くる天 |
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プロフィール |
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飯島浩樹 さん |
シドニー通信員の『豪リークス』 |
地域:海外 |
性別:男性 |
ジャンル:ニュース 世界情勢 |
ブログの説明: オーストラリア在住 某民放局シドニー通信員からの情報。 |
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美しすぎる首相がロシアと固い握手 |
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2010年11月14日 0時22分の記事
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G20、APECと国際舞台に颯爽とデビューし、日本では「美しすぎる首相」として話題となっているジュリア・ギラード豪首相だが、日中、米中問題の影に隠れて一つの”仕事”を果たした。G20首脳会談前日のソウルで、ロシアのメドベージェフ大統領とオーストラリア産ウランの輸出協定を批准したのだ。
オーストラリアの資源と言えば、鉄鉱石、石炭、今話題のレア・アースと多々あるが、忘れてはいけないのが、世界最大の埋蔵量を誇るウランだ。
ウランは言わずと知れた原子力発電の燃料になるだけでなく、核兵器製造にも使われるため、伝統的にオーストラリアはウランの生産、輸出を慎重に行ってきた。1980年代の労働党政権時代には、新規ウラン鉱山の開発を規制するなどしていたが、ハワード保守連合政権になると方針を転換、2007年には、軍事使用や不審な第三国への転売をしないことを条件に、中国、インド、ロシアと立て続けに豪州産ウランの輸出協定を結んでいる。
その後中国への輸出は始まったが、インドへは「核拡散防止条約(NPT)」に非加盟なことから政権交代を果たした与党労働党が難色を示しストップ、ロシアへの輸出は議会の反対などで協定が発効されないままでいた。
しかし、ここにきて、これまで原子力政策にあまり乗り気でなかった中道左派の労働党のギラード首相が、ロシアへのウラン輸出に踏み切った背景には、?産業界からの強い要望があったことと、?ラッド前首相に比べ「外交オンチ」と批判されるギラード首相が、国際外交のデビュー舞台で何か業績を残したかったことの2つの点があると考えられる。
だが、13日付のオーストラリア紙によれば、「インド」には依然協定を発効しないのに、ロシアだけ輸出を開始するのは「偽善」との批判や、今年8月の総選挙で少数内閣に陥り、やむなく連立を組んだ「緑の党」の反対は免れないとの指摘が早くも出ていて、さすがの「美人首相」も”宴の後”が大変そうだ。
オーストラリアの国内事情はさて置いて、我らが日本の菅首相はG20、APECで何か業績を残したのだろうか?念願の中国胡錦涛国家主席と会談できたようで、オバマさんとも義理チョコならぬ”義理会談”も果たした。ギラード豪首相とは、10月のアジア欧州会議(ASEM)で、首脳会談を行っているが、そこで何を話したのだろうか?美貌に見とれてしまったのだろうか? ところで、オーストラリア国内では、ギラード首相を”超美人”とみる人は少ない、首相になって確かにファッションセンスが向上し、化粧のノリも良くなったが、生粋のシドニーっ子である私の妻は、日本でギラード首相が”美しすぎる”と評判だと聞いてビックリ仰天していた。
話がそれてしまったが、日豪首脳会談の席で、菅首相が「豪州のレア・アースをしこたま買いまっせ!」とギラード首相に言ったという話は伝わってこなかった。別に隠し立てする必要もないことだから、多分ギラードさんに「資源安定供給」の話はしてないのだろう。でも、日本がオーストラリアに一番してもらいたいこととは何かと言えば、「たくさんある資源を中国さんにばかり売らないで、ウチにも分けてくださいよ!」といこうことではなかろうか?「そんな物乞いのようなことを経済大国の大日本の首相が言えるか!」と怒られそうだが、”外人”には自分の気持ちを(してもらいたいことを)はっきり言わなければ、わかってもらえない!うちのかみさんにも言わなければわかってもらえない!
オーストラリアは同盟国ですよ!日本は、鉄鋼石、レアアース、ウランは必要ないんですか?中国に全部取られてしまいますよ!中国・ロシアは核兵器を持っていますよ!ロシアの大統領は貴方の警告を無視して北方領土を訪問しましたね!オーストラリアはウランを売りたがってるんですよ!オーストラリアだって世界不況で困っているんですよ!ハッタリでもいいから、「ドーンと買いまっせ!」と太っ腹なところを「美人首相」の前で見せて欲しかったです。
今年2月、岡田幹事長が外相だった時にオーストラリアを訪問し、わざわざシドニーから3000キロも離れたパースまで行った。当時のスミス外相のお膝元だったこともあるが、パースのある西豪州といえば、鉄鉱石、石炭、ウラン鉱山がひしめくオーストラリア有数の資源生産地。はるばるそこまでやってきて、どうでもよい南極海での調査捕鯨問題…おっと失礼、もはや感情やメンツの問題になっていて、日本が調査捕鯨を止めるか、豪州がこの問題を忘れるか(オーストラリア人は熱しやすく冷めやすい性格…)のどちらかでないと絶対に解決しない「南極海での調査捕鯨問題」などに無駄な時間を割き…おっとまたまた失礼、本当にほんとーに(2回言います)大切な「資源安定供給問題」の話をほとんどしなかったと言うのだ。中国胡錦涛主席が、2007年のAPECで同じく西豪州を訪れた際に、数日かけてリオ・ティントや中国資本の鉱山会社をまわり、愛想を振りまいていったというのにだ!
日本人の悪い癖で、「言わなくてもわかってくれるさ」、「それを言っちゃぁおしめ〜よ」という感覚は、国際社会では、絶対に通用しない!うちのかみさんにも通用しない(くどい!)。同じアジアの国で何千年もの間付き合っている中国にさえわかってもらえないのだから(中国は、わかっていてやってるかもしれないが…)、いい加減目覚めてほしいのだ。
もちろん、新渡戸稲造先生のような傑出した先人の労力や日本企業の目覚しい成功のおかげで、この日本人の”特殊性”が日本の武士道精神や美学を拠り所にしたもであると、”外人”の方々は表面的には賞嘆してくれるから、海外で暮らす日本人としては低い鼻だけど鼻が高い。だが、国際舞台での外交とは文字通り、“外人”との交渉であり、ネゴシエーションである。はっきり言ってしまえば、相手がだまされたと感じないように“だます”ことが重要なのだ。だから、良い悪いは別として、世界の敏腕政治家やリーダーは、“スパイ”や外交官出身が多い。プーチン氏はKGB、パパブッシュはCIA、ラッド前豪首相は中国駐在の外交官といった具合だ。
私のような小市民が言える立場ではないが(だからブログでつぶやいているのだが..)日本の首相には、「武士は食わねど高楊枝」的な見栄ばっかりの見栄晴(みえはる)君外交(古いな..)ではなく、むしろ裏と表を巧みに使い分ける「忍者外交」をしてもらいたいものだ。ちなみにオーストラリアでも忍者は大人気で、カルチャースクール感覚で何百もの忍術教室がある。
「美人すぎる首相」もミステリアスな「忍者首相」が相手ならイチコロだったに違いない!!
…今日は少し長くなりましたが、最後までお読みいただき感謝です。
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