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漆黒の硝煙
[サンチャイルド(戦記小説)]
2017年5月18日 5時37分の記事

自作戦記小説「サンチャイルド」10話です。

何だかノリが悪くなったですね。

台本みたいに省略した書き方のほうが面白かったような気が・・・


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「民主主義とは、数の正義だよ」

「いやいや、平和主義に他ならない」

「そのために他国に刃(やいば)を向けるのかね」

駄目だな・・・政治家なんてタヌキの集まりだ。
おいそれと他者を尊重して認める事も出来ない。

「元帥」
「何か新しい情報は無いかね」

「はい」
「敵国の兵士、一兵卒ですが。この惑星の未来を左右するとか何と言われているホープが現れています」

「なにかね」
「そいつは芸能人かね」

「いえ、ただの軍人ですが」
「あらゆる祈祷師(きとうし)が目を光らせて『こいつは新種だ』と語っています」
「中にはこの星を滅ぼす悪魔の生まれ変わりだと言う占い師も居ます」

ここはマルス民主主義国の国会議事堂。
政治家の会合に参加する軍人が食事に招待されている。
私はトワナ元帥。数々の戦役に参戦して功績をあげてきたが、今回の大戦で一番気がかりなのが。
新型の兵器、ヒューマンプロテクト、HPの信頼性だ。敵軍では重歩兵と呼んでいる。
人は新しい武器が欲しい。それが何を自分にもたらすのか、何を自分から奪うのか。
未知の段階では、ただうのみにする事がどれほど危険か・・・
今はヒューマンプロテクトは二世代だが、次世代の開発がもう済んでいる。そんなに予算をつぎ込んでいないのだが、何か裏がありそうだ。噂によると、異次元宇宙のテクノロジーがもたらされたとか。
ばかばかしい、空想科学小説じゃあるまいし。
前回の作戦、アカツキダミーでは完全にわが軍のHPが装備不全で敗北した。
敵軍との新兵器の開発競争はまるで未知の領域だ。
何か異変が起こってもおかしくない。

「どうかね元帥」
「その敵の兵士をわが軍に寝返らせることは出来ないかね」

「それは無理でしょう」
「ですから抹殺する道を選んだのです」

「おいおい」
「未来の希望は何百年に一度だろう」
「簡単に手放すものじゃないよ」

老人たちとの打ち合わせは面倒くさい。さっさと終わらせて熱いシャワーを浴びたい。
ああ、早く時間よ過ぎされ・・・


ここはテーガ列国のある地方の小国。山深くにひっそりと建つ小屋。
古びた小屋に老人が二名。しわくちゃな顔にしわくちゃな指を絡ませて唸り声を上げる。
ボロ切れの様な衣をまとってボロボロの木のテーブルに向かい合い座る。
テーブルに置かれた書物に手の平をのせて目を閉じる。

「重骨格猟兵が何をもたらすのか」
「その道を照らす存在とともにこの星の未来を切り開く時が来た」
「人は自分を守る殻(から)が欲しい、それが欲しくてまた人を殺(あや)める」

「あなたの言う事は良く解ります」
「重骨格猟兵(HP)がこの惑星に誕生した意味は、人が進化ではなく、退化し始めた証」

「殻に閉じこもり、裸足で広大な大地を踏みしめた記憶を忘れようとしている」
「重骨格猟兵を否定せねばなるまい」
「シンパシー」
「この星の寿命はあとどのくらい?」

「マスター」
「未来は定まってはいません」

「そうでしたね」
「もうこの惑星には平和と呼べる愛は存在しないのですね」
「罪深き落とし子たちが産まれるこの星には」
「記憶を封印されるペナルティ・・・」
「誰もが知っているのに思い出せない」
「その宇宙の記憶にダイブできる存在は、もうこの世には居ないのでしょうか」

