平成12年行政書士試験過去問 問33 商法(商法総則) | |
[平成12年行政書士試験過去問] | |
2011年5月16日 10時17分の記事 | |
商業登記に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1.会社の代表取締役の退任および代表権喪失は、その旨を登記することによって善意の第三者に対抗できる。 2.商号の譲渡は、その登記をするのでなければ、商号譲渡の効力は生じない。 3.合名会社または合資会社の社員が社員たる資格を失ったときは、退社の登記の有無にかかわらず資格を失った後の会社の債務につき責任を負う必要はない。 4.会社は、その本店の所在地において登記することによって成立する。 5.外国会社が営業所設置の登記をしなければ、その営業所による取引は無効になる。 <合格する人はこう考える>
1、この問題の出題形式は、「正しいものはどれか。」を問う問題である。 確実に間違いだと思われる選択肢は×。あいまいな選択肢は△。確実に間違いだとわかる選択肢に×をつけていれば、自ずと答えが見えてくる。 2、まずは、何の問題か把握しよう。 商業登記に関する問題である。問われていることは条文、判例レヴェルなので難しくない。確実に得点したい問題である。 3、選択肢を一つ一つ検討しよう。 1.会社の代表取締役の退任および代表権喪失は、その旨を登記することによって善意の第三者に対抗できる。 まずは条文から。 会社法(登記の効力) 第九百八条 この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。 2 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。 会社の代表取締役の退任および代表権喪失は登記事項であり、会社法の規定により登記すべき事項は登記の後でなければ、善意の第三者に対抗することができないが登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、第三者に対抗することができない(最判昭和49年3月22日)。 よって、選択肢は誤りである。 2.商号の譲渡は、その登記をするのでなければ、商号譲渡の効力は生じない。 まずは条文から。 商法(商号の譲渡) 第十五条 商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。 2 前項の規定による商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。 条文にあるとおり、商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができないが、当事者間においては、意思表示によって成立するため、合意があれば譲渡は有効である。 よって、選択肢は誤り。 3.合名会社または合資会社の社員が社員たる資格を失ったときは、退社の登記の有無にかかわらず資格を失った後の会社の債務につき責任を負う必要はない。 まずは条文から。 会社法(退社した社員の責任) 第六百十二条 退社した社員は、その登記をする前に生じた持分会社の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。 2 前項の責任は、同項の登記後二年以内に請求又は請求の予告をしない持分会社の債権者に対しては、当該登記後二年を経過した時に消滅する。 条文にあるとおり、「退社した社員は、その登記をする前に生じた持分会社の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。 」とされているので、退社の登記をするまでは、会社の債務につき責任を負う。 よって、選択肢は誤りである。 4.会社は、その本店の所在地において登記することによって成立する。 まずは条文から。 会社法 (株式会社の成立) 第四十九条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。 (持分会社の成立) 第五百七十九条 持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。 条文にあるとおり、「会社は、その本店の所在地において登記することによって成立する」ので選択肢は正しい。 5.外国会社が営業所設置の登記をしなければ、その営業所による取引は無効になる。 まずは条文から。 (登記前の継続取引の禁止等) 第八百十八条 外国会社は、外国会社の登記をするまでは、日本において取引を継続してすることができない。 2 前項の規定に違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。 (日本における営業所の設置の登記等) 第九百三十六条 日本に営業所を設けていない外国会社が外国会社の登記後に日本に営業所を設けたときは、日本における代表者の住所地においては三週間以内に営業所を設けたことを登記し、その営業所の所在地においては四週間以内に外国会社の登記をしなければならない。ただし、登記がされた日本における代表者の住所地を管轄する登記所の管轄区域内に営業所を設けたときは、その営業所を設けたことを登記すれば足りる。 2 日本に営業所を設けた外国会社が外国会社の登記後にすべての営業所を閉鎖した場合には、その外国会社の日本における代表者の全員が退任しようとするときを除き、その営業所の所在地においては三週間以内に営業所を閉鎖したことを登記し、日本における代表者の住所地においては四週間以内に外国会社の登記をしなければならない。ただし、登記がされた営業所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内に日本における代表者の住所地があるときは、すべての営業所を閉鎖したことを登記すれば足りる。 条文にあるとおり、外国会社は、営業所設置の登記をしなければ、その営業所による取引を行うことができない。ただし、取引が無効になるわけではなく、「前項の規定に違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。」とされている。 よって、選択肢は誤りである。 (文 朝日久義) | |
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