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火薬の宿縁
[ガールズライフル2(小説)]
2018年9月20日 1時40分の記事

オートマチック・ガールズライフルの2作目1話です。

戦闘描写が乏しいですが、がんばります。

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「人間の宿命だよ」
「知っているのに思い出す事が出来ないんだ」
「産まれる前から知っている純粋なる記憶が」

「コボルトおじいさんはいつからそんなことを考えるようになったの?」

「アニタが産まれるずっと前からだよ」

ここはコボルトおじいさんの住処、おんぼろのほったて小屋でコーヒータイム。
私、アニタは変な事を考える癖がある。
この人が産まれたときに、誰が見守っていてくれたのだろうか。
人は、運命の女神に気にいられなければ、苦労を無駄にしてしまうのだろうか。
コボルトおじいさんがいれてくれたインスタントコーヒーを飲みながら朝日が差し込んだ窓を見る。

「お父さんが亡くなった日の事を覚えているか?」

「うん」
「アン母さんが取り乱して半狂乱になった」

「お父さんは最愛の人だったからな」
「最近アンは寂しそうじゃないかい?」

「何だか寂しそうね」
「あのね、本当はアン母さんの若い頃の話を聞きたいんだ」
「戦争に行った時の話」

「今は無理だろう」

鳥が外で鳴いている。外の空気が変わった。
私の母さんの若い頃に戦争があった。大陸戦争。
亡くなったお父さんも軍人だったと言う。私が産まれた時からお父さんの両足は無かったけど。きっと戦争で失くしたんだ。
カンガルー軍とペパーミント軍が、領土の奪い合いをして紛争が起きた。
結局和平が成立して、領土は元のままになった。
コボルトおじいさんも戦争に行ったらしい。勲章も貰ったみたいだけど、捨ててしまったらしい。
私はアニタ、アニタ・ユウリィ。17歳。学生。
母さんは今年40歳でミシン工場で働いている。本当なら工場長位になっているはずだが、何か問題を起こしたらしい。今は平社員だ。
アン母さんの友達のアリサおばさんがいつもシフォンケーキを焼いてくれる。
アリサおばさんは有名な漫画家で、アニタの似顔絵を何百枚も描いてくれた。
いつかアニタに話してくれた。

「いい?アニたん」
「人は競い合い比べあうけれど」
「本当は人は比べる事なんて出来ないの」
「なぜだか分かる?」

「ううん、わかんない」

「それはね」
「人は皆同じで違うから」

「同じで違う?」

「うん」
「基本の人間の遺伝子は同じだけれど」
「個性と呼ばれる遺伝子はみな違うの」
「みんな顔が違うのは、大勢居る中から大好きな人を見分けられるように」
「同じ人生を歩く人は一人も居ないんだよ」
「みんな人生が違うから、比べる事なんて出来ないんだ」

アニタは思い出している。アリサおばさんの言葉。
時計を見る。

「あ、学校へ行く時間だ」
「もう私行くね」

「アニタ」

「なに?コボルトおじいさん」

「アンの悲しい魂を救ってやってくれ」

「ん・・・」

即答できなかった。
学生かばんを下げて、学校への小路を歩く際中ずっと考える。
アン母さんの悲しみ・・・

ここ、トンナム国の片田舎。チョモル村落は今は平和。
綺麗に刈られた草並木の道を歩く。
石のオブジェクトや板張りのガイド表示がおしゃれ
大きな樹木が立ち並び、日陰の中、数人の歩行者とすれ違う。
小路が終わり大通りに出る。知った顔に出会う。

「おはようアニタ」

「おは、マイマイ」

友人のマイ・マイトク。

学校は男女共学で私服だ。学校の先生はついこの間まで平和が一番だと語っていたのに。
有事の際の機動部隊の展開論なんかを授業中に話すようになった。
戦争賛成派がいつの間にか威張りだしている。
遠くでは軍事衝突が起きていると言う噂がある。
私の通う学校には軍事教練がある。
1人でも多くの人間を戦争に加担させようと、学生時代から兵科訓練を強制する。
銃火器の扱いを習っている、人殺しの方法を学ぶのだ。
誰も止める事が出来ないのだろうか、戦争の波を。
山岳地帯には隠れ場所が幾つもある。崖沿いにトンネルが掘ってある。偽装して入り口が分からないが。

歩きながら私が考える。

この世界が私を認めている。受け入れられない世界は無い、たとえ弾圧されて迫害されても。
生きるための一日の糧を手に入れる、同じ人間を殺しても手に入れる代価はロクなものではないだろう。
一切れのパンの切れ端を奪い合い血を流して争う人の世は、絶望の世界。
贅沢を覚えてしまう富の人たちは知らない、信念のために人が命を懸ける意味を。

「お前たちも国に養ってもらっている恩を返すんだ」
「憎い敵兵を倒せるな?」

憎い?私には憎い相手なんていなよ。

「アニタ、この間の兵科テストで赤点とったんだって?」
「兵隊は配属によって命の値段が違うんだってね」
「航空機の搭乗員が一番高額で、その次が・・・なんだっけか?」
「とにかく歩兵1人あたりとパイロット一人では雲泥の差があるそうよ」
「墜落した戦闘機パイロットを救出するために何十人もの歩兵部隊が犠牲になるんだって」

「マイマイ」
「あなたもだいぶ軍事かぶれしてきたわね」
「私は花の子だって言っていた過去のあなたはどこへ行ったのでしょうか?」

「あははは」
「じゃあねアニタ」

「バイ」

いつもの通りを抜けて、住み慣れた我が家に帰る。

アン母さんとおばあさんと私の家。おばあさんは10年のペパーミントの拘置から帰ってきた。戦争の犠牲者だ。アン母さんは生存はあきらめていたと言う。いつも凛としている人、いつもくしゃくしゃの笑顔のアン母さんと大違いだ。

「ただいまあ」

おばあさんが迎える。

「おかえりアニタ」
「また今日も軍事教練かい」

「うん、射撃精度が悪いっていつも怒られるの」

「アニタは私のマネなんかするんじゃないわよ!」

アンがベッドに寝ながら話す。

「お母さん」
「別に戦争に行くと決まったわけじゃないんだから」

「私は誰にも命令されていないのに、自分の意思で人を殺したわ」
「その血があんたにも流れているの」
「人殺しの血がね」

「お母さん」
「そんな悲しいこと言わないでよ」
「アニタは人殺しなんかしないよ」

「人を殺すたびに魂が傷ついてゆくんだよ」
「自分のタマシイが!」

「アン!」
「もう戦争の話は止めておくれよ」

おばあさんがアン母さんをたしなめる。

「平和が一番だよ」
「それはアンにもわかってる」
「でも血の記憶は忘れることができないんだ」
「どこまでも野蛮な血がね」

「お母さん・・・」

「短い間の平和だったけど」
「また世界はキナ臭い臭いがしてるわ」
「なんだろうねえ」
「人間は仲良く暮らすのがヘタクソなのかねえ」

約束があるから早く家を出た。黄昏の時刻、外はオレンジ色に染まる。木々や空が黄昏色になる。
私の一番好きな時間、毎日飽きることなく、夕日を見て感動している。
今日一日を生きたご褒美に、誰にでもきれいな夕焼けを見せてくれる。それは太陽さんの優しさ。
灼熱に一瞬で焼き殺すことも出来るし、低温に一瞬で凍死させることも出来るのに。
私たちに季節を与えてくれる。太陽はなんて優しいのだろう・・・


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