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第一部 4話 【ミュウとノン、そしてクーちゃん一家。】
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第一部)]
2009年11月3日 13時27分の記事

<無料版>ハラベエさんの☆犬星・猫星☆
第一部 4話 【ミュウとノン、そしてクーちゃん一家。】

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ハラベエさんの犬星☆猫星の第一部〜三部の
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☆【第0部】【1P

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☆【第二部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P

☆【第三部】
1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P



ハラベエさんの☆犬星・猫星☆
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第1部 4話 【ミュウとノン、そしてクーちゃん一家。】

大阪道頓堀の中座「ミヤコ蝶々特別公演」公演中のことでした。
中座の楽屋口に面した路地の向かい側に、料亭があります。
ミナミでも一流の老舗ですが、物故された国民歌手M・Mさんの、元奥さんの実家としても知られていました。
 その料亭の左端、隣の建物との間のすきまから、仔猫の鳴き声がすると騒ぎ立てたのは、中座の名物楽屋番ヤマちゃんでした。 このこのヤマちゃん、役者であろうがお客さんであろうが、男には思いっきり親切ですが、女性や子供は通り一遍の扱い、まして動物など一切受け付けないという男性?です。
おそらく、ご存知の方はニヤリとされることでしょう。
「うっとうしいわあ、何とかしてちょうだい」 
 と、ヤマちゃんに云われるまでもなく、だれかれなしに救出を試みますが、どうしても仔猫に手がとどきません。
 そこへ登場したのが、蝶々さんのお弟子さんになりたての、M川クン。
 すらりとした体形のM川クンは、長い手でなんなく仔猫をつかみ出しました。
 茶色の毛におおわれた、まだ眼もあいていない男の子です。
「どんな子や」
 と、蝶々さん……楽屋に連れてこさせ一目見て気に入ったようですが、家に連れて帰るとゲラン一族の天下ですので折れ合いが気になります。
「ハラベエさん、あんた引き取ってえな……そやなあ、中座の傍で生まれた子やから、名前は中助でどう?」
 芝居小屋の近くで生まれたからといって、まるで歌舞伎のお弟子さんみたいな名前はいかがなものかと思いましたが、引き取るのは一向にかまいません。
 連れて帰るなり案の定、名前は却下されました。
 ママとその娘Eちゃん、その従姉妹Hロミちゃんの総意で付けられた名前は、ミュウでした。※ミュウの写真

