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世代と学生運動と?
[日本の政治]
2018年8月13日 0時0分の記事

昨日の本ブログ「世代と学生運動と」(2018年8月12日)の続きです。

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先日、翁長沖縄県知事がお亡くなりになりましたが、翁長知事の特徴は以下のコラムに良く出ていると思います。コラムでは、翁長知事を、保守・革新の垣根を越え、立場の違う人たちからも敬意を得たと、評しているわけですが、その通りだと思います。

「立場の違う人たちからの敬意/政界地獄耳」(2018年8月10日 日刊スポーツ)

まさに懐が深いということですが、翁長知事は学生運動が激しかった最後の世代だと思います。東京の法政大学を卒業後、政治家としては保守政党に籍をまず置くわけですが、最後は民衆の側に立ち、保守・革新の垣根を越えて尊敬されたというのですから、政治家として円熟し、まさに万民のためにあるべきリーダーとなったわけです。大変な素晴らしき政治家人生だと思います。そして、この懐の深さと円熟味の一旦はやはり翁長知事の学生時代の状況にあるように考えます。火焔瓶を投げろとか、デモに参加しろとは言いませんが、哲学や学問に真剣に向き合い、社会や人間を自分の頭で真剣に考えることは、20歳前後の段階で必ずすべきだと考えます。そういう営みから、社会に疑問を持ち、理想に心を燃やし、立ち上がるのなら立ちあがれば良いと思います。そういうことを許容する社会の懐は、将来のために間違いなく必要でしょう。翁長知事の懐の深さには、そういう若かりし頃の時代状況や環境を考えてしまいます。

幅広く信頼を得るのは、民衆の側、特に弱きものの立場に立っているからです。そして、こういうことはポピュリズムとは言いません。それは弱きものの側に立つというのは必ずしも人気取りにはならないからです。特に今の与党・自民党・公明党やその支持者は弱きもの・少数者を切り捨てろと言っていて、それがマジョリティーとなっているわけです。むしろ今の日本においてポピュリズムのポイントは弱者切り捨てにあるわけで、明らかに弱者である人が弱者切り捨ての政策を支持する珍現象が起きているわけでえす。社会における強者はそんなに多数ではありませんから。自分は弱者として認められない心の余裕のなさが、見せかけの強者としての行動に走らせるのでしょうか。もしそうなら単に愚かなだけでしょうし、人間性も物事を見る視野も偏狭でしかないという評価は免れないでしょう。

話を元に戻すと、翁長知事は民衆の側、特に弱きものの立場に立って物事を見つめ、考え、行動したから広く思想の垣根を越え信頼されたと考えます。このことが唯一、政治家、人の上に立つものに必要な視点と考えます。王侯貴族や上流階級がいかに優雅できらびやかな生活をしてるか、そんなことは政治の善し悪しを見る上での指標、バロメーターになりません。そういう上流階級がきらびやかな生活を送るのは、強者が弱者を虐げ、むしり取ればればいかようにもできますし、独裁国家の全てと言って良いほどのものが、そのような愚行と蛮行を繰り返しきたのではないでしょうか? だから、そのようなものは政治を見分ける善し悪しにはならないのです。またそういう愚行と蛮行を繰り返せば、確実に社会は自壊していきます。政治の善し悪しを見る上での本当のバロメーターは、社会における弱者や貧しい者が平和の中でどれだけ安心して、笑顔で暮らせているかに尽きます。このことの他には政治の善し悪しを見分けるポイントはありません。まあ言ってみれば、弱者が弱者を切り捨てろという社会は単に狂っているというだけに過ぎません。発狂しているのでしょう。

翁長知事には弱きものの立場に立って物事を見つめるという強い信念としっかりとした視点があったのだろうと思います。だから思想の垣根を越えて信頼を得たのでしょう。基本的人権を無視した発言を、基本的人権を守らなくてはならない立場の与党のバカな女性国会議員がして、思想の垣根を越えて批判されたのは、翁長知事と本当に好対照だったと思います。人間性も全く反対なのだろうと考えます。

