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試練(ガールズライフル2_3話)
[ガールズライフル2(小説)]
2019年9月21日 4時47分の記事

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「ユウリィ二等兵」
「お前は心を持っているのか」

「え?」

「いいか」
「良い兵士は心を持たない」
「殺す相手を同じ人間だと認識し始めたら」
「優れた兵士でいられなくなる」

「・・・・」

ガタガタガタ

D中隊はバーンハイセー型4輪駆動戦闘車両に乗り、山道を行軍する。ハイセーは6両。周りは林が生い茂り、道路は砂利道。土煙がひどい。先頭に万式戦車が3両。ハイセーはサスペンションが硬くて乗り心地が悪い、車酔いしそうだ。

「でもグレン軍曹殿」
「自分は戦争は好きではありません」
「自分の考えていることが、兵士として失格なら」
「それが自分なのだと思います」
「この戦争は何の為にもならないと思います」

「アニタちゃんは優等生なのさ」

運転席で運転していた高橋曹長が後ろを振り向き大声で言う。
助手席にはカール二等兵。

「曹長!」
「ちゃんと前見て運転してください!」

後席のアニタ・ユウリィの隣でサイコ・タバタ二等兵が叫ぶ。
タバタ二等兵はアニタと同じ学徒兵だ。

「ごめ〜んね!」

高橋曹長はどこまで本気なのかわからない、そんな人だ。

「ユウリィ二等兵」
「今の発言は聞かなかったことにする」
「以後気を付けるように」

「は!」
「グレン軍曹殿!」

「あ〜あ」
「アニタちゃんの反戦演説が聞ける日が来ないかなあ」

「曹長!」

タバタ二等兵が左手を振ってダメ出しをする。
右手で自動小銃を抑えながら。

ド―――ンッ!!!

衝撃、敵の攻撃だ。

「敵襲!」
「ペパーミントの攻撃機だ!」

先頭の万式戦車が空対地攻撃機二機にロケット攻撃された。
炎をふきながら止まる。
敵の攻撃機が旋回して20ミリバルカンで機銃掃射する。
前のほうのハイセーに乗っていた兵士が降りてきた。

ドゥルゥゥゥ!

「ぎゃあ!」

前方のハイセーの装甲が砕け、爆発する。二名の兵の身体が砕ける。
内臓が飛び出し、血液と肉片がアニタの乗っているハイセーのフロントガラスに飛び散る。
砕け散った防弾チョッキの破片がガラスに叩きつける。
赤く染まるフロントガラスを見ながら、アニタは何かを思い出す。

「降車して林に隠れろ!」
「散開!」

「だめだ!」
「これだけ林が多いとジャンベルが使えない」

後方のハイセー型戦闘車両の13.5ミリ機銃で対空迎撃をしている。

「こんなの当たるわけないよ!」

マイトク・・・

昨日の戦闘で戦死した親友のマイ・マイトク。アニタの唯一の分かり合える友。
マイトクの血は暖かかった。アニタの心にぽっかりと穴が開いたようだった。
マイ・・・あなたは幸せだったの?

「早く降りろ!」

グレン軍曹に引きずり出されるアニタ。まだぼうっとしている。

ビタンビタン!

胸ぐらをつかまれ往復ビンタされる。

「しっかりしろ!ユウリィ二等兵!」

アニタの自動小銃・501式を押し付けて命令する。

「士気を高めろ!」
「戦意を失えば敵に殺されるだけだぞ!」

「申し訳ありません!」

グレン軍曹は30代の妻持ち、いつもあご髭を生やしている。
アニタの501式にはフォアグリップがついている。左手でグリップを握りながら射撃する。
装弾数31発。有効射程600メートル。全重量3450グラム。発射速度毎分550〜600発。
6.62x45カンガルー弾。銃身部分にグレネードランチャーを装着している。
スコープに赤外線光学4倍を装備。

「ペパーミントの奴ら、あきらめたようだぞ」

攻撃機はすぐに居なくなった。
30キロ先に展開する機甲師団が目当てらしい。
破壊された車両をどかして、行軍は再開される。
森林を抜けて、広い平地へ出た。
2キロ先に小高い丘が見える。
丘の手前には住居集落がある。
土煙が舞う。

