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回想
[オートマチック・ガールズライフル(小説)]
2016年1月3日 6時37分の記事

オートマチックガールズライフル最終話です。


考えてみたら。

自分の小説で、まだ一つも完結していないので危機感がわいてきました。



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「はい、もういいですよアンさん」

ぐでん!

「つ、つかれたわ」

アリサちゃんの似顔絵を描くモデルを務めている。
アンはもう病院を退院してから、数日後にミシン工場へ復帰する。
でもアリサちゃんが病院を外出してアンの家に通っている。

「あ、あのねアリサちゃん」
「3日後にはミシン工場へ仕事復帰するから」

「分かってますよアンさん」
「アンさんの仕事の邪魔はしませんから」

「じゃあ!」
「また明日」

バタン

「るんるん」

「・・・・」

アニィは仕事だ。小学校へ行っている。
少しずつ日常が戻ってきた。
アンに呪いをかけていたミハル・グレイマンは、ある程度の賠償金とともに謝罪した。アンの意識は戦場へ戻ることはなくなった。
平穏無事な生活を約束してもらった。

結局アンは戦争に巻き込まれて多くのものを失ったけれど。
かろうじて夫のアニィとの夫婦暮らしに支えられている。


近所の駄菓子屋へ行った。
子供の頃に買った駄菓子を買う。
口に含みながら家の玄関で椅子に座り外を見る。
アンの家の通りにはまだ立っている家が少ない。
戦争で殆どの家が焼き討ちされたから。
椅子に座って外を見ていると、悔しくて泣きたくなる。
アンは戦争に人生をめちゃくちゃにされた。
それでもめげずに元気で明るく生きて来た。
ボロボロのジーンズによれよれのTシャツ姿で。
髪はいつもポニーテール。
おしゃれとは程遠いアンの姿は気丈に感じる。

黄色い砂嵐が道路に吹き荒れる。
行き交う人々に紛れて死体が見える。
死体が歩いている!
全裸で筋肉がむき出しの頭から目がこちらを見て笑っている。
気持ち悪い、こんな嫌な現実は逃げたい。
でも、心が逃げてはいけないと言う、これも一つの現実なのだと。
しばらくして錯覚?は消えた。
アンにまとわりついている死神は、いつか居なくなるだろう。
生きる元気さを忘れない限り。


今夜は乾いた風が吹いている。まだ夏だが乾燥した湿度の低い天気。盆地のチョモル村には珍しく寝過ごしやすい夜。

アニィがベッドで寝ている。
アンはまだ寝付けないのかテーブルでホットミルクを飲んでいる。
アニィは戦争で両足を亡くしたから車イスをベッドに近づけて寝ている。まだ夜中なので家の周りも静か。
明かりは消されて、月明かりがカーテン越しの窓の外から差し込んで、アンの顔がぼんやりと見える。
パジャマ姿のアンはマグカップを両手で握っている。

さて、ここでアンに質問してみましょう。
キム軍曹、出番ですよ。

アンは物思いにふけっている。
なぜか今日は涙が出てこない。

あれ?

入口の戸に誰かが立っています。

「あん?」
「あ!あなたは」

キムベクトル軍曹が私服姿で立っています。

「やあアン」
「久しぶりだね」

「中尉殿!」
「お久しぶりです」
「どうしたんですか、私を迎えに来たんですか?」

「違うよ、アン」
「どうだい」
「君の人生は幸せだったかい?」

「へ?」

「君は幸せだったのかい」

「う、うん」
「アンの人生は幸せだったわ」
「どんな人生でも不幸だとは思わないわ」
「それにまだ人生の途中なのよ」

生暖かい風が頬をすり抜ける。死者との再会なのに、アンの心に恐怖は無い。

「ねえ中尉殿」
「あの時、あなたのライフルを貰わなかったら」
「アンは死んでいたのかしら」

「さあ、どうだろうね」

アニィはまだ寝ている。

「アン」
「私たちはいつでも君を見守っているよ」

「う、うん」
「中尉殿は優しいのね」

ゆっくりとキムベクトル軍曹の残像が消えてゆく。
消え切った頃にアニィが目を覚ました。

「アン、誰か居るのか?」

「ううん」
「アンしか居ないわよ」
「夜は長いわ」
「朝まで布団に入ってましょう!」

ボム!

「うわ!」



アン・ユウリィは3年戦争を生き残った。
避難先でキムベクトル軍曹を助けたことから、彼からライフルを授かった。
それがアンが戦争に加担した理由だったけど。
彼女はまっすぐに生きようとしたから苦しんだ。
蹴って消える事の無い傷もあるだろうけど、心は自由を求めている。
清く貧しく美しく、太陽に向かって咲くひまわりのように。
軍靴に踏みつけられても、歯向かう事無く咲いていられるように。
憎しみに負けない魂が世界を変える日の為に。


オートマチック・ガールズライフル・・・終わり


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