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第一部 11話 【パイロット・ショウちゃん(仮)】
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第一部)]
2010年1月30日 19時48分の記事

ハラベエさんの犬星☆猫星
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第一部 11話 【パイロット・ショウちゃん(仮)】更新します♪

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ハラベエさんの犬星☆猫星の第一部〜三部の
リンクを作りました。
使ってくださいね(*´∀`*)ノ♪
☆【第0部】【1P

☆【第一部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P11P12P

☆【第二部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P

☆【第三部】
1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P





ハラベエさんの犬星☆猫星
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第一部 11話 【パイロット・ショウちゃん(仮)】

 久しぶりに、高い敷居をまたぐことにしたハラベエさん、早い時間の新幹線に乗り、大阪へは昼前に着きました。
地下鉄の駅からは自転車ではなく徒歩でしたし、長い間姿を見せていませんので、ショウちゃんのお出迎えはないだろうと思っていました。
ところが、ショウちゃんは待っていたのです。
いつも飛び出してきていた曲がり角の電柱の影に坐っているカレを見たとき、ハラベエさんは、胸に突き上げてくるものを感じ、涙ぐんでしまいました。
とても偶然とは思えません。
特殊な予知能力を備えているのか、霊感がひらめくのか……。
ショウちゃんは、ハラベエさんの帰りを察知していたに違いありません。
「ショウちゃん!」
ハラベエさんが、笑顔で声をかけて歩み寄ると、カレはうっそりと立ち上がりました。
 しばらく見ない間に、ショウちゃんも年老いたようです。 
無理もありません。
既に逝ってしまったBOWたちより年上なのですから……。
もう二十歳を過ぎているかもしれません。
背中から左側の下腹部にかけてごそっと毛が抜け落ち、ピンクの地肌が透けて見えています。
 歯も欠けているようです。
それでも一見元気に、ハラベエさんの先になり後になりして走り始めましたが、ハラベエさんが徒歩だからこそのこと、自転車だったらついてくるのがやっとではないでしょうか。
 あの満月の夜、いずこかへ旅立つ仲間の大集団を送り出したときの、威厳も敏捷な動きもまったく見られません。
 心なしか、息遣いも荒いようです。
 目もどんよりと曇っています。
 そんな状態なのに、律儀に迎えに来てくれたのです。
「ショウちゃん、有難う」
 そう声をかけたのは、ちょうど真横に並びかけてきたときです。
 ショウちゃんは、どういたしましてとでも言いたいのでしょうか、ハラベエさんを見上げて、なにやら呟きました。。
 しかし、ハラベエさんには、 
「モゴモゴ……」
 としか聞こえません。
 果たして、ハラベエさんの期待に応えて、数々の疑問を解く鍵を与えてくれるのだろうか?
 これまでショウちゃんが見せた行動は、十分にその能力を備えていることを顕してはいるのですが……。
 でも、ハラベエさん自身が、忍びよる老いに体力も思考力も徐々に蝕まれつあるのと同様に、ショウちゃんも衰えつつあるのではないかという不安もあるのです。 
 そんな思いを振り切るように、
「ショウちゃん、聴きたいことがあるねん」
 と、声をかけました。
ショウちゃんが歩みを止めました。
「どや?」
 と、目を見つめて云いました。
 見返すショウちゃんのまなざしはうって変わった鋭さで、老いぼれているとは思えません。
 薄い膜でも張っているように見えたどんよりとした目が、ハラベエさんの心の中まで見通すような、怜悧な光をたたえた輝きを帯びているのです。
 それはは賢者の目でした。
あのヨーダが、重く垂れ下がった瞼の奥から、時折見せる鋭いまなざしに似ているようです。
 そういえば、ヨーダによく似たトコちゃんのおばあちゃんが云った言葉があります。
「けど、心は変わりまへん……目ェが、すべてを語ります」
 確かにそのようです。
 吟味するといった感じで一瞥すると、大きくうなずくようなしぐさをします。
 承知したというメッセージに思えました。
 念を押すようにじっと見つめ一声吠えると、ショウちゃんは鮮やかに身を翻し、勢いよく走り去って行きましたが、その後姿にはもう老いなど窺えませんでした。
 BOWたちが逝って久しく、独り走り回っているヒナコももう老境に達しています。
 エヤコンの上に寝そべり、家の中を眺め渡している観察者も、一気に駆け上る運動能力が衰え、三度に一度は失敗してカーテンに宙吊りになっているようです。
翌日の昼下がり、家の前で吠える声が聞こえました。
 ベランダから見下ろすと、前の道を駆け抜けていく茶色の姿。
 ショウちゃんが迎えに来たようです。
 家を出たハラベエさんは、グランド横のベンチに足を運びました。
 殆ど無意識に……と、云っていいでしょう。
 広場には、犬類が走り回るいつもの風景がありましたが、ハラベエさんは眼中にありません。
 ひたすらショウちゃんの姿を追い求めました。
 一向に現れません。
 陽だまりの中で、ハラベエさんは眠気をもよおしてきました。
 しばしまどろむハラベエさん。
 夢うつつの中で、ふと、隣に誰かが腰を下ろす気配を感じました。
 そっと目を明けました。
 ショウちゃんがいました。
 しかも、ハラベエさんと同じようにベンチに腰をかけています。
 いや、腰をかけているように見えるのです。
 ショウちゃんはハラベエさんにとって、大事な情報源であり相談役でもあるのですから、人類と犬類とを分け隔てる思いはありません。
 同じ年配の老人同士語り合う、そんな感覚でした。
 さて、何から聴いたものか……たくさんあり過ぎて取捨に迷います。
 すると、ショウちゃんが、ごろごろと喉を鳴らしました。
猫類が機嫌のいいときに発するゴロゴロに似ています。
 似てはいます……しかしあきらかに抑揚や強弱があり、なんとなく話しかけてきているようですが、ハラベエさんにはモゴモゴとしか聴こえません。
 わからないよ、無理だよショウちゃん……と、その横顔を見つめました。
 すると、モゴモゴがとまり、ショウちゃんはをめぐらし、ハラベエさんを見つめると、おもむろに目を閉じ、ゆっくり正面を向きます。
 なに?……あ!……そうしろということか……慌てて正面を向き、瞑目してハラベエさんは待ちました。
 モゴモゴが再開されました。
 何だ!……同じことじゃないか……?……と、ハラベエさんが再びショウちゃんの様子を窺おうとした瞬間です。
『キキ……タイコトハ……スベテ……ワカッテイマス……』
 ショウちゃんの声が聴こえました……いや、聴こえたのではありません。
 伝わってきたとするのが正確でしょう。
 音声を聴覚がとらえたのではなく、視覚がとらえたようです。
 ハラベエさんには、閉じた目の瞼の裏のスクリーンを、文字が横切っていくように思えたのです。
 しかし、それも正確ではありません。
 脳科学の専門家でもなし、そのメカを解明することなど、ハラベエさんには至難の業です。
 流れに任せるのがハラベエさんのいつものやり方。
これがテレパシイってやつか……そうだ、脳波だ脳波、こっちも声にする必要はなく、脳波で質問……ではなく、ただ考えを伝えようという意思があればいいのだ。
『オシリニナリタイコトハ……ジュンジョダテテオハナシシマスカラ……』
 そうですか、ではよろしくお願いいたします。
『ハイ……デハハジメマス』
 どうやら、ハラベエさんの脳波もうまく伝わったようです。
『アナタガタノヒトノホシ……タンジョウシテカラ……ヨンジュウオクネン……セイカクニイイマスト……サンジュウキュウオクニセンサンビャクヨンジュウゴマンロクセンナナヒャクハチジュウキュウネンニナリマス』
 そんな細かいところまでわかっているのか……たいしたもんや。
『ワタシタチノイヌボシ……ネコサンノネコボシ……イズレモオナジコロニタンジョウシマシタ』
 そうか!……やっぱりそうだったのか!
『イロイロナセイブツノホシガアルナカデ……イヌボシトネコボシガ……ヒトボシノチキュウト……モットモハヤクコウリュウシテ……』
 大当たり!……ハラベエさん冒頭の推論は間違いありませんでした。

