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旅の終わり:コードLP第二章完結
[コードLP(SF小説)]
2018年4月15日 21時41分の記事

年月かかりましたが、コードLP第二章完結です。

第三章書きたいんですが、今はやめておきます。



【PR】システム構築、ソフトウェア開発はイーステムにお任せ下さい


「お前の大切なものは全部行ってしまったよ」

「どこに?」

「お前の手の届かないところだよ」

「うそ」
「あたしは今ここにいるわ」
「大好きなものは全部ここに居る」
「あたしを置いてなんか行かないよ!」

「それはどうかね」
「現にお前はこの世を滅ぼそうとしているじゃないか」

「うそ、うそ」
「あたしは世界を救いたいのに!」
「世界はまだ終わりなんか迎えないよ!」
「それがあたしのせいだと言うの?」
「ならあたしはどうすればいいの!?」
「くっ」

惑星チーズのとある悠久ベース区画、人間のケイト・ケチャップマンが実験の被験体になって一か月。
ケイトはこの二週間、悪夢に襲われている。悪魔の誘惑に耐えている。
真っ白なオペ台に仰向けに寝、いろいろなチューブや機械に繋がれている。
全裸、昏睡状態。右手でチューブをかきむしる。
この実験は、耐衝撃エネルギーフィールド「愛・ウェイ」の改良型を創ろうと組まれた開発チーム。
チーム「始祖」のメンバーとケイトが始めた実験。

「生体エネルギー反応低下中、原子レベルでの再構築が必要」
「主任、これ以上は危険です」
「Kが覚醒しました」
「中断します」

「ふえ・・・」

シュウワ

「K」
「今回の収穫は?」

「何もないよ」
「悪魔ちゃんが私が破壊神だと言っていた」

「はは」

ケイトは口を動かさずに思考だけで応える。
制御室からモニターで見られながらケイトは術衣を着る。
深層意識にダイブする、これが第二段階のチームの目的。
第一段階はクリヤーした。思考の先鋭化。
ケイトの意識がテレパシーとなって周囲の人間と意思の疎通が出来る。
本来ならば現世のこの世ではタブーとされる技。
それが宇宙では可能なのだ。いつの頃からか人類は忘れてしまったが、人類が宇宙へ進出し始めた頃は思由交感が日常だった。
人間の起源に近づく事が出来るこの記憶は、宇宙に革命をもたらす。
電磁バリヤーの部屋も貫通するテレパシーは、隠れている人間には理解出来ない。
一方的にケイトが語り掛けるテレパシーは、邪な人間には乱れる思考が付きまとう。
純粋でクリアーな思考と重なった時、ケイトの意識は開花する。

今日のこの後のプログラムは、ミーテイングの後にディスカッション。
ディスカッションでは、ケイトと開発チームメンバーで議論し合う。
すべて記録を取る。
術衣を半分はだけて着ながら、ケイトが合成イチゴジュースをストロー飲みする。
下着を着ていない。
口を動かして彼女は話す。
相手はチーム始祖のメンバー、斎藤。

「そうよ」
「人間が忘れている記憶」

「K」
「すべての人間がその記憶を持っていると言うのかい」

「そう」
「覚えているのに思い出せない」
「平等なペナルティだからよ」
「この世界は物質の地獄」
「それは皆、産まれる前に罪を犯したからよ」

「その罪を清算するために、すべての生命はこの地獄を生きるわけだ」

「その通り!」

「では我々に勝ち目はないな」

「どーして?」

「因果応報がこの世のルールなら、人は永遠に罪と付き合うしかない」

「う〜ん・・・」
「勝とうとするから袋小路に迷い込むんじゃない?」

「・・・・」

「あたしは深淵(しんえん)を見るわ」
「でも深淵から帰って来る」
「どうしてこれが出来ると思う?」

「?」

「憎しみも悲しみも喜びも、すべては等しいと思えてくるまで待つの」
「永遠の待ちぼうけでも良いと思える覚悟が、深淵から私を引き離すの」
「それは賭けでもある」
「旅をする魂はそこに咲いている花を覚えているかしら」
「花は光ある所に咲く」
「冒険者もまた、光を求める」
「花が咲くのは希望」
「希望が嫌いな人は居ないよ」
「どんな悪人でさえ希望を持っている」

「うーん」

「この世が物質地獄なら、この世の物質天国もあるよ」
「そこは罪を清めた人だけが逝ける世界」
「今のあたしでは想像出来ないよ」

「本当かよ」
「つまりK」
「今の宇宙はもう持たないと?」

「・・・うん」
「思考が聴こえた?」
「だからみんな泣きながら産まれて来る」
「もう二度と過ちは繰り返さないと」
「それは約束」
「あたしも約束を破ってきた」
「あたしには約束を果たす義務がある」
「この忘却の世界で」

「・・・・」

夕方、ケイトはもう寝ている。
毎日が地獄のように精神に負担がかかっている。そしてそれは肉体面でも同じこと。
彼女は夢を見ている、産まれたての夢、現在の夢、年老いた夢、死後の夢。

