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夏の情景(水浴する男たち) |
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2017年9月25日 16時35分の記事
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印象派の画家フレデリック・バジールを代表する作品『夏の情景(水浴する男たち)』。
夏の光景とも呼ばれ、メリック近郊レズ河畔を舞台背景に制作された本作に描かれるのは、樺の木立が茂る水場で水浴する大勢の男たちの姿で、1870年のサロンに出品され、非常に高い評価を得ていたことが知られている。
本作において最も特筆すべき点は、余暇を水浴しながら過ごすという近代的な日常場面を描きながら、登場人物らの姿態に過去の巨匠らの造形を用い、近代と伝統の総合的価値の再発見、再構築、そして、それらの相互作用による絵画芸術の新たな展開をおこなっている点にある。
画面左端で樺の木に凭れ掛かる男は、アンドレア・マンテーニャやアントネッロ・ダ・メッシーナなどルネサンス期に活躍した巨匠らも盛んに手がけた≪聖セバスティアヌス≫を思わせる姿態で配されているほか、画面右側で池から上がる男とそれに手を貸す男は≪最後の審判≫で地獄から救い出される人間を連想させる。 |
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