「存在します」
「その者がもたらす愛は、この惑星を変化させるでしょう」

「おお・・・」
「普遍なる愛よ」
「あなたの御子である事を誇りに思います」





「坊や」
「あたしはあんたの身の安全を確保するのが最優先任務なんだよ」
「身の回りの世話から何から何まで面倒見ろって命令されてんのさ」

サン・チャイだ。
もうこのピザ区域に来てから三日過ぎたが、このお姫様が俺を解放してくれない。
この女上官はマテルカ大尉。金髪のポニーテールで白い肌の卵型の顔、赤い唇の片方が上にひきつっている。生意気じゃなかったら可愛い女なんだが、この俺を坊やと呼ぶのは何とかしてほしい。

「いいかい坊や」
「新型重歩兵のマニュアル全巻を読破しちまいな」
「お勉強タイムは嫌と言うほど取ってあげるからね」

「お言葉ですが大尉殿」
「マニュアルが手書きの自家製本なんて聞いてませんよ」

「いいんだよ」
「頭に叩き込んだら燃やして灰にしちまうのさ」
「物的証拠は残さない」
「脳内に入っていれば盗まれることもない」

「思考盗聴されたら?」

「いいんだよ」
「情報を知っていても機体が安全なら、データ盗用されるまで時間がかかるからね」
「その前に次の新型を作ればいい」

カムイ中佐のピース中隊は全滅した。俺独りを除いて。
俺の新型機体は完全に整備されて今は機体収容ハンガーで眠っている。
手渡された機体完全データマニュアルには、コードTT300と書いてある。
機体の認識ナンバーだろう。
この機体は長時間空間跳躍、飛翔が出来る。オートパイロットとオート戦闘。人工エーアイも搭載されている。装甲も特殊素材らしい。
第三世代。
サダコさんが俺に教えてくれた通り、重歩兵をヒューマンプロテクトと呼ぶらしい。
マニュアルは全7巻あるが、まだ半分しか読んでいない。
ここは前線基地だが、空軍と陸軍の共用基地。重歩兵は陸軍の管轄になる。
また補充の重歩兵部隊が来た。機体と搭乗員のセットでお出ましだ。
巨大な輸送機から機体をおろしている。搭乗員が機体を見上げている。

「さん・・・」
「サンさん」
「サン!!」

「はい?」

「やっぱりサンだよ!」
「あたしを忘れちまったのかい」
「ジャムだよ、ジャムおばさん」

「ジャム少尉殿!」

「中尉になったんだよ」
「あら、あんたも上級曹長に格上げかい」
「生きてみるもんだねえ」

俺の配属される部隊は、ジャム中尉が面倒を見てくれるとのこと。
一部の兵らの噂では、ジャムおばさんは勝利の女神と言われているらしい。

「あたしの機体も見ておくれよ」
「あんたの新型第三世代にはかなわないけど」
「二世代の新型、G23ワズマンだよ」
「武装と装甲が強化されてるんだ」

数時間前に作戦に投入された部隊が帰って来た。
だいぶ被弾している。7機出撃したが、3機しか生還出来なかった。
整備班がとりつく。

「被弾個所、破損状況調べ!」
「だめだ、これはもう使えん」

急きょ出撃命令が下った。
作戦の延長だ。新たに出現した敵増援勢力を叩く。
ジャム中尉は出撃しないらしい、俺の新型TTで行く。
こいつの初陣はどんなものか、う〜ん。

「チャイ上級曹長」
「早く装備を付けてください」

ヒューマンプロテクトの起動音がする。激しいノイズが耳を突き抜ける。
燃料の注入は済んでいる。バッテリーチェックOK。コンピュータボックス動作チェック。
排気ガスの臭いが鼻に突く、臭いな。
拘束機構が寝ていた機体を直立させる。直立してからコックピットに入る。
無線が入る。

