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食料自給率――構造転換の必要性
[日本の政治]
2019年8月7日 23時56分の記事

日本の食料自給率の低さは今に始まったことではありませんが、以下の共同通信の記事では、食料自給率(カロリーベース)が過去最低を記録したと報じています。

「食料自給率、過去最低の37% 18年度、小麦・大豆が減少」(2019年8月6日 共同通信)

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ここ数年、天候の要因で経済がマイナスになった、伸びていないとの発表が目立ちます。この食料自給率もまた天候のせいで史上最低を記録したと報じられています。もちろん、食料の多くは天候に大きく左右されますから、天候不順なら収穫は減ります。経済も天候に左右されるのは事実です。ただ、この二つの問題の本質は天候ではなく、構造的な問題です。経済がマイナスになったり、伸びていないのは、経済にそもそも勢いがないから天候の要因に大きく左右されるのですし、食料自給率が最低を記録するのは、そもそも先進国で最も低いレベルにある自給率があるからです。天候の要因がクローズアップされるということは、そもそも構造的に脆弱性があることが根本的な要因なのです。実際、一部地域を除いて未曾有の天候不順があったわけではないのに、このような結果が出るのは、問題の本質が天候ではないことを物語っています。どちらのケースも政府(安倍政権)の責任を隠すための言い訳のように聞こえます。
そもそも構造の脆弱性があるから、食料自給率が最低を記録するわけです。それであるのに、天候が理由とされ、それで問題なしということでは、さらに状態は悪くなるのは当たり前です。このことは食料自給率も経済についても同じと考えます。ここにまず、これら二つの問題において、構造転換する必要性があります。

問題はやはり新自由主義
さて、かつて日本の経済が絶好調であったときは、食料自給率が低くてもお金で食べ物を買えば良いという考えが根本的にあったと考えます。しかし、日本経済の凋落傾向が続くと、自給率が同様に低水準であれば、一気に国民の生存に関わり、極めて厳しい状況が生まれます。他国などから支配されたり、影響力を行使されたりする可能性が出てくるわけです。現在、安倍政権が韓国に対する姿勢、これは本ブログ「根拠薄弱」(2019年8月2日)で批判しましたが、同じようないちゃもんに近い態度を逆に食料でなされれば、国民の生存に直結する問題となったり、悪条件を飲まされることになっていきます。食料に関して韓国からそのようにされることはあまりないと考えますが、その他の国ではそのようなことはあり得ます。もちろん、国とは限りませんが(こちらの方が大きい)、今回の対韓国の問題は、そのような前例を日本が自ら作ったということなのです。こういうのをしっぺ返しというのでしょう。
このようなことが、経済の強みがなくなった上で生じれば当然、日本の苦境となります。食料自給率が同じように低くても、1990年代とは全く状況が違うわけです。このようになるのは1990年以降、これまで何もしてこなかった結果といえますが、むしろ実相は逆コースを歩んできたことの結果といった方が正しく、今やしっかりとその愚策、無策ぶりが出ています。
このようになっているのは、日本の経済界や自民党政権などが支持してきたデヴィッド・リカードの国際分業、比較生産費説のなれの果てです。まさに自由貿易・新自由主義一辺倒で盲進してTPPを推進し、自国農業を潰してきたわけです。これでは食料自給率が十分なレベルに上がるわけがありません。このように現状を観れば、今後、食料自給率が上がる可能性は低いと考えられ、食料自給率が低くても大丈夫なんていう前に、抜本的対策、方向転換をする必要が確実にあると考えます。また自由貿易・新自由主義一辺倒の代表的なものが後述する政府の『骨太の方針』で、その方針は骨を太くするどころか細くしてきたわけです。現在を観れば一目瞭然ですが、問題は明らかに新自由主義一辺倒にあると考えます。
そして、これは当然、自民党政治の結果です。2012年の選挙でTPPは断固反対といった自民党は、その後、安倍政権でTPPを推進してきました。それも世界において率先して推進してきました。自民党、自民党と悪口になってしまっていますが、それはしようがないことです。なぜなら、戦後政治においてほとんどの期間、政権を担ってきたのは自民党だからです。1955年の自民党結党から65年近くなりますが、その間、政権を離れていたのはたったの4年間です。残りの60年、人の一生とそれほど変わらない長きにわたって自民党は政権を担当してきたのです。そういう意味で、現在ある諸問題の大半の責任は自民党にあるのは当然なのです。旧民主党を批判する資格などそもそもありません。旧民主党の体たらくも、自民党が与党にあり続けている期間が長すぎることにポイントがあり、このことは今や与野党ともに政治家の劣化を招いていると考えます。
そして、この長きにわたる自民党政権がもたらした大きな問題の一つが食料自給率の問題なのです。年金問題も同じ側面がありますし、人口問題、経済問題もまた同じなのです。そして、問題の解決にはこの長きにわたる構造的な問題を変えることが必要ですが、それは自民党政治からの脱却が必要であるのは明らかです。

骨太の方針で骨細になる
骨太の方針が始まったのは、2001年、小泉・竹中時代からです。そのとき、新自由主義一辺倒の構造改革といわれて骨太の方針が出されてきたわけです。その後、今年も骨太方針2019というのが出されていますが、一向に骨太になったためしはありません。むしろ骨細になっています。この骨太の方針は新自由主義の最たるものと考えますが、食料に関していえば日本は世界第一位の農産物の純輸入国になっているわけです。
この農産物の純輸入国で一位となっているのは、低い自給率に加え、安い加工食品を中国などから輸入するケースが増えているためと考えます。そして、このことは新自由主義で非正規労働者が非常に増えたこと、伸び悩む賃金などが背景にあるものと考えます。つまり、新自由主義でつくり出された経済構造が、食糧事情に直結しているということです。実のところ新自由主義は国や社会の屋台骨を根本的に破戒していると考えます。このことは何度もいっていますが。

解決のための方向性は明らか
食料自給率が低くなると、それでは防衛力で守れということがいわれるかもしれませんが、そもそも本末転倒でしょう。問題なのは自民党政権や新自由主義で根本的な国造りができていないところにあります。まさに経済や農業の構造的問題ですが、それが戦後の自民党政治という政治の構造的な問題でつくり出されてきたわけです。それで防衛力を上げたところで問題が解決しないのは目に見えています。実際、防衛力の問題をいっている人が、まさにこの構造的問題の張本人だったりするわけで、それは問題のすり替えに過ぎず、解決のための方向性は明らかです。
経済の強みがかなり減っている日本が、防衛力にかけるとさらに凋落するのは間違いないでしょう。むしろ安全保障上、またもや逆方向への突進になっていきます。やるべきは自給率上げ、農業・経済などのこれまでの施策をすてて、構造的に新たなものをつくり出していくほかなく、外交的には善隣外交を進めるほかないでしょう。特に経済においては再分配を進め、国民の生活に焦点を合わせ、国民の日々の生活から生み出されていくものを重視、第一とすべきでしょう。TPPを推進し、敵対外交をしている安倍政権では、これからの時代は明らかに無理です。



最終編集日時:2019年8月8日 3時40分

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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