日本と世界の政治経済の本質を読み解く

蚤の市と民泊が日本の主要産業になってきた?
08/17 00:00

日本経済の現状について、楽観的な思い込みが最近、多くなっているのではないでしょうか?


以下のリンクにある2017年の世界各国の名目GDP(USドル)を見ると、日本のGDPは中国の約40%で、以前は50%であったのが、3分の1にどんどん近づいています。また米国との対比では、以前3分の1であったのが、今や25%と4分の1になっています。安倍政権下では、GDPは成長している、景気は史上空前、最大規模の伸びをしていると政府やマスメディアにおいてずっと言われていたので、ものすごい勢いで日本経済は拡大してきたと思ったら、実際のところはこの有様でどんどん相対的に縮小し、差が開いています。中国経済の将来について、私は楽観視はしていませんが、すでに日本は経済規模で3分の1に近づき、人口では10分の1ですので、安全保障上、日本が対中国で強気に出れる要素は皆無と考えます。ましてや第二次安倍政権でのほとんどの期間、対中関係は悪化、さらに朝鮮半島の南北両国とも敵対関係、ロシアとも敵対関係で、これらの3国は中国とそれなりに良い関係を築いていますから、こういう局面で日本が対中、もしくは対南北、対露で強硬姿勢を取るというのは、もはや正気の沙汰ではないレベルです。77年前、対米で強硬姿勢をとって破滅したのと同じレベルです。安倍政権もそうですが、右翼の論調は非常に危ないレベルになっているものと考えます。
ザ・フナイでの拙論を見るまでもなく、一般的な視点においても米軍の世界展開の終焉は明らかです。中東、欧州だけではなく東アジアでも米軍のプレゼンスは減少しています。このような中で上記のような東アジアでの日本の姿勢は、ほぼ自殺行為に等しいものと考えます。これらの周辺国に対して闇雲に妥協しろとは言いませんが、これまでの安倍政権や右翼のような方向性は、自己の立場を説明するものではなく、明らかに敵対を志向するもので、その方向性はすでに日本を非常に危ない状況に追い詰めています。これは意識の中でこれら周辺国を侮っているからでしょうが、すでに中国の経済規模は日本の3倍近くなっているわけで、実際は侮ることなどできない差が開いているわけです。77年前も米国の国力を過小評価したから、あのように開戦に踏み切り、結局、自滅・破滅したわけですが、それと同じことを現在も対中、対南北、対露でしているものと考えます。昔も今も、このような自滅的・破滅的思考と行動は、右翼の専売特許と考えます。自分の良いところしか考えない思考ですから、それ以外のことは彼らにはできません。そして、この77年間、当然、自分の良いところしか考えませんから、全く自省・反省をしておらず、単に自慰的に物事を見続けているだけです。戦前の主流であったのに、この70年間、自分たちには責任がまったくないと言い続けているわけですから、普通に考えて非常に無責任であるわけです。

世界の名目GDP(USドル)ランキング

明らかに安倍政権下では経済が停滞しているわけで、最大の景気拡大、GDPの大きな成長という政府やマスメディアにおけるアナウンスよって、社会一般ではその停滞を認識できなくなっているわけです。こういうことをプロパガンダと言うのでしょう。昔の大本営発表と同じたぐいのものです。この観点で見れば、昔も今も、まず国民の利益に反した大本営発表をすることになるのはNHKであるということは忘れるべきではないということです。そういう目でNHKは見なくてはならないということです。

安倍政権では、金融緩和政策や積極財政政策などマクロ経済政策を行い、お金をばらまく政策をしてきたわけです。実はこのような政策をするとGDPは寝ていても膨らんでいきます。なぜなら、政府が積極財政政策などをすると、その行為自体が付加価値を生みますから付加価値の総体であるGDPは寝ていても伸びるわけです。
実は安倍政権の経済政策の失敗、問題点がここにあるのです。つまり、GDPが寝ていても膨らむマクロ経済政策をしているのに、この5年間の日本のようにGDPがほとんど横ばいということは、仮にマクロ経済政策をしていなければ、100%の確率でGDPはマイナス成長であったということです。つまり、マクロ経済政策でマイナス成長を隠しているだけで、経済政策自体は明らかに失敗している状態であるのです。したがって、こういう状況で日経平均株価が2万2千円で固定しているのは、明らかにおかしいわけで、公的資金で買い支えているということでしか、実は日経平均株価のこの固定相場の説明ができないのです。同様のことは本ブログ「総裁選後の調整局面の可能性」(2018年8月14日)などでも指摘しました。
そして、もう一つ確定的な重要なことがいえます。それは、公的資金で株式市場を買い支えても、GDPや経済に何のプラスの影響もないということです。民主党政権時の株価から現状は約2倍になっていますから、この株価が経済の実勢を反映しているとするなら、現状の日本の経済規模・GDPはこの期間で優に2倍以上になっていなければなりません。もちろん、そんなことにはなっていないわけです。買い支えて高値になっているだけで、その高値は経済には何のプラスにもなっていないことは明らかと考えます。このような状況になるのは、日経平均株価などが実勢を反映していないからと考えます。

以下の記事で、政府はGDPの計算においてフリーマーケットアプリや民泊などの「シェアリングエコノミー(シェアエコ)」を入れる方針を固めたと報じています。なんでもカタカナで言うこの安倍政権の日本語を大事にしない姿勢はいい加減なんとかしてほしいと考えますが、いずれにしせよ、この記事は明らかに安倍政権下での全くパッとしないGDPに少しでも上乗せできるようにと、蚤の市や問題が多数報道されている民泊の要素を計算に入れるということと考えます。民泊なんていうのは2020年まででしょうが、ここでもうひとつ確実なことがいえます。それは安倍政権下のこの数年において、かつてのものづくりの産業構造は完全に成長していないということです。むしろその実相は凋落の一途で、その証拠は本ブログで何度も指摘してきましたが、枚挙にいとまがありません。
この記事から見える安倍政権が考える日本の次なる産業は、蚤の市、民泊、そしてカジノということと考えます。これが安倍政権が考える次の時代の経済基盤なのでしょう。このような表現は大げさに見えますか? しかし、必ず5年後に振り返ったとき、そうなっていると考えます。なぜなら、このことを覆す政策を安倍政権は何もやっていないからです。安倍首相が何かを「指示」したということはよく報道されるのですが、その結果、何かプラスのことが生じたことは今までほとんどないものと考えます。実際のところ、プラスになることはやっていないのが、同政権の実相と考えます。むしろカジノや民泊などには血眼になるということと考えます。このような安倍政権の政策状況を許していいのか、はなはだ疑問であるのです。
今後、安倍政権下ではGDPは大きく伸びる可能性はほぼ絶望的にまったくないと考えます。安倍政権とは全く違う、この5年間とは全く違う視点で経済を考えないと日本と日本国民は今後、確実に貧しくなっていくものと確信します。現状はその奈落への道から引き返す最後の限界点と考えます。

「シェアエコ、20年度にもGDP算入検討 民泊など対象」(2018年8月16日 朝日新聞)

因みにこの朝日新聞の記事は、最近では珍しくなくなった政府よりの記事だと思います。
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