都庁においても、議会においても刷新されない状況で、上記のように豊洲市場移転問題という争点を小池氏はつぶし、一方で小池知事は上記の記者会見で築地の再開発というビックプロジェクトを新たに立ち上げると言っているわけです。これでは、また同じことが起こると考えるのは自然なことでしょう。ただ、看板がかわっただけというレベルです。

上記の問題は、都議会で自民党とともに与党として歩んできた公明党にも責任が明らかにあります。その公明党と元自民党の小池氏の都民ファーストが組んでいるわけで、それは単に看板のすげ替えでしかないと言うのは明らかと考えます。都民ファーストの会が公明党と組むと言ったときから、豊洲移転の方向性は明白で、上記の小池氏の方針の表明は別に驚くことではないのです。
国政においては自公連立政権で、都政においてその公明党は別の動きをするなどと言うことはあり得ません。公明党の都議会議員は、国政選挙になれば、必ずその選挙で公明党の候補者の集票マシーンと化します。これはどこの党でも同じで、国政と都政が別問題なんて言うことはありえないことなのです。そこと自民党を離党した小池氏がくっつくと言うことは、単に看板をかえて、同じ構造が温存されると言うことと考えます。都民ファーストというのも単なるガス抜きで、だからこそ、上記の欺瞞が生じるのです。そうでなければ、このようなことは絶対に起こりません。古い都議会から新しい都議会にと言っても見ても、新しいことは何も起こらないと考えます。そのようになる要素は現状、見当たりません。


5月に以下のような記事が出ています。

「小池知事、自民の喫煙防止公約を批判『選挙目当て』」(2017年5月28日 日刊スポーツ)

この記事では、受動喫煙防止という都民ファーストの会の肝いり政策に対して、自民党が同じスタンスを取ったことについて、自民党の選挙目当てと小池氏が批判したということが書かれています。この記事を読んだとき、これが腐敗臭のする都政に於ける論点なのかと率直に思いました。また、自らの政策に他党がスタンスを同じくするのなら、それは政策実現へ一歩近づくわけですから、批判するようなものでは普通ないわけです。小池氏の言うように、この自民党の動きによって選挙での論点ではなくなりますが、逆にこのことに反応した小池氏の言動は、この受動喫煙問題を選挙の争点としようとしていたことを示しています。
いずれにせよ、私はこの記事を読んでいて非常に問題点を感じました。それは都政でこの1年間、問題となってきたのは、上述した政治腐敗であるのです。しかし、知事が肝いり政策とした受動喫煙防止というのは、実のところ、都民という個人の行動に関するものです。明らかな論点ずらしで、この時から小池氏が豊洲移転を表明することは明らかと考えていました。つまり、都政の政治腐敗を解決することはしないで、むしろ都民の行動を規制することが、小池氏のこの発言のポイントであることから、このような結論がでるのは必然なのです。
そして、実のところ、そういう中での小池氏と自民党との対立なのです。


この対立の本当の意味を示すのが以下の記事と考えます。

「都議選へ支持率接近 『親小池』と自民」(2017年5月29日 日本経済新聞)

記事の最後に「都議選が告示される6月23日までに、『親小池』と自民党はどこまで支持を伸ばしているのか。次の世論調査が注目される」(同上)とあります。記事では親小池が25%、自民党が31%の支持を獲得していると書かれていて、合せて56%です。
この記事のポイントは、親小池と自民党の対立構造にしか、焦点を当てていないことです。つまり、56%の有権者のことしか書かれていないと言うことです。この対立構造に焦点を当てることによって、生じることはその他はなくなるということです。私から言わせれば、その他を消しています。小池氏の劇場型政治と言うことが言われてきましたが、実はこの記事もその片棒を担いでいると考えます。
このことは自民党も同じと考えます。自民党と小池氏の対立が激しくなればなるほど、この対立構造だけが注目され、他党は蚊帳の外になります。そうなると上記の豊洲市場移転問題のように、都民の選択肢はなくなりますし、逆風が吹いても、限られた選択肢の中では、一定の集票が見込めます。
こういう流れに、都議会の民進党から離党者が増えるということが起こります。つまり、都民の選択において民進党が選択肢として消えるわけで、それは一層のこの対立構造を強める動きです。この離党が動きが、民進党内にあって自民党と揶揄された誰によって行われ、そしてその動きがどこと連携をするに至ったかを考えれば、その背景がはっきりとわかります。

「民進都議ら7人離党届 長島昭久衆院議員と行動共に 公認候補で13人に」(2017年4月28日 産経新聞)

「民進系前幹事長が離党届 小池新党と連携も」(2017年5月1日 産経新聞)

この対立の構図の演出は選挙戦術としては有効です。ただ、ここに本当の意味での都政ということはないのは明らかです。有権者の半分は切り捨てられ、これまでの政治の看板をすげ替えただけですから、この対立の構図には都政を変える力はないのも。また明らかです。むしろ、これまでの問題となってきた都政における構造がより強化されていくのが実相と考えます。
都政において、小池新党の趨勢は本当の焦点ではありません。あくまでも都民の生活、都民の政治が焦点なのですが、上記の日経の記事にはその視点は皆無です。この記事にあるような、つくられた対立の構図から抜け出し、切り捨てられた46%が入った上での本当の対立が築かれるかどうかということに、都政の、そして国政の将来はあるものと考えます。その切り捨てられた声を誰が拾うのかが、現在の都政と都議選における本当のポイントと考えます。

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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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