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風の喜八6 「江戸の初雪」 (無料公開)
[【時代小説発掘】]
2012年2月5日 10時54分の記事


【時代小説発掘】
風の喜八6 「江戸の初雪」
佐藤 高市(さとう たかいち)


(時代小説発掘というコーナーができた経緯)


梗概:
赤穂藩隠密の風の喜八が、討ち入りの後、浅野家再興のために公儀隠密として活躍する物語。


プロフィール:   
酉年でも喧嘩鳥の生まれ年で単純明快 東京都生まれ 
小説「谷中物語」で茨城文学賞受賞
江戸を舞台の小説「入梅」が韓国の常緑樹文学に翻訳掲載
江戸の歴史研究会会員 
 

これまでの作品:

風の喜八1 「討ち入り」
風の喜八2 「丸木を持って水月を知れ」
風の喜八3 「元禄の終焉」
風の喜八4 「水月空華」
風の喜八5「江戸騒乱」

赤穂浪士 「春の名残(なごり)」


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【時代小説発掘】
風の喜八6 「江戸の初雪」
佐藤 高市(さとう たかいち)



(一) 富士山噴火で江戸に下る人々

 宝永大地震の四十九日目の宝永四年十一月二十三日に突如富士山が火を噴いたのであった。江戸市中の人々は、富士山の噴火による度重なる地震と雷に怯えた。
 大名屋敷では、富士山の噴火によって自国の被害を案じていた。だが、東海道は、通行止めになり便りは途絶えていた。
 大名や旗本は、縁のある寺社に使いを出して、噴火をおさめる祈願を要請した。富士山の怒りはおさまらずに土砂を雨のように降らした。
 昼でも暗い江戸では、行燈に火をともしていた。浅草花川戸ムジナ長屋の住人棒手振りの三太は、曇天の空を見ながら商売を諦めて、長屋の部屋で布団にくるまっていた。
突如、雷鳴がして雨が降ってきた。往来は、積もった灰と雨水でぐちゃぐちゃになった。「くわばら、くわばら、おっかないよ」
 三太は、頭を抱えて雷避けの呪文を唱えた。そして、菅原道真の天神様に救いを求めた。
 花川戸の権助の家では、「南無妙法蓮華経」と権助と小太郎がお題目を唱える。小太郎は、権助の後ろで、法華太鼓を叩いていた。
 小太郎は、西国から下って来た浪人水野平十郎の一人息子であった。傘張りで細々と暮らしを立てていた水野は、極貧の中で亡くなった。
 水野平十郎は、能面を打っていた。酒が好きな海の精霊である猩猩(しょうじょう)の面を打ち、自らは酒を断って、妻子を養った。
 白般若の面を付けた輩が、入谷の田んぼ道で吉原帰りの駕籠に乗った客を襲うことがあった。金子を奪うためであった。それが、水野平十郎であるとの疑いもあったが、当人が死んで藪の中であった。
 ひとり残った小太郎の面倒を権助は引き受けた。権助は、妻子もなく働くことだけが生きがいの権助にとって、小太郎を引き取ってから生活に張りがあった。
 権助は、小太郎を引き取る前は、寂しさを酒で紛らわしていた。だが、今では、隣に寝ている小太郎の寝息を聞くことができた。権助の心は安らいでいくのだった。
 雷鳴が聞こえ、雨の音が激しくなってきた。土壁や戸の隙間から風が来た。行燈の灯が揺らめいていた。
 権助は、現世安穏をひたすら祈っていた。富士山の大噴火で小田原藩の北側の村々は、溶岩で埋もれて多くの人たちが死んだとの噂が流れていた。
 遠く離れた江戸でも灰が降り積もり、日がささない市中では、人影も少なくなっていた。権助の船にも灰が積もり箒で掃いたりしたが、運航をすることはできなかった。
 権助は、朝起きると小太郎と共に船の手入れをして、富士山の噴火による灰の様子を窺っていた。富士山からの灰が止めば、喜八の住む四ツ木八幡宮に白い帆を張って船を出すつもりであった。
 喜八は、清三と共に奉行に命じられて不審な浪人者を追うために、袖ヶ浦の海岸にいた。そして、江戸に入ってくる者たちの大八車の荷物に槍や刀が積まれていないかを目をこらして見つめていた。
