第二部 12話【衰え・・・】 | |
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第二部)] | |
2012年9月21日 0時6分の記事 | |
ハラベエさんの犬星☆猫星 =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原 兵 衛 第二部 12話【衰え・・・】 UPしました是非読んでください(^▽^)ノ 今回のお知らせイラストは 【ミニチュア・ピンシャーのイラスト】です。
☆【第0部】【1P】 ☆【第一部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】 ハラベエさんの犬星☆猫星 第二部 12話【衰え・・・】 前章は、なんやぼやきに終始してしまいました。 それにつけても、近頃どうも涙もろくなったという自覚があります。 合わせて気力の衰えも感じます。 いい年なんだから、当たり前だろうと思う気持ちと……冗談やない、俺はまだまだ若いねん……と、反発するハラベエさんでもあります。 が、強がってはいるものの、肉体的な衰えはじわじわと、忍び込んできているのは事実です。 ハラベエさんは元々声自慢でした。 美声ではありません……大声ですが……。 稽古場で、演出家は役者以上に、腹の底まで響くような声でこそ稽古をリードできるという信条で、過ごしてきました。 舞台稽古の際も,音響係が用意してくれる、ガナリと称する演出家用のハンドマイクを使ったことはありません。 地声に自信があるのは当然ながら、客席の演出席から舞台に役者に駄目(ダメ)を出すときに、自分は面と向かって話しているつもりでも、聴く役者はどうしても音源のスピーカーに視線が行き耳を傾けます。 その違和感がどうにも耐えられず、地声で通してきたのですが、以前のような迫力が感じられない……気力、体力のの衰えを自覚せざるをえない状態であるのは確かです。 如実な変化は声そのものにあり、変化にはキッカケがあります。 ある日突然に、喉に違和感を感じました。 原因は分かりません、只妙にいがらっぽく感じるんです。 何だろう?……と、疑念がちらっと浮かびましたが、大騒ぎするほどのことではないと思い、あり合わせの咳止めを服用して寝ました。 翌朝,喉のいがらっぽさはなくなっていましたが、食道や気管支全体にがはれぼったい感じです。 唾を飲み込むと、むせて咳き込みます。 原因は定かではありませんが、弁がしっかり蓋をしないので、咀嚼嚥下したものが、気管支に入り込む……ま、そんなところですが、これが食事中だとえらいことになります。 食事中、急に咳き込むと、頬張っていた食い物を辺りに撒き散らしてしまうので、余人と食卓を囲むのは躊躇せざるを得ません。 その内、言語が明瞭ではないことに気付きます……呂律が廻らないのでしょうか……常々、舌が回らなくなったらこの仕事はやめじゃ……などと啖呵を切っているハラベエさん、忸怩たる思いです。 くぐもったような声は、伝えるべきことを伝えていない……そう自覚させられたのはコンビニでの買い物の時でした。 「10ミリのロング……」 「はい……」 と、やや離れた位置の店員さんが寄ってきました。 「10ミリのロング……」 「はあ……?……何しましょ?」 と中年の店員さん。 (聞こえてへんのか……しっかりせえよ) 「10ミリのロング」 と、ハラベエさん、大きな声で……そう思っているのは本人だけですが……注文しました。 「はあ?」 と店員さん、身を乗り出して、ハラベエさんの言葉を待つ姿勢です。 どうやら、非はハラベエさんにあったようです。 「10ミリ!……ロング!」 明快に、殊更に歯切れよく聞こえるように、大声を発しました。 (耄碌爺やと思うとったやろ、実はこの通り、まあだまだ若いねん) と、辺りの連中をねめ回すと、店員たちはもとより、レジを待ってる人まで、何か、とても気の毒な人を見るような、憐憫の情を浮かべていました。 へこんでしまうハラベエさんでしたが、その日以来、せめてもの努力、連日、朗読に勤しんでいるハラベエさんですが、果たして効果があるものかどうか?。 こんな状態ですから、体力の減退は否めませんが、気力だけは充実しているつもりです。 とはいうものの、気がかりなこともあります。 元々涙もろい性格でしたが、このところ、さして感激的な場面ではなくても、 ちょっとこみ上げるものを感じると……反射的に「くうーっ!」とか「かおーっ!」などと、意味不明なうめき声を発し、涙ぐんでしまいます。 周りに人が居ようが居まいが、処構わず出るので閉口します。 こんなことでは、昔の軍人勅諭の一節『気力に悖るなかりしか』に、完全に抵触します。 余談ですが、ハラベエさんは軍国少年でありましたから、何かにつけて、未だに暗記している教育勅語などから、引用を試みることがしばしばあります。 少し大げさですが、それがハラベエさんの精神的な支柱になっていると言えます。 この気力という言葉が、今回の五輪ロンドン大会で、頻繁に登場しているように思えます。 もともと、何ごとも精神論から始まるのが日本人です。 残念ですが、お家芸である柔道は、腰砕けの憾みがありましたが、サッカー男女、水泳男女、卓球男女、バドミントン女子、レスリング女子、アーチェリイ男女の活躍は、気力の充実が顕著です。 正に、気力に悖ること無い努力の結果です。 ハラベエさん、ちいさな東洋人の踏ん張りに、連日連夜惜しみなく熱烈な拍手を送っています。 そして次なる南米の大会で、今回以上の成績を上げるには……と、素人なりの戦略を練っています。 テレビ桟敷でご観戦の方々、中にはハラベエさんのお仲間が多いのではないでしょうか。 頼りがいのある若者たち……70才の超ベテランを含む……の祭典も閉幕間近になりました。 『おもろうて やがて哀しき 五輪かな』 そんなところでしょうか。そんなこんなで、寄る年波には敵わないと、口惜しいけど諦めざるを得ない、 閑話休題。 ハラベエさんも、気力に悖ることになるのでしょうか。 ハラベエさんの今日この頃ではあります。 天職と信じ、ひたむきに歩いてきた道です。 せめて残りの人生も、同じ道で力を尽くして全うしたい。 誰しもそう願うところでしょう。 しかし、諸般の事情でやむなくリタイアして行く……。 ところが、ハラベエさんの辞書にはリタイアの言葉はありません。 とことん、商業演劇の現場で生きて、人生の終焉を迎えたいのです。 その際、一流とされる劇場で一流の出演者を必要とはしていません。 金のかかった舞台も不要です。 喩え、劇場も俳優も、そして演出家も、全て三流とされても、創り上げた舞台は一流と言われるような仕事をしたい……これが現場の人間の心意気、『一寸の虫にも五分の魂』……と、これがハラベエさんの気力の基、決して萎えることはないでしょう。 そんな思いのハラベエさんですが、業界には冷たい秋風が吹き抜けています。 ハラベエさんに、心ゆくまで、芝居造りに励む日が戻ってくるのでしょうか。 →ハラベエさん徒然草ヘ〜 ☆【第0部】【1P】 ☆【第一部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】 ランキング参加中 ポチっとお願いします〜(*´д`*)ノ くる天 人気ブログランキング フルーツメール | |
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