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豪多文化主義の危機?
 
2011年2月17日 20時29分の記事



140カ国以上の国からの移民で構成される多民族、多文化国家であるオーストラリアは、マルチカルチャリズム(多文化主義)を国策としているが、この「多文化主義」の是非については、これまで何度となく議論されてきた。

最近では、アジア移民のストップを唱えた「ワン・ネーション」党の躍進などがあったが、いくら豪州が多文化主義を国策としているとはいっても、マジョリティのアングロサクソン系国民とマイノリティの“非白人”系移民との間で問題が起こるのは、悲しいかな避けられない現実なのだ。

折りしも、“豪国民の不満の捌け口”または“失政から国民の目をそらす戦術”として、“豪政府が執拗にクローズアップさせている”→あくまで個人的見解です..)捕鯨問題に関して、「南極海での日本の調査捕鯨が中断に追い込まれた」というニュースが報じられた16日、またまた「オーストラリアの多文化主義の論議」を再燃させる出来事があった。

昨年12月、このブログでも詳しく書いた(「クリスマス島の悲劇」http://blog.kuruten.jp/sydneyreport/146109 )豪領クリスマス島で起きた難民船(厳密に言えば、難民認定を希望する政治亡命者たちを乗せた船)が、岸壁に衝突大破して死亡した犠牲者の葬儀がシドニーで行われ、思わぬ騒ぎに発展した…..。



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この葬儀には、クリスマス島の収容施設に拘留されている遺族らが招かれ、葬儀費用や遺族の飛行機代は税金で払われた。総額30万ドル(約2400万円)で、これに野党保守連合のモリソン影の移民担当大臣が異議を唱えたことが大問題になった。

普通に考えれば、なぜ違法に粗末な船でやってきた“ボートピープル”の死亡事故の葬儀をわざわざシドニーで、しかも税金を使って行う必要があるのか?と野党議員が疑問に思うのは当然なことだが、その日のテレビニュースで、葬儀場で子どもの犠牲者の小さな棺の前で大声で泣き崩れるブルカ姿の女性の映像が流されてしまったものだから、こんな時に冷酷な発言をするなんて「モリソンはレイシストだ!」と大騒ぎになってしまったのだ。

17日の夜のニュースでもこの問題はトップ級で扱われ、野党保守連合のアボット党首も「軽率だった」と誹を認めた。
テレビや新聞では、忘れかけられていた「フィッシュ&チップス店」の人種差別主義おばちゃん、ポーリン・ハンソンのワンネーション党や、人種差別的言動で批判を浴びたこともある自由党のジョン・ハワード元首相の事例などをぶり返し、議論は難民問題を通り越して、「多文化主義」の是非論にまで発展した。

一方、豪与党労働党にとってモリソン発言は“思わぬ敵失”だった。1日前の15日に発覚した「クリスマス島の収容所に入りきれなくなった難民が現在ダーウィンの“ホテル”住まいをしていて、その費用は1晩6万ドル(約480万円)、1ヶ月で236万ドル(約1880万円)」という報道を覆い隠してくれたからだ。

このニュースを聞いた国民も多かったとは思うが、悲しいかな大衆は“センセーショナル”な映像や報道に惑わされ、本質が見えなくなってしまいがちだ。

そのいい例が日本の調査捕鯨関連のニュースだ。ここオーストラリアでは、シーシェパードの反捕鯨抗議活動のニュースがあるたびに流される映像は、決まってクジラが捕鯨船に血を流しながら引き込まれる数年前の古い映像だ。
今年1月、シーシェパードが火を噴く発炎筒を投げつけ妨害活動を行ったときの豪スカイニュースの一報は、日本の当局から提供された映像を使い、「またシー・シェパードが危険な妨害活動を行いました」という「もういい加減にしろよ」というトーンの報道だったのが、1時間もしないうちに、同じ内容のニュースの映像がお決まりの血を流すクジラの画に差し替えられていた!どう見ても、このニュースを“ウォッチ”していた“誰か”がクレームを入れ、ニュースを“反調査捕鯨”的に変えさせたとしか考えられない豹変ぶりだった。
前回2月11日のブログ記事にも書いたが、(http://blog.kuruten.jp/sydneyreport/152585)
オーストラリア人の現場の記者も、“ボス”に言われたので、仕方なく捕鯨の質問をしたと吐露している。「日本の調査捕鯨」よりももっと大事なことは山ほどあるのだが、「知ってか知らずか、やらされてるのか...もうこの話題はやめてくれ〜!」

おっと、だいぶ逸れてしまったが、本題の「多文化主義」の話に戻そう。
オーストラリアの「マルチカルチャリズム(多文化主義)」とヨーロッパやアメリカのそれでは少し事情が違う。先日メルケル独首相が「ドイツの多文化主義は失敗だった」と述べたが、これは大国ドイツの首相が公に述べる言葉としては“重過ぎる”。
欧米の首相や大統領は、自分が語る言葉がどれほど影響をもち、“重い”のかを十分に認識していて、軽はずみに“方便だった”とか“仮免中で..”などと思いつきの軽い言葉は絶対に使わないのだ(イタリアのベルルスコーニだって政治の場では責任を持って発言している!はず...)。

何が言いたいのかというと、今、世界のマルチカルチャリズム(多文化主義)が転機にきている、言い換えれば、多文化主義はもはや機能せず危機的状況であるかもしれない(そういう状況にしむけたい?)ということだ。

豪政府のボーウェン移民問題担当大臣が、17日のシドニー・モーニング・ヘラルドに寄稿して、メルケル独首相の言葉に触れながら「オーストラリアのマルチカルチャリズムはドイツとは違い、自由と平等精神に基づいている...真の自由な社会とは多文化社会のことだ!」と声高に主張した。

私もかつて、「各移民が持ち込む多種多様な文化、伝統、言語、宗教を維持しながらも、ひとつの普遍的価値=共通語としての英語や自由平等民主主義を遵守することにより多民族国家オーストラリアとして統合していく」という豪州版マルチカルチャリズムを、将来世界が一つの共同体として統合するときのモデルになるのではと感じ、少し研究したことがあった。

日本人としてのアイデンティティを持ち続けながら、異国で生活し、“外人”(オーストラリア人!)と結婚した私にとっては、「マルチカルチャリズム」が失敗で終焉を迎えるなどとは信じたくないし、迎えて欲しくないのだ。

なぜなら、自由でボーダレスで博愛的な「多文化主義」が失敗したとなれば、群集に迎合する政治家が次に目指すものは、閉鎖的で保護主義的で敵対的な「アシミレーション(同化主義)」への回顧に他ならないからだ。

現在ヨーロッパやアメリカでは、押し寄せる“非白人”移民への脅威、不信、憎悪の感情が高まっている。「911」以降顕著になったアラブ系移民へのいわれなき迫害はそのいい例だ。次は増長著しい中国人がターゲットにされるかもしれない。日本人だってうかうかしていられないのだ…。

ヨーロッパに比べればオーストラリアはまさに移民天国。豊富な資源と広大な土地を持つ”ラッキーカントリー”の余裕がそうさせるのだろうが、私も”父ちゃん坊や”みたいな風貌のボーウェン大臣の言葉を信じたい。

「豪州版マルチカルチャリズムは死なず!」







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◆この記事へのコメント(投稿順)
1. MAC 2011年2月18日 17時46分 [返信する]
飯島さん
ACTUSで紹介させていただきました。
ありがとうございます。

 


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