 幕閣は、西国からの浪人たちの不穏な動きや徳川家の内紛に警戒をした。特に、紀州徳川家の動きに注意を払うのであった。
喜八は、紀州藩の動向を探るための密命を受けていた公儀隠密の源浄のことを思っていた。
 源浄は、紀州徳川家の祖であった家康の十男の徳川頼宣が由井正雪と関係していたことを江戸市中に流していたのだった。
 それは、風説を使って次期将軍を甲府宰相綱豊に仕向けるためであった。それは、少なからず功を奏した。
 徳川光圀をはじめとして幕閣は、綱吉の亡き兄綱重の子である甲府宰相綱豊に継がせるのが天道であると主張していたのである。
 徳川光圀の主張が通って、次期将軍は、綱吉の亡き兄の子である綱豊に決まった。
甲府宰相の徳川綱豊は、将軍綱吉の嗣子として江戸城に入っていた。富士山の大噴火は、徳川幕藩体制の危機であった。
 「おじちゃん、富士山は怒っているのですか?」
 小太郎は、権助に尋ねた。
「それは分からないが、赤穂義士たちを殺し、お犬様を奉るのは道理に合わねぇ。だから、富士山が怒ったのかもしれねぇな。大昔にも富士山は噴火をしたことがあるという。なぁに、十日もすれば何とかなるさ」
 権助は、小太郎の頭を撫でながらそう言った。
 江戸市中では、このような大惨事が赤穂浪士の死や多くの藩をとり潰した恨みによってひき起こったという噂が広まっていた。
 それは、過度に殺生を禁じる綱吉への反感からであった。ついに、魚の商いを禁じる令を出した幕府には、庶民の怒りは暴発寸前であった。
 旬の鰹を食べるためには、女房を質に入れてまでという江戸っ子の粋な計らいをないがしろにする綱吉は、野暮であった。野暮は江戸っ子が一番嫌うことであった。
権助は、公儀隠密の喜八の手助けをしていたが、将軍綱吉の子供じみた政には従うことはできなかった。
 権助は、吉原の遊郭に近い野原で、野犬が人の腕をくわえているのを見たことがあった。禁忌を犯しても権助は、短刀で犬を突き殺した。その時、権助は大声を上げて何度も赤犬を刺した。
 人が見ていたら獄に繋がれる所であったが、犬がくわえているのは子どもの腕であった。権助はそれを見逃すことができなかった。
 大川の橋の下では、物乞いたちが降り注ぐ灰を避けるために集まり、火を焚いていた。「また、灰が降って来たぞ。これが本当の土砂降りっていうもんだぞ。犬公方の野郎は、魚を売っちゃいけねぇとよ。活きのいい鰹を食っちゃいけねぇなんて、坊主じゃあるまいし、この世も終わりだ。野暮の唐変木のわからずやめ」
 物乞いたちは、寒さに震えていた。雨が白いものに変わった。今年の初雪であった。
 江戸市中の人たちは、度重なる災厄が天下を治める将軍の器量不足で起きると井戸端で話をした。赤穂浪士を死罪にし、一方では犬の命を大事にする将軍の理不尽さには、庶民はうんざりしていた。
「雪だぞ。おう、もっと火を焚けよ、凍え死ぬぞ」
 物乞いたちは、火を囲みながら肩を寄せ合っていた。
 河原に立てかけられた粗末な小屋では、年老いた物乞いの男が横たわっていた。七輪に乗せた鍋が湯気を上げていた。
 男は力の無い咳をしていた。この男は、藩を潰されて江戸に来た浪人であった。
男は昔を懐かしがった。供の者たちを連れて登城したことを思い、妻や倅との会話がはっきりと思いだされた。
 男は、薄れゆく意識の中で、亡き妻の声を聞いた。「お疲れ様」という優しい声であった。男は、亡き妻と出会うことができた。
「とっつぁんが死んでいるぜ。いい顔で往生したな」
 物乞いの一人がそう言った。確かに、男の死に顔は微笑んでいるようであった。藩が改易になって子を置いてひとり江戸に来た男は、物売りや夜泣き蕎麦屋で食うために働いた。
 国元の子に金子を送る事も出来ずに、月日だけが経っていた。人足として働いている時に怪我をしてから、歩けなくなった。
 それから、男は橋のたもとで物乞いをして暮らしていた。一回二十文で通りがかる者に横面を叩かせることもした。
 男は、叩かれるたびに銭が貰えることで笑いを浮かべるのであった。
 物乞いたちは、仏に手を合わせた。明日の朝には、遺骸は担がれて寺の門前に運ばれることになっていた。雪が江戸の町を白く染めて行く。


