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韓国の実勢と日本の実相?
[日本の政治]
2018年8月16日 7時0分の記事

昨日の本ブログ「韓国の実勢と日本の実相」(2018年8月14日)の続きです。

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さて、日本のメディア批判になってしまいましたが、韓国で文政権の支持率が落ちている原因は、日本で解説されているものとは違うと考えます。以下の2つの記事を見てください。

?「正義党支持率16%『止まらない疾走』」(2018年8月11日 ハンギョレ)

?「正義党、支持率で“第1野党”に」(2018年8月4日 ハンギョレ)

まず?の記事を見ると、文政権が右派よりの政策に流れたことによって、それを嫌った層が社会主義政党である正義党への支持に回ったと分析されています。上記(イ)の産経新聞の記事で、文政権の最低賃金を上げる政策で、労働側から上げ幅が少ないという理由で反発が出たという構造と同じと考えます。つまり、リベラル、進歩勢力といえる文政権がポピュリズム政策を行って、それが失敗して支持率を落としているのではなく、実勢はむしろ進歩的・リベラル的な方向性がなくなったので支持率が落ちているということなのです。だから、左派の正義党の躍進が止まらないわけで、このハンギョレの記事を見れば、日本のメディアでの分析はかなり作り話の匂いがしてくるわけです。
このように韓国国民の世論の動向は、進歩主義傾向、リベラル傾向を示す状況ですから、韓国における保守政党は、当然、支持が落ちていることが予想されます。このことを示すのが?の記事です。保守・右翼系である朴槿恵元大統領や李明博元大統領が所属していたかつてのハンナラ党、セヌリ党、現在の自由韓国党への支持率は、文政権の与党・共に民主党より進歩・リベラル傾向が強い正義党に抜かれているわけです。韓国の政治シーンにおいて特筆すべきポイントは、文政権の支持率低下ではなく、むしろこれまで与党・保守勢力であった自由韓国党の凋落であり、その反面としての進歩主義傾向、リベラル傾向の強まりでしょう。軍事政権であった朴正煕政権からの系譜がここに来て完全に崩壊しかけていると分析します。これはまさに朝鮮戦争勃発して以来、韓国政治における最大の激震と考えます。韓国政治シーンにおいては、朝鮮戦争下における軍事・保守政権の影がなくなっていると考えます。
この1年、ハンギョレの記事を読んでいますが、南北・朝鮮半島問題、韓国問題についての分析は同紙が一番的確と考えます。

韓国において、これまでほぼ独占的な与党であった右派の自由韓国党(ハンナラ、セヌリ)が完全に失速してわけですが、この自由韓国党は日本の右派・自由民主党と同じ立ち位置にあるわけです。この自由韓国党と自由民主党は、結党の経緯からして、戦前・軍国主義の構造における満州人脈の系譜として重なるわけです。そして、ザ・フナイの拙論では、この日韓の右派が朝鮮戦争を継続させるための政治的装置として分析しました。
つまり、上述した韓国政界における支持の構造の激変を見れば、すでに韓国では朝鮮戦争を継続させるための政治的装置は壊滅していると考えられるわけです。
そして、日本の戦後とはまさにこの朝鮮戦争の構造を維持させるところに本質がありますから、その構造の韓国側がすでに壊れ始めているということは、今後、日本も同じようになるのは必然なのです。このことはザ・フナイ次号10月号に詳しく書きました。故に、日本の現在の実相とは、この朝鮮戦争構造で生きてきた日本の政界、経済界(労働)・マスコミ、官界が結束して、その旧構造の維持に努めているというに過ぎません。このような勢力の中に、最近、評判が悪いテレビ朝日も入ると考えます。上述のように日本における韓国の分析におかしな傾向が見れれるのは、ここに原因があるものと考えます。
もちろん、日本の政界、経済界(労働)・マスコミ、官界の全てがそうだとは思いませんが、情勢を分析すればその中の主要な人々は、戦後構造=朝鮮戦争の構造を残すために動いていると分析します。最近、テレビ朝日は左翼だと思っていたら実は右翼のようなだと思われているのは、このような戦後構造の原因があると考えます。
そして、この朝鮮戦争によって復活したのが、戦前の構造(明治維新の構造)なのです。日本は戦後において、戦前の構造が清算などはされていないのです。

日本の戦後を簡単に言えば、このような朝鮮戦争を維持する構造が日韓にあり、それを名目上統括していたのが米国(米軍)であるわけです。日米安保もこのためにあるのであり、日本の防衛のためではないわけです。そして、その朝鮮戦争が今や終わろうとしているわけですが、終わってもらっては困る勢力が日本にはたくさんあるわけです。これが、対北朝鮮で日本が批判・敵対の急先鋒である理由であるわけです。韓国でも保守・右翼はこの日本のそれと全く同じ姿勢、論調なのです。
しかし、よく見ると韓国の方が先にこの朝鮮戦争の構造から脱しつつあるわけです。なぜか朝鮮戦争の構造は日本の方が色濃くあるわけで、そこから考えられるのは、朝鮮戦争はそもそも日本由来という仮説です。そして、この仮説がいつまで仮説であるのか、そこが一つのポイントでしょう。
因みに、韓国の3大紙と日本のメディアとの関係・対比は以下のとおりです。ハンギョレの分析が良いのはこういうグループに入っていないからかもしれません。

朝鮮日報:最大部数。右翼・保守。日本の右翼とほぼ論調は一緒で、反北朝鮮、親米。
東亜日報:朝日新聞と関係
中央日報:時事通信社、日本経済新聞社と友好関係

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くる天

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◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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