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ポスト安倍、そしてポスト55年体制
[日本の政治]
2019年12月31日 23時54分の記事

年末になって週刊文春が以下のようにポスト安倍について特集記事を出しています。もちろん、これは来年に向けての布石の記事と考えられるものです。少し観ていきましょう。

「『ポスト安倍』人気 安倍首相4選が2位、では1位は?――『次期首相になってほしいのは誰?』アンケート」(2019年12月31日 週刊文春)

「『ポスト安倍』人気急落 小泉進次郎は滝クリ結婚で何を失ったのか――『プリンスは必ず転落する』」(2019年12月31日 週刊文春)

「ポスト安倍に急浮上 河野太郎「河野家3代の悲願」天下取りの可能性は? 」(2019年12月31日 週刊文春)

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まず一番上の記事では、安倍四選を含めたポスト安倍についての世論動向調査の結果が書かれていますが、石破氏がそのトップになっています。この結果のポイントは安倍政権でたまりまくっている問題点を政治的に払拭できる人物(クリーンさ、誠実さ)であるかどうかにあると考えます。そして、払拭だけではなく、それらの問題を清算できるかということもポイントになると考えられ、石破氏にはこの清算が託され、また期待されることでしょう。そして、その清算を実行するかは石破氏がどのようにしてポスト安倍の地位に就くかによるものと考えます。
ただ、石破氏に限らずポスト安倍はこの払拭と清算に最大のポイントがあると考えます。安倍氏と同じ路線の後継では、誰にせよ安倍政権での問題点で潰れることになり、そのあとこの払拭と清算ができるものがポスト安倍として結局は定着するでしょう。それほど安倍政権時代の問題は深刻であるわけです。
しかし、安倍氏が、後継として石破氏以外の四氏の名前をあげたことが、この記事で以下のように書かれています。


一方で安倍首相は12月27日のBSテレ東の収録で自身の後を狙う「ポスト安倍」候補を列挙。自民党の岸田文雄政調会長(62)、茂木敏充外相(64)、菅義偉官房長官(71)、加藤勝信厚生労働相(64)の順に名前を出し、それぞれの経験や実績にも触れた。


ひ弱な野党、ひ弱なポスト安倍
安倍氏は、石破氏がポスト安倍についての世論調査でトップであるのは普通ならわかっているはずですし、同記事にあるように4月に行われた調査でも石破氏はトップですから、知らないはずはないでしょう。むしろ、ずっとこのことを意識してきたというのが実相と考えます。しかし、その石破氏を外して、四氏の名前を挙げたのは、自分が四選して継続すること、もしくはそれに匹敵する後継を最優先にしているからでしょう。ある意味、非常にわかりやすいせこい思惑ですが、安倍氏にとって現在の最大の関心事は権力維持そのものであるのは明らかでしょう。そうなると安倍氏が安倍政権を続ける限り、もしくはそれに匹敵する後継となれば、この権力維持というポイントで日本の政治が動いていくということになります。実際、桜を見る会問題、森友・加計学園問題もこのポイントで動いてきてのは間違いがありません。
そして、このような所に27日に行われた安倍、菅、松井、橋下の四氏の会合があると考えるのが自然でしょう。この枠組みはこれまでも何度となく行われてきた野合ともいえる蜜月関係ですが、このように維新との会合があり、そこに菅氏があるということは、この週刊文春に出てくる菅氏銘柄と言われる菅原氏、河井氏などの失脚によってポスト安倍において同氏が敗北し、安倍四選に入ったと言うことを示しているのかもしれません。菅氏に基本的には力はないものと考えます。
いずれにせよ、松井氏は何かと野合談合と反するものを、以下の記事のようにこれまで批判してきていますが、ご自分こそ野合談合そのものでしょう。そして、その野合のポイントが以下の三つ目の記事にあるようにカジノなのですから、レベルがあまりに低いことにほとほと閉口します。ヤクザとそう変わりがありません。

「『自民は野合談合で思い上がり』松井知事が二階氏に反論」(2019年3月5日)

「立憲と国民連携は『野合、 談合』と批判 維新 松井氏」(2019年8月7日 NHK)

「安倍首相、松井市長らと会談 政府“IR予定通り実施”」(2019年12月28日 FNN)

自民一強をつくり出している要因として、ひ弱な野党、はっきり言えば無能な野党という構図がありますが、それと同じで、安倍一強をつくり出す上で、ひ弱なポスト安倍の面々という構図がありますし、そのような構図を意識的に安倍氏はつくり出しているものと考えます。つまり、上述のように安倍氏があげた四氏は、ひ弱な無能な面々と言うことです。このことが、石破氏の名前を安倍氏が除外している本質でしょう。そして、このことは、石破氏を除けば、自民党にはもはや次を担う人材はいないとうことです。実際、顔ぶれを見れば確かに無能さは隠しきれないと考えるのは私だけではないでしょう。