(二) 江戸の初雪

 江戸の夜は、静かであった。浅草寺の時の鐘が間近で聞こえた。地震の後、泣くことも忘れていたセツは、浅草花川戸に腰を落ち着けると、亡くなった夫と故郷を思って泣いた。
 セツと子どもたちは、ムジナ長屋でゆっくり眠ることができた。大地震の地鳴りがいつも耳元にあったので、セツはこれまでゆっくりと眠ることができなかった。
 権助や長屋の者たちの優しさが、セツにとっては、ありがたかった。江戸は、諸国から来る者たちにとっては寛容であった。
 富士山が突如火を噴いて、火山灰が江戸にも降り積もった。セツは、子どもたちを寝
かせた。江戸の町にはザーという音と共に灰が降り続いていた。
 江戸に逃げて来たことは正しかったとセツは思っていた。津波に襲われた故郷の村は、 富士山の大噴火で火山灰に埋もれているかも知れなかった。
戸を開けると、提灯の灯りが見えた。小太郎が提灯を持ち、後ろには権助が天秤棒で米や野菜を持ってきた。
 提灯の灯りに、雪が降っているのが分かった。江戸の初雪であった。
「お山が起こってなさるようだ。天照大御神(あまてらすおおみかみ)に謹んでお願いをするしかない。ところで、これは何処に置くとしようか?」
 権助は、セツを見て嬉しそうであった。
「権助さん、何とお礼を申し上げてよいのか・・・・・・」
 セツは、権助の思いやりが闇夜の灯りのように有難かった。当面の生活のためにと先日は金子を用立てて貰っていた。
「困った時は、お互い様だ。富士山の大噴火がおさまったら、仕立ての仕事を持ってきますよ。江戸には仕事が溢れている。心配は無用ですよ」
 途方に暮れていたのは、権助も同じであった。川花戸で船宿を営み、船を持つこともできたが、ひとり身で寂しさを感じることが多くなっていた。
 公儀隠密の喜八の手足となって働くことが、唯一の生きがいであった。
 権助は、小太郎を引き取り、セツたち親子の面倒を見ることで心の寂しさが癒されるのだった。
「セツさん、もうすぐ正月だよ。初めて迎える江戸の正月には、きっと富士山の噴火もおさまっているさ。その時まで、じっと我慢ですよ」
 セツは、権助の言葉に頷いた。
 セツは、江戸の正月を思うと、少しだけ心が和んでくるのだった。浅草寺には、初詣での客が押し寄せて、物売りの店は賑わいを見せるはずであった。
「セツさん、おいらは蕎麦打ちが得意なんですよ。蕎麦粉をこねて麺棒で伸ばす。よく伸ばしてから包丁でトントンと切れば出来上がり。出汁と醤油で味付けをして、七味唐辛子をかけて、さぁ、できあがり」
 権助は、大晦日の蕎麦を打ってセツたち親子に持ってくると言った。