「ケイト」
「ケイト」

「誰?」

「あたしだよ」

「あなたは誰?」

「あたしはあなただよ」
「どう?」
「あなたの夢は?」
「つまずいてない?」
「うまくいっている?」

「わからない・・・」
「ただ・・・」

「なに?」

「人はまだ過ちを捨てられないの」
「お互いを許し合う事が出来ない」
「悲しみ憎しみを乗り越える事が出来ない・・・」

「あなたは幸せ?」

「うん!」

「よかった」
「そのひと言が聴ければ」
「いい?あたし」
「あなたはあなたのままなんだよ」
「人全体の重荷を一人で背負う必要はないの」
「毎日笑って泣いて怒って、今この瞬間を大切に生きていれば」
「あなたもいつか解かる日が来る」

「うん」
「過去も未来も、今日この一瞬のために存在する」
「人類がはかない夢だとしても、あたしは産まれて来た事実に感謝しているの」

「あはは」
「ふふふ」
「へへへ」

「まって!」
「ねえ!あたし」
「あなたはどこからやって来たの?」
「そしてこれからどこへ向かおうとしているの?」
「ケイトはここにいるよ!」
「いつもいつだって!」

真夜中、ケイトは目を覚ます。ゆっくりとあいた瞳には涙がにじんでいる。

「ありがと・・・」

ケイトの誕生日、21歳になった。
小さなホールケーキと数本のロウソクにともした火が暗闇でケイトの顔を照らす。

「ありがと・・・」

彼女はめそめそ泣きだした。
チーム始祖のメンバー、油捨(ゆしゃ)がなだめる。

「K!」
「宇宙の英雄が泣いてちゃだめだな」
「ほら笑って!」

泣きながら笑う彼女の顔が引きつっている。正直、彼女の心は傷ついている。
涙を拭う、術衣がはだけて胸が露わになる。

「!!!」

慌ててケーキで胸を隠すケイト、胸が真っ白に。

「うひゃああ!!」

「あはははは!!」

バッチリ録画されてしまった。


ここはファーム星系、惑星ボヤージュ。惑星ボヤージュには衛星ダイタンがある。
ダイタン近くの宇宙域、トリン達は闇勢力の残存艦と交戦中。
ラインハルト全クルーの脳裏に電撃が走った。

「ケイトちゃん!」

「トリン艦長殿」
「ケイトです」

通話回線を使用していない、原始的な脳を使った思由の交換。
それは超人的なケイトの能力が具現化している。

「今すぐに武装解除をしてください」
「敵に白旗をあげるんです」
「降伏するんです」

「え?」
「何を言っているのケイトちゃん」
「そんなことしたら闇の勢力の思い道理になるよ」

「それでもいいんです」
「いまあたしが耐衝撃フィールド【アイウェイ】の最大値を改変しました」
「いままでのアイウェイでは、攻撃した相手だけが愛に目覚める効果がありましたが」
「新しい装備のL−マールでは、装備している本人にも愛の発動が検出されます」

「だからどうなるの?」

「今は言えませんが」
「新しい効果が発動されます」

「ロックオン攻撃来ます」
「無誘導レーザー帯3!」

「ロドリゲス」
「投降サインを出して」

「了解しました」

「カスタネット艦長!」
「アンチテレポートバリアが破られます」
「一気に戦闘ブリッジにテレポートしてきますわ!」

イチゴ・タングステン技師がわめき散らす。

「投降したからって敵が許してくれると思ってるんですか!?」
「最後の最後まで戦うべきです」

「いいのよ、イチゴちゃん」
「トリンはケイトちゃんに賭けてみます」
「人を殺すのに疲れました・・・」

数十秒後。ラージシップ・ラインハルトの戦闘ブリッジ内に、数十名の武装し戦闘宇宙服を着た闇勢力がテレポート侵入してきた。
レーザーパルスライフルを持ったリーダー格の人間は言う。

「この船はもらった」
「こいつらは捕虜にする」
「身体拘束具で縛り上げろ」
「擬人姉妹は性奴隷にするとカタルシス総統はおっしゃっていたからな」

「カスタネット艦長・・・」

「耐えるのよ、ステンレスちゃん」

両手を頭の上で組み、膝をを地面につけるトリン達。
トリンのこめかみにレーザライフルの銃口を押し付けて、リーダーが言う。

「安心しろトリン」
「我々で可愛がってやるからなあ」
「わあっはははは!」

トリン以下ラインハルトの乗員全員は拘束され、闇勢力の手に落ちた。



惑星チーズの悠久ベース内、ケイトが自分用PCでエアタイピングしている。
エアキーボードをしまい、にかっと笑う。
メールを送った。送信相手はノリミィ・タイタン。人間の宇宙ジャーナリスト。