「指揮官のバングー大尉です」
「TT300の機体特性の見極めとして肩慣らしをしてください」
「聴いていますか?」

「聴いていますバングー大尉」

バーチャルモニタ上でカウントが始まる。
起動成功。クラスタチェック完了、臨海まで2秒、稼働可能まで6秒。
モニタ上でデジタルマーカーが幾つも踊りだした。

「作戦地点まで巡航速度」
「サンチャイ上級曹長」
「指示があるまで後方で待機」

「了解」

森林の中に河が走る、民家がまばらに立つ。田畑がいくつも平地に所在する。
マルス民主主義国軍作戦区域。敵側ヒューマンプロテクト(HP)が6機展開する。
その中の一機、真っ白い機体が目立つ。他のヒューマンプロテクトに比べて一回り大きな機体。
真っ赤の鮫ノ口をイメージしたペイント、獰猛な眼光のペイント。
コックピットでは、まだ少年のような眼をした青年が戦闘服に身を包んでうずくまる。

「いいか、今回の任務はターゲットHPの破壊、および搭乗員の抹殺」
「短時間の作戦が勝敗を決める」
「敵の新型は持久戦が得意だからな」
「搭乗員のサン・チャイ」
「そいつを始末するために工作員を送り込んである」
「各員、ターゲットHPに攻撃を集中せよ」

「了解」

ドーーーン!!!

「敵襲!」
「キム少尉!」
「狙われています!」

マルス軍が敵襲を受けた。不意を突いた背後からの攻撃、レーダーに反応は無かった。
ステルス装備と透明迷彩でも所在は筒抜けらしい。

「応戦しろ!」
「固まるな!」
「各機散開しろ!」

バリバリバリ!!

ズドーーーン!!

タンタンタンタン!!

「ゲリラだ!」

少年の目をしたキム・ベクトル少尉がHPを操縦して銃撃する、金色の薬きょうが飛散する。
その前方2キロ先、テーガ列国軍の部隊が進軍している。
サン・チャイの重歩兵は遅れて後方につく。
テーガ軍の小隊4機が左右に展開する。

「バングー大尉、前方で交戦あり」
「敵軍とゲリラの戦闘のようです」

「う〜ん」
「ゲリラからこちらには何の連絡も無かったのですが」
「まあ良いでしょう」
「好都合ですから一気に叩きます」
「サン・チャイ上級曹長」
「味方が打ち漏らした敵を攻撃してください」
「あなたの機体が狙われるのですからね」

「了解しました」

マルス軍のHPの数が4機に減った。
その間にもキム・ベクトル少尉のHPはゲリラのHP3機を破壊した。その猛者ぶりにゲリラのHP搭乗員は戦闘意欲が疲弊した。
ゲリラの人間歩兵が対重歩兵ライフルでキムのHPのコックピットを狙っている。

「!」

バリバリバリ!!

キムがアサルトライフルを撃ち放った。歩兵の身体が砕け散った。対重歩兵ライフルが落ち、赤い鮮血と肉片だけが草地に残る。

「ハンス!」

「コオロギ女史」
「目標は達成されました」
「即時撤退を」

ゲリラの重歩兵搭乗員が無線連絡をする。

「解りました」
「アイダさん、撤退信号を」

生存したゲリラの重歩兵は2機、人間歩兵は三名。
ゲリラ部隊が撤退してゆく。
黒髪におさげのHP搭乗員、サダコ・コオロギがつぶやく。

「私は今日、生き残った」
「この星は火薬に支配されている」
「今はまだ光明の前の暗闇」
「漆黒の闇・・・」

マルス軍HPの搭乗員が無線で叫ぶ。

「キム少尉殿!」
「ゲリラが撤退してゆきますが」
「テーガ列国軍のHP小隊5機が12時の方向に展開中!」

「分かっている」
「弾薬はあるな」
「機体データにない奴がターゲットだ」
「それ以外には目もくれるな」

丘のふもと、田園の中で幾つもの硝煙が上がる。赤く染まる河には破壊された機体が沈み、死体の一部が流れてゆく。
交戦が始まる。血塗られたこの惑星で今日もケモノは争いを繰り返す。希望の出口はあるのか?平和を待ち望んだ涙が報われる日が・・・

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