 BOW夫婦の一回目の子供たちがそれぞれ引き取られた後で、ラブスは育児から解放されたばかりです。
生みの親との縁がうすい仔猫は、LOVESを母親のように甘え、寝るときはそのふところに抱かれていました。
 ききわけのいい子です。
「ミュウ、ねんね!」
と、ハラベエさんが命令すると、素直にその胸に乗り、本当に眠ってるかのようなポーズで五分ほどうずくまってから、そっとはなれてラブスの傍へ行きます。
元気な子で、あっという間に成長すると、男の子らしく高遊びを覚え、とびだしたきり二三日帰ってこないのはざらでした。
 体型は細く四肢が長く、尻尾はしなやかに伸びて優に頭部にとどく長さです。
「姿がいいわ、毛色は違うけど、クレオパトラのそばにいるアビシニアンにそっくりよ」
 写真を見ての、女流画家で高名な舞台美術家A倉さんの言葉に、親馬鹿心をくすぐられるハラベエさんでした。
 そんな優美な姿なのに、性格はたけだけしいミュウです。
台所の窓を少し開けてあるミュウ専用の出入り口付近には、血の跡が点々とついているのがしばしばで、近所のボス猫たちと縄張り争いにあけくれていたのでしょうか。
 その頃は、ママのお父さんの持ち家に住んでいましたが、まもなく同じ区内にあるやはりお父さん所有の土地に、家を建てて引越しました。
 一階部分の天井を高くしたので、二階のベランダはけっこう高さがあり、これではミュウも脱出は不可能、数日はためらいの表情でうろうろしていました。
 ところが……です。
「さすがのミュウもあかんな」
からかい半分のハラベエさんの言葉が、しゃくにさわったのでしょうか、その晩脱出を決行、姿を消しました。
 そのまま帰ってきません。
 いや、帰ってきても、前の家のようにミュウ専用の出入り口がありませんし、いかに身軽でも二階までよじ登るのは無理です。
 そこで、塀からベランダへ板を渡して帰りを待ちました。
 ただ、気になるのは引越ししたばかりで、ミュウに土地勘がないということです。
 むしろ立ち廻りそうなのは旧居、ご近所に、もし見かけたら連絡をと頼んで待ちました。
 首輪にはミュウの名前、住所と電話番号を書き入れてあります。
 しかし、行方は杳(よう)として不明、焦燥感がつのるばかりでした。
 ハラベエさんたちは、時間があれば自転車で走りまわり捜索をつづけました。
 そんなある日の夜、大人の背丈ほどの雑草が生い茂った、かなり広い空き地の踏み分け道でいつものようにミュウの名を呼びました。
 耳をすましても、かすかに聞こえるのはわずかな風のそよぎにゆれる草の葉ずれと、背後の住宅の団欒(だんらん)だけです。
 大きな声で呼びつづけてもご近所迷惑、今日も徒労に終わったかと、重たい足でペダルを踏みかけた、その時でした。
 ハラベエさんの耳が、ちいさな鈴の音をとらえたのです。
 音色に特徴があるわけではありませんが、もしやの思いでハラベエさんの胸は波立ちます。
 やさしく、名前を呼びました……二度……三度。
 チリン……チリリン……。
鈴の音がだんだん近付いてきて、やがて草をかき分けるように姿を現したのは、痩せほそり薄汚れてはいましたが、確かにミュウでした。
「ミュウ?」
と、ハラベエさん。
 応えず、カレららしく横目でチラッと観察しながらも、素知らぬ顔で通り過ぎようとしました。  
「ミュウ!」
たまらずハラベエさんは、叫んで駆け寄ります。
 一瞬身を翻して逃げかけました。
 せいてはことを仕損じる、と自分に云い聞かせると、いつも持って歩いてる何種類かのキャット・フードと、マタタビの粉を取り出しました。
 マタタビで誘導し、キャット・フードに喰らいついたところを捕まえようと悪戦苦闘、どうやら成功しました。
 野性に返ったのではないかと思うほどのはげしい抵抗でした。
 夏場ですからハラベエさんはシャツ一枚、たちまち引き裂かれ、上半身はみみずばれだらけにされました。
 ミュウと会うことができたこの空き地、ハラベエさんにとっていくいくは非常に大事な場所になるのですが、それはまだ先の話。
 自転車では無理と、抱きかかえて家まで駆け戻り、風呂にそのままとびこみました。
 引っかき傷がますます増えましたが、ミュウが帰ってきた歓びの方が大きく、
痛さも感じずにせっせと洗いつづけたのでした。
 しばらくは、なにかにつけて警戒心をあらわにするミュウでしたが、やがて家族の輪の中に復帰しました。
 ことに、帰ってきた家出息子に、こまやかな気配りをする母親そのもののLOVESの存在が……ミュウの心のリハビリに役立ったように思えます。
 しかし、体がなかなか元に戻りません。
 機敏だった動きを見せることもなく、だるそうにしています。
 歩くのにも支障があるようです。
 彷徨(ほうこう)中に、悪い病気を貰ったのではないかと、行きつけの動物病院へ連れて行きました……例の、BUSUからLOVESへの改名を強硬に主張した婦長さんのご主人が院長です。
 白血病ということで、しかも余命いくばくもないと宣告されました。
 親の血がさせたものか、あの空き地の草の中で何かがあったのか、ミュウに
は語るすべもありません。
ミュウは、苦痛の中でその三年という短い命の終わりを迎えたのでした。
 ハラベエさんの腕の中で、激しく痙攣したと思うと、四肢が突っ張るように硬直しました。
 シャーっという音が聴こえました……傍らのシートに失禁したミュウの尿がほとばしっていたのです。
 音が消え、ミュウの鼓動も消えました。