(三)虚無僧たちの旅立ち

 その頃、喜八は、清三と共に本郷の荒れ寺にたむろしている無宿人を見張っていた。虚無僧の姿をした男たちは、夕闇が迫る頃になって、深編み笠を被って方々に散らばって行くのだった。
 虚無僧は、侍であった浪人が罪を犯した侍が有髪のまま出家をする場合が多かった。
深編み笠をかぶり、藍色の着物を着て男帯を前に結んでいた。手には、尺八を持って喜捨を求めて行脚をした。
 行脚の間、河原で野宿をしたり、村のお堂で夜を明かした。村人や商人たちは、虚無僧の托鉢に進んで米や金子を入れた。
 喜八は、一人の虚無僧を追っていた。千駄木町から根津権現の境内を通り、上野の山に入った時であった。
 喜八の前方に虚無僧が二人で姿を現した。追っていた男と違って、鼠色の着物を着ていた。富士山の灰が降り続いていた。喜八は、白木の棒を構えて、虚無僧の動きを見ていた。
「お前は、何者だ?」
 喜八は、答えずに右手に白樫の棒を持ち、棒の先端を相手の目に向けていた。一人の男が、深編み笠を脱ぎ棄てて刀を抜いて、八相に構えた。
 そして、喜八に斬り付けて来た。一瞬であった。喜八は棒の先端を左手で持つと同時に白樫の棒は相手の男のこめかみに当たった。夢想流杖道(むそうりゅうじょうどう)の斜面の型であった。
 男は、そのまま前のめりに倒れた。白眼をむいた男は、動くことができなかった。
 次に深編み笠をかぶったままもう一人の男が真剣を抜いた。男が斬りつけると同時に、喜八は体をかわして、右手に持った白樫の棒で相手のみぞおちを目いっぱいに突いた。男はその場に座り込んだ。
 そこに、半身になった喜八が、白樫の棒で男の眉間を打ちつけた。
 喜八の杖道は、一陣の風のようであった。幕閣からも風の喜八と呼ばれるほどの剣の腕であった。
 喜八は、男たちを倒した後、追っていた男を探した。上野の山から不忍池の弁財天を目指した。
 不忍池の島にある弁財天には、石橋を渡って行く。弁財天には茶屋があり、虚無僧姿を変えるのには都合が良かった。
 弁財天の茶屋には、顔を隠す男女が出入りしていた。喜八が追っている虚無僧は、もう姿を変えて行方をくらましているようであった。
 茶屋のどこかに一味の隠れ家があると喜八は読んでいた。
 喜八は、船着き場に近い茶屋の泉屋に入った。鉄瓶が火鉢の上で湯気を上げていた。
やり手婆が姿を見せた。
「お座敷でございますか?」
 やり手が、手もみをして喜八に声をかけて来た。
「虚無僧を見なかったか?」
 やり手婆は、見ていないと言ったが、やり手の眼の動きを喜八は見逃さなかった。
 夢想流杖道の達人である喜八は、白樫の棒で真剣の相手と立ち向かう。
 喜八は、相手の意志を読み、先んじて丸木の棒を相手の急所に打ちつけていく。
 剣の修業を続けるうちに、相手の心を読むことができるようになっていた。喜八は、やり手婆の眼の動きで、虚無僧が泉屋に立ち寄ったことを思い描いた。
泉屋主人の虎二が三河の出身であることを調べ上げた喜八は、この茶屋が不ていの輩の隠れ家であること思い描くのであった。
 不忍池弁財天の泉屋は、清三が見張ることになった。喜八は、本郷の荒れ寺を見張っていた。虚無僧たちは、その振る舞いから侍であることが分かった。
 喜八が探っている寺から深編み笠をかぶり、尺八を吹きながら虚無僧姿の男が出て来た。喜八は、その後を追った。
 男は、根津権現の茶店の縁台に座り、喜八を待っていた。根津権現の境内には、富士山の噴火の時に降った灰を巫女たちが掃き清めていた。
