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平成13年行政書士試験過去問 問28 民法
[平成13年行政書士試験過去問]
2011年5月25日 9時15分の記事

Aは、Bに対する債務を担保するため、BのためにA所有の甲地に抵当権を設定し、この抵当権が実行されてCが甲地を買い受けた。法定地上権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.抵当権設定当時甲地にA所有の建物が建っていたが、Aが抵当権設定後この建物を取り壊して旧建物と同一規模の新建物を建てた場合、新建物のために法定地上権は成立しない。
2.抵当権設定当時甲地にA所有の建物が建っていたが、Aが抵当権設定後この建物をDに譲渡し、Dのために甲地に賃借権を設定した場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
3.抵当権設定当時甲地にはE所有の建物が建っていたが、抵当権設定後この建物をAが買い受け、抵当権実行当時この建物はAの所有となっていた場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
4.Bのための一番抵当権設定当時甲地は更地であったが、Fのために二番抵当権が設定される前に甲地に建物が建てられた場合、Fの申立てに基づいて土地抵当権が実行されたときは、この建物のために法定地上権が成立する。
5.抵当権設定当時甲地にはA所有の建物が建っていたが、この建物が地震で倒壊したため、抵当権者の承諾を得て建物を建築することになっていた場合、競売後に建物が建築されれば、その建物のために法定地上権が成立する。

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1、この問題の出題形式は、「正しいものはどれか。」を問う問題である。

正しいと確信できる選択肢は○。あいまいな選択肢は△。間違いだと確信できる選択肢は×をつければ自ずと答えが出てくる。

2、まずは、何の問題か把握しよう。

法定地上権に関する問題である。すべて判例の知識を問う基本的な問題なので必ず得点したい。

3、選択肢を一つ一つ検討しよう。

まず条文をチェックしておこう。

参考条文 (法定地上権)
第三百八十八条  土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

1.抵当権設定当時甲地にA所有の建物が建っていたが、Aが抵当権設定後この建物を取り壊して旧建物と同一規模の新建物を建てた場合、新建物のために法定地上権は成立しない。

抵当地上の建物が再築された場合には、旧建物のために法定地上権が成立する場合と同一の範囲内で法定地上権が成立する(大判昭和10年8月10日)とするのが判例である。
よって、誤り。

2.抵当権設定当時甲地にA所有の建物が建っていたが、Aが抵当権設定後この建物をDに譲渡し、Dのために甲地に賃借権を設定した場合、この建物のために法定地上権は成立しない。

抵当権の目的たる土地または建物の一方が、その競売に至るまでの間に譲渡されて同一所有者に属しないこととなった場合でも、法定地上権が成立するとしている(大連判大正12年12月14日)。また、賃借権の上に更に法定地上権を認める必要があるかという点においても、抵当権設定後の賃借権(借地権)は原則として抵当権者に対抗できないため、法定地上権を認める必要があるとするのが判例である。
よって、誤り。

3.抵当権設定当時甲地にはE所有の建物が建っていたが、抵当権設定後この建物をAが買い受け、抵当権実行当時この建物はAの所有となっていた場合、この建物のために法定地上権は成立しない。

抵当権設定当時に土地及び建物の所有者が各別である以上、抵当権実行の際、たまたま所有者が同一の者に帰していたとしても、法定地上権は成立しない(最判昭和44年2月14日)とするのが判例である。
よって、正しい。

4.Bのための一番抵当権設定当時甲地は更地であったが、Fのために二番抵当権が設定される前に甲地に建物が建てられた場合、Fの申立てに基づいて土地抵当権が実行されたときは、この建物のために法定地上権が成立する。

土地に対する先順位抵当権の設定後、後順位抵当権の設定前に土地上に建物が建築された場合、後順位抵当権の実行がなされても、その建物のために法定地上権は成立しない(最判昭和47年11月2日)とするのが判例である。
よって誤り。

5.抵当権設定当時甲地にはA所有の建物が建っていたが、この建物が地震で倒壊したため、抵当権者の承諾を得て建物を建築することになっていた場合、競売後に建物が建築されれば、その建物のために法定地上権が成立する。

競売時に建物が存在しない以上、当該土地を競落した者の保護の観点から法定地上権は成立しない。
よって、誤りである。

(文 朝日久義)

 

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