私は政界に入って駆け出しの頃、元航空自衛隊の田村秀昭参議院議員のご自宅に書生のようにして暮らしていました。時たま田村先生は喫茶店に誘ってくれて、そこでお茶を飲みながら色々なお話しをして下さっていただいたですが、その中で今でも鮮明に覚えているお話しは、「人の上に立つなら、政治家になるなら、常に一番下からものを見よ」でした。田村先生は保守で防衛族で、職責も賛否両論あるでしょうが、私はそう教えられました。良い先生に良いことを教わったと今でも思っています。そしてそのことを今でも守ろうと思っています。

大正バブル(1915年〜20年)期に青年期を過ごしたものが、その30年後の1945年、日本が戦争に走って破滅した時に国の中核・上層部にいました。毎年8月15日になると、必ずどこかのチャンネルで宮城事件を描いた「日本のいちばん長い日」が放送されます。この映画に出てくる、8月15日に自決した阿南惟幾陸軍大臣も、享年58歳です。皆、意外と若いのですが、平均寿命が今より圧倒的に短いですから当然と言えば、当然であるのです。
今の日本の中核・上層部の青年期も同じようにバブルであったわけです。そして、そういう当時の社会状況が思考などに大きく影響していると思われるほど、現在の社会が混迷、根腐れを起こしています。やはり私はそこに大きな連関があると考えます。戦前も、現在も。

以前、ある人からイスラエルの諜報機関・モサドの人物研究の手法を聞いたことがあります。例えば、ある国の指導者が新しくなった時、その人物の考え方や行動を特定するために、まず最初に必ず行なうのが、その人物の20歳前後に読んでいた本や交友関係を徹底的に調べるのだそうです。なぜ、そのようにするかというと、20歳前後で培った考えや交友関係は一生続くからだそうです。三つ子の魂百までならぬ、二十歳の魂百までということです。
つまり、20歳前後、大学生生活、社会人としての最初の数年、どんな本を読み、どんな人と関わっているかということが、その後の人生を決定すると言うことです。それはまた、個々人の人生だけではなく、社会の命運もまた、その20歳前後の環境に関わると言うことですから、当然、その時期の社会環境も、その後の個人や社会に大きく影響していくわけです。実は上述してきた、青年期の時代背景が国の命運を左右するというのは、結構、根拠があることなのです。ですので、大学教育というのはとても大切なのです。そういう所に右翼思想などが入ってくると大変なわけです。何せ右翼思想はこれまで一度もその有用性が認められていないばかりか、一度、国を滅ぼしていますから。日本の近現代において確実に言えることはこのことだけです。一度、日本を滅ぼした思想を代を変えて同じ人脈・系譜がいまだに言っているわけですから、まあはっきりと言って国の穀潰しということをそろそろ本気で言うべきでしょう。

いずれにせよ、このように考えるとバブルと関わり、若かりし頃、社会への問題意識を失っている現在の50歳から65歳くらいまでは、国を滅ぼしかねないかなり危ない世代であるのです。翁長知事より下の世代は、日本を破滅させかねないという危険性があるということが、社会やその将来を考察する上で、最も大事なことになるわけです。このようなことに最大限注視する意味は現状、かなりあり、そういう視点で言動をチェックし、当面、最悪を抑止するしかないというのが、現在の実相と考えます。非常に重要な時と考えます。

だからといって、50歳よりさらにこの下の世代は大丈夫かというと、必ずしもそうとは思いません。なぜなら、その世代は大学に行っていても、ダブルスクールなどと言って就職を優先し、学問や哲学を見つめてはいません。むしろ大学すら就職のためのものなってしまっています。そこには切実な事情もあったと思いますが、そういうことが、その後の社会全体に響いてくるのです。既にこのようなことがこの30年の時の流れでも実証されていると考えます。未来を見つめ、このようなことを真剣に考えるべき時期に来ていると考えます。

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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