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将来を考えていない発言?
[日本の政治]
2017年10月20日 14時41分の記事

昨日の本ブログ「将来を考えていない発言?」(2017年10月19日)の続きです。

「『21年ぶり株高、アベノミクス間違いない証拠』菅長官」(2017年10月14日 朝日新聞)

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10月10日に、自民党の公式ツィッターで、「名目GDPはこの5年間で50兆円増加!過去最高の水準です。#アベノミクス の加速で #景気回復 #デフレ脱却 を実現します!多くの方に知っていただきたいのでぜひシェアにご協力ください!#この国を守り抜く #自民党 #衆院選 #拡散希望」とツィートされ、批判されています。実際、このツィートのページを見ても批判が多く見られます。

本ブログで書いてきましたが、GDPは付加価値の総額ですから、お金が動けばGDPは自然に上がっていきます。つまり、積極財政政策と金融緩和政策で市中にお金を動かせば、寝ていてもGDPは上がるのです。それを成果だと声高に叫ぶのは、そもそも間の抜けたことで、選挙対策以外の何ものでもないことです。はっきり言って子どもの論理です。
また、この自民党のツィートへの批判として、以下の記事のように、昨年9月、政府はGDPの算定基準を変えたことが指摘されています。この改定で2011年の試算値が約20兆円かさ上げされたと報道されています。

「GDP、基準改定で19.8兆円かさ上げ 内閣府、11年の試算値」(2017年9月15日 日本経済新聞)

問題であるのは積極財政政策や金融緩和政策をして、それが経済・社会の実になっているかということです。だから、その実態を考えるには、国民生活に密着した経済指標を見なくてはならないのです。それは一人あたりの名目GDP、家計消費支出、実質賃金、労働分配率、ワーキングプアの労働者数、非正規雇用者数や比率、可処分所得などなどです。他にもまだまだあります。こんなことはわかりきっています。安倍政権の実績を見てくださいと株価やGDPを指すのは、全く頓珍漢で、馬鹿げています。子どもの論理です。現実感のない選挙用の発言ですし、選挙だからそのような発言が官房長官によってなされてはならないわけです。それでは無責任と言うことになります。そして、そこで選挙で効果を上げるためには選挙相場が当然、重ならないといけないわけです。

積極財政政策や金融緩和政策をして、経済・社会の実になるようにするには、消費税増税などをせず、また新自由主義の成長戦略をしてはならなかったわけです。まさにバケツに水を注いでいるのに、バケツの底に穴を開けているようなことをしてきたわけですから、当然、これらのマクロ経済政策は経済・社会の実にはなっていません。そういう指標はいくらでもあります。そして実際、その成長戦略で行ったことが、加計学園問題でクローズアップされた国家戦略特区であるわけです。これがアベノミクスの正体でしょう。
また、土地の値段が上がっても、それがマイナス金利の状態であるのに、それをもって景気が良いと言うのは、普通、かなり問題があることです。全く実がありません。そういうことで生じた過剰な投資で土地が高騰すれば、固定資産税などがあがり、むしろ経済・社会を圧迫します。このような流れでアパートを乱立させて、結局、それが今や経済・社会の実勢に伴っていないと言われています。バブルの時、二束三文の土地が高騰したのと同じです。つまり、これがアベノミクスで生じている実相です。
株だって、今の大企業の次から次へと出てくる不祥事を見れば、本当に実勢を反映しているか正直に疑問に思います。また、経済が劇的に改善していなければ、企業の業績が伸びないのに、配当だけが支払われるという事態にもなります。どこまでこのことに耐えられるでしょうか? 結局は本当にバブルと同じ構造で、今の流れは必ず調整局面に入ります。そして、そのとき、原因をつくったアベノミクスと安倍政権の問題点がはっきりと言われるようになるでしょう。
本当にアベノミクスで景気が良ければこのようなことの心配はありませんが、嘘なら今後必ず問題は出てきます。そうなったとき、はっきりしているのは、2017年の10月現時点で、既に株価は実勢とかけ離れていると言うことです。

私がザ・フナイ、拙著『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』(2015年 ビジネス社)や本ブログで申し上げていることは、基本的にはかつて国民新党で言われていたことがベースで、これらは全部12年前の話です。本ブログで何回も書いてきたように元々マクロ経済政策を言っていたのは国民新党だけです。そして、なぜ、12年前のことをいまだに私が語っているかと言えば、そのときと構造は変らず むしろ悪化していて 問題点はさらにはっきりしているからです。一般的にも12年前には気がつかなかったが、今になるとわかるということになっていると考えます。先日も私の講演を聞いてくださった方がお便りをくださって、新自由主義の問題点に気がつかれたことをお伝えしてくださいました。この方は証券界にいらっしゃる方ですが、とてもよいセンスをお持ちだと思います。