「もうあと3分で悠久ベースに到着します」
「本当ですか?ケイトさん」
「宇宙に愛が蔓延しだしているとは」

「そう」
「あたしが、愛ウィルスをばらまいちゃったから」
「おそらく一週間後には」
「この宇宙次元が愛で満たされる」

「手段は?」
「いったいどうやって」

「思念だよ」
「この世界は目に見えるもの、カタチに縛られてみんな生きている」
「だからだよ」

「???」

悠久ベースにノリミィのスモールシップが到着した。
全裸になり、身体洗浄と検査を済ませてから服を着て。
係員に誘導されて駆け足でケイトのいる区画まで走る。

バシュ

「ケイトさんっ!」

「待ちかねたわよ、ノリミィさん」
「さあ、行きましょう」
「宇宙の未来のために!」




トリンが拘束されてから三日過ぎた。
闇勢力の本部、高層ビルの一室で頭領のカタルシス・モル・サンガが泣き叫ぶ。

「ひいい!」

「もう犯さなくてもいいの?」
「カタちゃん」

全裸で首に首輪と鎖につながれたまま、トリンはカタルシスの頭を抱きしめる。
鎖なんてトリンの怪力にかかれば造作もないはずだが。
投降してから3日間、トリン達は性奴隷にされ、幹部達や士官達に凌辱された。
しかし、精神は人間よりデリケートでも、ボディは人間のかなうところでは無い。
すぐにSEXの快感を覚え、闇勢力の人間を虜にしてしまった。
肝心の精神面の傷心だが、ケイトの改変した愛ウェイのおかげで、無事に済んでいる。
抵抗し戦えば、トリン達擬人は多くの闇勢力を排除できるはずなのだが。
性奴隷を楽しんでいるようだ。
唯一、人間男性のヤン・ベアリングは、女性構成員に大人気。

「トリン艦長殿!」
「いつまで楽しんでるんですか!」

「ケイトちゃん」
「トリンは女の幸せを堪能しているところなの」

テレパシーでケイトと会話するトリン。

「その様子なら、救出は当分大丈夫ですね」

「冗談」
「今すぐ助けに来てよケイト」

「あたしは星間ネットワークのテレビ生中継に出演するから」
「よかったら観てね!」

「あ〜〜ん」
「ケイトお・・・」



 その日の30:00時。全宇宙規模で星間ネットワーク生中継が始まる。
司会者一名とゲスト二名とコメンテーター二名がスタジオのブースでスタッフの撮影機材に囲まれる。
司会者がケイトに話しかける。

「ではケチャップマンさん」
「この宇宙次元が新しい領域に入ると言うんですか?」

「そうですよ」
「あたしが愛ウィルスをばらまきました」
「これはテロです」
「愛テロリズム」
「宇宙人すべてを幸せにしてしまいます!」
「愛テロ〜♪」

「なんと!」
「では紛争や差別問題、飢餓や貧困、病も解決するんですか?」

コメンテーターが叫ぶ。

「ちょっと待ってください」
「ケイトさんはそこまで言っていません」
「宇宙人が愛に目覚めるためのファーストステップを実行しただけです」

ノリミィがケイトの隣でフォローする。

「まあ、待っていてください」
「宇宙は夜明けを迎えます」
「時代の夜明けです」
「宇宙移民の時代が始まってから永い年月が過ぎましたが」
「もう宇宙人同士で、争いや憎みあい騙しあいが起きなくなります」
「すべての生命が、愛に目覚めるんですよ♡」

ケイトはカメラに向かってウィンクした。
両手でハートマークを作る。
隣のノリミィも慌ててマネする。

「いつの日にか」
「人が争っていた時代が嘘のように語られる日が来ますよ」


その日以来、宇宙に静寂が来た。
宇宙人は、愛という優しさに目覚めた。
産まれる前の負のカルマを昇華し、新しい生き方を探し始める。
皆が純粋な子供に戻った。
はじめは、照れくさいとか、大人の都合を考えろとか言う人も居たが。
愛ウィルスが浸透してゆく中で、宇宙人は互いに思いやる真心が好きになった。

闇勢力は自然解体、全宇宙で武装解除、軍隊は無くなった。
トリン達は解放され、安息の日々を送っている。

「?」

でも何か足りない。
そう、トリン達擬人LPには、知性と、戦い人を守る本能がインプットされている。

ニュー歴0203。惑星チーズの宇宙港。星間連絡シャトルの乗客席。

「当宇宙航空星間連絡シャトルにご搭乗くださいましてありがとうございます」
「当シャトルはこれから大気圏離脱」
「惑星カニメシまでの宇宙航路を開始します」
「まもなく離陸いたします」
「座席のエアベルトが自動で装着いたします」
「皆さま」
「よい旅を」

緑色の髪の毛の女性が200席ある座席の一つに座る。
赤毛の女性が隣で話しかける。

「ブヒブヒ饅頭買ってきましたよ」
「後で食べましょう」

「ケイトちゃん、なんでついてきたのよ」

「トリン艦長殿は、ときめきをひとり占めする気ですね」
「自分にもください!」

「ああ〜!!」
「言っておくけど」
「トリンの旅は楽しいって保証はないからね」

「いいんですよ」
「トリン艦長殿にどこまでもついてゆくって決めたんですから」
「初めて会った時からね!」

「ふう」
「やれやれだわ・・・」


第二部終了です。

2018.04.15

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