交戦規定。こんなややこしいものがいつの間にできたんだ。
発砲許可が降りるまで発砲してはならない。
現地住民を撃ってはならない。
略奪してはならない。

もう1週間前から支給されたわけのわからない薬を飲んでいる。
不妊作用でもあったらどうしようとか思っちゃう。

住宅集落を探索する。住居が白いペンキで塗られている。殆どが1階屋だ。
各班に分かれて原住民を尋問する。
グレン軍曹が原住民に銃口を突き付けて尋問する。

「ゲリラじゃないのか?」

原住民が首を横に振る。
味方部隊が怪しい動きをする原住民を拘束する。
駄目だ、私には何もできない。平和のための活動は。
そう、軍属になった時点で諦めていたことだ。
自分が可愛いから目立った行動はしない。

ヒュン

ドドオ―――ン!!

住宅街への迫撃砲の攻撃!
木造のボロボロの民家が砕ける。

ヒュン

ドオオ――ン!!

前方にいた味方の兵が肉片になる。
隣りにいたグレン軍曹にs2ヘルメットごと頭を押さえられる。

「ユウリィ二等兵」
「俺とこい!」

「はい!」

路地を駆け抜ける。小高い丘の上から迫撃砲を発射している。
グレン軍曹が前を走る。銃を構えながら。
原住民と敵兵を区別して撃つのは難しい。
トリガーの外側に人差し指を添える。

原住民に紛れてペパーミント兵が2名が入り組んだ住居から出てきた。

タタタン

即座にグレン軍曹が速射する、バースト射撃。敵兵は腹から出血して倒れる。
アニタは後ろからオート射撃に切り替えて撃つ。

ババババッババ

後ろにいた敵兵の頭が吹き飛んだ。
アニタは初めて人を殺した。充血した瞳から涙があふれる。
後ろを振り返るグレン軍曹が叫ぶ。

「ユウリィ二等兵!」
「なぜ泣いている!」

「わかりません!!」
「わかりません!!」

原住民を押しのけて前に進む。また住居の扉から敵兵3名が出てきた。慌てて銃を構えようとする。
速度が命だ。
グレン軍曹とアニタは二人立ち止まってフルオート射撃する。
肩で構えて撃つ。

バラタタタタタタタタ

アニタは右肩に銃弾を受ける。
敵兵3名死亡。

「ユウリィ二等兵!」

「大丈夫です」
「かすり傷です」

「あの丘を取るぞ!」

「はい!」

再装填、マガジンを外して捨てる、マガジンポーチから新しいマガジンを取り出し差し込む。
丘まで来ると、塹壕の中で敵兵3名が迫撃砲を撃っている。弾を迫撃砲に入れて耳をふさいでいる。
グレン軍曹がグレネードを投げ入れる。

ズドーーン!!

慌てて敵兵が逃げる。アニタが生き残った1名をしとめる。
赤外線スコープ・ターゲットサイトで狙う。
脳が飛び出た。頭部から出血してうつぶせに倒れる。

「ハア!ハア!」

アニタは充血して泣き腫らした眼で興奮している。

「ユウリィ二等兵!」
「もう終わったんだ!終わったんだよ!」

グレン軍曹に両肩をつかまれてやっと我に返る。
なんでだろう?涙が止まらない。

じゅる

「あ〜あ」
「アニタちゃん」
「戦争の味はどう?」

嫌味を言う高橋曹長。

「ユウリィ二等兵」
「上出来です」

後ろでタバタ二等兵が手を挙げて合図する。
丘の上で集結、緑色の雑草が生い茂る。白い墓標がいくつも立ち並ぶ。
万式戦車2両、ハイセー型戦闘車両5両の編成で進軍は再開される。

アン母さん・・・アン母さん・・・
ごめんなさい。
アニタも人殺しになってしまいました。
この罪は一生をかけても償えないでしょう・・・

自動小銃のスリングを肩に回して、アニタは空を見上げる。
その日の惑星チーズの空は青かった。初夏の風が心地よく軍服を吹き抜ける。
情緒的な気分になってしまうこんな風。空が何か言いたそうだ。

501式・・・この子はどこまでも罪作りなの。
いや、武器に罪はないはずだよ。
罪があるのは使う人間に・・・
きっと遥かな昔、愚かなサルが武器を持った時から始まっているのね。

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