要するに先日、引退を表明された亀井静香さん、国民新党の経済政策の根幹をつくられた亀井久興先生と娘で立憲民主党の亀井亜紀子さん、そしてエコノミストの菊池英博先生は、あまりにも早すぎたということです。そのことは、亀井静香さんが当時から盛んにおっしゃっていました。日本の政治経済の問題点をあまりにも正確に、また精緻に見抜いていたからこそ、このようなことになったのです。しかし、それが本当の政治家というものです。
国民新党は新自由主義を排除して、積極財政政策を重視していました。もちろん、今でもこのことは正しいものです。それは日本だけではなく、今や世界中で同じことが言われています。ローマ法王フランシスコは2013年にグローバル資本主義(新自由主義)と闘えと言い、貧富の格差やトリクルダウン理論を批判し、弱者の社会的包摂を唱えています。当然のことなのです。
さらに、国民新党は当時から非正規社員の増加を抑止し、賃金上昇を政策の柱とし、ポイントを可処分所得においてていました。実は、安倍首相などよりもはるか何年も前に経団連などに直談判をしています。今でも当時経団連へ同行したときのことを鮮明に覚えていますが、当時の国民新党は野党でなおかつ10人しかいない非力な党でしたので、それが精一杯でした。しかし、行ったこと、主張したことは何年も先駆けています。
ただ、残念ながら、これらが評価されず、なおかつ忘れられています。それはひとえに当時、広報の責任者であった私の力量不足にとががあります。だから、私はいまだに同じことを書き、同じことを話します。それは、そうしなくてはならないという想いと、心ではいまだに広報部長と思っているからですし、また国民新党で学んだこと、考えたことがいまだに正しく、日本の社会に確実に必要と考えるからです。
3人の亀井さんと菊池先生は国民を想って長い長い、とても長い闘いをしているのです。先日の亀井静香さんの引退会見の時の言葉にはまさにこのことがはっきりと出ていました。その政治の信条と国民への姿勢は全くブレていません。国民新党の党是というか、キャッチコピーと言うか、合言葉は「ブレない、媚びない、おごらない(不振、不媚、不驕)」でした。代表であった綿貫民輔先生がつくったものです。今の政治を見てください。“ブレる、媚びる、おごる”と全く反対なっています。カスです。こうなると政治は腐敗し、崩壊し、国民の害となります。あくまでも政治(家)は「ブレない、媚びない、おごらない」が基本中の基本なのです。国民新党はいまだにすごい党だったと思っています。この感覚、ご理解はしていただけないでしょう。しかし、私は心からいまだにそう思っています。

デフレが克服されるのは、国民一般の可処分所得が上がった時しかありません。そうなって初めて購買・消費への動きが起り、本当の意味でインフレ基調となります。現状は、政権・政府が金融緩和政策や積極財政政策を行って、インフレの方向性が部分的に生じているだけで、一方で国民一般の可処分所得が全くあがらないとうい状態となり、そのことが非常に長く続いています。この状態を一言で言えば、官製のスタグフレーション、官製の99%対1%で、株価やGDPは単に見た目は上がったように見えて、実は一般的には不況と言うことです。そして、貧富の格差は当然、開いています。
その上で、さらに消費税を上げると言っているのが、現在の安倍政権であるわけです。これでは、当然、可処分所得は減り、不況はさらにどうしようもないほどに深刻になります。8%への増税で既にそうなっている上に、さらに追い打ちをかけるのですから、まともな頭ならこんなことはできません。そして、そのような状況で、金融緩和政策や積極財政政策が途絶えれば大変な状態になることは、目に見えています。同時にそのような状態で株価や地価が暴落する可能性も日増しに高まっているわけです。
しかし、菅氏は、アベノミクスが成功して株価が上がり、デフレが解消したからと言って、消費税増税を正当化しているわけですが、そんな正当化はいずれ雲散霧消して、この菅氏の言葉だけが残ります。菅氏の言葉には全く現実感と現実への対応策が見られません。ただ、自らの成果を誇っているだけです。いずれ、自らの言葉を悔いる時が必ず来るでしょう。
最近、与党の発言は、かなり乱暴で、いい加減になっています。これは今後の政治の実相を物語っているものと考えます。いずれ、大きなとんでもない問題を必ず起こすでしょう。

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先の大戦も、現在も日本国民を大切にしない政治。この2冊がそのことを雄弁に物語ります。

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◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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