「ようやく、富士山のお怒りも静まったようだ。貴殿は、夢想流杖道の剣客であるな。先日は、うちの者たちが、貴殿の棒で叩きのめされた。見事な腕である」
 男は、深編み笠を脱ぐと役者のような端正な顔を見せた。男は、喜八と同じような年恰好であった。
「茶を貰おうか」
 男は、店の者にそう言うと煙管に刻み煙草を詰めて、煙草盆の炭火で火を点ける。
男は、それを吸って煙を吐いた。煙草盆の灰吹きに煙管の雁首を叩いて灰を落とすのだった。
「我らは、徳川幕府と命運を共にしておる。つまり、貴殿とは同じ穴のムジナであるのだ。諸国を通行して、藩のあるがままを幕閣にお伝えする。その方のお名前は公言はできぬが・・・・・・」
 男は、僧侶で諸国を通行して、尺八を吹きながら世の無常をその音で教導していると言った。男の名は、義円と言った。
「貴殿は、元赤穂藩の隠密として名高い別名を風の喜八。喜八殿、お会いできて誠に光栄である」
 義円は、喜八のことをよく知っていた。忍びの者同士は、相互に自分で調べた情勢について教え合っていた。
 そうすることで、新たな事物や出来事の様子が分かった。重大な知らせをそのような会話で知ることができた。
「我らは、本郷の荒れ寺から全国に旅をすることになっている。大地震や富士山の大噴火による諸国の窮状をこの目で見るために・・・・・・、それは、幕閣のある人物からの命なのじゃぁ」
 虚無僧の忍びの者たちに命じたのは、徳川幕府の幕閣にいる者であった。混乱する徳川幕藩体制の内情を窺うことができた。
 諸国を通行する自由を許された虚無僧は、諸国に散って、その地の内情を探って、藩主の素行が悪るかったり、藩の治世が乱れていると虚無僧は幕閣につまびらかに知らせるのであった。
 徳川幕府は、それを口実にして藩を改易させていくのであった。その結果、浪人が溢れて江戸に流れてくるのであった。
 幕府の財政の節減を焦るあまり、数多の大名を改易にしたことで、江戸に浪人が集まり不安をあおっていたのだった。
「喜八殿、江戸に浪人が増えているが、彼らを召し抱える藩がありますか。この太平の世に浪人を召し抱える藩は最早ありませぬな」
 義円は、煙管に刻み煙草を詰めると煙草盆の炭火で火をつけた。
 喜八は、権助に引き取られた小太郎の父である水野平十郎を思った。酒が好きな海の精霊である猩猩の面を打ち、一方では白般若の面を付けて入谷の田んぼ道で吉原帰りの駕籠を襲った疑いがあった。
 喜八は、水野平十郎の遺体の近くにある鹿の角の刀掛けにある刀を見た時、人を斬ったことがあるように感じた。刀からは、血の匂いと斬られた相手の断末魔の叫びが聞こえるようであった。
 追い詰められた浪人は、恥をさらすことでかろうじて生きることができる。水野平十郎は、橋のたもとで筵の上に座って傘の古骨を集めていた。
 大名に仕え二百石の武士であった水野平十郎は、槍持ちや草履取り、そして挟み箱持ちを従えてお城に上った。
 水野は、剣の腕も立ち、藩の道場で師範の代わりをするくらいであったが、浪人の身から大名に召し抱えられることは夢のまた夢であった。
義円の言っていることは、浪人の生活を知った者の言葉であった。
「我らは、明朝に江戸を出立いたす。貴殿とお会いでき、言葉を交わすこともできて、感謝を申す。陰ながらお家の再興をお祈り申し上げる」
 義円は、そう言うと茶店に鳥目を置いて先を急ぐのであった。
 喜八は、その足で不忍池弁財天の泉屋を見張る清三に義円のことを知らせるのだった。


