日本にだまされた? | |
[日本の政治] | |
2018年3月27日 12時0分の記事 | |
本ブログ「日本にだまされた?」(2018年3月27日)の続きです。
話を元に戻すと、2月初旬、平昌オリンピック開会式に出席するために訪韓した安倍首相が韓国の文在寅大統領と会談した際、安倍首相は文大統領に大会後の米韓軍事演習実施を要請しましたが、内政問題として文大統領に一蹴されています。韓国の反応は当然のものですが、この一件はまさに日本の朝鮮半島問題に対する姿勢がはっきりと浮かび上がったもので、その後、南北融和の方向性が明確化した経緯を考えれば、この一件がいかに問題があるかがよくわかります。平和・融和とは正反対の日本の朝鮮半島に対する姿勢が明確化した事例であり、なおかつ韓国との相違が決定的となったのがこの一件です。 これまでザ・フナイなどでずっと書いてきたことは、朝鮮半島において、朝鮮戦争の終結(融和、平和)か、新たなる朝鮮戦争(戦争とお金の構図)かのどちらかしかないということです。その理由については同誌の拙論を読んでいただきたいのですが、このような状況に至ったのは、朝鮮戦争の構造=日本の戦後構造(平和憲法のことではない)が終焉し、また終わらせようとしてきたからです。したがって、朝鮮戦争の終結(融和、平和)が世界的な大筋の路線であるわけです。 ここで一つだけ大事な注釈を入れます。それは、日本の戦後構造(=朝鮮戦争の構図)とは、朝鮮戦争を理由とした日本の戦前の体制の温存と言うことなのです。平和憲法はこの戦前を温存した日本の戦後構造を抑止してきた唯一の装置であるのです。そういう意味で、平和憲法は戦後の日本の礎であるのは確かです。しかし、日本の政財界はずっと戦前の構造が温存され、朝鮮戦争の構図によって、それが主流とならせてきたわけです。したがって平和憲法がなければ日本はとっくに戦前回帰をしていたことでしょう。だから、戦前の構造・復古主義の右翼が戦後の構造、押しつけと平和憲法を批判するわけです。 だからこそ、現状、朝鮮戦争の終結(融和、平和)が大筋の路線では困るという勢力(日米韓〔朝〕にそれぞれいる、日本では右翼など)がいて新たなる朝鮮戦争という状況が生まれたわけです。安倍政権はこの戦争の路線をとってきたので、上記のような言動になるわけです。そして、だからこそ新たなる朝鮮戦争ということを画策するものは、当然、平和憲法を変えようとするわけで、同時にそれが戦前の体制に戻す復古主義とセットになるわけです。 この朝鮮半島にまつわる動きを世界の一つの焦点として1年半くらい前からザ・フナイなどで書いたり、講演してきたわけで、状況は分析・予測通りに動いてきています。同時にこのことに関わる様々な世界的な動きも同誌に書いてきました。現状、米朝韓は明らかに前者の大筋の路線・平和路線への動きを見せており、一方で日本は後者の戦争の方に大きく舵を切ってきたわけです。それを表す安倍政権の朝鮮半島にまつわる決定的な言動が上記のように見られてきたわけで、このことをザ・フナイなどで分析し、批判してきたわけです。もちろん、マスメディアの偏向は、この安倍政権の方向性を踏襲しているわけで、このこともまた批判してきました。このようになる本質は安倍政権とともに経済界が同じ路線を歩んでいるからと考えます。いずれにせよ、安倍政権の改憲や復古主義の言動もまたこの朝鮮半島政策とセットであるのです。 「安倍首相は『出し抜いて笑み』=トランプ氏、対日貿易に不満」(2018年3月23日 時事通信) このような経緯を辿ってきた安倍政権の日本の外交姿勢において、つい2ヶ月ほど前に河野外相は北朝鮮に対して「微笑み外交にだまされるな」と語気を荒げていたのに、今やトランプ米大統領に「安倍晋三首相と話をすると、ほほ笑んでいる。『こんなに長い間、米国を出し抜くことができたとは信じられない』という笑みだ」(同上)と、トランプ米大統領は日本にだまされた、利用されたといっているわけです。これほどの強烈な言葉はないでしょう。そしてこれほど皮肉なことはないでしょう。 上記時事通信の記事には、この発言に関して対日貿易赤字に対するトランプ大統領の不満と通商問題ということが書かれています。しかし、これまで分析を行なってきたこと、そして上述してきたことの本質を考えれば、対朝融和へと舵を切ったトランプ大統領から出てくる当然のコメントと考えます。安倍首相は対朝強硬派の急先鋒であったわけです。また、いかにトランプ大統領のコメントが物議を醸すとは言え、一国の指導者についてこのような表現を使用するというのは、通商問題に限らず外交全般において相当の意味と実相があります。むしろ、この発言を通商問題として矮小化して考えるのは日本にとって明らかに危険と考えます。日本人が自らが置かれている立場を見失うことに間違いなく繋がります。 このトランプ大統領の発言があった22日、同大統領は外交・安全保障担当のマクマスター大統領補佐官を解任すると表明しました。ザ・フナイで書いてきたようにマクマスター氏は昨年4月7日のシリア攻撃以来、米国が戦争のフェーズへと大きく舵を切った際、ポイントとしてあげた人物の一人です。そのような人物を解任すると表明した同じ日に、北朝鮮に対する強硬派の急先鋒であった安倍首相に対して上記のような発言があったわけです。 トランプ大統領は上記のコメントとともに安倍首相について「偉大な男で、私の友人」(同上)と表現しているわけですが、マクマスター氏についても「優れた仕事を成し遂げ、常に私の友人であり続けるマクマスター氏の働きに大変感謝している」(2018年3月23日 朝日新聞)と同様な表現をしています。明らかに相手のメンツを立てるトランプ氏のはなむけの言い回しですが、本音は安倍首相に出し抜かれたこと、マクマスター氏は解任したということです。それが同じ日に生じたわけで、その本質は通商問題ではなく、外交、それも戦争に対するものと考えるのが、これまでの経緯を考えれば自然です。 「米大統領、マクマスター氏解任へ 後任は北朝鮮強硬派」(2018年3月23日 朝日新聞) 「日本にだまされた?」(2018年3月27日)へ続く。 | |
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