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良い社説
[日本の政治]
2018年9月2日 23時5分の記事

以下の毎日新聞の本日の社説では、予算要求が102兆円後半に達し、このままだと今後絞られたとしても当初予算は史上初めて100兆円を越えることが予想されると指摘され、一方で国の借金はふくれ上がり、安倍政権での経済成長頼みの財政健全化も行き詰まっていると指摘され、このような状況は将来にツケを残すと批判がなされています。

「社説 過去最大の予算要求 借金漬けを顧みぬ法外さ」(2018年9月2日 毎日新聞)

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私が広報部長や政策に関わった国民新党は100兆円予算をそもそも言っていました。今から10年前になります。このように主張したのは日本において再配分、国民への富の還流が必要だからです。富の集中を改善し、分厚い中間層をつくることが何よりも必要と考えていたわけです。このことにプラスして弱者の包摂が絶対的に必要ですが、今でもこの国民新党の政策は正しいと考えています。このような政策的視点において重要なことは、家計の可処分所得が向上すること、労働環境の改善、マレーシアで実施されたように消費税の廃止などです。
上記の毎日新聞の社説とは財政状況についての見解は事なります。国民新党では借金と共に国家の財産も評価して、そのバランスから100兆円予算、積極財政政策は可能と考え、日本に余力があるうちに国民(家計)の強化、社会基盤の強化をすべきと考えていました。

このことは、安倍政権が発足するはるか前から言ってきたわけで、第二次安倍政権もアベノミクスで国民新党の政策と同じような積極財政政策などの“もどき”の政策を行なったわけです。しかし、その政策の中味を見れば、再分配は行なわれず、国民への富の還流はなされず、労働環境は悪化、可処分所得増加は無視され、消費税はさらなる増税がなされるわけです。それで上手くいくはずなどありえないのです。だから、もどきなのです。
マレーシアの例でもわかるように、消費税は廃止できるのです。それなのに、さらに増税をする、それも新天皇がご即位してから半年と経たない時期にあてつけのようになされるわけで、なんたる政権なのだと心から思っています。通常、御代が変った時は恩赦など、寛容さを示す施策がなされるのに、ご即位の日程を決めた政府が、このような増税日程を決めるというのは、安倍政権の本質を示すものとして歴史に確実に残るでしょう。否、残さなければならないでしょう。

予算が100兆円を越えて安倍政権は積極財政政策など、効果あるマクロ経済政策をしているように見えるかもしれませんが、もちろんそうではありません。実際、この政策を打ってからもう6年にもなろうとしているのに、一向に効果は出ていいません。むしろ、衰退の徴候も見られます。その理由は上述したことに大半が起因すると考えますが、これらのことはこれまで本ブログなどで何度も指摘してきました。そして、これでは成果は出ないと何度も指摘し、全く予想通り状況は推移してきました。当然、このことから、指摘した理由の正当性は明らかですから、このまま状況が推移すれば、この毎日新聞の社説が指摘するように将来へツケが回ることになるのは明らかです。
繰り返しになりますが、積極財政政策、金融緩和をしても効果が出ないのは、このようなマクロ経済政策を行なって効果を出すために必要な根本的な施策である一般の家計、特に可処分所得が逼迫している層にお金が回るようにしていないからです。この層とはおおよそ国民一般を指します。つまり、安倍政権は国民一般に眼を向けてない、国民を基軸にしていないために、経済において成果を出すことができなかったということなのです。これが安倍政権の本質と考えますが、さらにこのことが示すことは、安倍政権の積極的な財政投下は、国民が基軸ではない、即ち一部の者の利益となっている、偏っているということなのです。だから、当然、全体としての効果が出ないという明快な状況になるわけです。

家計の可処分所得に目を向けないから何をやってもダメになるわけです。大半の家計においては可処分所得が増えないから、さらに切り詰め、消費を控えるという行動に出るわけで、それが人件費の抑制などとなっていくわけで、スパイラルになっていくわけです。この構造は即ちデフレ、デフレスパイラルの構造であり、必然、景気を圧迫するわけです。デフレ脱却をいってきた安倍政権は、そもそもデフレ脱却をする気がさらさらないという政策をずっとやってきているのです。安倍政権の政策全般の設計に明らかに問題があり、政策及び国家経営のバランスを逸して、大きな問題をはらむ状況に至っています。トリクルダウンをいっていた学者もどきを重用してきたことからも、このようなバランスを逸し、効果がでない経済・財政の結果となっとことがよくわかります。

安倍政権のようにマクロ経済政策でインフレを志向して、その内実ではデフレを引き起こす政策をとり続ければ、当然、経済の実相はスタグフレーションになります。そして、そうなると経済は成長しなくなり、税収は増えず減る構造となり、社会は疲弊し、人口はさらに減るという構造に陥り、これが悪循環となって繰り返されて、スパイラルになるわけです。 
そして、このような状況で財政が悪化していたら、遅かれ早かれ日本は破綻することは目に見えています。そのツケは、将来世代だけではなく、現在世代もとることになるのは必然でしょう。その時期はかなり差し迫っていると考えます。このことが、今の日本人のどれだけがわかっているのでしょうか? 国民・社会において富をつくり出す力は、第二次安倍政権以降、格段に低下しています。
「良い社説?」(2018年9月3日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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