(四)年の瀬に

 喜八は、浅草花川戸の権助の家に寄った。日も暮れて富士山からの灰が積もったぬかるんだ道を歩くより、明朝を待って、船で四ツ木八幡に帰ることにした。
 権助と小太郎は、船に積もった灰を箒で掃き、明朝の出立に備えた。
「喜八様、ようやく富士山の噴火がおさまりました。ですが、降り積もった灰をかたすのが大変でしてね、特に百姓たちは、田や畑に積もった灰の前で茫然としている有様です」 権助は、手際良く蕎麦を打った。汁には青菜と葱を入れた。
「セツさんの様子はどうか?」
「へえ、大分落ち着きました。この頃は、すっかり長屋のおかみさんたちと仲良くなりましてね。年明けから古着の繕いの仕事を始めることになっています」
 喜八は、生き地獄を見たセツの苦しみを案じていた。夫を大津波で亡くし、地震の後に富士山の大噴火が続いた。
 喜八は、セツを見て不憫になり、浅草花川戸の権助に引き合わせた。
 権助は、以前よりも穏やかな表情になっていた。小太郎やセツの家族の世話で張り合いがあると喜八に話すのであった。
「喜八様は、四ツ木八幡に帰るのは一月振りではありせんか?」
「そうだな。かれこれ一月も四ツ木八幡には、帰っていない。お勢やお登勢は待ちわびているであろう。明日からは、歳の市や初詣での用意で忙しいぞ」
 喜八は、参拝客が増えた八幡宮の建物の修繕もしなくてはならなかった。そして、名物になった塩饅頭を作り、四ツ木村のおかみさんたちに手伝って貰う。
 権助は、ちろりで温めた酒を出した。一仕事を終えて飲む熱燗はおいしかった。権助は、七輪でスルメをあぶって食べやすいように手でさいた。
 喜八は、燗酒を権助のお猪口に注いだ。
 権助は、船に積もった灰を小太郎と片付けたことを嬉しそうに喜八に話すのであった。明日は、四ツ木に向けて白い帆を張った船で小太郎を乗せて行くと言う。
 喜八は、久し振りの酒をうまそうに飲んでいた。年が明けて二月には、二人目の子どもが生まれる。
 だが、喜八は、諸国に散って行った虚無僧たちや義円の後姿を思うと喜んでばかりはいられなかった。
 富士山からの灰はようやく止み、夜空には月が出ていた。江戸市中の者たちは、月を見ながら安堵の胸をなで下ろした。
 喜八は、権助の敷いた布団に入り、産土神の八幡様に感謝の祈りをした。明日から、久し振りに四ツ木八幡宮の時の鐘をつくことができる。建物や境内に積もった灰をかたすのは至難ではあったが、元の美しい八幡宮に戻そうと誓っていた。
 翌朝は、青空が見えていた。権助は、暗いうちから船の帆を用意していた。喜八を四ツ木に送り、浅草の市に向かう人たちを乗せることにした。
 小太郎は、権助について回っていた。やがて、喜八を乗せた船は、四ツ木に向かって大川に漕ぎだしていく。大川には、他にも数槽の小舟が見えた。
 灰にまみれた江戸は、ようやく侍や町人たちが総出になって、新しい年を迎えるために、掃除を始めていた。
 小太郎が声を上げた。赤く染まった東の空には、日の出が見えるのであった。船の右手にある日に向かって、喜八は手を合わせた。
 西国であった大地震の四十九日目に、突如富士山が火を噴いた。天の怒りに、江戸市中の人々は、土砂降りの中で世の終わりを嘆いていた。
 江戸っ子たちは、月と日がようやく見えると外に出た。
 いつもの年であれば、年末になると歳の市が続いて開かれ、江戸市中の人たちは、そこで新年の支度を始めていた。
 火を噴いた富士山に向かって、手を合わせた江戸の人たちは、年越しの支度にようやく腰を上げたのだった。
 四ツ木八幡宮が見えて来た。船は大川の岸に横付けされた。権助の白い帆船を見た人たちが、浅草に行くのかと権助に尋ねてきた。
「はいよ、本日から浅草に行くことにしました。さぁ、乗ってくだせえ。今日は、船賃はいらないよ」
 そこにいた人たちは、歓声を上げた。浅草の観音様に手を合わせ、市で年越しの買い物をするために、船に乗り込むのであった。
 小太郎は、年寄りの手を引いていた。権助は、喜八の後姿を見送っていた。
 四ツ木八幡宮には、村の人たちが集まって灰を片付けていた。姉さんかぶりで箒を持ったお勢が、久し振りに見る喜八に驚いた。