成長していない
さて、この文春の記事で、ポスト安倍として選択肢になっていないのに、山本太郎氏が入っていることが書かれています。このような形で名前が出てくるのは、大きなことだと考えます。そして、その名前が、立憲民主党の枝野氏ではなく、山本氏というのは、山本氏にかなりの潜在力があることを示しているのは間違いないでしょう。これは山本氏が上述の払拭と清算の存在であると考えられていると言うことです。
そして、ポスト安倍の選択肢として設定された茂木氏より山本氏が票を得ているのは、茂木氏の実力を示すものともいえます。同時にここに枝野氏が入っていないところに、今の野党のひ弱さ、無能さが浮き彫りになっていて、これが安倍長期政権を許している最大要因であるわけです。
立憲民主党は結党以来2年が過ぎましたが、現状見る限り最初のインパクト以上には育ってはいません。つまり、存在感を示せていませんし、時代や国民の心を掴んでもいませんし、政治の本質もつかんでもいません。野党なのに、上述の払拭と清算を担う存在になっていないのです。
このようになるのは、国民民主党との合併問題でも同じですが、そのドタバタは民主党政権時のそれとかわらないことを示していると考えます。つまり10年前から何も成長していないということです。これは彼らが観ている政治的なフレームワークがすでに時代遅れで、何の進歩もないことを物語っていますが、このことは枝野氏だけではなく、玉木氏、野田氏、前原氏、岡田氏、菅氏などすべてに通じることと考えます。基本的にこの方向性は、自民党がこけることを待っている存在、もしくは自民党がこけたときの代替要員であって、本当の意味で時代や国民の心を掴もうとしている存在ではない、55年体制の変形バージョンともいえる存在でしかないのです。その上で政治的手腕がないのですから、日本の政治にとってプラスになる方が奇跡ともいえます。
そして、彼らの観ている時代感は2000年代初頭、もしくは1990年代中盤・後半にとどまっています。枝野氏が日本新党でデビューした頃の感覚で、これは小池百合子氏も同じでしょう。このような旧民主党を中心とした野党の成長のなさが、山本太郎氏がアンケートの選択肢にないのにランクインしている理由でしょう。本当はここに枝野氏が入らなくてはならないのですが、そうならない理由は成長のなさにあるわけです。旧民主党系の政治家は、政治家としての資質が現在、明らかに問われています。もちろん自民党もですが。

プリンス
次に冒頭の2番目の記事ですが、小泉進次郎氏のことが書かれています。記事ではプリンスは必ず転落すると書かれていますが、そもそも小泉氏がプリンスであったのかと思います。そんな逸材と思ったことは一度もないのは私だけではないでしょう。ただ、そのように祭り上げられてきたことは事実で、そしてそれだけではなかったのではないでしょうか? つまりポイントは二つで、一つは小泉氏にそんなに能力はないということ、そしてそうであるのにそれを総理候補と持ち上げた人々が確実にいたと言うことです。能力がないのに持ち上げたことによってプリンスになったと言うことです。これは大変に危険なことで、典型的なカリスマをつくり出すやりかたです。したがって、持ち上げた人々は大変に危険であることは間違いありません。それが誰かを考える必要は間違いなくあります。
そして、そうやって祭り上げられた小泉氏に熱狂した人々は、今になっても安倍氏を支持する人々と思考プロセスはそう変わりません。何も考えていない、ミーハー、そして支持することで自分を浮き上がらせているというナルシシズムです。

河野太郎氏
また、ポスト安倍として名前が上がっている河野太郎氏に関しては、三番目の記事に書かれています。河野氏に関しては、支持を得るためのツボを心得ているということ以外にはありません。記事でも「物事を分かりやすく世の中に伝える」ことをモットーとしているとあり、このことを示しています。ただ、河野氏が政治家として述べていることに一貫性があるかといえば、そうとは到底思えません。むしろ、真逆になっていると考えるかつての支持者がいると考えます。言ってみれば、小泉氏は祭り上げられたプリンスであるのに対して、河野氏は自分で祭り上げる政治家と言うことですが、原発問題でも明らかなように、その言論に一貫性があるとは考えません。
この記事では、河野氏もその背景として菅氏の名前が麻生氏の名前とともに上がっていますが、これら3本の記事を観ると菅氏銘柄として、河井、菅原、小泉、そして河野の諸氏が上がっています。そして、その中で河野氏だけはまだ傷がついていません。いかに9月以降のポスト安倍の暗闘が激しかったがよくわかります。実際には内ゲバです。

ポスト安倍、安倍政権で一つだけはっきりしていることがあります。それはこの安倍路線ではいずれにせよ経済も、外交も良くならないということです。それは時代の要請に反しているからであり、また社会の上澄みだけを繕い、上っ面だけに恩恵を与えているという政治の根幹を外しているからです。この方向性が続く限り、日本の状況は良くなることはありません。このことはこれまで数年以上、指摘してきたことですが、このように言い切れるのは、問題が政治的に構造的であるからです。しかし、だからこそ、いずれこの方向性は終わります。そして、そのあと新しい状況がもたらされますが、それはポスト安倍というより、ポスト55年体制になるでしょう。それは、安倍政権とは55年体制の最たるものであるからです。55年体制の申し子である自民党もそう言う意味で賞味期限切れなのです。来年はこのような方向性の年となっていくでしょう。つまり55年体制の清算なのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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