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平成12年行政書士試験過去問 問34 商法(会社法総則)
[平成12年行政書士試験過去問]
2011年5月16日 10時17分の記事

取締役の第三者に対する責任についての次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らして誤っているものはどれか。

1.この責任は、第三者保護の立場から取締役が悪意または重過失で会社に対する義務に違反し、よって第三者に損害を被らせた場合に負うものであるから、取締役の任務懈怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係がなくても、取締役が賠償責任を負うことになる。
2.この責任に基づく第三者の取締役に対する損害賠償請求権は、10年で時効消滅する。
3.取締役が、その職務を行うにつき故意または過失で直接第三者に損害を加えた場合には、第三者は不法行為の規定により取締役に対して賠償請求することができる。
4.非常勤のいわゆる社外重役として名目的に取締役に就任しているにすぎない者でも、この責任を負わされる場合がある。
5.この責任に基づく損害賠償債務は、履行の請求を受けたときから遅滞に陥り、年5分の割合により遅延損害金を支払わなければならない。

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1、この問題の出題形式は、「誤っているものはどれか。」を問う問題である。

確実に正しい選択肢は○。あいまいな選択肢は△。確実に間違いだとわかる選択肢に×をつけていれば、自ずと答えが見えてくる。

2、まずは、何の問題か把握しよう。

取締役の第三者に対する責任についての問題である。問われていることは条文、判例レヴェルなので難しくない。確実に得点したい問題である。

まずは条文をチェックしよう。

会社法(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
第四百二十九条  役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2  次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一  取締役及び執行役 次に掲げる行為
イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ 虚偽の登記
ニ 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)
二  会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
三  監査役及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
四  会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

3、選択肢を一つ一つ検討しよう。

1.この責任は、第三者保護の立場から取締役が悪意または重過失で会社に対する義務に違反し、よって第三者に損害を被らせた場合に負うものであるから、取締役の任務懈怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係がなくても、取締役が賠償責任を負うことになる。

役員等の任務懈怠における第三者への損害賠償責任について判例は、相当因果関係を要件として、
「第三者保護の立場から、取締役において悪意または重大な過失により右義務に違反し、これによって第三者に損害を被らせたときは、取締役の任務懈怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係があるかぎり、会社がこれによって損害を被った結果、ひいて第三者に損害を生じた場合であると、直接第三者が損害を被つた場合であるとを問うことなく、当該取締役が直接に第三者に対し損害賠償の責に任ずべきことを規定したのである。」としている。

よって、選択肢は誤りである。

2.この責任に基づく第三者の取締役に対する損害賠償請求権は、10年で時効消滅する。

取締役への損害賠償請求権の消滅時効期間について判例は「取締役の責任は、法がその責任を加重するため特に認めたものであって、不法行為責任たる性質を有するものではない〜 そして、右損害賠償請求権の消滅時効期間については、他に特に定めた規定がないから民法一六七条一項を適用すべきである。」として、10年で時効消滅する。とされている。

よって、選択肢は正しい。

3.取締役が、その職務を行うにつき故意または過失で直接第三者に損害を加えた場合には、第三者は不法行為の規定により取締役に対して賠償請求することができる。

判例は、「取締役がその職務を行なうにつき故意または過失により直接第三者に損害を加えた場合に、一般不法行為の規定によって、その損害を賠償する義務を負うことを妨げるものではない」としている。

よって、選択肢は正しい。

4.非常勤のいわゆる社外重役として名目的に取締役に就任しているにすぎない者でも、この責任を負わされる場合がある。

判例は、「非常勤のいわゆる社外重役として名目的に取締役に就任しているにすぎない者でも、代表取締役の業務執行を監視せず、取締役会の招集を怠り、代表取締役の独断専行に任せ、第三者に損害を与えた場合には(現会社法429条)の責任を負う」としている。

よって、選択肢は正しい。

5.この責任に基づく損害賠償債務は、履行の請求を受けたときから遅滞に陥り、年5分の割合により遅延損害金を支払わなければならない。

「(現会社法429条)の責任に基づく損害賠償債務は、履行の請求を受けたときから遅延に陥り、年5分の割合によりその遅延損害金を支払わなければならない」とされている。

よって、選択肢は正しい。

(文 朝日久義)

 

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