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南北会談をいかに考えるべきか?
[日本の政治]
2018年1月15日 18時54分の記事

朝鮮半島問題について、マス・メディアの報道が少し偏向しているのではないでしょうか?

「南北楽団の合同公演検討=北朝鮮芸術団の訪韓で−五輪参加、17日協議」(2018年1月15日 時事通信)

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先ほど、午後5時前から放送されているテレビ朝日の『スーパーJチャンネル』で、本日開催された南北会談について報道がなされていました。北朝鮮の芸術団のことが報じられいましたが、この会談が板門店の北朝鮮側施設『統一閣』で行なわれ、北朝鮮側の取材しか認められなかったなどで“北朝鮮ペース”であったという括りでこのニュースが報道されていました。南北会談はしているけど、それは北朝鮮ペースになっているという論調ですが、南北会談がマイナスイメージとして報じられているように私には聞こえました。
しかし、これを単なる北朝鮮ペースとみるか、それとも北朝鮮側が会談に応じ、戦争の危険性を回避するための韓国側の判断とみるかは、ニュースを受け止める側の私たちにとっては世界観がまるで違うものになります。少なくとも韓国側の判断の可能性は現状、十分にありますから、単に北朝鮮のペースという括りだけで報道するのは、明らかに偏向していると考えます。そして、この偏向がいかなる形でなされているのか、非常に重要なポイントと考えます。
テレビ朝日だからと言って、平和を愛する報道をすると考えるのは短絡的と考えます。もちろん、数ある報道機関の中ではその傾向は強いと考えますが、だからといって今回の朝鮮半島問題で、テレビ朝日が平和を第一に考える報道をするとは限りません。しっかりとチェックする必要があると考えます。昨年からの朝鮮半島情勢のエスカレーションは、ザ・フナイにずっと書いてきたようにしかるべき理由があるものです。これはまさに戦後の構造転換に関わる問題ですが、この戦後構造でテレビ朝日がどのような位置づけであったかによって報道内容も影響してくると考えます。これは労働問題を重視する左派系メディアと思われているものが、新自由主義を大々的に認めるという矛盾があるのと同じ種類のことです。

2014年に韓国で『国際市場で逢いましょう』という映画が公開され、歴代2位の大ヒットを記録しています。この映画は、作りとしては韓国版『フォレスト・ガンプ』のように思いますが、主人公の男性が子どもの頃、朝鮮戦争で父と妹と生き別れ、そのことを中心的に描いた非常に良い映画です。父と妹と生き別れてしまう時、釜山の国際市場で会おうと言ったことがそのまま日本語でのタイトルになっているわけで、父の言いつけを守り、父と妹と再開するためにこの主人公は国際市場にある伯母の店と残された家族を必死で守っていくわけです。
この映画では、『フォレスト・ガンプ』のように主人公の生き様を韓国の現代史とともに描いています。その中で私が強い印象を受けたシーンがあります。それは1983年に韓国の公共放送局・KBSで放送された『離散家族を探しています』という朝鮮戦争で離散した家族を探す番組に関連するものです。韓国の国会や主要メディアが集まるソウルの汝矣島(よいど)という漢江の中州のような所に、KBSの巨大な建物があるのですが、その建物の前に汝矣島公園というものがあります。この公園はとても広く、ニューヨークで言えばセントラルパークのようなものですが、この番組が放送された時、離散家族を探す人々でこの公園が埋め尽くされている場面がこの映画で出てきます。このシーンにはとにかく非常に圧倒されましたが、それはこのシーンによって朝鮮戦争というものを私が実感したからです。日本には朝鮮戦争特需というものがありました。しかし、その特需はこのような悲劇と犠牲の上にあったことは、やはりよく考えないといけないでしょう。
映画では主人公がこのKBSの番組で米国で育った妹と再会します。しかし、父親とは最後まで会えないのですが、映画の最後の場面で、主人公がその父親に向って家族を守る約束をがんばって何とか果たしたと告げる姿が、この映画のメインテーマでしょう。

この汝矣島(よいど)公園を埋め尽くした家族を探す人々の姿は、東日本大震災で肉親を探す人々、9.11で肉親を探す人々と同じです。もし、東日本大震災で肉親を探す人々の姿に涙した人なら、9.11で肉親を探す人々の姿に涙した人なら、朝鮮半島で再び戦火が起り同じような犠牲者が出、悲劇が生まれることを望まないでしょう。テレビ朝日もそういうことを踏まえていれば、上記のような報道ではなく、もっと慎重にしたのではないかと思います。
韓国の人々は、同じ悲劇を繰り返したくはないと心から思っているはずです。その心を隣人として見つめ、受け止めることが何より、過去を清算していく第一歩と考えます。そういう所にしか和解の道はないでしょう。そういう意味で、今の日本の政権は明らかに逆走しています。
そして、何より、今度、朝鮮半島で有事が発生すれば、日本に影響がないとは言い切れません。そういうことを考えれば、我がこととして朝鮮半島情勢についてもっと真剣に、そして平和の方向をしっかりと考えなくてはならないことは自明と考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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