【地球に生きる命のすべてに、ふるさとの星があります。
マンモスからゴキブリ、縄文杉からわかめ昆布にいたるまで、単一の種が支配するそれら無数の星の間には交流があり、中でも地球は宇宙交通の要衝だったのでしょうか、何億年もの間にありととあらゆる種が流入して定着しました。
中でも、犬類の星と猫類の星は、宇宙規模の距離感からすると、お隣同士といった至近距離にあって、交流の機会も多かったので、異星人というよりむしろといった親しさで、地球の人類と家族に等しい関係を作り上げてきたのです。
科学的にはなんら根拠はありませんが、これは本編の主人公ハラベエさんが、長年考察を重ねて導き出した、独自の推論であります】

まさに、大正解と云えるでしょう。
『アナタノスイロンハタダシカッタ……デモソレハホンノイリグチ……イッポモニホモフミコンデイロイロオハナシシマス』
お願いします。
『デハヒトトオリ……オキキイタダクコトニイタシマショウ』
ショウちゃんの語り口が、ぐっと重みを増しました。
待ってました!……ショウちゃん!
まるでお芝居の大向こうからのぞめきのように、ハラベエさんは声をかけました。
勿論、声には出しません。
『アリガトウ!』
ショウちゃんがいいで反応します
どうやら、脳波のキャッチボールはうまくいってるようです。
『さあて……』
と、ショウちゃんが高く語り始めると、BGMがハラベエさん好みのいいタイミングで忍び込んできました。
ショウちゃんは、物語り……ハラベエさんはひたすら聴き入ります。
時折、情景描写が入ると、ハラベエさんはスクリーンに思い描きます。
しかし残念なことに、しかしハラベエさんに描かけるのは……過去、長年にわたって観続けてきたSF映画で得た知識の域を超えるものではありませんでした。
どうやら、ショウちゃんといえど、ハラベエさんの脳内にあるスクリーンに、正確な画像を送るのは難しそうです。
ショウちゃんが物語る『犬星猫星』とは……次章、いかなる展開を見せるのでしょうか。

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〜OGUNI・WORLD〜
地域:大阪府
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ジャンル:趣味 漫画・小説
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シーズの愛犬BEEとハラベエを取り巻く生き物たちとの、
出会いと別れを描いた感動、ファンタスティック・ノベルです。

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