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責任者出てこい!
[日本の政治]
2017年10月11日 23時57分の記事

今朝(11日)のフジテレビ『とくダネ!』での選挙報道は非常に問題があるものでした。

「小泉進次郎氏も池袋で第一声『小池さんありがとう』」(2017年10月10日 日刊スポーツ)

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今回の衆院選について同番組での報道では、愛知県の注目選挙区と各党党首の映像と言葉が出ていました。各党党首の演説の映像で公明党の山口那津男代表が「選挙の時だけ一緒になってやろう どうしてそういう人たちに 日本の私たちの命と暮らしを任せることができますか」と声を張り上げて主張していましたが、この言葉には久しぶりに心の底から笑いました。多分、自分たちのことを述べているのではないでしょうが、実際、数ヶ月前、小池百合子氏と組んで選挙をして都議選大勝し、今度は組まないで衆院選に挑んでいるというのは、まさに「選挙の時だけ一緒になってやろう」ということではないのでしょうか? こういうのを虚言というのだと思います。言葉が虚ろということです。
さて『とくダネ!』での各党党首の映像では、まず10日の池袋での希望の党代表の小池氏と自民党筆頭副幹事長の小泉進次郎氏の第一声について取り上げられ、その後、平等に各党党首の映像になっていきます。一見、各党公平に扱っているように見えますが、やはり希望の党と自民党がクローズアップされていて平等とは言えません。しかし、このことより明らかに重大な問題があります。

それは小泉氏を自民党の顔として取り上げていることです。小泉氏は自民党の一責任者ですが、最高責任者ではありません。他党は皆、最高責任者の映像であるのに、どうして自民党だけはそうではないのか? これは非常に問題があります。公共の電波を使い、公益性を重視して各党党首(最高責任者)の政見を選挙の情報として国民に伝えることが使命であるのに、どうして自民党だけ、それも政権党であるのに、責任者である安倍総裁の言葉を国民に伝えないのでしょうか? 小泉氏には自民党最高責任者として権限はなく、責任もありません。このような人物の言葉を自民党の言葉として、顔として取り上げるの非常に問題があります。国民を欺く行為です。政権党の党首の言葉、政見こそ国民に伝えなくてはならないわけです。それがマスメディアの絶対的な責任です。
小泉氏の映像を見て、自民党に好感をもって投票しても、あとであれは最高責任者の言葉ではないと言われたらどうするのでしょうか? 国民の側はそれでおしまいです。このフジテレビの封土はそういう可能性をはらんでいるもので、報道としては極めて悪質、不平等なもので、国民に実害を生じさせる可能性があるものです。
仮に小泉氏が自民党総裁であるのなら問題はありませんし、選挙後に自民党総裁になり次期特別国会で小泉氏が首班指名されるのが自民党の公約ならギリギリ許されるかもしれません(多分、許されない)。しかし、単に自民党筆頭副幹事長の言葉を自民党の言葉として取り上げ報道するのは明らかに大問題です。本当に極めて大きな問題です。
安倍首相のイメージが悪く、表に出せないというのは自民党の選挙戦術というのならわかります。しかし、マスメディアの報道において、他党は党首の言葉や映像を出して、自民党だけはそうしないというのはこれは明らかな偏向報道です。それもイメージが悪いと言われている者を出さずに、イメージが良いといわれる何の権限もない者を取り上げて出すのは、街頭演説など自民党の選挙戦術としてはあり得えますが、マスメディアの報道としてフジテレビまでそれと同じことをやるのは明らかに論外です。単に自民党の選挙戦術をフジテレビが踏襲して実践しているに過ぎませんし、メディアとしての国民への責任と義務を果たしていません。他党で党首以外の者がこのような形で出ていたら恐らく大問題になるでしょう。各党党首の政見を紹介する際、自民党総裁の言葉や映像がなければ、自民党の言葉はないと出すのが公平なやり方ですし、それは国民への責任、義務です。
総務省はこのことを問題にすべきです。今回のフジテレビ『とくダネ!』の報道は、公共の電波を使うには、限度を超えた度が過ぎるものです。ただ、自民党政権では問題として取り上げられないでしょうが、普通に見てこれは大問題です。

上記記事でも、小泉氏は「自民党の『選挙の顔』」(同上)として取り上げられていますが、小泉氏はマスメディアにおいて自民党の選挙の顔として報道されてはならないのです。それにはもう一つのポイントがあります。

それは公職選挙法です。小泉氏は神奈川11区から出馬しています。基本的に小泉氏が公において許されている顔と名前の露出は、政見放送、選挙公報、公営掲示板などだけです。したがって、マスメディアで取り上げられる時には、平等に他の候補者も取り上げられなくてはならないわけです。
政党のポスターというのがあります。大抵の場合、党首の顔が大きく掲載されています。そして、その党首の選挙区で選挙の公示期間中にもそのポスターが掲示されることは、普通なら許されていない選挙活動になりますが、それは政党党首として例外的に認められています。だから、顔が大きく出されたポスターが掲載されていても問題はありませんが、それはあくまでも党首としての例外措置です。ですので、マスメディアで党首の顔や言葉、名前が公示期間中、テレビや紙面で出ていても問題はないのです。国民が政党の政見を知るという公益性から党首の露出は例外的に許されているわけです。ただし、政党間での平等は守られなければならないわけです。
しかし、このことは党首以外は一切認められません。フジテレビの今回の放送は、神奈川11区に放映されない措置を最低でも講じているのでしょうか? もしそうしていなければ、明らかに小泉氏の選挙活動をほう助したことになります。明白に公選法の精神に反しますし、公共の電波を使用するテレビ局としては公益性に反しています。
小泉氏がマスメディアにおいて取り上げることが許されるのは、選挙の公示期間中は、神奈川11区の候補者としてだけで、それも他の候補者と平等に取り上げられなくてはならないわけです。それが唯一許されたものです。果たしてフジテレビはそうしたでしょうか? 小泉氏はそういう存在なのです。いわんや、党の顔としてマスメディアで取り上げられ報道されるというのは、あり得ないことなのです。全くフジテレビの報道はめちゃくちゃです。遵法精神のかけらもそこには見られません。本当にひどい。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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