 喜八は、お腹の大きいお勢を見て微笑んだ。お登勢も喜八を見つけて、駆けて来た。一月振りの親子の再会であった。
 喜八は、四ツ木八幡宮に初めて訪れた時は、大石内蔵助(おおいしくらのすけ)から預かった書状を下総布川宿の和尚に届けた帰りであった。
 喜八は、葛飾の小金牧を過ぎるころから、悪寒がしていた。
 梅雨の頃であり、日暮が迫っていた。ようやく、葛飾の四ツ木村まで来たが、喜八はもう歩ける状態ではなかった。
 八幡様の境内に入った喜八は、本堂脇の社務所の前で意識が無くなった。
 喜八は、高熱を出していた。遠のく意識の中で、優しい女の人の声が聞こえた。亡くなった母の声なのか。大石内蔵助の命を果たせずに、路傍に朽ち果てることが悔しかった。 喜八は、幼少の頃から赤穂藩の隠密として育てられた。剣術の激しい稽古を続けて、儒教における仁を学んで、大石内蔵助の手足となって働くようになっていた。
 喜八は、無想流杖道(むそうりゅうじょうどう)の遣い手として、赤穂藩には、並ぶ者はいなかった。
 この剣術は、丸木の棒の杖を使い、突いて、払って、打つという自在の剣術であった。この杖道を編みだした夢想権之助は、あの宮本武蔵との対決で引き分けたという。
 喜八は、混濁する意識の中で、白砂の敷いた道の向こうに、あの世の入口が見えるようであった。朱色の伽藍が遠くに見えていた。
 喜八を助けたのは、八幡様の境内に住む利助とその娘であった。利助は、左の足を引きずっていた。娘のお勢とともに、自分たちの住む鳥小屋に手を入れた粗末な家に喜八を運んだのだった。
 利助は、お勢に境内の湧水を汲ませて、大鍋に入れて竈で湯を沸かした。湯を湯たんぽに入れ、布団を掛けた喜八の足元に置いた。隙間風の入る部屋に目張りをして、火桶に炭を入れて部屋を暖める。
 お勢は、手拭を桶に入れた水に浸して、それを絞って喜八の額に乗せた。荒い息遣いが続いていた。
 高熱のために手拭を度々代え、「この方の命を助けてください」と八幡様に祈っていた。
 お勢は、十五歳になった。八幡様は、お勢の産土神(うぶすながみ)であった。産土神は、お勢を生涯守り導いてくれるのだった。喜八の産土神も又八幡様であった。
 四ツ木村の水呑み百姓だった利助は、小作の傍らに八幡様の境内で汁粉を売っていた。女房は、昨年、目の前に横たわる喜八のように高熱を出して、翌朝には冷たくなって死んでいた。
 利助は、病弱だった女房のために富山の薬売りから買っておいた解熱妙符を喜八の口に入れた。高価な薬であった。薬を飲み込んだのを見たお勢は、八幡様に手を合わせていた。
 そして、喜八は、命を取り留めたのであった。
 お勢は、深川仲町の料理屋に奉公に出て、年季奉公を終えると喜八と所帯を持ったのであった。初めて会った時からお互いに引かれていた。
お勢は、利助の実の子ではなかった。
子どもをおぶった女が、八幡様の前で倒れていた。力尽きて倒れたのは、お勢の母親であった。
 母親の荷物の中から書付が見つかり、子の名と産土神が八幡大菩薩と書かれてあった。 利助夫婦は、幼子を引き取って自分の子として育てたのだった。利助には娘のお光がいた。お光が、お勢よりも五つ年上のであった。
 日照りの夏に一粒の米が取れなくなった年に、お光は家族を助けるために芸者置屋に奉公に上がった。
 お光は、芸者をしていた時に知り合ったやくざ者の銀二に騙されて、遊廓に売り飛ばされ、肺病で床に就いた後、血を吐いて亡くなった。
 喜八は、縁あってこの四ツ木八幡宮で家族を持った。大石内蔵助や赤穂浪士たちは、泉岳寺に葬られ、浅野家の再興のために公儀のために隠密として働いていた。
「元気そうで何よりだな。初詣でのために忙しいぞ。多くの参拝客のために村の人たちにも手伝って貰おう」
 喜八は、お勢にそう告げた。
「おとっつぁん、おっかさん、聞いておくれよ。お客さん、名物の塩饅頭です。赤穂塩の饅頭、お饅頭はいかがでございますか?」
 お勢の元気な声がした。









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