 やがて硬直が解けたミュウを、丸くなって居眠りでもしているような姿にしてあげたのは、EちゃんとHロミちゃんでした。
 母親代わりだったラブスが、ミュウの毛づくろいをするようなしぐさを見せ、ハラベエさんには、死(しに)化粧(げしょう)でもほどこしているかのように思えたものです。
 しばらくは。BOWたちだけの日々が流れます。
やがて、新しく家族になったのは、ご近所からもらわれてきたノンです。
 うすくグレイがかかった白で、姿かたちがミュウによく似ているので、ママも引き取る気持ちになったようです。
 ノンは、ママが「ピョン!」というと、ジャンプして肩に飛び乗るのを、唯一の特技にするようになります。
 他の家族とはいっさい触れ合おうとはせず、たまに抱かれてもその手をすり抜け、家の中でお気に入りの高い場所から、観察者のように見下ろす毎日です。
 表に出ようとする気配も見せず、ママに時々ちょっかいを出すだけ。
次々に家族の旅立ちを見送り、今もなおマイペースで生きています。
 ママにとってはいい相棒なのでしょう、何かに付けて声をかけるのはノンなのです。
 以前は、すべてBOWへの呼びかけで始まりましたが、今はノンの天下です。
 そんな変化を、BOWは気がついているのでしょうか。
 どうやら、老境に近付きつつあるボロには、若い者とリーダーの座を競い合う気などないようです。
「ノン、ごはんよ」
「BOW、LOVES、BEE、ごはん」
「Eちゃん」 
最後に、
「…………」
雰囲気だけで察知しろということでしょう。
 ママにとっての存在価値を如実にものがたる序列に、黙々と従うハラベエさんとボロでした。
 一方、玄関前のアプローチには、ママにカレらを惹きつける魅力でもあるのか、さまざまなノラちゃんたちが出入りして、ご機嫌をうかがっています。
 そんな猫類の間でも、勢力争いはありました。
頭角を現してきたのは、体のでかいブチでも、精悍そうなキジでもなく、小さくてほっそりとした、全身真っ黒の女の子でした。
 ママにクーちゃんと呼ばれるその子は、並みいる自分より大きな男連中を、威嚇(いかく)しけちらし、若くて生意気そうな男の子がうっかりちょっかいを出そうものなら、容赦なく爪を立てて攻撃します。
 何故クーちゃんが戦闘的なのか、どうやらおなかに子供を宿し、神経質になっていたからだと思われます。
 父親はわかりません。
 ママが、時々顔をみせる、これも黒い男の子だと言うのを……クロだから相手も黒とはあまりにも単純な発想……と笑ったハラベエさんでしたが、それらしい子を見てなるほどと思いました。
 仲間の争いを、遠く離れて見ていますが、クーちゃんが勝ちを収めると、それでいいのだとでもいうような挙措(きょそ)で、カレが悠然とその場を離れていく情景を、二度三度目にしました。
 (わしが出るまでもなかろう……てなとこやな、ええ恰好や、さしづめ旗本退屈男で、クーちゃんが小股の切れ上がった芸者やな、似合うてるがな)
と、クーちゃんたちの小股がどこかはともかく、二人の関係を認めました。
 その居住権も容認して、ママは小さな犬小屋を提供、クーちゃんはお産前の平穏な日々を過すことになります。
 ところが、お産も間近いと思われるある日、クーちゃんが突然姿を消し、犬小屋に置かれた食事は、他のノラちゃんに食べられているのが目撃されました。
産院に行ったのではないか、電話で問い合わせて見よう……などと冗談を言いつつも、ハラベエさんたちは懸命に探しました。
 灯台下暗し、同じ敷地内にある倉庫の片隅で、無事分娩を済ませたクーちゃんを見つけたのです。
 小ねずみほどの黒い子が四人、生まれてました。
 ハラベエさんは、四人を手のひらに、犬小屋へ運びました。
 クーちゃんの姿はありませんでしたが、こっちの方が安全と思ったのが大きな間違い、朝になって見ると、四人の姿がありません。
 大慌てのハラベエさん、はっと思いつき、倉庫に急ぎました。
 クーちゃんがいました。
 しかもそのおなかに群がって、おっぱいを飲んでる仔猫たち。
「クーちゃん、ごめんやで、いらんことして……」
 謝るハラベエさんを、クーちゃんは穏やかな目で見上げました。
 そして数日後、クーちゃんは律儀に、四人の子を正式に紹介してくれました……自分の手で顔見世をさせたかったのでしょう。
 犬小屋にきちんと並んでいる四人の子と、毎日用意してあった食事をおいしそうに食べているクーちゃんが見られました。
「いっぱい食べてや、クーちゃん……」
 喜んでいるのに、ママの声は濡れています。
 ハラベエさん、犬小屋から倉庫へ……倉庫から犬小屋へと、夜中に仔猫を一人づつくわえてせっせと運んでいる、クーちゃんの姿を思い描きました。
「これが、ほんまの、クロネコヤマトの宅急便や」  
 と、微笑むハラベエさんでしたが、日ならずしてこの子たち、思わぬ悲劇に巻き込まれることになります。

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地域:大阪府
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シーズの愛犬BEEとハラベエを取り巻く生き物たちとの、
出会いと別れを描いた感動、ファンタスティック・ノベルです。

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